活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2014年07月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年09月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

異端児たちの決断

異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日
(2014/07/31)
小板橋 太郎

商品詳細を見る

kindle版 異端児たちの決断

満足度★★★★
付箋数:21

  「日立の値がつかないぞ」

2009年2月3日。月曜朝の東京証券取引所は混乱に陥っていました。
日立の株に場が開く前から大口の売り注文が殺到し、
取引開始から1時間以上たっても値がつかなかったのです。

この日、日立株の下落率は一時19%に達し、239円となり、
28年9ヶ月ぶりの安値を更新しました。

これは前の週の金曜日に、2009年3月期の連結業績の見通しを
下方修正し、最終損益が7000億円の赤字になることを発表したためです。

日立はリーマンショックの直撃を受けただけでなく、
これまでデジタル化やITの進展による変化に対応できず、
急激に経営が悪化していたのです。

かつて2度の石油ショックを乗り越えて不沈艦と呼ばれた
日本的コングロマリットの日立は、沈みゆく巨艦と揶揄される
ようになっていました。

その1か月後、日立は東お茶の水ビルで緊急会見を開き、
社長交代を発表。

ひな壇の中央に上がったのは、4月1日から執行役会長兼社長に
就任する川村隆さん。

  「川村って誰だ?」

日立ほどの歴史のある大企業になると、次期社長候補は
通常、事前にある程度知られているものです。

しかし、見慣れない人物の登壇は驚きをもって迎えられました。

この電撃的な社長交代を、翌日の朝刊の記事に掲載するために
取材に来ていた記者たちは、一斉にインターネットで過去の記事を
検索したそうです。

経済界では、改革を行うために経営陣の若返りを図る
流れが一般的でしたが、この時、川村さんは69歳。

しかも、川村さんはすでに日立本流の経営から外れて、
グループ会社の会長をしていたところ、本体に戻るよう
要請を受けて再登板に至ったのです。

日立の経営改革にあたったのは、川村さんを含めた六人組。

彼らはいずれも一度は本流から外れてしまった異端児たち。

航空業界用語で、非番のパイロットやパーサーのことを
「デッドヘッド」と呼びますが、本書ではそれに習い
経営再建にあたった六人組を「デッドヘッドの男たち」と
呼んでいます。

川村さんが指揮を執った2000日にも及ぶ再建は、
経営体制を透明化してグローバル化を進めました。

そして、沈みゆく巨艦と呼ばれた日立を奇跡的に蘇らせます。

  「それでは、2013年度の業績についてご説明いたします。
  まず、売上高は9兆6162億円で、前期比6%の増収。
  見通し比でも2%の増収となりました。
  営業利益は、5328億円で前期比1170億円増加、
  見通し比でも228億円増加し、23年ぶりに過去の営業利益を
  更新することができました。」

本書は日立復活までの経営改革のドキュメンタリー。

  「ゆでガエル状態からグローバルな視野を持つ企業に
  生まれ変わった日立製作所 ― 。その変革の軌跡を描くことで、
  日本企業、ひいては日本そのものの生きる道が
  見えると考えて本書を執筆した。」

著者は、日本経済新聞社、企業報道デスクの小板橋太郎さん。

入念な取材を重ねて紡ぎだす物語は、プロジェクトX的な
男たちのドラマでもあります。

この本から何を活かすか?

日立は鉄道事業を統括するグローバルCEO職を、
2014年4月1日付で新設しました。

CEOは「英国」に駐在し、鉄道関連事業の世界戦略を立案します。

これは日立が2012年7月に英国の都市間高速鉄道計画(IEP)で、
シーメンス、仏アルストム、カナダ・ボンバルティアの
鉄道ビッグ3との受注競争に勝って、IEP車両のリースと保守事業の
一括受注に成功したためです。

これを機に、日立の海外展開は益々加速しているようなので、
今後の動向にも注目です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 経営・戦略 | 10:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT |