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期待バブル崩壊

期待バブル崩壊――かりそめの経済効果が剥落するとき期待バブル崩壊――かりそめの経済効果が剥落するとき
(2014/02/28)
野口 悠紀雄

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Kindle版  期待バブル崩壊

満足度★★★
付箋数:22

  Q. 安倍内閣は賃金についてどう考えているのでしょう?
  A. 遅ればせながら、賃金が重要な課題と認識されるように
    なりました。問題は、それを実現するための政策です。

  Q. 賃金を引き上げるため、安倍内閣は何をやろうと
    しているのですか?
  A. 政労使会議や法人税上の措置などです。
    しかし、これらの方法で賃金を上げることはできません。

  Q. 「利益を賃金にも山分けする」という考えは
    正しいでしょうか?
  A. その考えは、基本的な誤解です。売上から人件費や原材料費
    などを引いた残りが利益になるのであって、利益から
    賃金が支払われるわけではありません。

  Q. 最近の賃金・雇用動向はどうなっていますか?
  A. 現金給与総額は、対前年比マイナスの月が多くなっています。
    それに加えて消費者物価が上昇しているため、実質金利の
    対前年比はマイナスが続いています。さらに、正規従業員数が
    伸び悩む半面で、非正規雇用者が顕著に増加しています。

本書は、野口悠紀雄さんが、『週刊ダイヤモンド』と
ダイヤモンド・オンラインに掲載した記事を中心にまとめたもの。

野口さんと言えば、最近ではアベノミクスを批判し、
デフレではなく、所得低下からの脱却の必要性を
よく訴えています。

本書でも、冒頭で紹介したようなQ&A形式で、
69の問に答えながら、アベノミクスの実際の効果を検証し、
その限界を明らかにします。

2012年からの急激な円安は、安倍政権の金融緩和によって
もたらされたものではなく、国際的な投機資金の流れが変わった
タイミングに、たまたま内閣発足が重なっただけ。

そして何より、アベノミクスで賃金は上がらない。

それに対して、円安で物価が上昇するため、実質賃金は低下。
更に、製造業の設備投資は増えるどころか、減少。
輸出量も増えずに、貿易赤字は拡大・・・・。

野口さんは、こういった実体経済の状況を、一つひとつ、
裏付けとなる根拠を示しながら解説します。

アベノミクスというと、金融緩和のイメージが強いですが、
実際にやっていることは、従来型の公共事業バラマキ政策。

公共事業の著しい拡大と、住宅の駆け込み需要により、
世間の目は実態から背けられている。

現在の日本はアベノミクスに対する、期待バブルであり、
この熱狂的狂酔感(ユーフォリア)の崩壊の時期は近い。

実体経済は、ムードだけでは動かず、
長期的な経済の衰退から脱していないことがわかると、
かりそめの経済効果は剥落するというのが、
本書での野口さんの主張です。

円安や公共事業のバラマキ、消費税税増税前の駆け込み需要
といった一時的な効果への「期待」ではなく、
もっと日本経済が持つポテンシャルや、長期的な将来の可能性に
「期待」することが、日本経済復活の鍵となるようです。

基本的に野口さんは、アベノミクスは評価していませんが、
日本には復活するためのポテンシャルがあると考え、
将来を革新する力も残っていると信じています。

ですから、本書は期待バブル崩壊を指摘するだけでなく、
その先にある本当の経済成長を見越した内容になっています。

この本から何を活かすか?

現在、野口さんがダイヤモンド・オンラインで連載するのは、
通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する
というテーマの記事です。

テーマからすると、数回の連載で終わる企画かと
思いましたが、2014年4月現在、8回まで連載は続いています。

今回も、この連載から書籍化されそうな勢いです。

昔からインターネットの活用など、先進的な野口さんでしたが、
70歳を越えてもなお、こういった新しいテーマに
精力的に取り組んでいるとことはさすがですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 経済・行動経済学 | 09:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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