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JAL再生

JAL再生―高収益企業への転換JAL再生―高収益企業への転換
(2013/01/26)
引頭 麻実

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満足度★★★
付箋数:22

  「JALの利益回復は著しい。債権放棄や減損処理など
  更生手続による財産評定から生じたコスト圧縮が
  後押しした面は否定できないが、それによる利益押し上げ効果が
  すべてではない。むしろ、JAL内部の仕事の進め方そのものが
  大きく変わったことによる効果が、きわめて大きい。
  また、JAL社員ひとりひとりの仕事に対する考え方そのものも
  大きく変わった。
  これを可能にしたのは、稲盛氏の強力なリーダーシップである。」

2012年9月19日、JALは東京証券取引所に再上場を果たしました。
それは、経営破綻後、わずか2年8ヶ月後のことでした。

JALが再生できた要因は、法的整理をしたことと、
公的資金注入という政府支援があったからです。

しかし、短期間で再生し、更生計画を上回ったのは、
内部での稲盛和夫さんによる経営改革によるところも大きい。

本書では、外部要因ではなく、経営や現場が稲盛改革によって
どのように変わったのかという視点でレポートする本です。

稲盛さんをはじめ、JALの経営幹部、中堅幹部、現場社員など
約50名に取材を行い短期再生の要因を探ります。

稲盛さんのアメーバ経営、京セラのフィロソフィが、
どのようにJALに注入されていったかの記録でもあります。

本書でJAL再生が成功したカギとして挙げられているのが、
次の5つです。

  1. 衆目にさらされての再生
  2. 稲盛氏のリーダーシップと社内の共感
  3. 価値観を共有する仕組みや仕掛け
  4. 社員が共有できる管理会計や仕組み
  5. 新しい価値観に基づく社員ひとりひとりの行動

もともとJALが破綻への道を歩んだ原因は、
ナショナル・フラッグ・キャリアである驕りもありましたが、
すべてがJAL固有の問題ではありません。

他の日本企業が抱える共通の問題もありました。

本書では、経営基盤に関わる課題と、現場の課題に分けて、
JAL再生の様子がレポートされていますから、
その改革のプロセスは他の企業でも参考にできます。

リーダー教育からはじめ、トップに就任した稲盛さん自らが、
現場に足を運び率先垂範して改革に当たる様は、
経営と現場の距離感を縮めていきます。

そして、本当に意味でのお客様視点が浸透しはじめます。

稲盛さんなくして、JALのV字回復がなしえなかったことが、
本書を読むとよくわかります。

ただし、そもそも政府によるJAL救済は必要だったのかという
本書を読む前からある疑問には答えを出してくれるわけでは
ありません。

本書の巻末には、欧米の破綻して再生した航空会社の一覧や、
アメリカのチャプター11についての資料が掲載しています。

ここでは、今回のJALの再生のケースと違う点が
指摘されているわけではなく、どちらかと言うと、
JAL再生を肯定するための資料として使われています。

この本から何を活かすか?

私は、本書を読む前に次のような疑問がありました。

JAL支援は、民業圧迫にならないのか?
民間企業に政府が介入すべきなのか?
JALがなくなると、国民全体の損失につながるのか?
世界中のエアラインの利益の1/3を支援を、
受けたJALが挙げるのは異常なことではないのか?
本当にあのタイミングで再上場して良かったのか?

本書は、企業改革という点では参考になる本でしたが、
私の疑問に答えてくれる種類の本ではありませんでした。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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