活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2013年09月 | ARCHIVE-SELECT | 2013年11月

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死にたくないんですけど

死にたくないんですけど iPS細胞は死を克服できるのか (ソフトバンク新書)死にたくないんですけど iPS細胞は死を克服できるのか (ソフトバンク新書)
(2013/09/18)
八代 嘉美、海猫沢めろん 他

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満足度★★★★
付箋数:24

  「2012年に邦訳されたマーカス・ウォールセンの
  『バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!
  の内容は衝撃的だった。今、バイオの世界では、
  かつてコンピューターの世界で起きたような変化が
  起こりつつあるのだと彼は言う。
  高価だったPCが、ガレージで作れる安価なものになって
  世界に広まったように、生物学もまたガレージで研究が
  可能になっており、そこでは “バイオハッカー” と呼ばれる
  DYIの精神にあふれた在野の研究者たちが
  日夜奇妙な実験を繰り返す。」

SFオタクを自称する、作家の海猫沢めろんさんは、
バイオパンク』に書かれている内容をを読んで興奮しました。

そうこうするうちに、iPS細胞の研究で山中伸弥先生が
ノーベル賞を取ったというニュースを耳にします。

  「そこで、ふとこう思った。
  昔ならともかく、今なら生物学の最先端技術を
  使うことによって、生老病死にまつわるあらゆる障害を
  取り除くことができるんじゃないか?
  不老不死の実現―死にたくない、という究極のワガママは通るのか?
  素人がそんな疑問をiPS細胞などに詳しい再生医療の研究者である
  八代嘉美博士にぶつけてみたのが、この本である。」

海猫沢さんと八代嘉美さんは、もともとSF好きが共通の
近所に住む友人でした。

本書には、場所と日を変えた計4回の対談が収録されています。

対談場所は、海猫沢さんの自宅、京都、空港、東京。

1回目と2回目の対談の間に、偶然にも八代さんが
山中教授のいる京都大学iPS細胞研究所へ移籍することになり、
2度目の対談は京都で行われました。

好奇心旺盛な海猫沢さんは、あらゆる角度から、
不老不死の可能性について質問を投げかけ、
それに対して、八代さんが丁寧に答える対談となっています。

お2人の話の中では、SF小説やアニメなどが引き合いに出され、
良い意味でオタク的な要素が出た対談です。

いろいろな本を読んでいて、表面的な知識として聞いたことが
あるような内容を「本当のところは、どうなの?」と、
1つ1つ海猫沢さんは質問していきます。

また、自分の好奇心に駆られて聞いているように見える
海猫沢さんですが、その実、本当は知っているはずの内容も、
読者を意識して、あえて八代さんに聞いているのがニクイところ。

八代さんの説明では、iPS細胞の研究が進んでも、
不老不死の実現はやはり難しいようです。

そこで、海猫沢さんは、生物学的に不老不死が無理でも、
データそして残り続けることができるなら、
それも1つの不死だという考えを示します。

それを受け、対談の最後では、「せめて理想の死に方を考えよう」
という面白い方向へ進みます。

クローン技術、iPS細胞、ネットで申し込める遺伝子検査、
サブカルチャーのなかの生物学や生命科学、
TEDで講演するオーブリー・デグレイさん・・・・

様々なネタをもとに対談が進み、気がつくと新しい生死観まで
考えさせられる興味深い一冊です。

この本から何を活かすか?

お2人の対談では、様々なSF作品への言及があります。

中でも私が読んでみたいと思ったのは、
グレッグ・ベアさんの『ブラッド・ミュージック』。

海猫沢さんが、最初に読んだバイオSFで、傑作と評されています。

古い作品のようなので、私は図書館で探してみます。

あと、SFではありませんが冒頭で紹介した
バイオパンク』はKindle版で読んでみようと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 科学・生活 | 06:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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最強「ご当地定番」のつくり方

最強「ご当地定番」のつくり方 ヒット連発のお土産プロデューサーが教える最強「ご当地定番」のつくり方 ヒット連発のお土産プロデューサーが教える
(2013/10/18)
勝山 良美

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満足度★★★
付箋数:20

日本実業出版社、細野さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

北海道のお土産菓子は、全国の中でも超激戦区です。

既に全国的に有名な、石屋製菓の「白い恋人」や、
六花亭の「マルセイバターサンド」などが昔ながらの定番品。

少し新しい定番では、ロイズの「ポテトチップチョコレート」
が知られています。

これらの定番品に迫ろうと、各お菓子製造・販売会社は
次々と新商品を開発し、お土産菓子マーケットに投入します。

それゆえ人気が出ない商品は、短いサイクルで消えていきます。

そんな競争の激しい北海道のお土産菓子市場で、
後発でありながら、出す商品どれもが、売れ筋商品トップ10に入る
お菓子を発売している会社があります。

その会社はお菓子会社ではなく、札幌を中心に全国に13店舗の
レストランを展開する株式会社YOSHIMI(ヨシミ)。

2009年に販売開始した「札幌カリーせんべいカリカリまだある?」
は年間5億円超を売り上げる大ヒット商品になりました。

その後に発売した主力商品も次々とヒット。

  ・札幌おかきOh!焼きとうきび(2011年発売、年間売上8億円)
  ・とうきびショコラサンドCollet(2012年発売、年間売上4.5億円)
  ・北海道のポテトチップス ジャガJ(2012年発売、年間売上1.6億円)

いずれも北海道のお土産菓子の新定番となりつつあります。

本書は、ゼロから参入し、観光土産品で年間25億円以上の
売上を誇るYOSHIMIの料理人兼経営者である勝山良美さんが、
売れ続ける「ご当地定番」をつくるためのノウハウをまとめたもの。

勝山さんが、これまで生み出してきた商品を例に、
ネーミング、デザイン、価格設定、素材や味付けから
マーケティングまで体系的に解説されています。

  第1章 なぜ、レストランが「お土産」をつくることになったのか?
  第2章 「ご当地定番」をつくるためにまず考えるべきこと
  第3章 実践!「売れ続ける商品」をつくるためのステップ
  第4章 「売れ続ける商品」に育てるためのしかけづくり
  第5章 時流を読み、お客様のニーズを把握するための習慣
  第6章 「売れ続ける」とは「変わり続ける」ことである

本書の中で、私が共感したのは、勝山さんの次の言葉。

  「お土産品をつくるのに、お土産品として絶対につくってはいけない」

一過性に終わらずに、売れ続けるためには、
地元の人が買って食べたくなる自己消費型の商品である
必要があります。

確かに、私の出身地の北海道帯広では、
六花亭の「マルセイバターサンド」を地元の人は
自分で買って自分で食べます。

それは生活の中にある当たり前の日常品ではなく、
ちょっと特別感のある日常品といった感覚です。

サントリーの「プレミアム・モルツ」が品質にこだわりながら、
ちょっとした特別感を演出しているのに共通しています。

ですから、どれだけ地元の人に愛される商品になるかが、
売れ続ける商品になるための大きなポイントなのでしょう。

私は、「札幌カリーせんべいカリカリまだある?」を
自己消費したことがなかったので、食べてみたいと思います。

本書は、ヒット商品を生み出すノウハウ本としても参考になりますが、
道産子の私としては、応援したくなる本でした。

この本から何を活かすか?

  「焼き菓子が久しく忘れられている。ハワイでクッキーが
  盛り上がっているように、日本でもそろそろクッキーが
  ブームになってもいい頃ではないか・・・・」

実際に勝山さんは、現在、北海道の牛乳やバターを使い、
更に北海道らしい食材をプラスした「北海道クッキー」の
開発に全力で取り組んでいます。

どんな商品が出てくるか、私は期待して待っています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| マーケティング・営業 | 06:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート

冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート  市場の英知で時代を読み解く冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート 市場の英知で時代を読み解く
(2013/05/24)
ジム・ロジャーズ、Jim Rogers 他

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満足度★★★★
付箋数:27

  「19世紀の初めなら賢い人間はロンドンへ行っただろう。
  20世紀初めならニューヨークに移り住んだはずだ。
  そして、21世紀が始まったばかりのこの時期、
  賢い人はアジアに向かう。」

21世紀はアジアの時代。

欧米人の投資家でも、中国をはじめとするアジアに
投資をしている人は結構います。

しかし、実際に自分がアジアに移住する欧米人投資家は
それほど多くありません。

冒険投資家ジム・ロジャーズさんは、2007年に家族を連れて、
ニューヨークからシンガポールへ移住しました。

恐らくロジャーズさんに、子どもがいなかったら
移住していなかったでしょう。

ロジャーズさんは、子どもの将来の投資のために、
あえて移住したのです。

  「世界旅行中の2001年4月、シンガポール植物園で開かれていた
  シンガポール交響楽団のコンサートを聴きに行った私は
  警察のいないことに驚いた。いかなる規制もしかれて
  いなかったのである。ニューヨークのセントラルパークなら、
  こんなときは必ず少人数ながら警官が待機していたものだと思いだし、
  私はペイジ(妻)にこう言った。 “ここは子育てに最高の街だね”
  さらに魅力を感じたのは、シンガポールにはおそらく
  世界最高レベルの教育制度が整っていること、
  医療制度も世界屈指であること、そして ― アジアではどこでも
  そういうわけにはいかないのに ― シンガポールでは何から何まで
  うまく機能しているということだった。」

ジョージ・ソロスさんと共に立ち上げたクォンタム・ファンドでは、
10年間で4200%のリターンを得て、1980年に引退。

その後、オートバイで1回、車で1回の世界一周冒険旅行を敢行。

そして行き着いた先が、家族でのシンガポールへの移住です。

本書は、ロジャーズさんの自叙伝。

冒険旅行の部分は、他書(世界バイク紀行世界大発見
に譲りますが、ロジャーズさんの「生き方」がわかる本です。

  「今の私は、空いた時間があれば妻や子供たちのために
  使いたいと思っている。何をおいても娘たちと一緒に過ごしたい。
  夕食をとることにも何をするにも、ハッピーやベイビー・ビーや
  ペイジと一緒にやるのが一番である。」

これが、投資で大成功し、世界中を冒険した後につかんだ、
ロジャーズさんの幸せです。

2人の娘は、2013年現在、10歳と5歳。

これから反抗期を迎える娘にロジャーズさんが
どう対処するのかも楽しみなところ。

普通の親のように、頭を抱えることもあるのでしょう。

しかし、ロジャーズさんは本書以外にも、
娘に贈る本を書いています。

  ・『人生と投資で成功するために 娘に贈る12の言葉

きっと子どもたちには、ロジャーズさんの考えが伝わるはずです。

  「ハッピーとベイビー・ビーを賢く教養があり、
  聡明で野心に溢れ、辛抱強い人間に育て上げることができたら、
  私はすべてを失っても構わない。それは決して失われることのない
  投資をしたことに、私が彼女たちに残せるお金よりも
  はるかに豊かなポートフォリオを譲り渡したことになるのだから。」

この本から何を活かすか?

  アメリカの回復の兆し

ロジャーズさんは、本書でアメリカの回復の兆しが
2つ見えていると述べています。

1つは、農業。

ロジャーズさんは、農産物価格が2倍~4倍になることを
見込んでいます。

もう1つは、シェールガス、シェールオイル。

技術が進歩して、これらが採掘されるようになれば、
エネルギー資源の上げ相場も終わる可能性があるとの予想です。

つまりは、それまでは上げ相場が続くということ。

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| 投資 | 06:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ファーストクラスに乗る人のノート

ファーストクラスに乗る人のノート―毎日が楽しくなるノートの72の書き方ファーストクラスに乗る人のノート―毎日が楽しくなるノートの72の書き方
(2013/09/23)
中谷彰宏

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満足度★★
付箋数:14

  「満員電車に乗りたいか、ファーストシートに座りたいか。
  生き方の問題です。満員電車とファーストシートの違いは、
  椅子がゆったりしているかどうかです。ノートも同じです。
  ギューギューに書いている人は、満員電車の人生を
  選んでいるのです。ファーストクラスとビジネスとエコノミーでは、
  ゆったり度が違います。 “ゆったり” イコール “快適” 
  ということです。まわりとの余白があるのです。
  ファーストクラスが早く着くわけではありません。」

本書で、タイトルにある「ファーストクラス」と「ノート」の
関係について触れられているのは、わずかにこれだけ。

本書は、ノートを書くための72個のTipsをまとめた本。

正直、「ノート取り方」というタイトルでは、
あまりキャッチーではないので、無理やり「ファーストクラス」を
入れた感じがします。

中谷彰宏さんは、920冊以上の本を執筆しています。

なぜ、そんなにたくさんの本を書いて、ネタがなくならないのか?

その秘密は、「ノートの習慣」があるからです。

  「僕はノートおたくです。出ている本は、すべて僕のノートです。
  僕の中では、本でも下書きでもありません。
  ノートが本になっているだけです。
  アイディアが出たらノートに書くのではありません。
  ノートに書くことによって、アイディアが生まれてくるのです。」

さすがに、中谷さんぐらいのペースで本を書いていると、
それは特別なことではなく、習慣化された生活の一部なのでしょう。

その素になっているのが、ノートを書くことなのです。

気づきがあってノートに記録しておくこともあると思いますが、
ノートに書くことによって、よりたくさんのことに気づける
ようになったのでしょう。

  プロローグ ノートを書くと、面白いことに出会える。
  第1章 できる人はノートをとるのが速い。
  第2章 心のブロックをはずす。
  第3章 アイディアの種が尽きない書き方
  第4章 自分のオリジナルをつくろう。
  第5章 書きやすさ、見やすさを工夫する。
  第6章 成果の上る人のノートはココが違う。
  第7章 ノートから行動を起こそう。
  エピローグ ノートでアイディアが湧いてくる。

中谷さんのノート術のポイントは、心のブロックを外し、
かまえずに何でもノートに書いてしまうこと。

自由にノートを書くためには、ヘタでも絵を描く。

ノートにどれだけ恥ずかしいことが書けるかが、
そのノートが生まれ変われるかの境目になるようです。

確かに、「こんなことを書いているのを見られたら」と
思った瞬間に、発想が止まってしまうのはよくわかります。

本書は、ノートの取り方がわからない人や、
取ったノートが置きっぱなしになっている人には、
参考になるヒントが紹介されています。

ただし、中谷さんの気づきベースで書かれているので、
あまり体系化されたノート術にはなっていません。

もう少し体系化されたアイディア発想のためのノート術なら、
岡田斗司夫さんの『あなたを天才にするスマートノート』が
オススメです。

この本から何を活かすか?

  「1文字目をきれいに書くと、全部がきれいになる。」

私は、自分のノートに書いた字が、あまりにも汚くて
あとで見るのが嫌になることがあります。

中谷さんは、心を落ち着かせて、最初の1文字をキレイに書くと、
ページ全体がキレイになると説明しています。

今日から、やってみます。

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| ノウハウ本 | 05:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書

マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書
(2013/04/27)
大嶋 祥誉

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満足度★★★
付箋数:17

世界最強の経営コンサルティングファームと称される、
「マッキンゼー・アンド・カンパニー」。

しかし、マッキンゼー社員の平均的な在籍期間は、
わずか3~5年と言われています。

それは、「Up or Out」、バリューを出し続けて昇進するか、
出て行くかという、厳しい競争原理が働いているからです。

ビジネスの世界では、マッキンゼーをOutした卒業生が
数多く活躍していますが、その中でパートナーやディレクター
クラスまで昇進して辞めた方は、それほど多くないようです。

更に同社を「定年退職」した方は、もっと少なく、
私は有名どころでは大前研一さんしか知りません。

ちなみに、以前、大前さんは「年齢+勤続年数=75歳」で
定年退職できるルールを作り、自らがその最初の適用者だったと
語っていました。

さて、わずか3~5年しかマッキンゼーに在籍しなかった卒業生が、
なぜ、さまざまな分野で、めざましい活躍ができるのでしょうか?

「元マッキンゼー」という強力なブランド力があるのも
その理由の一つでしょう。

しかし、本書の著者、大嶋祥誉さんは次のように語ります。

  「その秘密のひとつが、じつはマッキンゼー(特に日本支社)が
  独自に築き上げた “新人研修プログラム” で学ぶ
  仕事術にあるのです。」

つまり、マッキンゼーでは新人研修を終了すれば、
どんな課題を与えられても、自分で答を見つけるスキルが
身についているので、どこへ行っても通用すると言うのです。

マッキンゼーの新人研修は、軍隊のBoot Campのようなもので、
問題解決のスキルを徹底して叩きこまれるそうです。

大嶋さんは、このトレーニングは、マッキンゼーの新入社員にしか
使えないものではなく、もっと多くのビジネスパーソンに
秘密道具として、使ってもらいたいという思いから
本書を執筆しました。

  第1講義 マッキンゼー流 プロフェッショナルの流儀
  第2講義 マッキンゼー流 問題解決の基本プロセス
  特別講義 マッキンゼー流 フレームワーク入門キット
  第3講義 マッキンゼー流 情報の取扱い方
  第4講義 マッキンゼー流 問題解決力を高める思考術
  第5講義 マッキンゼー流 自分力の高め方
  第6講義 マッキンゼー流 プロジェクトで結果を出す力
  第7講義 マッキンゼー流 プレゼンの技術

本書で、マッキンゼー新人研修の概要はわかります。

しかし、正直、大嶋さんの言うような「誌上Boot Camp」は、
それほど再現できているように思えませんでした。

本書は、あまりマッキンゼーということに過剰な期待をせずに、
問題解決力を身につけるための基礎講座の本として
読んだ方がいいでしょう。

ちなみに、私は大嶋祥誉さんという名前を見て、
てっきり男性の方だと思っていましたが、
「さちよ」さんと読む女性の方でした。

この本から何を活かすか?

本書の最終章は、プレゼンについての講義でした。

スライドにもストーリーが必要で、そのロジックを
組み立てるのが「空・雨・傘」のロジック。

そして、プレゼン資料にまとまるためのフレームワークが、
「ピラミッドストラクチャー」。

ただし、本書にはスライド例がほとんど掲載されてませんので、
どんな完成形になるのかが、あまりイメージできません。

そこで、ネット上でマッキンゼー作成のプレゼン資料を
検索してみました。

見つかったのは、「経済財政諮問会議に向け、
マッキンゼーディレクターである本田桂子さんが作成した
プレゼンテーション資料
」です。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 13:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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なぜ、間違えたのか?

なぜ、間違えたのか?なぜ、間違えたのか?
(2013/09/10)
ロルフ・ドベリ

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満足度★★★★
付箋数:25

化粧品のコマーシャルには、美しいモデルが登場します。

消費者は、コマーシャルを見て、その化粧品を使うと、
自分もキレイになれるような幻想を抱きます。

しかし、その商品を使ったからといって、
誰もが美しいモデルになれるわけではありません。

モデルになる人は、たまたま美しく生まれ、
だからこそ化粧品のコマーシャルに採用されたのです。

つまり因果関係が逆。

このように、私たちは何かを選択するときに、
欲しい結果やなりたい状態だけを理由に選択してしまいます。

本書の著者、ロルフ・ドベリさんは友人である
ナシーム・ニコラス・タレブさんのエピソードを披露します。

タレブさんは、世界的ベストセラーになった
ブラック・スワン』の著者として有名な方。

タレブさんは、なかなか減らない体重を何とかしようと思い、
週に2回、地元のプールでトレーニングをすることにしました。

それは、水泳選手の肉体ががっしりとしていて、
なおかつエレガントなところに憧れを抱いたから。

タレブさんは、自分も水泳をすれば、スイマーズボディを
手に入れられると思って、プールに通いました。

しかし、しばらくプール通う内に、自分が思い込みのワナに
嵌っている事に気づきました。

  「プロの水泳選手の肉体が完璧な形をしているのは、
  とことんトレーニングを積んだからではなく、もともと体格が
  いいから泳ぎがうまくなったのである。逆だったのだ!」

発育期に行った水泳のトレーニングが、逆三角形の
スイマー体型を作るので、必ずしも、元々いい体格だった
とは言い切れません。

しかし、実際にプールに通っている人を見てみると、
意外とぽっちりしている人が多いのは、
この因果関係を逆にとらえる思考の落とし穴に
嵌っている人が多いからなのかもしれませんね。

ドベリさんは、これを「スイマーズボディ幻想のワナ」と呼びます。

本書は誰もが陥りやすい52個の「思考の落とし穴」を
軽快な語り口で綴ったもの。

ドイツで2012年の年間ベストセラー、ノンフィクション部門で
1位を獲得した話題作。

紹介されてるネタは、よく聞く心理学や認知バイスなどの
事例も多いですが、ユーモラスで小気味良い語り口は、
ベストセラーになるのも納得の内容です。

邦訳版では、日本用にイラストを差し替えることがよくありますが、
本書はドイツ人イラストレーター、ビルギット・ラングさんの
挿絵をそのまま使っています。

これが、本書の内容と相まって、かなりいい味を出しています。

この本から何を活かすか?

アメリカのネブラスカ州ベアトリスの小さな教会でのこと。

1950年3月1日、午後7時15分。
聖歌隊のメンバー15人は、この時間に集合することになっていました。

しかし、牧師一家は、妻が娘のワンピースにアイロンを
かけていて遅刻。

ある夫婦は、車のエンジンがかからず、時間に遅れました。

オルガン奏者は、いつもなら30分早く来ていたはずなのに、
その日はうたた寝をしてしまって、間に合いませんでした。

結局、メンバー15人の誰一人として、
予定の時間に教会にいませんでした。

7時25分、教会でガス爆発事故が起こり、建物は崩壊。

  「聖歌隊のメンバーは、自分たちが遅刻して、
  あの時刻に教会にいなかったのは神様のお告げと確信している。
  さて、本当に神の御手が働いたのだろうか、
  それともただの偶然だろうか?」

本書では、ありえないようなことが起こる事例についても、
「共時性の奇跡のワナ」として考察しています。

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| 経済・行動経済学 | 06:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ハーバードで学び、私が実践したビジネスプラン

ハーバードで学び、私が実践したビジネスプラン (PHPビジネス新書)ハーバードで学び、私が実践したビジネスプラン (PHPビジネス新書)
(2013/04/20)
岩瀬 大輔

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満足度★★★★
付箋数:25

本書は2010年11月に刊行された『132億円集めたビジネスプラン
を改題し、「新書版の序にかえて」という前書きを加えたもの。

私は旧版を読んでいなかったので、岩瀬大輔さんが
ライフネット生命を立ち上げていく過程を追体験できて
非常に面白かったですが、旧版を読んでいる人は、
そこまで新鮮な驚きを感じられないと思います。

ライフネット生命の起業のに向け、岩瀬さんと出口治明さんは
資金集めを行いました。

  「1年半で集めた金額、総額132億20万円。
  なぜこれだけのお金を、1年半という短期間で集めることが
  できたのでしょうか」

当時は、インターネットで生命保険を売ることが、
今ほど当たり前ではなかった時代です。

出資者に、億単位のお金を出してもよいと判断させたのは、
岩瀬さんと出口さんの作ったビジネスプランです。

  「 “ライフネット生命” の始まりは、出口がもっていた熱意に
  私自身が共鳴し、今まで学んできたロジックを用いて
  ビジネスプランをつくり上げたところが最初の一歩でした。
  人に熱意を伝えるための、そして実現可能性を伝えるための
   “ビジネスプラン” 。
  このプランこそが、人を巻き込み、人を引き寄せ、
  思いを現実のものへと動かす原動力になったのです。」

本書では、岩瀬さんが実際に手に携え、各企業で説明して回った
ビジネスプランが掲載されています。

事業を立ち上げるときに、どのような分析をどのような手順で
行えばよいか、それをどのようにまとめると人を説得できる資料に
なるのかが、手に取るようにわかります。

なにも岩瀬さんと出口さんのように、
ベンチャーを立ちあげなくても、社内で企画を通したり、
事業の分析を行う上でも参考になる本です。

個人的には、本書のペルソナマーケティングが参考になりました。

ペルソナマーケティングとは、ターゲット像を明確化した、
ペルソナと呼ばれる架空の個人情報を持つユーザーを設定し、
マーケティングを行う手法のこと。

データからペルソナの氏名、年齢、性別、職業、年収、
ライフスタイルなどを設定し、ターゲットを明らかにします。

ライフネット生命の作ったペルソナの名前は「ローラ」。

ロジカル(論理的)でラショナル(理性的)な顧客から
命名されたようです。

私は、ペルソナマーケティングに懐疑的でしたが、
本書で商品設計にどう活かすかが、よくわかりました。

この本から何を活かすか?

10/23、注文していた「Kindle Paperwhite ニューモデル」が
届きました。

ちなみに、「3G版」にしなかったのは、いつでもどこでも
本を買えてしまうので、歯止めが効かなくなるのを防ぐため。

噂通りに、e-inkスクリーンは読みやすく、
旧版のPaperwhiteよりページめくり速度も改善されたので、
ストレスを感じません。

Page Flip機能も一気にページが進めるので、ありがたい。

個人的に一番便利だったのは、ブックスタンドやブックストッパーを
使わなくても、そのページを開いた状態で置いておけること。

今まで、本を開いた状態にしておくことに
意外と苦労していたことに、あらためて気づきました。

ただし、実際にKindle本を買うかどうかは、
やはり価格設定だと実感しました。

本書の旧版『132億円集めたビジネスプラン』のKindle本は
952円(2013/10/24現在)。

改題した新書版のリアル本書は861円。

これだったら、Kindle本ではなく、新書版を買ってしまいます。

せめてKindle本の価格は、新書や文庫の価格より安くなくては、
買う気になれませんね。

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| アイディア・発想法・企画 | 06:20 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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考えながら走る

考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」― (ハヤカワ・ノンフィクション)考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」― (ハヤカワ・ノンフィクション)
(2013/10/16)
秋山ゆかり

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満足度★★★
付箋数:23

早川書房の岩崎さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「 “時代が悪い” という、自分ではどういようもない
  経験をしても、会社都合で突然解雇されても、
  26歳で年収1300万円の契約書にサインしてから約13年間。
  どこへ転職しようが年収1000万円以上をキープし続けた、
  私のノウハウやテクニックは、きっと読者の皆様の
  参考になるのではないかと思います。
  そして、できれば、私が経験したような迷路にはまりこみ、
  無意味な不安や、屈辱的な思いはしないで欲しいと願っています。」

インテル → ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)
→ SPAジャパン → GE → 日本IBM → 独立起業

華やかな経歴を築き、BCG以降は1000万円以上の年収を
ずっと得ていた秋山ゆかりさん。

順風満帆に見えるキャリアの裏には、実は多くの失敗があり、
悩み、不安に苛まれなから、悔しい思いもたくさんしてきました。

しかし、どんな苦境に陥っても更に上のステージへと
秋山さんが、キャリアを切り開き創ることができたのは、
「常に考え、アクションをとる」ことを続けたから。

  「本書では、日本でも海外でも、企業内で昇進を
  目指す場合でも、転職でも、独立でも、どこでも通用する
  力の身につけ方をご紹介します。」

本書は2004年7月に刊行されてベストセラーになった
秋山ゆかりさんの『ミリオネーゼの仕事術〈入門>』の続編。

前書は、秋山さんが31歳のときに著した本で、
腰かけ社員からBCGの経営コンサルタントとして
年収1000万円を超す会社員になった経過が描かれていました。

本書には、その後に転職した紆余曲折と、逆境の中でも
学び続け、キャリアを積み重ねる仕事術が披露されています。

  「あなたのキャリアは、生き延びやすいキャリアですか?」

生き延びやすいかどうかという観点で、自分のキャリアについて
考えたことがない人も多いかもしれません。

しかし、どの業界のどんな会社で経験を積むかによって、
人材市場において生き残る可能性が大きく違ってきます。

これは、退職勧奨を受けたり、解雇された経験を持ちながらも、
エンジニアからコンサルタント、そしてメーカーの事業開発など
キャリアを重ねた秋山さんが、常に考えてきたことです。

  ・自分の仕事は、海外に外注される可能性はないのか?
  ・子会社化されて、切り離される可能性はないのか?
  ・国内に市場はあるのか?
  ・グローバルに伸びる見込みがある市場か?

もし、生き延びる可能性が低いキャリアを歩みつつあるなら、
本書のタイトルの通り、「考えながら走る」必要がありますね。

そういえば、本書に似たタイトルの本として、
為末大さんの『走りながら考える』があります。

秋山さんは、考えることが前提で、同時に走るイメージですが、
為末さんは走ることが本職なので、
「走る」ことがタイトルの先にきているのでしょう。

秋山さんは現在、事業開発コンサルタントとして独立すると同時に、
ソプラノ歌手としても活躍中。

ソプラノ歌手の活動に関しては、
本書に詳しく書かれていませんが、
秋山さんは、常に「二面性」を持っていることが魅力です。

この本から何を活かすか?

  年間800冊以上の本を理解する方法

秋山さんは、誰でも簡単に年間800冊以上の本の内容を
理解する方法を本書で紹介しています。

それは、本のサマリーををまとめた月刊誌
TOPPOINT」を読む方法。

「TOPPOINT」は、毎月100冊前後の新刊の中から、
読む価値のある10冊を厳選し、1冊あたり4ページに要約して
掲載した雑誌です。

実際に読まなくても、中身がわかっていればイイという
割り切りも必要なのでしょう。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 07:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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シュワッガーのマーケット教室

シュワッガーのマーケット教室 ――なぜ人はダーツを投げるサルに投資の成績で勝てないのか (ウィザードブックシリーズ)シュワッガーのマーケット教室 ――なぜ人はダーツを投げるサルに投資の成績で勝てないのか (ウィザードブックシリーズ)
(2013/07/13)
ジャック・D・シュワッガー

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満足度★★★
付箋数:22

同じ戦略を取る2つのファンドがあります。
リスクの高いファンドは、どちらでしょうか?

  ファンドA 最大ドローダウンが25%
  ファンドB 最大ドローダウンが10%

ちなみに、ドローダウンとは、その直前の資金が最大に増えた
ピーク時と比較して、落ち込んだ場合の下落幅のこと。

一般的には、ファンドBの方が低リスクに思われがちですが、
実はそうとも限りません。

なぜななら、この質問には情報が不足しているからです。

ファンドAは7年間の運用実績で最大ドローダウンが25%、
ファンドBは3年間の運用実績で最大ドローダウンが10%でした。

この運用期間を加味すると、どちらのファンドの
リスクが高いのでしょうか?

この場合、そのまま比較しても、どちらのファンドの
リスクが高いかは判断できません。

  「比較するときには、期間を合わせなければ意味がない。
  この例のように、最大ドローダウンで比べるのなら、
  各ファンドの各々の運用開始日からではなく、
  遅いほうの開始日に合わせて測る必要がある。
  どの統計を見るときにも、この同じ指針が当てはまる。」

また、一般的にファンドの運用実績は短いよりも長いほうが
意味があると考えられています。

しかし、本書では「より長い運用実績のほうが
適切ではないことがある」と指摘されています。

なぜなら、運用実績が長くなればなるほど、
戦略やポートフォリオの運用責任者に大きな変化が起こる
可能性が高まるからです。

本書の著者は、ジャック・D・シュワッガーさん。

トレードの叡智を集めた名著『マーケットの魔術師』シリーズの
著者として有名な方です。

ただし、同シリーズでは、主役はシュワッガーさんではなく、
高いトレード実績を上げたマーケットの魔術師たちです。

シュワッガーさんは、魔術師たちの知恵を引き出す
インタビュアーに徹しているので、自身のノウハウは
あまり開示していません。

シュワッガーさんの本業は、インタビュアーではなく、
ファンド・オブ・ヘッジファンズのマネージャーです。

本書は、その運用を通じて学んだ知見をまとめたもの。

  「本書では、資産選択、リスク管理、パフォーマンス測定、
  ポートフォリオの資産配分を含めて、投資プロセスの
  さまざまな面で使われてきた従来の考えに異議を唱えるつもりだ。」

シュワッガーさんは、本書で55個の「投資における誤解」を
指摘し、その現実と正しく対処するための投資の知恵を披露します。

運用資産7億ドルを上回るゴッサム・アセット・マネジメントの
共同最高投資責任者で、『グリーンブラット投資法』や
株デビューする前に知っておくべき「魔法の公式」』などの
著者として知られるジョエル・グリーンブラットさんも
「もっと早くこの本を書いていてくれたら」と本書を絶賛。

ただし、本書は個別のトレード手法やノウハウを教える本ではなく、
マーケットについての見識を深めるための本です。

具体的には、ヘッジファンド投資を考えている場合に役立ちます。

この本から何を活かすか?

次に挙げる項目のうち、正しいのはどれでしょうか?

  1. 一般投資家は金融の専門家たちの推奨に従えば、利益を得られる。
  2. 市場に打ち勝つことはできない。
  3. 市場のパフォーマンスが良くなっているときに、株式投資すべきだ。
  4. ボラティリティが高ければ、リスクも高い。
  5. ヘッジファンドへの投資は非常に高いリターンが得られる
    可能性がある一方、リスクが高い投資である。
  6. レバレッジを引き上げるとリスクが高くなる。

ここに挙げた項目は、すべて「投資における誤解」として、
シュワッガーが本書でとりあげたもの。

つまり、すべて間違っているとうことです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 投資 | 06:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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燃える闘魂

燃える闘魂燃える闘魂
(2013/09/04)
稲盛 和夫

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満足度★★★★★
付箋数:24

あなたは、日本の現状にどの程度の危機感を持っていますか?
そして、その現状を打破するために、何をしていますか?

このままじゃマズイと感じている人でも、毎日の生活が忙しく、
実際に行動を起こしている人は、少ないのではないでしょうか。

私は、稲盛和夫さんの次の言葉を読んで、ハッとしました。

  「わたしには、日本航空の倒産といまの日本経済の状況とが
  二重写しに見える。それは、日本航空の会長として正式に着任し、
  日本航空で働くことになったときに最初に感じた、社内の
   “倒産した” という実感のない、どこか人任せの雰囲気である。」

稲盛さんが、JALに行って最初に行ったことは、
社員に「日本航空は倒産した」という現実を
認識してもらうことでした。

そして、そこから社員の心のあり方を、「負けてたまるか」という
自力で這い上がる闘争心に切り替えていきました。

  「いまの日本に必要なのは、この “負けてたまるか” という
  強い思い、いわば “燃える闘魂” である。
  戦後の経営者たちはみんな、 “なにくそ、負けてたまるか” と
  闘魂を燃やし、互いに競い合い、切磋琢磨しながら、
  日本経済を活性化してきた。」

稲盛さんが、今、日本に最も必要だと感じているのは、
本書のタイトルにもなっている「燃える闘魂」です。

「燃える闘魂」と言えば、アントニオ猪木さんの
キャッチフレーズで思い出しますが、
これは「稲盛経営12ヶ条」の8ヶ条目に入っている言葉。

稲盛さんの唱える「燃える闘魂」も格闘技ぐらいの
闘争心が必要だと述べられています。

ビジネスにおいても「燃える闘魂」は企業間競争に打ち勝ち、
這い上がっていくための、強力な推進力なのです。

しかし、アントニオ猪木さんと、稲盛さんが唱える
「燃える闘魂」では、次の点で大きく違います。

それは、稲盛さんの「燃える闘魂」の根底には、
高邁な精神があり、「徳」をもって制御している点です。

「燃える闘魂」には、高い精神エネルギーを持つ分、
一歩間違えば、組織や社会までも破壊させてしまう危険性も
同時に持っています。

ですから、「燃える闘魂」で暴走しないためにも
「徳」を持った経営が必要なのです。

日本航空は、稲盛さんが会長として着任してから、
わずか3年で高収益企業に生まれ変わり、再上場を果たしました。

それこそが、今後の日本がたとるべき道。

本書は、毎日新聞創刊140周年記念のフォーラムで、
2012年2月に稲盛さんが行った講演、
「日本の経済社会の再生と国家のあり方」がきっかけで、
執筆することになった4年ぶりの書き下ろしです。

稲盛経営の集大成であると共に、稲盛さん自身が
「燃える闘魂」を持ち、日本再生を訴える渾身の書。

大ベストセラー『生き方』の内容と重複する部分はありますが、
本書は、それに負けないくらいの名著です。

この本から何を活かすか?

  ジャック・ウェルチさんを負かした男

ジャック・ウェルチさんと言えば、元GE社のCEOで、
「伝説の経営者」と呼ばれる20世紀を代表する名経営者。

事業でシェア1位か2位以外のビジネスは撤退する
「集中と選択」の事業戦略が有名でした。

そのウェルチさんが、稲盛さんに会った時に苦笑しながら
言ったそうです。

  「わたしも間違いを犯してきました。稲盛名誉会長のお顔を
  拝見すると、セラミックビジネスで競争したときに、
  われわれが小さなハエのように追い払われてしまったことを
  思い出します。」

稲盛さんは、「燃える闘魂」で伝説の経営者をも
負かした男なのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 仕事論 | 06:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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速読暗記勉強法

速読暗記勉強法速読暗記勉強法
(2013/09/20)
牛山 恭範

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満足度★★★★
付箋数:23

日本実業出版社、細野さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「まずは速読が魔法のようなものだと思っていたら、
  その期待を自分で壊してください。」

本書は、速読の本でありながら、速読に過剰な期待を
しないところからスタートします。

実際に、本書は「速読の本」というよりも、
「総合的な読書スキル」を身に付けるための本と
言った方がいいかもしれません。

  「速読によって、あなたの考える力や、理解する力、
  合格する力や、頭の良さを引き上げるが本書です。
  いままでの速読ではできなかったことを、 “暗記速読” と
   “理解速読” によって、実現する手助けをします。」

本書で牛山恭範さんが解説するのは、2つの読書スキルです。

1つは、読んだ内容を暗記することに重点を置いた「暗記速読」。
もう1つは、読んだ内容を理解することを重視した「理解速読」。

もともと、速読にはたくさんの情報を早く
処理することができても、理解力が失われてしまうという
デメリットがありました。

また、期待して速読を始めるものの、習得も難しいので、
途中で挫折してしまう人も多い技術でした。

これら従来の速読の弱点を、他の読書スキルで補ったものが、
本書で説明される「暗記速読」と「理解速読」なのです。

実際に速読トレーニングでよく見かける、「目の使い方」の説明に
割かれたページは、本書では20ページ程しかありません。

これは、本書の読書スキルが「速読」を使わなくても、
一定の成果を上げることが可能であることを意味します。

「暗記速読」は、「暗記は時間ではなく、回数で決まる」
という考えに基づいています。

速読で、早く読めるので、回数を多くこなすことができます。

そして復習に有効なクラウド型のツールを活用して、
短時間・多回数の復習で、記憶への定着を図ります。

「理解速読」は、「文章の論理構造を把握する」ことを重視し、
それに速読技術を組合せます。

牛山さんは、文章を理解できない原因を7つに分解しました。

  1. そもそもの言葉がわからない
  2. 背景知識が希薄
  3. 文章の細部に気を取られすぎて迷子になる
  4. 読んでいる部分の重要度がわからない
  5. 論理がどのように組まれているかの知識がない
  6. 論理的な文章を読む力がない
  7. 論理の性質に疎い

この内、3~7を解決するのが「理解速度」なのです。

牛山さんは、小論文の受験指導もしていますから、
理解速読には、そのノウハウも組み込まれています。

  「本書は少し変わった速読本です。
  問題解決の手法を使っています。」

牛山さんは、昨日の記事で紹介した大前研一さん
問題解決手法を学んでいるようです。

そのプロブレム・ソルビング・アプローチを使って、
従来の速読の問題点を解決し、「暗記したい」、「理解したい」
という、目的にあった読書スキルを提供してくれます。

この本から何を活かすか?

牛山さんは、自身で開発したクラウド型のノート
構造ノート」を無料で提供しています。

これは文章や資料を、論理構造にそって整理しする
WEB上のメモツールです。

読書メモでも使えるかどうか、試してみようと思います。

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| 読書法・速読術 | 07:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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稼ぐ力

稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方
(2013/09/05)
大前 研一

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満足度★★★
付箋数:24

  「市場はシュリンク(縮小)し、会社の業績は上がらず、
  これまで通りの働き方では、同じ給料を稼げなくなっている。
  しかし、 “仕事がなくなる” 時代は “全く新しい仕事を生み出す”
  チャンスでもある。いかに “自立” して稼げるか―
  それが今、問われている。会社にしがみつくのではなく、
   “自立” して働くことができるようになれば、
  世界のどこでも生きていける。」

この会社にしがみつかなくても、「自立して稼ぐ力」が、
本書のタイトルでもあり、テーマでもあります。

しかし、本文内でこの「稼ぐ力」についての
直接的な言及はありません。

なぜなら、本書はこのテーマに則って書き下ろされたものではなく、
大前研一さんが雑誌に連載した記事をまとめたものだからです。

本書は、週刊ポストでの連載「ビジネス新大陸の歩き方」
(2012年~2013年分)と「SAPIO」(2013年4・5月号)に
掲載された記事をテーマごとに並べ替え、
書き下ろし原稿を加えたもの。

週刊誌への連載記事が中心ですから、その時話題のニュースを
切り口に、大前さんは現状分析と問題解決への提言を行っています。

そういった、1つ1つのトピックの背景にあることを
帰納法的に決めたのが「稼ぐ力」というテーマなのでしょう。

ですから、本書を読んで「稼ぐ力」の本質が見えてくるかは、
読者の洞察力にかかっているように感じます。

個別のトピックは相変わらず鋭い切り口で、
非常に面白いものばかりです。

私が気に入ったのは、「史上最強企業アップルの終わりの始まり」
というトピック。

大前さんは、アップルのピークは2012年だったと見ています。

そして、アップルとアマゾンの関係については、
次のように言及しています。

  「アマゾンは、自分は小売屋に徹してハードはアップルに
   “寄生” する道を選び、キンドルをiPadなどのアイコンの1つに
  してしまったのである。ユーザーはiPad上の無料キンドルで
  アマゾンのキンドルストアから電子書籍を購入しているわけで、
  これだとアップルにマージンが全く入らない。
  アップルはアプリの売価の30%をマージンとして取っているが、
   “無料×0.3=無料” だからである。
  つまり、アップルストアの優位性は “無料アプリ” によって
  簡単にアービトラージ(さや取り)されてしまうのだ。」

実際は、アマゾンも新しいキンドル端末をリリースしているので、
単純に寄生する道だけを選んだ訳ではありません。

しかし、大前さんが指摘するように、アップルの力を利用して
電子書籍を販売するアマゾンの販売戦略はしたたか。

個人的には、大前さんがこの記事を書いた当時から見ても、
更に激化する「タブレット戦争」の行く末をどう見ているのかを
知りたいところです。

また、「電力不足ニッポンを走るEVの暗すぎる未来」では、
EVは全くエコではないと指摘しています。

原発がなくなって、電気料金が昼夜一緒になったら、
EVの燃費は3倍に跳ね上がり、更に太陽光発電や風力発電の
固定価格買取制度で電気料金が上がることは確実なので、
4倍になる可能性も高いと、大前さんは見ています。

そうすると、EVのオーナーだけの問題ではなく、
オール電化住宅に住む方も、生活費の上昇が心配されますね。

この本から何を活かすか?

本書には、巻末に特別講義として、実用的なビジネス英語の
心得がまとめられていました。

私が参考になったのは、自分の見たことや考えたことを
英語で「実況中継」をする方法。

そして、「言えなかったこと」や「わからなかったこと」に絞って、
問題解決を行う学習法に切り替えるのが、最短距離のようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 仕事論 | 06:19 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?

世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?
(2013/08/07)
戸塚隆将

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満足度★★★
付箋数:20

国内の大学卒業後、新卒でゴールドマン・サックスへ入社。
その後、ハーバード・ビジネス・スクールへ私費留学。
帰国後は、マッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社。

投資銀行、ビジネス・スクール、経営コンサルタント、
それぞれの分野で「世界最高」と言われる場所で
キャリアを積んできた戸塚隆将さん。

  「本書では、私自身のゴールドマン、マッキンゼー、
  ハーバードでのキャリアを振り返り、共通する基本の考え方、
  価値観、仕事の流儀を思い起こしてみました。」

戸塚さんは、これらの企業や大学院に集まる
世界のエリートには、共通点があることに気づきました。

それは「基本に徹する」ということ。

ゴールドマン、マッキンゼー、ハーバードに共通する
基本とは、大きく分けて次の4つです。

  1. 人との「つながり」を大切にする
  2. 「自分磨き」を一生継続する
  3. 「日々の成果出し」に強くこだわる
  4. 「世界的な視野」を常に意識する

本書では、これらを6章、48項目に分けて説明していますが、
聞いたことのないような目新しいものは、ほとんどありません。

また、難易度においても1つ1つは、
それほど難しく感じないことがほとんでしょう。

それでは、なぜ、一般のビジネスパーソンと、
世界のエリートの差はつくのでしょうか?

それは、1つ1つの項目に対しての深さ、
徹底の度合いが違うからです。

よく単純な仕事として、コピーを頼まれても、
仕事のデキル人と、そうでない人の差がつくと言われます。

世界のエリートと呼ばれる人たちは、そんな些細な事でも
最高のパフォーマンスが得られるよう、常に考えて行動します。

そうした全ての積み重ねが、圧倒的な差になっていくのです。

本書には具体例として、「上司へのホウレンソウ」の
話が出てきます。

もちろん、上司に聞かれる前に先手必勝でホウレンソウします。

ただし、世界のエリートは、ここに念押し型の仮説思考を入れます。

  「私は○○と考えています。理由は△△です。
  この方向で進めてよろしいでしょうか?」

連絡して、報告して、相談をする3つのプロセスを
効率よく実現するために、まず、自分なりの仮設を立てて、
結論を導きます。

結論を先に言い、簡潔に理由を述べ、承認を求める。

ホウレンソウの仕方1つで、上司から得られる信頼に差がつき、
いずれ大きな仕事を任されるようになるのです。

本書の後半では、世界に打って出るキャリアを高めるために、
短期間での英語力の身につけ方や、英語での議論の仕方などが
説明されています。

そして、「あとがき」では戸塚さんが代表を務める会社が
提供する実践ビジネス英語力をつけるプログラム
CLUB900」がさらっと紹介されています。

ポジショントークではあるものの、押し付けがましくなく、
あくまで参考程度に紹介されていたので、好感が持てました。

この本から何を活かすか?

戸塚さんは、会議の時の発言内容を3つに分けています。

  A  知識集約型意見(ある知識に基づいた発言)
  B  アイディア集約型意見(ある新たなアイディアを提供する発言)
  C  論理整理型意見(論理を整理する発言)

外国人と英語で会議を行う場合は、Cの論理整理役として
貢献することがポイントのようです。

その時、活躍するのが「What if ?」による問いの投げかけ。

会議で使える「What if ?」のフレーズパターンを
いくつか持っておきたいところです。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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なぜ、システム開発は必ずモメるのか?

なぜ、システム開発は必ずモメるのか?  49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術
(2013/09/27)
細川 義洋

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付箋数:21

日本実業出版社、細野さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  彩音 「もう設計も終わる時期なのに、また要件からやり直し!
     そのうえ納期は全然延ばしてくれないなんて、
     お客さんひどくないですか?」
  
  塔子 「何言ってんよの。要件定義工程の完了時点で本当に
     要件定義が固まっているプロジェクトなんて、
     アタシを美人だと思わない男よりも少ないわ」

  彩音 「先輩、そのわけのわからない自信って一体どこから
     くるんですか? そんなことより、このままじゃ設計や
     プログラミングの期間がどんどん短くなって、
     アタシ達がどれだけ徹夜で頑張ってもモノなんてできませんよ」

これは、本書の登場人物の会話。

小さなソフトウェア開発会社に勤めるITエンジニア西園寺彩音が、
大学の先輩でIT訴訟を専門に扱う美人弁護士の有栖川塔子に、
何度も要件を変更してくるユーザのことを相談する場面です。

本書はストーリー形式で、システム開発に関する
トラブルの回避方法や解決方法を解説します。

著者の細川義洋さんは、ソフトハウスでIT技術者や
プロジェクトマネージャとしてシステム開発を担当した後、
コンサルティングファームで、ITに関するプロセスの
コンサルティングを行ってきました。

現在は、東京地方裁判所でIT事件担当の調停委員を務めています。

  ユーザ 「こんなシステムじゃ業務に使えない!」

  ベンダ 「言われた通りに作ったはずです」

こんなユーザとベンダのやり取りは、日常茶飯事。
一説では約7割が失敗すると言われるシステム開発プロジェクト。

本書では実際にあったIT紛争の事例と、細川さんが経験してきた
経験から、プロジェクトの管理方法を学びます。

  「(細川さんは)決して “あるべき姿” を追い求める学者や
  研究者ではなく、一介のフィールドプレーヤーです。
  ですから本書も、システム開発やそのプロジェクト管理の
  理想形を提示するような学術書として書いたつもりはありません。
  プロジェクトの各局面において “今できることは何か” 
   “どうすればもっとマシになるのか” を検討した、
  いわば “雑草の教科書” ともいうべきものです。」

本書は、ウォーターフォール方式開発を前提に
書かれていますが、個々のトラブルやその解決方法は、
他の開発方法でも参考にできます。

IT技術者、プロジェクトマネージャ、企業のIT担当やオペレータ、
IT法務・契約などの担当者、IT案件に携わる弁護士の方などを
対象に書かれた一冊。

次のような、そのまま使える実践的な資料も掲載されています。

  ・要件定義書のチェックリストと非要件定義項目の概要
  ・トレーサビリティマトリクスの例
  ・プロジェクト計画書と管理計画の記載項目例
  ・WBS(作業細分化構造)とアーンドバリュー・マネジメント
  ・設計書のチェックリスト
  ・ソースコードのチェックリスト
  ・開発用SLAの事例
  ・テスト計画書、テストケース・項目のチェックリスト
  ・ソフトウェア契約に盛り込むべき条文
  ・塔子のチェックリスト(開発プロセスレビュー)

この本から何を活かすか?

この記事には、私の満足度は表示していません。

なぜなら、私自身はシステム開発の門外漢だからです。

私は、過去にユーザとしてシステムを発注したことはありますが、
システム開発は、素人以前の未タッチの領域です。

ただし、そんな私が読んでも本書は、
ストーリー形式なので、全体の流れは分かります。

また、専門用語も登場する都度、説明が書かれているので、
ストレスなく読むことができました。

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| IT・ネット | 06:13 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい

貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい
(2013/08/13)
内藤 忍

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満足度★★★
付箋数:16

マネックス証券に在籍していた時代から、
一貫して長期分散投資を推奨してきた内藤忍さん。

長期分散投資についてまとめた、2005年刊行の
内藤忍の資産設計塾』は、12万部を超える
ベストセラーになっています。

そんな内藤さんは、本書の執筆動機を次のように記しています。

  「(資産設計塾を刊行してから)10年近く経っても
  基本的な手法にまったく変化はありませんが、
  例えば1000万円以上の資産運用をする人へはさらなる選択肢や
  可能性があることをお伝えしたいと思うようになりました。」

やはり、本書でも、アセットアロケーションを考えた
長期分散投資というスタイルに変わりはありません。

では、本書では新たにどのような「さらなる選択肢」が
示されているのでしょうか?

それは、ズバリ言って、リアルアセット投資としての
「海外不動産投資」と「ワイン投資」です。

本書で海外不動産投資の説明に割かれているのは約40ページ。
同様にワイン投資に割かれているのは約20ページ。

この本自体は全体で280ページですから、
かなりの割合で、この2つのリアルアセット投資について、
ページを割いて説明していることがわかります。

  「実際、私もワイン投資をワインファンドや個別ワインの
  銘柄購入を通じて実践しています。例えば、2009年に投資した
  ワインファンドは、満期を迎えるまでにまだ3年ほどの
  期間が残っていますが、4年間の累計リターンは約70%と
  なっています。また、個別ワインの銘柄投資は始めてから
  まだ数年ですが、すでに値上がりしています。
  こちらもまだしばらくは保有したままでさらなる値上がりを
  待っている段階です。」

そして、資産金額別運用ガイドの中でも、
資産1000万円の運用例には、ワイン投資に10%割り当て、
資産3000万円の運用例には、海外不動産投資に60%、
ワイン投資にも10%割り当てています。

更に、資産1億円の運用例では、リアルアセットへの
投資比率は、なんと90%にも達しています。

内藤さんとしては、過去の著書に比べて、
かなり勝負したポートフォリオを示していると思います。

個人的には、流動性リスクのあるワイン投資に、
資産1000万円の内、10%も投資するのは理解できません。

また、資産3000万円で海外不動産投資に60%も振り当てるのは、
相当な勝負で、もはや投資ではないようにも思えますね。

私が本書で気に入ったのは、次の信頼できるお金の専門家を
見分ける方法です。

  「例えば、ファイナンシャルプランナーだったら、
  その人自身の資産規模やどんな商品に投資しているか
  をざっくばらんに聞いてみましょう。個人情報だからと
  口を閉ざす人もいれば、率直に教えてくれる人もいるでしょう。
  どちらが信用できるかは明らかです。」

私もFPの資格を持っているのでわかりますが、
FP講座で習う程度の内容は、所詮は絵に描いた餅。

その専門家が本当に運用のノウハウをもっているかどうかは、
資格ではなく、本人の投資経験によるところだと思います。

この本から何を活かすか?

  「老後資金は、まず2000万円」

内藤さんは、年金だけでは足りない分を月8万円と仮定し、
年間で約100万円、20年分で「2000万円」を老後資金を貯める
最低必要な資産金額と説明しています。

なぜ、内藤さんクラスの方が、「資産を切り崩す」という
発想から抜け出せないのでしょうか?

私は、ストックを元に、フローを生む投資さえしていれば、
その半分程度の資金で、月8万円程度なら生み出せると思います。
(以前の試算はこちらの記事を参照)

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| 投資 | 06:22 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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僕がメディアで伝えたいこと

僕がメディアで伝えたいこと (講談社現代新書)僕がメディアで伝えたいこと (講談社現代新書)
(2013/09/18)
堀 潤

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満足度★★★
付箋数:17

  「NHKは早いスピードで新しいことに取り組む必要があると
  ずっと感じてきました。公共放送は徹底的に開かれるべきだし、
  各職員は視聴者と本音をぶつけ合いながら情報を共有すべきだと
  いう考えで頑張ってきました。しかし、僕がすることはすべて
  コンプライアンス違反だと見なされるような状況では
  精神的にもちません。僕は今日辞めますが、これからもNHKのために
  働いていくつもりです。公共放送が日本でうまく機能するよう、
  外から貢献していきたいと思います。いったん組織を離れますが、
  日本のメディアを、NHKをよくしたいという気持ちは
  今も変わりません。ご支援いただけたら幸いです。」

アナウンサーとして「ニュースウォッチ9」や「Bizスポ」などを
担当した堀潤さんは、この言葉をアナウンス室長に伝え、
2013年4月1日、12年間勤めたNHKを去りました。

それは、同僚や視聴者へ挨拶することもなく、
只々、ひっそとりとした、30分間の退職劇でした。

なぜ、堀さんはNHKを辞めることになったのでしょうか?

本書では、NHKで堀さんがやってきたこと、
そして、公共放送としてのメディアの限界を伝え、
次世代のメディアのあるべき姿を考えます。

  第1章 NHKで学んだこと
  第2章 僕がカメラに背を向けた理由
  第3章 果たせなかったメディアの責任
  第4章 僕がメディアで伝えたいこと

NHKの中でも、堀さんは、かなりの異端児だったようです。

アナウンサーという肩書やNHKの名前を出して
ブログを書くことは社内で禁じられていましたが、
2009年冬、堀さんはあえて実名を出して、
ツイッターを始めました。

その後、「Bizスポ」の公式アカウントとして認められるものの、
「僕らでこの国を変えよう」という堀さんのツイートに対し、
ある国会議員からクレームが来ます。

  「君は国家を転覆させようとしているのか。
  ツイッターをやめてもらいたい」

部長からツイッターの閉鎖を提案されても、
堀さんは辞めずに発信を続けます。

しかし、大きな官僚組織の壁は、堀さんの想像以上に厚く、
2012年1月末に、正式にツイッターアカウントの閉鎖命令が下ります。

「番組終了にともない、アカウントを閉鎖します」と
つぶやくように指示を受けます。

本当のところは、「政治家からの圧力に屈したから」なのに・・・。

2012年3月31日、堀さんは泣きたい思いで、
指示された文面通りにツイートしてアカウントを閉鎖します。

信頼を得ていたフォロアーを裏切る行為に、
いくら悔やんでも悔やみきれない思いが残りました。

本書を読むと、従来型のメディアの体質がよくわかり、
日本のメディアの問題点が見えてきますね。

堀さんはNHK退職後、投稿型ニュースサイト「8bitNews」を
立ち上げ、パブリック・アクセスの実現、
オープンジャーナリズムの実践を目指しています。

堀さんの力だけでは、NHKという大組織を変えることは
できませんでしたが、今後のメディアをのあり方に、
一石を投じる一冊になっています。

この本から何を活かすか?

8bitNewsが目指すパブリックアクセスとは?

  「市民が公共の資源や財産にアクセスする権利。
  テレビやラジオ局が使用している電波も公共の財産とみなされ、
  アメリカや韓国、ドイツでは法律などによって市民が
  テレビチャンネルや番組を運営する権利が保障されている。」

要するに、市民がケーブルテレビで番組をつくり
流すことができる仕組みのようです。

私は、今まで、あまり聞いたことのない言葉でした。

堀さんがもう一冊出している『僕らのニュースルーム革命』も
読んでみようと思います。

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| 社会・国家・国際情勢 | 14:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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科学歳時記 一日一話

科学歳時記 一日一話 (河出ブックス 60)科学歳時記 一日一話 (河出ブックス 60)
(2013/08/13)
小山 慶太

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満足度★★★
付箋数:18

本記事を投稿した日は、2013年「10月12日」です。

今日は何の日でしょうか?

サンタ・マリア号でスペインを出港したコロンブスは、
1492年「10月12日」、現在のバハマ諸島で発見した島に上陸し、
サン・サルバドルと命名しました。

10月12日は、新大陸が発見された日です。

  「当時、これほどの大航海には望遠鏡は必需品であるという
  強い思い込みからであろう、1903年、中米の島国
  セントキッツ・ネイビス(この島もコロンブスによって発見された)
  が発行した切手には、甲板で望遠鏡をのぞくコロンブスの姿が
  描かれている。
  しかし、この時代、望遠鏡はまだ発明されていない。(中略)
  切手に望遠鏡を描き入れることにより、構図としては
  おさまりがよくなるのであろうが、現代の常識で科学の歴史を
  ながめていけないという教訓になっている。」

本書は科学にまつわる幅広い話題を、「1日1話」の
ショート・ショート形式で綴った、科学の千夜一夜物語。

歳時記という名のとおり、1月1日から12月31日まで、
その日起こった科学史に残る出来事が、
短い365個のエピソードとしてまとめられています。

1日1エピソードずつ、その日起こったエピソードを読むも良し、
最初から最後まで一気に通して読むも良し。

物理・天文・化学から遺伝子工学や先端医療などの幅広い分野で、
人類が成し得てきた偉業の数々を楽しむことができます。

また、本書には、著者の小山慶太さんも恩恵を受けた側として
1月14日の歳時記に登場します。

  「1964年から20年間にわたり、多くの若い科学者に莫大な
  私財を投じ、名前を隠して奨学金を送り続けた2人の篤志家がいた。
  奨学金は酒代に使おうが、子供のミルク代にあてようが自由であった。
  何の報告の義務もなく、将来の進路も一切束縛されなかった。
  アルバイトに時間を取られることなく、研究に専念せよ
  というメッセージであった。若い科学者たちは “あしながおじさん”
  の正体を知らされることなく、研究に励んだのである。
  奨学財団は1983年、時代の役割を終えたとして解散した。
  そして翌年、 “あしながおじさん” はホンダの創業者、
  本田宗一郎と藤沢武夫であることが明らかにされた。
  そのとき、2人の援助を受けて成長した科学者たちは
   “あしながおじさん” に感謝の手紙を送り、お礼の会を催した
  (私もかつて、その恩恵に浴した人である)。
  本当にあった話である。」

この奨学金団体は作行会という名称で、1961年にホンダが
株式上場した際の利益を基に設立されました。

20年の間に、恩恵を受けた科学者は1700人以上。
作行会は、日本の科学振興に大きく貢献しました。

現在は、「YES奨励賞」としてその精神は受け継がれ、
ベトナム・インド・カンボジア・ラオスなど、
主にアジアの優秀な学生を対象に助成が行われています。

“あしながおじさん” はいなくなったのではなく、
もっと必要としている人のところへ行ったようです。

この本から何を活かすか?

本書の12月31日の欄で紹介されているのが、
物理学者の寺田寅彦さん。

「天災は忘れた頃にやってくる」は、
寺田さんの言葉と言われています。

寺田さんの、高校時代の英語教師は夏目漱石さんでした。

寺田さんは物理学の研究を続ける一方で、
随筆家としては、夏目漱石さんに師事しました。

『吾輩は猫である』の水島寒月や、『三四郎』の野々宮宗八の
モデルは寺田さんだったとか。

小山さんは別に、寺田さんを主人公にした本も
書いてるので、こちらも読んでみたいですね。
寺田寅彦 - 漱石、レイリー卿と和魂洋才の物理学

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| 科学・生活 | 09:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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しなやかな仕事術

しなやかな仕事術 (PHP新書)しなやかな仕事術 (PHP新書)
(2013/06/15)
林 文子

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満足度★★★
付箋数:20

横浜市長、林文子さんの業績として注目されるのは、
やはり「待機児童ゼロ」でしょう。

2009年に林さんが市長に就任した時点で、
横浜市の待機児童は1552人で全国ワースト1位でした。

当然、周囲からは「そんなの無理」、「できっこない」という
反応が多かったそうです。

しかし、名だたる企業の経営者として、
できないことを可能にしてきた林さんにとっては、
「待機児童ゼロ」もまた、困難ではあるけれど、
実現可能なミッションだったのです。

待機児童を減らすには、保育所を増やす必要があります。

けれど、保育所を増やすと、そこに入所希望者が殺到し、
更に待機児童が増えるという悪循環がありました。

林さんが、このスパイラルを断ち切るために見直したのが、
「そもそも、いまある保育所は、本当にお母さんたちの
ニーズに合っているのか?」という点でした。

実際に調べてみると、入所希望者のお母さんの過半数は
パートやアルバイト勤めで、1日3時間程度の預かりや、
週に2~3日の預かりの希望でした。

一方、横浜市の保育所は、フルタイムで共働きする家庭を
利用者の中心と考えていたので、「1日4時間以上、月16日以上」
などの条件がありました。

こうしたミスマッチをすべて洗い出し、林さんは
ニーズに合ったマッチングを1つ1つ積み重ねていきます。

林さんが、「待機児童ゼロ」を公約にあげた当初、
新しくプロジェクトの担当になった市の職員は、
「自分たちがしたことじゃないから、仕方がない」
という気持ちが強かったそうです。

林さんが、「(待機になっている)1552人の方々が、
いまどうしていらっしゃるか、把握しているんですか?」
と尋ねても、みな困惑し、顔を見合わせるばかり。

  「えっ、どうして把握しないの?」

  「いえ、あの。入れなくて困っている方に連絡したら、
  怒らせてしまうのではないかと思いまして・・・・」

ビジネスの世界で、迷惑をかけたお客さまへのアフターケアを
徹底していた林さんにとっては、このお役所的な職員の反応は
かなりのカルチャーショックだったようです。

市の職員にしてみれば、問題意識はあっても、
それは待機児童1552人という数字であって、
市民という「お客さま」の認識ではなかったのでしょう。

その後、横浜市では、1人1人のミスマッチを解消し、
2013年4月、ついに待機児童ゼロを実現します。

この結果に対して、数字のマジックだという批判もありますが、
数字として見える結果を出すことも、経営者として経験豊富な、
林さんの力量の1つなのだと思います。

本書は、セールスパーソン、経営者を経て横浜市長になった
林さんの仕事術を紹介した本です。

ノウハウのような仕事術ではなく、人との接し方や
振る舞い方などを中心に、林さんの考え方が紹介されています。

この本から何を活かすか?

オリンピック招致のプレゼンで、滝川クリステルさんの
「お・も・て・な・し」が話題になりましたが、
本書では、林さんが自動車会社のショールームで
働いていた時の「おもてなし」が紹介されていました。

  「お客様の姿が外に見えた時点で、もう頭を下げていたものです。
  ショールームの自動ドアが開く前に表に飛び出し、
  満面の笑みでお迎えするのです。そして、お疲れのご様子なら、
  すぐにソファに座っていただく。暑い夏にお越しのお客さまには、
  冷たい麦茶を差し上げる・・・・と、至れり尽くせりの
  おもてなしに徹します。」

ここまでされたら、感動して車も買ってしまうかもしれまん。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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21世紀の英会話

21世紀の英会話21世紀の英会話
(2013/08/29)
高城 剛

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満足度★★★
付箋数:22

成毛眞さんに『日本人の9割に英語はいらない』と言われようと、
やはりこれからの時代、英語はできるに越したことはありません。

そもそも、なぜ成毛さんが英語はいらないと言ったかというと、
それは費用対効果が低いから。

多くの日本人にとって英語を話せるようになることは、
時間とお金がかかるのに、実際に使う機会が少ないからです。

しかし、成毛さんが英語不要論を唱えてから、
わずか2年ですが、確実にその前提条件が変わってきています。

1つは、英語を使う機会が確実に増えつつあること。

世界を相手にビジネスをする会社も増え、プライベートでも
東京オリンピックの開催が決まるなど、英語を使う機会は
少しずつですが、今後増えていくことは間違いありません。

そしてもう1つは、以前に比べてお金がかからなくなったこと。

「オンライン英会話」の登場により、
劇的に英会話の学習コストは下がりました。

本書は高城剛さんが、自腹で体験した「オンライン英会話」と
「フィリピン留学」のガイド本です。

日本人は英語ができないとよく言われますが、
その原因は「話す」ことに費やす時間が少ないからです。

英語を話せるようになるには、
1対1で英会話を習う時間を増やすことが理想的。

このマンツーマンのプライベートレッスンを受けるには、
今までは、かなりの費用がかかりました。

しかし、フィリピン人講師を使った「オンライン英会話」では、
1レッスンの費用はわずかコーヒー1杯分です。

ただし、「オンライン英会話」は、新しいスクールも乱立し、
玉石混交の状態で、選択肢があり過ぎて、
どこを選べばわかりにくい状態にあります。

しかも、ネット上のオンライン英会話比較サイトでは、
アフィリエイト目的やスクール自体が作っているサイトもあり、
すべての情報を鵜呑みすることはできません。

ですから、オンライン英会話を試してみたい人には、
本書の高城さんの体験レポートは、非常に参考になります。

  第1章 日本の英語教育と日本人の英語力の残酷な真実
  第2章 英語教育のパイオニア・韓国を追い越せ
  第3章 英語の基礎を作る「オンライン英会話」のススメ
  第4章 英語力を最短で伸ばす「フィリピン留学」のススメ
  付録 チーム高城が現地で完全調査
     「セブ島の英会話学校評価ランキング」
     (オンライン編・現地留学編)

個人的には、英語学習に関する高城さんの考えに
全面的に賛成です。

オンライン英会話でスクールや講師を選ぶポイントも
参考になりましたが、私は今まで考えていなかった
フィリピン留学の方に興味が出てきました。

この本から何を活かすか?

私は、2013年8月からオンライン英会話を始めていたので、
良いタイミングで高城さんの本を読めました。

ちなみに、オンライン英会話をやっていることを
私は次のように表現しています。

「毎日お金を払って、若いフィリピン人女性と話している」

さて、実際のオンライン英会話のレッスンですが、
講師の質にバラつきはあるものの、レッスン自体は快適。

もっと早く始めれば良かったと思います。

ただし、ここでは私がレッスンを受けるスクールの
紹介はしません。

なぜなら、そのスクールで受講する人が増えると、
私自身の予約が取りにくくなるからです。

個人的にオンライン英会話スクールは、潰れない程度に
そこその運営ができているところがいいような気がします。

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| 勉強法 | 06:28 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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ハーバード流 自分の限界を超える思考法

ハーバード流 自分の限界を超える思考法ハーバード流 自分の限界を超える思考法
(2013/05/07)
マリオ・アロンソ・ブッチ

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満足度★★★
付箋数:18

合気道の熟練者、4段で黒帯のアメリカ人が
日本に滞在した時のエピソード。

  そのアメリカ人が、東京近郊で電車に乗っていた時に、
  薄汚れた身なりの大男が、わめきながら車両に乗り込んできました。

  大男はかなり酔っ払っていて、近くの乗客から
  新聞をひったくるなど、やりたい放題で迷惑をかけていました。

  合気道でかなりの腕前のアメリカ人は、
  この乱暴者に教訓を教えてやろうと身がまえました。

  すると大男は自分に向けられた視線に気づき、
  「アメリカ人のクズ野郎!何をじろじろ見てやがんだよ」
  とがなり立てながら、アメリカ人の方に近づいてきました。

  その時、隣の車両からやってきた小柄な老人が2人の間に入りました。

  老人は乱暴者の大男に近づき、両手を広げて言いました。

  「あんた、飲んでるだろう。私も酒は大好きだよ」

  不意を打たれた大男は、何と返せばいいのかわかりません。

  「こっちの車両へ来なさい。おしゃべりをしようじゃないか」

  アメリカ人は興味津々で、こっそり成行を見届けようとしました。

  「いったいどうしたんだね? 何をそんなにカッカしているんだ」

  老人が敬意と親愛の情を示すと、大男も心を開きます。

  「1週間前に失業しちまってさ。女房も死んじまったし、
  どこへ行ったらいいのか、何をしたらいいのかわからないんだ」

  男は老人の腕の中ですすり泣きを始め、老人は男の髪をなでました。

  「今日はうちへ来なさい。ふたりでうちのブランコにすわって、
  親友どうしみたいに話そうじゃないか」

  その瞬間、アメリカ人は自分の無力さを感じ、
  真の達人とはどういうものかを悟りました。

  真の達人とは、愛の通り道の邪魔をしない強さを持った人なのだと。

  実はこの老人、日本の合気道の重鎮の1人だったそうです。

さて、このようなエピソードが紹介されている本書は、
スペインでベストセラーになった自己啓発書。

タイトルに「ハーバード」と「思考法」とあるので、
米国発のビジネス書で、アイディアの発想法などを解説する
本のような印象を与えますが、中身は違います。

著者のマリオ・アロンソ・ブッチさんはハーバード大学
メディカルスクールの特別研究員で、以前にも
ハーバード流 自分の潜在能力を発揮させる技術』という
似たようなテイストの本を出しています。

本書は全4部構成。

エピソードや寓話なども交え、以下の内容を解説します。

  第1部 想像力と集中力を自分に有利にする方法
  第2部 自分の心の持ちようを鬱々とした状態から、
      最大限に力を発揮できる状態へと変える方法
  第3部 自分の内なる対話への対処法
  第4部 困難や失敗、挫折にめげずに前進をつづける方法

ノウハウを直接伝える本ではありません。

数々のエピソードが少しずつ心に染みこんで、
自分の中に潜む知恵・創造性・善意に気づく
きっかけをつくるタイプの本です。

この本から何を活かすか?

  「内なる自由こそは、そして古いシナリオから抜け出して
  みずからの運命に責任をもつ能力こそは、
  本書のバックボーンを成すテーマである」

自分の意識を目覚めさせると、それまでとは違う現実が見え、
自分の全パワーを発揮して物事に影響を及ぼし、
大きく変貌ができるとブッチさんは説明します。

ただし、どうしたら自分の意識を目覚めさせることが
できるのか、その方法については本書で言及されていません。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 06:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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一流の想像力

一流の想像力 (PHPビジネス新書)一流の想像力 (PHPビジネス新書)
(2013/05/19)
高野 登

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満足度★★★
付箋数:24

  「今、中近東をはじめとするイスラム圏内では、
  日本製ではなく、韓国の大手家電企業のテレビが
  売れているそうです。なぜだと思いますか?」

パッと思いつくのは、価格が安いからという
理由かもしれませんが、違います。

日本のメーカーと、韓国のメーカーで違ったのは「想像力」。

日本企業が作ったテレビは、自分たちの技術力を活かした
品質の高い製品でした。

一方、韓国企業は、使う人の立場になって、
高度な技術を必要としない、ある工夫をしました。

それは、どんな仕組みなのでしょうか?

ここで、イスラム圏の人たちの生活を想像してみてください。

イスラムの人たちは、一日の中で、
私たち日本人がやらないことを、何度か行います。

それは、お祈り。

彼らは、一日5回、決まった時間になったら、
メッカに向かって祈りを捧げます。

ですからイスラム圏で売られている韓国製のテレビは、
「一日5回、お祈りの時間になるとコーランが流れる」
仕組みになっているのです。

イスラム圏の人にとっても、テレビは大きな娯楽ですから、
楽しく番組を見ていて、ついお祈りの時間を過ぎてしまうことも
あるかもしれません。

お祈りを忘れるのは、神への背徳行為ですから、
後ろめたい気持ちになってしまうでしょう。

そうならないよう、使う人の立場を想像して付けたのが、
自動的にコーランが流れる機能なのです。

本書は、「想像力」の大切さを認識させてくれる本。

著者は、リッツ・カールトン元日本支社長の高野登さんです。

高野さんは、結果を出しながら楽しく生きている人と、
そうでない人の差は、想像力にあると考えます。

想像力は普段から使っていないと、
イザという時だけ働くものではありません。

想像力の筋トレをしていない人は、せっかくのチャンスを
生かすことができなかったり、想像力が欠如しているばかりに
大きな問題を引き起こしてしまうことさえあるのです。

  ・デート中の、レストランのグラスに髪の毛が入っていたら?

  ・一番高いステーキ屋の予約をたのまれたら?

  ・あなたがウェイターを勤める深夜営業のレストランに、
   強面の親分が、10人ぐらいの子分を引き連れてやってきて、
   「肉だ。肉、持ってこい」と言われたら?

本書には、実際に高野さんが経験した、
想像力を磨く練習になるケースが数多く紹介されています。

想像力があれば、分析と洞察の先にある無限の答えに
辿り着くことができるのです。

この本から何を活かすか?

リッツ・カールトンは、ホテルカンパニーではない?

高野さんは、もし想像力がなければ、
リッツ・カールトンは創業さえできなかったと言います。

創業時に、初代社長のホルスト・シュルツィさんはじめ
6人のコアメンバーがアトランタに集まり、
「新しいホテルカンパニーを立ち上げる意味」について
話し合いました。

当時、ハイアットやヒルトン、マリオットなどの
ホテルカンパニーが既にあったため、出た結論は、
「新しいホテルカンパニーを立ち上げる意味はない」
というものでした。

しかし、ここからが想像力を働かせるとろです。

シュルツィさんらは、「我々はホテルカンパニーではない」
という共通認識を持ち、「価値を創造するブランド」として
リッツを立ち上げたのです。

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| アイディア・発想法・企画 | 06:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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エピゲノムと生命

エピゲノムと生命 (ブルーバックス)エピゲノムと生命 (ブルーバックス)
(2013/08/21)
太田 邦史

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満足度★★★★
付箋数:23

現代のクローン技術では、同じDNAを持つ「クローン猫」を
作ることができます。

実際に米国には、ペットのクローンを作る
バイオベンチャー企業がありました。

しかし、「三毛猫」のクローンを作っても、
同じ体毛のパターンの三毛猫にはなりません。

三毛のパターンが同じにならないどころか、
ニ毛猫になってしまう場合があります。

なぜ、同じDNAを持つクローン猫なのに、
同じ体毛パターンの三毛猫にならないのでしょうか?

それは、DNA以外に遺伝を決める要素があるからです。

本書のテーマは、「エピジェネティクス」。

DNAの情報(塩基配列)は変わらないのに、細胞の性質が変化し、
記憶・継承されるという概念です。

それは、中身が同じでも着ているものを変えれば、
その人の性格にも違いが出てくるようなもの。

  「実は我々の体の設計図であるDNAは裸ではありません。
  ヒストンという円盤状のタンパク質がDNAに数珠状に結合し、
  これが階層的に集合して、クロマチン構造や染色体構造と
  呼ばれる服を着たような状態になっています。」

この服を変えることで、裸のDNAしか持たない場合に比べ、
複雑な遺伝情報を伝えることができ、服を変えることで、
いろいろなDNAの使い方ができるようになります。

ちなみに、三毛は基本的に「メス」だけに
現れる体毛のパターンです。

なぜなら、それは「X染色体の不活性化」という
エピジェネティクな現象によって生まれるからです。

基本的にメスだけと言うのは、基本以外もあるということ。

オス猫でも3万匹に1匹くらいの割合で、
X染色体を2つと、Y染色体を1つ持つ猫がいて、その場合、
X染色体の不活性化が起こり、三毛になるそうです。

だからオスの三毛猫は貴重で、高価で取引され、
船乗りのお守りとして用いられることもあったとか。

なお、ヒトの場合、X染色体が1本多くなると、
女性っぽい感じになり、この染色体の異常を
「クラインフェルター症候群」と言うそうです。

さて、本書はエピジェネティクスの入門書として、
一般的なエピソードも交えて、わかりやすく解説されています。

しかし、化学式も出てきますし、後半は少し専門的な
内容になっていますから、まったく生物の予備知識なしで
読むのは、ちょっとつらいかもしれません。

エピジェネティクスの雑学レベルの話から、
もうちょっと踏み込んで詳しく知りたい方にとっては、
コンパクトながら濃い内容が詰め込まれた良書です。

  「かつて読んでいたブルーバックスのことを思い出すと、
  当時は一線級の先生たちが子供たちのために、
  かなり難しいことを紹介していたものだと感じます。」

著者の太田邦史さんは、小学生のころから、
講談社のブルーバックスシリーズを読んでいました。

本書には、かつてお世話になったブルーバックスへの
オマージュが込められているのです。

この本から何を活かすか?

1983年にトウモロコシを用いた染色体の研究で
ノーベル生理学医学賞を受賞したバーバラ・マクリントック女史。

DNAの二重らせんの構造の発見よりも前に、転移性因子を
発見したため、その実績が正しく評価されるまでに、
かなり時間がかかりました。

しかもマクリントックさんは、1951年の論文で既に、
エピジェネティクスの考え方と同じ概念を示していたようです。

本書ではマクリントックさんのエピソードについても
紹介されていましたが、私はもう少し詳しく
マクリントックさんについて調べてみようと思います。

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| 科学・生活 | 06:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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出世の教科書

出世の教科書出世の教科書
(2013/08/02)
千田 琢哉

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満足度★★★
付箋数:19

会社の中には、それほど仕事ができるように見えなくても、
なぜか、スイスイと出世していく人がいます。

逆に、仕事もできて、社内でも目立つ存在なのに
なぜか、あまり出世できない人もいます。

この差は、一体何なのでしょうか?

まじめで有能なら、上司に認められ、出世できるのでしょうか?
それとも上司にゴマをすらなければ、出世できないのでしょうか?

なかなか人前では聞きにくいこの質問。

千田琢哉さんは本書で、「出世する人」に共通する
70の特徴をまとめています。

本書では「出世する人」の特徴を鮮明にするために、
その逆の特徴を持つ人と比べています。

対比するのは、「出世しない人」ではありません。

千田さんが対立軸として設定したのは「窓際の人」。

「出世する人」と「窓際の人」を比べることで、
本書では、「出世する人」の行動を浮き彫りにしています。

  出世する人は、手柄を譲り続けて最後に際立つ。
  窓際の人は、手柄を奪い続けて最後に干される。

  出世する人は、驚くほど口が堅い。
  窓際の人は、呆れるほど口が軽い。

  出世する人は、肩書で相手を値踏みしない。
  窓際の人は、肩書に滅法弱い。

  出世する人は、一緒にエレベーターに乗ってお見送りする。
  窓際の人は、エレベーターの前で消える。

  出世する人は、周囲が「えー!?」と驚くほうを選ぶ。
  窓際の人は、周囲が「やっぱり」とため息つくほうを選ぶ。

昨日紹介した『小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書
でも言われていましたが、良い商品=売れる商品ではありません。

一生懸命モノづくりをしても、売る努力をしないと、
商品が売れないのと同様に、社内で売れるためには、
上司に評価される努力をしなければなりません。

実は上司に評価されることが、仕事で実績を上げる以上に、
優先すべきことなのかもしれません。

だから、出世する人は「上司が私の手柄を全部横取りしています」
などと愚痴をこぼさず、これでもかというぐらいに、
上司に自分の手柄を譲っているのでしょう。

まずは、直属の上司を出世させる。

  「心配しなくても、あなたが上司に手柄を与えたという事実を
  周囲は完全に把握している。(中略)
  あなたも出世すればわかるが、上司の上司には
  すべての実態は丸見えなのだ。」

ただし、出世のために評価をあげる必要があるのは、
直属の上司だけではありません。

本書では上司との接し方以外でも、
「出世する人」の特徴がまとめられているのが良い所です。

この本から何を活かすか?

千田さんは、著書の「冊数」にこだわりがあるようです。

本書も最終ページのプロフィールに
「著書は本書で69冊」とあえて書かれていました。

ちなみに、本書は2013年8月刊行でしたが、
この記事を書いている2013年10月時点では、
千田さんの累積著書数は、「77冊」まで伸びていました。

わずか2ヶ月で8冊もの本を執筆したことになりますね。

本書以降に出た8冊は以下の通りです。

 2013年10月刊行 『20代のうちに会っておくべき35人のひと
 2013年9月刊行 『想いがかなう、話し方
 2013年9月刊行 『好きなことだけして生きていけ
 2013年9月刊行 『たった2分で、夢を叶える本。
 2013年9月刊行 『人生って、それに早く気づいた者勝ちなんだ!
 2013年9月刊行 『代で身につけたい読書の技法
 2013年9月刊行 『20代で身につけたい勉強の技法
 2013年8月刊行 『「不自由」からの脱出

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 07:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書

小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書
(2013/09/26)
岩崎 邦彦

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満足度★★★★
付箋数:27

日本経済新聞出版社の堀内さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

A・B2つのグループがあります。 違いは何でしょうか?

  Aグループ : 京都、北海道、沖縄
  Bグループ : 佐賀、埼玉、群馬

その地方に住んでる人は別にして、多くの人が考えるのは、
観光に行きたい県と、それほど行きたいと思わない県
といったところでしょうか。

実はこの2つのグループ、もっと根本的な違いがあります。

Bグループは「地名」であるのに対して、
Aグループは「ブランド」です。

沖縄からは、青く、きれいな海が思い浮かぶのに対し、
佐賀からは、そんな明確なイメージが浮かびません。

本当は「京都」も「北海道」も「沖縄」も地名ですが、
それ以上に、ブランドとしての意味を持っているのです。

その名称が単なる「名前」なのか、「ブランド」なのかは、
次の方法で簡単に見分けられます。

言葉の後ろに「的」や「らしさ」を付け加えてみてください。

それで何らかのイメージがわけば、それはブランドです。

「京都的」や「北海道らしさ」で意味として通じますね。

さて、本書は「ブランドづくり」のための羅針盤。

著者は、静岡県立大学教授で、企業のブランドづくりにも
社外ブレーンとして取り組む岩崎邦彦さん。

本書では、「ブランドづくり」を次のように定義します。

  「ブランド=顧客の心の中に、品質を超えたポジティブな
  イメージを形成し、顧客との感情的なつながりをつくること」

岩崎さんがとったアンケートによると、
経営者の8割は、自社商品の品質に自信を持っているそうです。

しかし、それでも売れない。

それは、モノづくりで勝って、ブランドづくりで負けているから。

岩崎さんは全国の消費者1000人にも、
次のようなアンケートを取りました。

  質問 ここに味と価格がまったく同じ2つの牛肉があります。

     1つのパッケージには「静岡和牛」と書かれていて、
     もう1つのパッケージには「松阪牛」と書かれています。

     あなたはどちらの牛肉を選びますか?

     選択肢 1:どちらでもよい 2:静岡和牛 3:松阪牛

あくまでも、味も価格も完全に同じという条件です。

このアンケートの結果は、松阪牛のもつブランドの強さが
顕著に現れました。

    松阪牛・・・・・・・72.9%
    どちらでもよい・・・23.4%
    静岡和牛・・・・・・ 3.7%

これは品質や価格が同じでも、選ばれる商品と、
選ばれない商品があるということで、
その差はズバリ、ブランド力ということです。

本書はブランドづくりについて論理的に説明し、
それを多くのアンケートのデータから統計的に裏付けます。

更に岩崎さんが関わった高糖度トマトのトップブランドの
「アメーラ」の実例をあげて解説します。

これは、成功例を理論で後付けで説明したものではなく、
岩崎さんのブランディング理論を実践で活用した例なので、
その説明は非常に腹に落ちます。

ブランディングの本は多数ありますが、
これだけ論理的で、かつ説得力の高い本は滅多にありません。

本書は、自社のブランドづくりのためには、
何度も繰り返し読みたい本ですが、
ライバルには決して読ませたくない本です。

この本から何を活かすか?

「アメーラ」はイタリアっぽい響きがありますが、
「甘いでしょう」の静岡弁「あめ~ら」が由来だそうです。

大切なのは、ストレートにネーミングするのではなく、
暗示するようにネーミングすること。

確かに、「スイート・トマト」というわかりやすい商品名より、
「アメーラ」の方が、どこか美味しそうな響きがありますね。

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| ブランディング | 12:38 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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やわらかな生命

やわらかな生命やわらかな生命
(2013/08/09)
福岡 伸一

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満足度★★★
付箋数:23

あなたは、「粘菌」という不思議な生物がいることを
知っていますか?

実は、本書のカバー写真に写っているのが粘菌です。

正式には、「細胞性粘菌」と言い、生命のやわらかさを端的に
象徴するものとして、本書の表紙に採用されたようです。

粘菌には、大きな3つの謎があります。

それは、「細胞間のコミュニケーションの謎」と
「多細胞制御の謎」と「子実体形成の謎」です。

粘菌は、ふだんは単細胞生物として、落ち葉の下などに生息し、
アミーバ運動によって移動し、土の中の細菌などを食べて
生活しています。

それが、餌が少ない季節になると、それぞれ単細胞生物として
活動していた粘菌は、10万個くらいが大集合して、
ナメクジのような多細胞生物に変貌します。

ナメクジ状の粘菌は光を求めて移動すると、
今度は頭だった部分を地面に張りつけ、逆立ちします。

胴体は細長い柄のようになり、お尻だった部分は柄の先端に
取り付けられた丸いドーム状(子実体)に形を変えます。

その丸い玉の中には、たくさんの胞子が詰まっていて、
これがはじけて風にのって他の場所に飛び、
胞子からアミーバが誕生し、新しい生活を始めます。

細胞性粘菌は、動物でもあり、植物でもあり、
単細胞生物でもあり、多細胞生物でもあるのです。

このどちらとも言えない、両方の性質を持つ生き物の不思議さに
福岡伸一さんは惹かれるところがあるのでしょう。

福岡さんの大ベストセラー『生物と無生物のあいだ』も
そんな両方の性質を持つウィルスの話でしたね。

ちなみに、博物学者の南方熊楠さんが研究していたのは、
同じ粘菌でも「真性粘菌」と呼ばれるもので、
本書で紹介されている細胞性粘菌とは、違った性質を持ちます。

さて、本書は福岡さんが週刊文春の2011年9月15日号から
2013年4月18日号まで連載していた科学エッセイ
「パラレルターン パラドックス」をまとめたもの。

約70本の、しなやかなエッセイが掲載されています。

2010年4月に刊行された『ルリボシカミキリの青』の続編。

週刊文春の連載は、福岡さんが2013年4月から、
ニューヨークのロックフェラー大学へ客員研究員として
行くことになったため、一旦終了しました。

ただし、翌2013年4月25日号からは、
タイトルを変え「マンハッタンマトリクス」として
福岡さんの連載は続いています。

本書で粘菌について触れられているのは数ページなので、
もっとこの不思議な粘菌について知りたい方は、
中垣俊之さんの『粘菌 その驚くべき知性』をお読みください。

脳を持たない単細胞生物が、迷路で最短ルートを見つける
「知性」の謎に迫っています。

中垣さんらは、この「粘菌コンピュータの研究」で、
2008年イグ・ノーベル賞の認知科学賞を受賞しています。

この本から何を活かすか?

どっちつかずの生き物と言えば、本書のでは、
ネット上でも話題になった2013年の麻布中学の入試問題も
取り上げていました。

  「ドラえもんは、生物として認められることはありません。
  それはなぜですか。その理由を答えなさい。」

この問題には、次の3つの生物の特徴が列挙されています。

  A: 自分と外界とを区別する境界をもつ。
  B: 自身が成長したり、子をつくったりする。
  C: エネルギーをたくわえたり、使ったりするしくみをもっている。

ネット上では、この問題に対してかなり議論が白熱したようですね。

問題にツッコミを入れることも含め、様々な角度から
考えることの面白さを再発見できる問題でした。

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成長戦略のまやかし

成長戦略のまやかし (PHP新書)成長戦略のまやかし (PHP新書)
(2013/08/13)
小幡績

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満足度★★★
付箋数:22

リフレはヤバい』などの著書で知られる、
反リフレ派の論客、小幡績さん。

本書でもアベノミクスに対する鋭い批判がなされています。

しかし、アベノミクス批判の本はいくらでもあるので、
ここでは小幡さん自身が挙げる具体的な政策を紹介します。

それは「高専」政策。

安倍政権でも「高専」、つまり高等専門学校に関する政策が
ありますが、小幡さんの考える政策とは似て非なるものです。

安倍政権の政策は、5年制一貫教育モデルの「高専」を、
アジアの各国に輸出し、現地で人材育成するというもの。

この政策の目的は、日本企業がアジアに進出したときに、
必要となる人材を現地で確保することにあります。

これは考え方によっては、日本のノウハウを使って、
海外の人々の人的資本を蓄積する政策です。

一方、小幡さんの「高専」政策は、それとは真逆の
国内に高専を拡充して、日本の人的資本の蓄積を図ります。

小幡さんの政策は、初等教育の充実という第一の軸と、
労働市場に入る若者が実践的な技術を習得する場をつくる
第二の軸からなります。

そのために必要なのが各都道府県に高等専門学校をつくること。

従来からある工学系の高専とは別の枠組みで、
分野も工学に限らず、農学、経営学、経済学、法学など、
多くの分野で高専をつくります。

それは高校と大学院、あるいは専門学校と大学院を
ミックスさせたようなイメージの
基礎から現場の仕事を学ぶ場です。

この政策のベースになっているのは、
地域で人を育てることが、日本の強さになるという考えです。

日本経済を強くするには、その中心の東京の活力を維持する
必要があり、東京を強くするためには、東京ではなく、
地方を強くする必要があると小幡さんは説明します。

なぜなら、東京の魅力は、大消費地ということよりも、
多様性から生み出されるアイディアにあるからです。

東京は、東京育ちの江戸っ子だけでなく、
全国から、そして全世界から人が集まる多様性が
エネルギーを生み出す街。

  「横浜のほうが東京よりも都会であることは間違いない。
  (中略)神戸も同様だ。しかし、横浜も神戸も
  素晴らしい街なのだが、何かを生み出すエネルギーに関しては、
  東京にまったくかなわない。その意味で東京はダントツだ。
  このエネルギーの源泉は、人々の多様性、そして個々人の
  内部の多様性、地方に育ち、東京で暮らすという二重性にある。」

しかし、今や東京は田舎者の集まりではなくなりつつあります。

親の世代が上京して、生まれも育ちも東京とう人が
次第に増えているそうです。

それは、東大の入学者から地方出身者が
減っている現状を見ても明らかだと説明されています。

東京の多様性を復活させるために、地方を強化する。
その地方に活力を与えるための「高専」の拡充。

言っていることがわからなくもありませんが、
個人的には、かなり道のりが長い政策だと感じます。

この本から何を活かすか?

  「落ちる大企業あれば栄える新興企業あり」

小幡さんは、日本悲観論が蔓延する理由の一つに、
かつての大企業の昨今における業績不振があると指摘します。

しかし、これは一面的な見方で、伝統的な大企業が凋落する一方、
新しい企業が続々と出てきている点にも注目しなければ、
日本経済の現状を見誤るとしています。

これは、もっともな指摘で、逆に新陳代謝がなければ、
日本経済はもっとダメになっていくように感じますね。

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| 経済・行動経済学 | 06:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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素のコミュニケーション術

自分に自信がないあなたでも必ずうまくいく 素のコミュニケーション術 (Sanctuary books)自分に自信がないあなたでも必ずうまくいく 素のコミュニケーション術 (Sanctuary books)
(2013/09/18)
ワタナベ薫

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満足度★★★
付箋数:20

サンクチュアリ出版の高山さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

あなたは、せっかく貰ったお土産が、
苦手なものだったら、相手に何と言いますか?

例えば、あなたは「抹茶」が苦手だったとします。

でも、近所の人から旅行のお土産に抹茶クッキーを貰いました。

せっかく好意で買ってきてくれたのに、
お土産を受け取らないと人間関係が悪くなりそうです。

美味しかったとお礼を言わないと、
その後の人間関係がギクシャクするのではないかと、
心配してしまいます。

かと言って、美味しかったとウソを伝えても、
次も苦手な抹茶のものをもらう可能性があります。

相手に気を遣えば遣うほど、自分の望まない方向に
進んでしまいそうですね。

本書がススメるのは、変わらない「素」の自分を中心に
コミュニケーションをとること。

「抹茶が嫌い」という事実を伝えてもいいんです。

  「お土産ありがとね。実は私、抹茶味食べられないんだ。
  でも家族が抹茶クッキー大好きなの!
  きっと喜ぶわ! ありがとう!」

このように相手に配慮しながらも、自分の素直な気持ちを
相手に伝えることができれば理想的。

ワタナベ薫さんが、本書で伝えるのは、
自分の「素」を出してコミュニケーションする方法。

一般的なコミュニケーション術の本は、
オウム返しをする、相槌を打つ、傾聴するなど、
相手に自分を合わせるものが中心です。

しかし、「素」のコミュニケーションは、
その逆で、自分中心。

相手に合わせる必要はありません。

素の自分のままのリラックスした状態で、
コミュニケーションを楽しむのです。

ですから、気を遣いすぎて逆効果になることもありません。

そもそも「コミュニケーション能力は鍛えるものではない」と
ワタナベさんは言います。

「能力」と表現するから、身につけなければならないもの、
鍛えなければならないものといった、誤解が生じていると
ワタナベさんは説明します。

では、あるがままの「素」の自分を見せて、
本当にコミュニケーションはうまくいくのでしょうか?

「素」の状態と言っても、人の性格は様々です。

しかし、素の人には共通した特徴があります。

  「わかりやす人」、「信頼できる人」、「誠実な人」

つまり、素のコミュニケーションでは第一印象を良くするために、
自分を作っていませんから、2度目、3度目と会う回数が増えても、
最初の印象が変わりません。

その「一貫性」が、自然と相手から好感を持たれるのです。

本書では本音でコミュニケーションをとるための、
素になって相手の心を開く方法が順を追って解説されています。

  第1章 本当はみんな素になりたい
  第2章 どうしたら素になれる? 素になるためのステップ
  第3章 これで悩み解消! 素で相手の心を開く
  第4章 ゆっくりと素になっていこう
  第5章 誰とでも素コミュニケーション!

本書自体も、ゆっくりとリラックスして読める雰囲気の本でした。

この本から何を活かすか?

  「自分を大切にしない人は他人も大切にできない」

自分を犠牲にして他人に合わせる人は、
立場が逆になると、他人にも自分と同じように
合わせることを求めてしまうようです。

私は、この傾向が強いので、注意しなければなりません。

まずは、自分が何を感じて、どう伝えたいのかを知ることが、
素のコミュニケーションの第一歩のようです。

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