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「つながり」の進化生物学

「つながり」の進化生物学「つながり」の進化生物学
(2013/01/25)
岡ノ谷 一夫

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満足度★★★★
付箋数:24

本書は、動物行動学者の岡ノ谷一夫さんが、
埼玉県立川越高等学校及び川越女子高等学校の生徒、
計16名を集めて行った4日間の講義をまとめたもの。

進化生物学を軸に、動物と人間のコミュニケーションの違い、
人間の言葉の生まれ方、動物と人間の心の違い、
心はなぜ生まれたのかなどについて講義が進みます。

岡ノ谷さんは、一方的に説明をするのではなく、
問いを投げかけながら、高校生に仮説を立てさせて、
現実とくらべる作業をおこなうように話をすすめます。

知識を与えられる学校の授業と違い、
参加した高校生は動物の特殊な習性に驚きながら、
コミュニケーションの起源について学びます。

紙面でも、高校生が知的興奮を覚える様子が
見事に再現されています。

  第1章 鳥も、「媚び」をうる?
  第2章 はいまりは、「歌」だった
  第3章 隠したいのに、伝わってしまうのはなぜ?
  第4章 つながるために、思考するために

各章はいずれも濃い内容で、専門的な話も登場しますが、
対話をしながら講義が進みますから、
難しくて理解できないことはありません。

個人的に興味深かったのは、歌から言葉が生まれたとする
「相互分節化説」です。

言葉が生まれる前に、人類には歌があり、
それはジュウシマツのように求愛が目的の歌だった。

それが次第にいろいろなところで歌われるようになった。

例えば、狩りの歌と食事の歌。

当時はどちらも集団でやることなので、それそれの歌に、
「みんなでしよう」という文脈が入った。

両方に同じフレーズが入ることで、その共通部分が切り取られ、
もともとは歌の一部であったフレーズが、
意味を持つ「言葉」になったとする仮説です。

つま、人間の言葉の起源は「求愛の歌」だったという考え。

では、なぜ、同じ歌を持つ鳥は言葉を持たないのしょうか?

それは、脳の機能や発達の度合いが、鳥と人間では違うから。

人間の脳は、歌を切り分ける大脳基底核と、
状況を切り分ける海馬がかなり発達していて、
前頭前野を通じてつながっています。

岡ノ谷さんは、この2つの部位の働きが協調して、
相互の切り分けが可能になったと考えています。

ちなみに、言葉が生まれる前の歌は、音の高さに意味があり、
それで対象を表現していたのではないかと考えられています。

同じ音でも、高いとネズミ、低いとゾウを指すといった具合に。

また、当時の人類は、相対音感ではなく絶対音感を持っていました。

しかし、言葉の誕生で絶対音感は必要なくなり、
人間の能力から消えてしまった。

よく音楽をやっていて、絶対音感をもっている人は
スゴイと驚かれます。

しかし、そもそも動物が持っているのは絶対音感で、
人間も進化の過程で失った能力ですから、
絶対音感を持つ人は、実は原始的なのかもしれません。

この本から何を活かすか?

本書では、いくつもの興味深い動物が紹介されています。

ハダカデバネズミ、ジュウシマツ、ミュラーテナガザルなど。

これらの動物の鳴き声は、本書の特設サイトで公開されています。

ジュウシマツの求愛の歌が、わたしたちの言葉に
つながっていると考えると、感慨深いものがあります。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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