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稲盛和夫 最後の闘い

稲盛和夫 最後の闘い―JAL再生にかけた経営者人生稲盛和夫 最後の闘い―JAL再生にかけた経営者人生
(2013/07/13)
大西 康之

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満足度★★★
付箋数:21

  「公的資金1兆円の投入を受けたJALが、それを原資に運賃の
  値下げをしてきたら、フェアな競争にならない。」

これはANA社長だった伊東信一郎さんが、
文藝春秋に寄せた手記の中で述べた主張です。

私も伊東さん同様に、世界中のエアラインがあげた利益の
約1/3を、支援を受けて再生したJALがあげるのは、
フェアな競争になっていない証拠だと思っていました。

しかし、「誰がやっても立て直せない」と言われたJALを、
稲盛和夫さんが見事に再生したのも事実。

稲盛さん自身は、JAL再建を次のように振り返ります。

  「人様からは “晩節を汚す” と言われたが、自分のような老人が、
  無給で、スルメをかじりながら必死に働く姿を見て、
  倒産という厳しい経験をしたJALの人たちが何かを感じてくれた。
  だから短期間のうちに、JALという巨大な組織にアメーバ経営と
  フィロソフィが染み透っていった。」

本書は、日本経済新聞社編集委員の大西康之さんが、
稲盛さんの視点からJAL再生の過程を描いたルポルタージュ。

稲盛さんは、JAL再生の1155日間の激しい闘いで、
「おそらく、命を縮めた」とも言われています。

そもそも、再建を請け負う以前は、稲盛さんはJALが大嫌いでした。

  「客室乗務員もカウンターもマニュアル仕事。
  丁寧だが心がこもっていない。高学歴の幹部は自負心が強いくせに、
  政治家や官僚にはペコペコする」

このように感じていた稲盛さんは、国内出張の際は
ANAを使うようにしていたそうです。

私自身も、JALがなくなることが国民全体の損失になるのか?
という部分で、公的資金を投入しての再建には懐疑的でした。

しかし、稲盛さんを突き動かしたのは、
「独占は悪」という信念でした。

日本は電電公社に市場を独占されていたから、
国民は高い電話料金を払わされていた。

だから、この独占をなくすために稲盛さんはKDDIを創ったのです。

稲盛さんがJALの再建を引き受けたのも、
反独占の同じ想いでした。

またJAL再建は、稲盛さんの経営者としての
ラスト・メッセージでもあるようです。

  「JALという企業が腐っていることは、日本中の誰もが
  知っていました。再生は不可能だと思っていたことでしょう。
  その “腐ったJAL” を立て直せば、苦境に立っているすべての
  日本企業が “JALにできるなら俺たちにもできるはず” と
  奮い立ってくれる。そこから日本を変えられる。そう思ったのです」

本書は、以前紹介した引頭麻実さんの『JAL再生』とは、
また違うJAL再建の裏側が描いています。

ただし、大西さんも主役が稲盛さんなので、
比較的キレイな部分しか描かなかったという印象です。

私は、更に別の角度からJAL再生を見るために、
稲盛さんが4年振りに書き下ろした
2013年9月刊行の『燃える闘魂』も読む予定です。

この本から何を活かすか?

本書のエピローグでは、同じ既得権益に切り込んだ経営者として、
土光敏夫さんと稲盛さんを比較しています。

土光さんは、このブログでも『清貧と復興 土光敏夫100の言葉
で紹介したことがありますが、JR、NTT、JTの民営化などで、
「行革の鬼」と呼ばれた方です。

確かに、このお二人、「独占は悪」と考えるところや、
私生活で虚飾に走らないなど、共通するところがあります。

本書では比較していませんが、破綻企業の再建ということでは、
カルロス・ゴーンさんとの比較や、
既得権益や官との闘いということでは孫正義さんの手法と
稲盛さんを比較しても面白いと思いました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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