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金融緩和の罠

金融緩和の罠 (集英社新書)金融緩和の罠 (集英社新書)
(2013/04/17)
藻谷 浩介、河野 龍太郎 他

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満足度★★★
付箋数:20

  「本書がめざすのは、金融緩和の効果と限界、そして副作用を
  冷静に見極めることである。そのために本書では、金融緩和に
  批判的な三人の専門家に話をうかがった。

  まず、日本全国をみずからまわり、日本経済の現状を
  具体的に知悉し、マクロ経済学がおちいりがちな抽象性を
  つねに批判している藻谷浩介氏。

  つぎに、金融緩和で潤うはずの金融業界の最前線にいながら
  金融緩和に異を唱えている河野龍太郎氏。

  そして、ケインズ理論の瑕疵をのりこえる独自の不況理論を
  打ちたて、世界的にも評価されている小野善康氏。」

本書は哲学者である萱野稔人さんが、
藻谷浩介さん、河野龍太郎さん、小野善康さん1人づつと、
「金融緩和の落とし穴」をテーマに討論する本。

萱野さん自身はこの3人の主張を全面的に受け入れているので、
討論と言うより、インタビューと言った方がいいかもしれません。

私が本書を手に取ったのは、次の2つの好奇心から。

1つ目は、『デフレの正体』がベストセラーにはなったものの、
リフレ派からはトンデモな俗論と批判された藻谷さんが、
どんな反論をするかという俗っぽい好奇心。

2つ目は、小野さんの不況理論に対する学問的な好奇心です。

藻谷さんと言えば、ブログに批判的なコメントを書いた
一般人に対し、暴言を吐いた名誉棄損事件がありました。

ですから、本書の対談でで批判された場合、どんな感情的な反応を
示すのかと変な期待もありましたが、萱野さんは全面的に藻谷さんの
主張を受け入れていたので、期待した場面は登場しませんでした。

藻谷さんのリフレ派に対する反論は以下の通りです。

  「この日本の経済状況を “デフレ” と呼んでしまうこと自体が、
  間違っているのです。私は貨幣現象であるデフレについて
  語っているのではなく、日本で “デフレ” と呼ばれているものが
  じつは “主として現役世代を市場とする商品の供給過剰による
  値崩れ” というミクロ経済学上の現象であると一貫して
  指摘しているわけです。」

藻谷さんは、『デフレの正体』の中身を読まない人が、
タイトルだけを見て誤読したと言っています。

しかし、私には中身をちゃんと読んで、批判した人に対しては、
藻谷さんがその批判をあえて誤読しているように思えます。

次に、もう一つ注目していた小野さんの「不況理論」について。

こちらはデフレの原因が人口動態にあるのではなく、
日本が「発展途上社会」から、「成熟社会」へ成長した
という視点で経済を捉えます。

発展途上社会と成熟社会とでは、そもそもモノの満ち足りた
状況が違うので、経済政策の効き方も反対になるというもの。

「お金が究極の欲望の対象」で、貨幣の欲望には限りがない
ことを前提にしています。

本書では、新古典派経済学で説明できないところを
小野さんの理論でどのように解釈するかが述べられています。

個人的には、もう少し小野さんへのインタビューに
ページを多く割いて欲しかったところです。

この本から何を活かすか?

「不況理論」をもっと詳しく知るには、本書を導入として、
やはり小野さんの著書を読むべきなのでしょう。

  『不況のメカニズム
  『貨幣経済の動学理論
  『景気と経済政策

いずれも、かなり以前の著書なので、
図書館で探しても、すぐに借りられそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 経済・行動経済学 | 07:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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