活かす読書

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やわらかな生命

やわらかな生命やわらかな生命
(2013/08/09)
福岡 伸一

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満足度★★★
付箋数:23

あなたは、「粘菌」という不思議な生物がいることを
知っていますか?

実は、本書のカバー写真に写っているのが粘菌です。

正式には、「細胞性粘菌」と言い、生命のやわらかさを端的に
象徴するものとして、本書の表紙に採用されたようです。

粘菌には、大きな3つの謎があります。

それは、「細胞間のコミュニケーションの謎」と
「多細胞制御の謎」と「子実体形成の謎」です。

粘菌は、ふだんは単細胞生物として、落ち葉の下などに生息し、
アミーバ運動によって移動し、土の中の細菌などを食べて
生活しています。

それが、餌が少ない季節になると、それぞれ単細胞生物として
活動していた粘菌は、10万個くらいが大集合して、
ナメクジのような多細胞生物に変貌します。

ナメクジ状の粘菌は光を求めて移動すると、
今度は頭だった部分を地面に張りつけ、逆立ちします。

胴体は細長い柄のようになり、お尻だった部分は柄の先端に
取り付けられた丸いドーム状(子実体)に形を変えます。

その丸い玉の中には、たくさんの胞子が詰まっていて、
これがはじけて風にのって他の場所に飛び、
胞子からアミーバが誕生し、新しい生活を始めます。

細胞性粘菌は、動物でもあり、植物でもあり、
単細胞生物でもあり、多細胞生物でもあるのです。

このどちらとも言えない、両方の性質を持つ生き物の不思議さに
福岡伸一さんは惹かれるところがあるのでしょう。

福岡さんの大ベストセラー『生物と無生物のあいだ』も
そんな両方の性質を持つウィルスの話でしたね。

ちなみに、博物学者の南方熊楠さんが研究していたのは、
同じ粘菌でも「真性粘菌」と呼ばれるもので、
本書で紹介されている細胞性粘菌とは、違った性質を持ちます。

さて、本書は福岡さんが週刊文春の2011年9月15日号から
2013年4月18日号まで連載していた科学エッセイ
「パラレルターン パラドックス」をまとめたもの。

約70本の、しなやかなエッセイが掲載されています。

2010年4月に刊行された『ルリボシカミキリの青』の続編。

週刊文春の連載は、福岡さんが2013年4月から、
ニューヨークのロックフェラー大学へ客員研究員として
行くことになったため、一旦終了しました。

ただし、翌2013年4月25日号からは、
タイトルを変え「マンハッタンマトリクス」として
福岡さんの連載は続いています。

本書で粘菌について触れられているのは数ページなので、
もっとこの不思議な粘菌について知りたい方は、
中垣俊之さんの『粘菌 その驚くべき知性』をお読みください。

脳を持たない単細胞生物が、迷路で最短ルートを見つける
「知性」の謎に迫っています。

中垣さんらは、この「粘菌コンピュータの研究」で、
2008年イグ・ノーベル賞の認知科学賞を受賞しています。

この本から何を活かすか?

どっちつかずの生き物と言えば、本書のでは、
ネット上でも話題になった2013年の麻布中学の入試問題も
取り上げていました。

  「ドラえもんは、生物として認められることはありません。
  それはなぜですか。その理由を答えなさい。」

この問題には、次の3つの生物の特徴が列挙されています。

  A: 自分と外界とを区別する境界をもつ。
  B: 自身が成長したり、子をつくったりする。
  C: エネルギーをたくわえたり、使ったりするしくみをもっている。

ネット上では、この問題に対してかなり議論が白熱したようですね。

問題にツッコミを入れることも含め、様々な角度から
考えることの面白さを再発見できる問題でした。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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