活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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裏山の奇人

裏山の奇人: 野にたゆたう博物学 (フィールドの生物学)裏山の奇人: 野にたゆたう博物学 (フィールドの生物学)
(2014/08/06)
小松 貴

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満足度★★★★
付箋数:18

あなたは、大学時代どこで過ごしましたか?

とことん勉強して教室で多くの時間を過ごした人もいれば、
あまり大学に行かず、バイト先に通い詰めていた人もいるでしょう。

本書の著者、小松貴さんが過ごした場所は「裏山」。

  「四年次の研究配属までは、授業の合間には常に大学の裏山にいた。
  私にとっての学校は信州大学なのか裏山なのか自分でも
  わからなくなるくらい、すざまじく長い時間を裏山で過ごした。
  1秒でも長くフィールドの生き物と触れ合うため、大学の授業は
  ギリギリ卒業必須分の単位が取れる程度まで減らしたのである。
  そんな生活は、ナチュラリストとしての私をますます鍛えるとともに、
  人間としての私をますますダメにしていくのだった。」

本書は好蟻性生物の研究者、小松さんがフィールドワークによって
出会った生物たちの観察記。

生き物の魅力に取り憑かれた愛すべき奇人の徘徊記でもあります。

  「この本は “裏山の奇人” と題するように、身近な裏山にいる
  生き物の話に相当数のページを割いた。
  私の主な研究はアリヅカコオロギだが、どちらかといえば
  裏山に住むノミバエ、ケカゲロウその他、裏山の虫たちの話に
  入魂して書いたと思う。」

本書には、小松さん自身が撮影した虫の写真も多く掲載されています。

生理的に虫がダメな人は、厳しいかもしれませんが、
そうでなければ、是非読んで欲しい一冊。

生き物を愛し過ぎるがゆえ、一般の人からは奇人に映る
小松さんの行動は、抱腹絶倒。

その中でも、カラス観察のエピソードは秀逸でした。

ちなみに、小松さんほど生き物が好きだと、
虫の見え方も常人と違って見えているようです。

例えば、あまり好きな人がいないハエ。

どちらかと言うと嫌われ者の生き物ですが、
小松さんは、エクアドルにいるある種のハエに魅了されます。

  「もうとんでもなくカッコいいのである。トンボのような
  スタイリッシュな胴体、鋭く伸びた口吻、虹色にうっすら輝く
  大きな複眼と、まるで子供が悪ふざけで考えた
   “地球侵略を狙う悪の秘密結社の乗り物” みたいな姿だ。(中略)
  だいたい、スティロガステルとう名前がこうカッコよすぎる。
  ファンタジー小説に出てくるエルフ族の女戦士にいそうな名前で、
  中二病心をくすぐる。」

一匹のハエさえ、小松さんの脳内では過剰に美化され、
二次元の美少女のように認識されているようです。

そんな、行き過ぎた小松さんの言動も楽しいのですが、
小松さんの飽くなき好奇心と、生き物に対する本当の意味での
愛情が伝わってきます。

また、小松さんはいくつもの新種の虫を発見していますが、
まだまだ未知の種が地球上に存在する昆虫の世界の
奥深さも伝わってきますね。

まさに生物多様性そのもを体現できる感じがします。

この本から何を活かすか?

  イグノーベル賞間違いなしの研究

小松さん自身がやりたいと思っていて、
できずにいるのが「糞転がし」の研究です。

糞転がしは、気圧の変化を鋭敏に察知して、
大雨で水没する前に、高台に避難する性質があるそうです。

その天気予報はかなりの精度ですが、
詳しいメカニズムは、まだ誰も調べていないようです。

  「葉上にいた糞転がしの種、見つけた高さ、気温や湿度、
  見つけてから雨が降り出すまでの時間、
  降った時の降水量を逐一記録していき、数十年単位で
  それを続けて得たデータから何らかの相関を得られれば、
  絶対イグノーベル賞間違いなしだと思うのだが、
  毎回忙しさにかまけてできずにいる。」

本書に刺激されて、研究する人が出てくるといいですね。
ただし、研究成果がわかるのは数十年先のこと。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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