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アップル帝国の正体

アップル帝国の正体アップル帝国の正体
(2013/07/16)
後藤 直義、森川 潤 他

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満足度★★★★
付箋数:23

  「今、日本に “アップル” を知らない人はほとんどいないだろう。
  だが、このクールせ先進的な巨大企業が、様々な日本企業と
  交叉して成り立ってきたという歴史を知る人はとても少ない。
  これまで、アップルの姿は常にスティーブ・ジョブズという
  歴史に名を残す天才が放つまばゆい光の向こう側にあり、
  誰もその実像を掴むことができなかった。
  スター経営者の陰に隠れて、時に猛禽な姿さえ見せながら
  仕事を着実に実行するグローバル企業の姿はあまり伝わってこない。
  私たちは、このアップルの “知られざる正体” にスポットを
  当てるべく、地道に取材を進めてきた。」

本書は、週刊ダイヤモンドの記者、後藤直義さんと
森川潤さんによる、アップルの「正体」に迫る渾身のドキュメント。

アップルによる日本メーカー残酷物語の様相を呈しています。

  プロローグ アップル帝国と日本の交叉点
  第1章 アップルの「ものづくり」支配
  第2章 家電量販店がひざまずくアップル
  第3章 iPodは日本の音楽を殺したのか?
  第4章 iPhone「依存症」携帯キャリアの桎梏
  第5章 アップルが生んだ家電の共食い
  第6章 アップル神話は永遠なのか
  エピローグ アップルは日本を映し出す鏡

表紙のデザインは、巨大で真っ赤なリンゴが、
今にも日本を飲み込もうとしていますが、
本書を読む限りでは、日本のものづくりは、
完全にアップル帝国に飲み込まれてしまった印象を受けます。

シャープやソニーなどの日本の名だたるメーカーは、
もはや帝国に支配された植民地でしかありません。

アップルに逆らっても生きていけませんし、
帝国の一部となったと思っても、
それはアップル依存症が高くなっているだけのこと。

植民地の末路は、アップルから要求されるコストカット地獄と、
それを乗り越えた後に来る、受注削減による突然死です。

メーカーにとっては、生きるも地獄、死ぬも地獄。

私たちが、アップルの優れた製品から受ける恩恵は、
多くの日本のメーカーの犠牲の上に成り立っている
ということがよくわかります。

もちろん、これはブラック企業が従業員を酷使するのとは違い、
あくまでビジネス上の提携関係ですから、
アップルが一方的に悪いというわけではありません。

ただ、私が本書を読んで思い出したのが、
「フェアトレード」という言葉。

フェアトレードは、途上国の原料や製品を適正な価格で
継続的に購入することを通じて、立場の弱い途上国の
生産者や労働者をサポートする運動です。

本書の後半では、強大な力を誇るアップル帝国であっても、
永遠には続かないことを示唆していますが、
今しばらくその支配が続けば、日本やアジアの国々の
メーカーを保護するための、フェアトレード運動が起こっても
不思議ではないようにさえ思えました。

本書は、入念な取材を行い、日本のサプライヤーの視点から
アップルの栄光の裏側を描いた力作です。

この本から何を活かすか?

多くのビジネス書では、アップの先見性や、
スティーブ・ジョブズさんのクリエイティビティを礼賛し、
成功事例として取り上げています。

しかし、仮に日本のメーカーにジョブズさん同様の
クリエイティビティがあったとしても、
アップルにはなれなかったように思えます。

それは、日本人がアングロサクソン系の
猛禽類的な俊敏性と冷酷さを持っていないから。

帝国を築き上げ、支配できるかどうかは、
クリエイティビティの問題だけでなく、
狩猟民族と農耕民族の違いも大きいと感じました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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