活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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すべては統計にまかせなさい

すべては統計にまかせなさいすべては統計にまかせなさい
(2014/01/23)
藤澤 陽介

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Kindle版 すべては統計にまかせなさい

満足度★★★★
付箋数:27

イザという時のリスクをどこまで想定すればよいのか?

最悪の事態を想定したとしても、実際にどこまで
対策を打つべきかが難しいところです。

岩手県の釜石港湾口防波堤は、ギネスブックに認定されるほどの
世界最大級の防波堤で、1,200億円を投じて建設されましたが、
東日本大震災の津波で破壊され、甚大な被害が発生しました。

一方、200年に1度の水害に耐える堤防建設を目指した
スーパー堤防事業は、1987年にスタートしましたが、
7000億円を投じたものの、計画の6%しか進まないところで、
当時の民主党政権時代に仕分けられたました。

莫大なコストがかかることなので、どの程度の事態まで想定
して対策を講じるかが非常に難しい問題です。

そんな難題に、約100年前から挑んでいた国があるそうです。

その国とは、海抜0メートル以下の国土を持つオランダ。

1916年に北海からの高潮の影響で、オランダは度重なる
大洪水に見舞われ、多くの被害者を出していました。

そこで、当時のオランダ政府はゾイデル海入り口に
巨大なダムを建設するための委員会を発足します。

その委員長には、地質学者でも、土木学者でも、海洋学者でもない
1人の研究者が選ばれました。

その研究者とは、1902年にノーベル物理学賞を受賞した、
ヘンドリック・ローレンツさん。

ローレンツさんは、8年間の研究を経て1926年に報告書を提出し、
その報告書をもとにしたダムは1932年に完成しました。

ローレンツさんの予測は極めて正確で、高潮の被害を最小限に
とどめ、オランダ国民の命を守りました。

また、この時に作ったリスク評価モデルで、オランダ政府は
高い堤防も作らず、大幅なコスト削減に成功したそうです。

これは、本書に紹介されていた、起きる可能性は低いが、
起きた場合は甚大な被害をもたらす事象へ対応したエピソード。

本書は、他の統計学の本とは一線を画する、
アクチュアリーが書いた統計本。

攻めるための統計ではなく、守りのための統計本。

  「一般の学生・社会人が読むアクチュアリー本は、
  まだ多くありません。本書はリスクを考えるうえで必要となる
  基礎的な確率・統計の概念を説明することで、
  アクチュアリーという歴史の古い統計実務家の役割を、
  世の中の人に知ってもらうことが主な目的です。」

著者の藤澤陽介さんは、ライフネット生命で
リスク管理部部長を務める方です。

ちなみにアクチュアリーとは、保険数理士とも訳される
確率や統計などの手法を用いて不確実な事象を扱う数理の専門職。

日本ではアクチュアリーの知名度はそれほど高くありませんが、
米国の職業ランキングなどでは、常に上にランクインする
ステイタスのある職業です。

ハーバード・ビジネス・スクールでベイカー・スカラーの
表彰を受けたライフネット生命・副社長の岩瀬大輔さんは、
アクチュアリーについて「絶対、司法試験より、難しい。」
とツイートしたこともあります。

私はこれまで多くの統計本を読んできましたが、
本書の内容はかなり新鮮で実用的に感じました。

仕事上で必要なリスク計算をする時はもちろん、
投資をする際にも参考にしたい一冊です。

この本から何を活かすか?

本書には、アクチュアリーに関する次のようなエピソードも
紹介されていました。

2002年製作のジャック・ニコルソンさん主演の映画
アバウト・シュミット』は、定年したアクチュアリーが主人公。

ニコルソンさん演じるウォーレン・シュミットは、
社会性の欠如した人間の典型として描かれていたそうです。

この映画に対して、米国アクチュアリー会は偏見があると反論。

  「本作品におけるアクチュアリーの描写、すなわち、
  数学オタクであり、社会性を欠き、さらに髪がボサボサという
  イメージは、97.28892%の確率で誤りである」

いかにもアクチュアリーらしい、
こんなウィットに富む声明を出したそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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