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トレーダーの生理学

トレーダーの生理学 (ハヤカワ・ノンフィクション)トレーダーの生理学 (ハヤカワ・ノンフィクション)
(2013/01/10)
ジョン コーツ、John Coates 他

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満足度★★★★
付箋数:24

  「ファンドを積極的に運用していたとき、背中が痛くなってきた。
  強い痛みに襲われたときは、ポートフォリオに間違いがあるという
  信号だととらえることにしている。」

これは、クォンタム・ファンドを創設したジョージ・ソロスさんの言葉。

これを相場師が持つ動物的な「勘」として片付けるのではなく、
体の中で起こった生理学的な変化まで掘り下げて
研究しているのが、本書の著者、ジョン・コーツさん。

具体的には、リスクを冒しストレスを感じたときに、
どのような「ホルモン」が分泌され、
その分泌が、人の行動にどんな影響を与えるかを調べています。

なにもリスクを冒すときの生理学的な働きは、
トレーダーに限った現象ではありません。

私たちはスポーツをする時など、他人と競争する場面では、
同じようなストレスを感じ、体内である種のホルモンが分泌される
現象が起こります。

では、なぜコーツさんは、トレーダーを題材に選んだのか?

  「金融が世界経済の中枢神経であるからだ。
  スポーツ選手が自信過剰になっても試合に負けるだけだが、
  トレーダーがホルモンの奔流にさらされたら、世界の市場が崩壊する。
  最近になって明らかになり人びとを愕然とさせたが、
  金融システムは、リスクを取るトレーダーたちの精神状態の上に
  危うくバランスを保っているのだ。」

本書で根拠なき熱狂を呼ぶホルモンとして、
コーツさんが挙げているのは、テストステロン。

これは男性ホルモンとして知られるステロイドホルモンです。

ここでニュースなどで流れる、トレーディングフロアの様子を
思い出してみてください。

最近は電子取引で少し様子が違いますが、
強気相場で熱気を帯びて取引するトレーダー達の様子が
しばしば映像として使われます。

その中に、女性の姿はあったでしょうか?

実は、女性トレーダーの割合は極端に少ない。
熱狂するトレーディングフロアに溢れるのは、ほとんどが男性です。

強気市場では、男性ホルモンであるテストステロンが
フィードバックループにより増幅され、バブルが引き起こされる。

つまり、バブルは男性的な現象という仮説が考えられます。

コーツさんは、ここで金融市場の安定のために、
生理学的な見地から、ユニークな提案をしています。

それは、トレーダーとして女性や年配の男性の雇用を増やすこと。

女性にもテストステロンは分泌されますが、男性よりも少なく、
また年配になると男性でも分泌量は減るからです。

これによって、市場が受けるテストステロンの
フィードバックループの影響が少なくなる。

コーツさんの仮説や提案は、今後更なる検証が必要ですが、
従来の行動経済学をもう一段深堀りするようで、
非常に興味深いものでした。

また、コーツさんは、生理学の研究者になる前は、
ゴールドマン・サックスやメリルリンチなどで
トレーダーとして働いた経歴を持ちます。

ですから、本書で描写されるトレーディングフロアの様子は
非常に緊迫感があり、物語としても楽しめます。

この本から何を活かすか?
  
  「科学的にプレッシャーに強くなるには」

あくまでも精神面や遺伝的な面を除き、
生理学的に鍛えることができる部分に絞っての話しですが、
本書には次のように書かれています。
 
  「つねに冷たい天候のもとにいたり、冷たい水の中を
  泳いでいたりする人は、効果的な訓練方法を
  実践していることになり、長期的なストレスに直面したときに、
  情動面で安定性が増しているのかもしれない。(中略)
  おそらく、サウナの後に冷たい水に入るという
  北欧の習慣からは、同じ効果が得られるのではないだろうか。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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