活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2013年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2013年03月

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統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である統計学が最強の学問である
(2013/01/25)
西内 啓

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満足度★★★★
付箋数:30

  <次の食べ物を禁止すべきか考えてみましょう>

  ・心筋梗塞で死亡した日本人の95%以上が生前
  ずっとこの食べ物を食べていた。

  ・強盗や殺人などの凶悪犯の70%以上が
  犯行の24時間以内にこの食べ物を口にしている。

  ・日本人に摂取を禁止すると、精神的なストレス状態が
  見られることもある。

  ・江戸時代以降日本で起こった暴動のほとんどは、
  この食べ物が原因である。

これは因果関係も見極めず「これが原因です」といった、
無意味な主張が、世間で蔓延っていることに対して、
警鐘を鳴らす意味で、著者の西内啓さんが紹介した例です。

この食べ物とは、「ごはん」。

適切な比較を行わない、一面的な単純集計だけでは、
「ごはんを食べることを禁止」という愚かな結論に
至ることもありえる(実際にそういう言説も多い)と
西内さんは指摘します。

さすがに、この例では、そんなバカな結論を出すワケがないと、
思うかもしれませんが、統計学の素養がない人は、
気づかないうちに、こんなことをやっているのかもしれません。

  「だが、 “十分なデータ” をもとに “適切な比較” を行う、
  統計的因果推論の基礎さえ身につければ、
  経験や勘を超えてビジネスを飛躍させる裏ワザは
  もっと簡単に見つかるはずなのだ。」

本書は、西内さんがコンテンツプラットフォーム「cakes」に
連載した「統計学が最強の学問である」の記事をまとめたもの。

では、なぜ、統計学が最強の学問なのか?

  「その答えを一言で言えば、どんな分野の議論においても、
  データを集めて分析することで最速で最善の答えを
  出すことができるからだ。」

学問で「最強」を定義するのは、正直難しい。

特に、統計学の有効性だけでなく、
その限界も熟知している西内さんも本心では、
「最強」という表現に違和感を持っているのかもしれません。

しかし、2013年現在ブレイク中の芸人、武井壮さんが、
「地上最強の生物、百獣の王」を目指していることもあり、
「最強」が時代に合った表現なのでしょう。

さて、統計で重要なことは、どのようなデータを収集し、
どのように分析するかということ。

本書では、統計学がどのような経緯で発展してきたかの
歴史的背景を踏まえて解説します。

読む人を選ぶ本かもしれませんが、
私にはピッタリのレベルの本でした。

読んでいて、これだけ興奮をおぼえた本は久しぶり。

特に、本書での次の説明は眼から鱗でした。

  「大学の統計学の教科書を読めば、t検定だとか
  カイ二乗検定だとか、分散分析だとか回帰分析だとかいう
  手法が必ず登場する。
  しかしながらこれらの統計手法はすべて、大きく言えば
  “一般化線形モデル” という広義の回帰分析の考え方で
  統一的に理解できることが、1972年にネルダーとウェダーバーン
  という2人の統計学者によって示されている」

紹介されていた、一般化線形モデルをまとめた「1枚の表」は
本当に有用で、これだけでも本書を読む価値がありました。

この本から何を活かすか?

  シンプソンのパラドックス

  「A高校とB高校の同じ学年の生徒に対して
  同じ模擬試験を受験させた。

  男子生徒同士で比べるとA高校の平均点はB高校よりも5点高い。
  女子生徒同士で比べるとA高校の平均点はB高校よりも5点高い。

  ではA高校とB高校の平均点を男女全体で比較すると
  どちらが高いだろう?」

男女それぞれどちらでも、A高校の平均点がたかいのだから、
全体でも当然A高校の平均点が高いと考えた方は、
まだ統計リテラシーが足りない可能性があります。

本書は、かなりオススメなので、是非、読んでみてください。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 数学 | 06:48 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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夢を実現する発想法

夢を実現する発想法夢を実現する発想法
(2013/01/11)
川口 淳一郎、山中 伸弥 他

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満足度★★★
付箋数:18

  「実はiPS細胞については、宇宙旅行の分野でも注目していましてね。
  私は、と言ったほうが正確かもしれませんが(笑)。
  将来人類が宇宙を何十年と旅するような時代がきた時に
  不可欠と思われるものの一つが、iPS細胞を使った再生医療です。
  いったん離陸すれば、途中で病気や怪我をしても病院には
  いけませんから。」

本書は「はやぶさプロジェクト」の川口淳一郎さんと、
「iPS細胞」の山中伸弥さんの対談本。

タイトルに「夢を実現する発想法」とありますが、
お二人の対談が行われたこと自体が夢の実現です。

本書は全127ページの薄い本で、構成は以下の通りです。

  はじめに ~失敗こそが成功へ至る道~・・・・山中さん
  第1章 未来の扉をひらく鍵・・・・山中さん
     (2012年7月19日京都大学時計台記念館の講演より)
  第2章 道はこうして拓けた・・・・川口さん×山中さん
     (月刊誌『致知』2012年11月号掲載の対談より)
  第3章 自らの塔を建てよ・・・・川口さん
  あとがき ~旧きは要らぬ新しきを知れ~・・・・川口さん

対談が行われたのは、山中さんがノーベル賞受賞前で、
お二人とも初顔合わせだったようです。

  「きょうはお忙しい中、本当にありがとうございます。
  実は川口先生にはかねてから、ぜひお目にかかりたいと
  思っていたんです。」

お二人が成し遂げたことは、科学の一分野の成果に留まらず、
人類の進歩につながる偉業です。

ですから分野は違えど、互いの研究分野に興味を持ち、
尊敬しあっていることがよくわかります。

前人未到の研究を極める同志として、
共感しあっている様子が伝わってきます。

ただし、初対面で気を遣っているからなのか、
それとも互いに尊敬しすぎているからなのか、
対談で、お二人の新しい一面はあまり引き出されていません。

本当は1+1=3以上になる化学反応を見たいところですが、
今回の対談では1+1=2.2ぐらいにしかなっていない印象です。

お互いのことを知ることから始まっていますから、
その点はやむを得ないのかもしれません。

月刊誌『致知』の担当者も、お二人の対談を
他紙では見られない違った面を引き出す方向に、
貪欲に誘導する様子は見られません。

とは言っても、お二人のシンプルな会話の中には、
研究者として誰にも譲れない信念が感じられ、
含蓄のあるメッセージが散りばめられています。

そして、大きなことを成し遂げるには、
個人の信念を広げ、チームとして心意気で動く人、
夢の実現に向けて熱くなっている人を、
どれだけ集められるかが、鍵を握っていると
語られていたのが印象的でした。

別の機会でお二人が対談を重ねると、
単著では見られない別の一面が見られそうな
予感もありました。

また、対談以外の第1章と第3章は、
山中さん、川口さんそれぞれの過去の著作で
語られていることと重複する内容が多かったので、
少し新鮮味に欠けました。

この本から何を活かすか?

  「なにか悪いことが起こった時は “身から出たサビ” 。
  つまり自分のせいだと考える。
  逆に、いいことが起こった時は “おかげさま” と思う。」

これは、山中さんが母親から身を持って教えられたこと。

やはり口で言うのではなく、態度で示すことが、
子どもの心にも届くようですね。

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| 科学・生活 | 06:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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年利15%でふやす資産運用術

金融機関がぜったい教えたくない 年利15%でふやす資産運用術金融機関がぜったい教えたくない 年利15%でふやす資産運用術
(2013/01/09)
竹川 美奈子

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満足度★★
付箋数:17

物は言いよう。

タイトルの「金融機関がぜったいに教えたくない
年利15%でふやす資産運用術」というのは、ウソではありません。

サブタイトルにも多少の煽りが入っていますが、
「0.4%の人だけが知っている、定期預金の150倍の利回りの
確定拠出年金を使った節税による運用法を初公開」
というのも間違ってはいません。

ただし、竹川美奈子さんが「金融機関に騙されてはいけない」と
常々言っているように、本書のタイトルにも騙されてはいけません。

本書は、「個人型・確定拠出年金(DC)」の解説本です。

この制度、確かに税制面で優遇されているので、
節税分だけ確実にメリットがあります。

しかし、個人型・確定拠出年金に加入可能な人は、
勤務先に企業年金制度(確定給付企業年金・厚生年金基金など)、
企業型確定給付企業年金のない会社員、および自営業や
フリーランスの第一号被保険者なので、
これに該当しない人が、本書を読んでも意味がありません。

ですから、本書を手に取る前に、
自分に加入資格があるかどうかを確認するのが優先です。

個人型・確定拠出年金の税制メリットは3つ。

  1. 毎月の掛金を払うとき、全額所得控除
  2. 運用している間、運用益は非課税
  3. 受け取るとき、退職所得控除・公的年金等控除の対象

では、なぜ、こんなにお得がある制度が、
一般にはあまり知られていないのでしょうか?

竹川さんは、その理由を次のように解説しています。

  「でも、あなたが知らないのは当然です。
  だって、誰も教えてくれないのですから。
  個人型DCで扱う金融商品は金融機関の窓口で売られている
  金融商品に比べて手数料が低いものが多いのです。
  金融機関は、高い手数料が入ってくる保険や投資信託があるのに、
  わざわざ “うまみのない” 商品を積極的にすすめたりは
  しませんよね。」

確かに、現行の税制では圧倒的に有利になっています。

しかし、60歳まで引き出せない縛りがありますから、
自分の資産運用能力と比較して、
加入するかどうかの判断が必要です。

基本的に竹川さんのようなファイナンシャルプランナーの方は、
制度を使った運用やインデックスファンドの購入での
資産運用を前提としていますから、個人型・確定拠出年金を
利用したほうがいいという訳です。

ちなみに本書では、事務手数料、商品の品揃え、投資信託の手数料
のバランスから、次の6つの金融機関での運用を推奨しています。

  スルガ銀行、SBI証券、三井住友海上火災保険、
  鹿児島銀行、琉球銀行、岩手銀行

そして、インデックスファンドを中心に選ぶ運用方法です。

個人型・確定拠出年金の解説本としては、
本書は、かなり詳細にわかりやすく書かれていますので、
この制度を詳しく知りたい方には参考になる本です。

この本から何を活かすか?

  「リタイア後の時間が2倍、3倍に延びれば、
  必要なお金も2倍、3倍に増えていきます。」

本書では、もう国の年金制度には頼れないとして、
このように書かれています。

しかし、これは必ずしもそうとは言えません。

リタイヤするまでに、頑張ってお金を貯めて、
老後はその資金を切り崩す「ストック型」の運用なら
竹川さんの言う通りです。

一方、集めたお金を資金にして、毎月新たなお金を生む
「フロー型」の運用をするなら、リタイヤ後の時間が延びても、
準備する必要資金は変わりません。

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| 投資 | 06:32 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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時給800円のフリーターが3年で年収1000万円に変わる仕事術

時給800円のフリーターが3年で年収1000万円に変わる仕事術時給800円のフリーターが3年で年収1000万円に変わる仕事術
(2012/12/21)
松田 元

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満足度★★★★
付箋数:23

  「人間は変われるのか―。
  学歴も知識も経験もほとんどないような人間でも。
  もっといえば、 “フリーター” や “引きこもり” でも。
  私の答えはシンプルだ。
  “誰であろうと、最低でも年収1000万円は稼げる” 」

松田元さんが代表取締役会長を務めるアズ株式会社では、
フリーター、社会人未経験者、スネに傷のある者を
積極採用しています。

そして、独自の能力開発プログラムで鍛え上げ、
3ヶ月で第一線級の営業マンと肩を並べるほどに育て、
3年後には年収1000万円を得るまでに成長させるそうです。

本書は、その能力開発プログラムを70の鉄則として書籍化したもの。

それでは、どのようにして、松田さんの会社で働く、
元フリターたちは、年収1000万円も稼げるようになったのか?

  「年収1000万円稼ぐために、何よりも重要な2つのもの―
  “スピード” & “感謝”
  この2つをひたすら最優先に考え続けたから。
  ただ、それだけである。」

松田さんの教えは、非常にシンプルですが、
その徹底度がハンパではありません。

人としての基本である「感謝」をベースに、
とこトンまで効率化を図る様は、かなり強烈です。

正直、本書の教えを実践できたら、どんな会社に勤めていても、
圧倒的な力を身につけることができるでしょう。

では、その過激な教えを見ていきます。

  第22条 実印をいつもカバンに入れ、持ち歩け
  第24条 うじうじ悩む前に、「できます」と100回言え
  第25条 仕事に悩んだら、アフリカへ行け
  第30条 財布には常に30万円以上入れておけ
  第31条 ボランティアに行く暇があるなら、給料を全額寄付しろ
  第39条 ブラック企業でも入社しろ
  第43条 1日最低15時間以上、できれば18~20時間働け
  第44条 サラリーマンは土日にこそアルバイトをせよ
  第46条 仕事に疲れたら、仕事をしろ
  第48条 人が休んでいる日曜日・祝日にこそ、
      死にもの狂いで仕事をし続けろ
  第49条 人が寝ている時間にこそ、全速力で仕事をしろ
  第51条 理不尽な人に出会ったら、神様とあがめる
  第59条 血尿や血便は3回目まで大丈夫。4回目から病院へ行け

こんな働き方をしていたら、死人が出るのではないかと
思えるぐらいに働くからこそ、年収1000万円も可能なのでしょう。

逆に考えると、短期の数年間だからこそ、
こんな働き方ができ、力をつけて急成長した後は、
また別の働き方が求められるのだと思います。

何にせよ、本書には勢いがあり、非常に刺激を受けました。

この本から何を活かすか?

松田さんは、2012年10月に流れた、ロバート・キヨサキさんの
「金持ち父さんが倒産」というニュースを取り上げ、
自己啓発セミナーなんて所詮、信用できないと書いています。

  「本当に社会的に成功して、最前線で戦っている人は、
  人に成功体験を教えているほど暇ではないのだ。」

松田さんの言っていることはわかりますが、
そもそもキヨサキさんは、お金を働かせる人であり、
最前線で戦ったいる人ではありませんから、
批判の内容が、少しズレている感じがします。

また、ヤリタイコト教育家・中村将人さんのコラムに
ロバートキヨサキに学ぶ、金持ち父さんは
倒産しても大丈夫…のカラクリ
」なんていう記事もあります。

私は、セミナーには参加しませんが、
キヨサキさんの著作が出れば、また読んでみようと思います。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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脳の中の経済学

脳の中の経済学 (ディスカヴァー携書)脳の中の経済学 (ディスカヴァー携書)
(2012/12/29)
大竹 文雄、田中 沙織 他

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満足度★★★
付箋数:20

あなたは、夏休みの宿題をいつやっていましたか?

私は、一応計画はするものの、ズルズル先延ばしして、
結局、最後の数日間で慌ててやるタイプでした。

これは、経済学で「双曲割引」による先延ばし、
と呼ばれるタイプ。

私と同じタイプの人も、結構多いと思いますが、
そんな人は要注意です。

例えば、今ケーキを1個もらうのと、1年後にケーキ1個を
もらうのでは、今もらった方が得に感じます。

一般的に人は、利得はもらえるのが後になるほど、
そのうれしさを割り引いて感じます。

これはファイナンスで計算する、将来受け取る金額から、
期間に応じて金利分を割り引いて、今の価値に引き直す
「割引現在価値」の考えです。

従来の経済学では、時間割引のモデルをこの計算に従い
「指数関数」で考えてきました。

しかし、実際多くの人は、指数関数で価値が減るのではなく、
双曲割引で価値が減るように感じます。

つまり、今日から明日にかけてガクッと価値が減り、
同じ1日の違いでも、7日後から8日後にかけては
それほど大きく割り引かれないと感じるようです。

指数関数で、時間割割引を考えられる人は、
目先のことにとらわれず、計画的に夏休みの宿題ができる。

一方、双曲割引の人は、楽しみが先延ばしされると、
急激にその価値が減ってしまうので、常に目先のことを優先する。

結果、宿題は追い込まれるまで手付かずの状態になります。

ちなみに、双曲割引の人は、計画的な実行ができませんから、
ダイエットや禁煙もなかなか成功しません。

更に、消費者金融で多重債務になった人のほとんどは、
子供の頃、夏休みの宿題を最後にやるタイプだったようです。

ここまでは、行動経済学の話し。

では、この時間割引では、脳はどのような活動をしているのか?

脳の外側のシワシワの部分を大脳皮質といいます。
また、脳の中心に近いところに線条体という部位があります。

  「どうもこの大脳皮質と線条体の間の往復の回路で、
  いろいろな割引率での価値の計算を行なっているらしい、
  という結果が得られています。」

本書は、脳の中に経済学的な意思決定を行なっている仕組みが
あると仮定して、脳神経活動や私たちの行動を説明しようとする
「神経経済学」の本です。

2011年11月に行われた「サイエンスアゴラ」で行われた鼎談、
『経済学×脳科学 質問から読み解く「あなたの好み」?』を
書籍化したもの。

脳神経学者の田中沙織さん、経済学者の大竹文雄さん、
科学技術社会論研究者の佐倉統さんの専門の異なる3人が議論し、
神経経済学で何が分かってきたのかを伝えます。

また、田中さんと大竹さんお二人で行った対談、
『そのとき、脳の中では何が起こっているのか-感情と神経経済学』
も第2部として掲載しています。

最近私が読んだ本では、池谷 裕二さんと中村うさぎさんの
対談本『脳はこんなに悩ましい』や、ジョン・コーツさんの
トレーダーの生理学』に通じるところがありました。

この本から何を活かすか?

時間割引にかかわる物質、「セロトニン」。
これは「トリプトファン」から生産される必須アミノ酸です。

田中さんは、12人の被験者を使い、セロトニンの量が変わると、
行動に変化が出るかを調べました。

その結果わかったのは、トリプトファン不足になると、
すぐにもらえる小さな報酬を選んでしまいがちになること。

つまり、目先のことだけを考えて、判断しがちな人は、
トリプトファンが入っているバナナを食べると良いようです。

ただし、実験で差異が出たのは、不足の場合だけで、
トリプトファンを必要以上に多く摂取しても、
長期的な判断を下せるようになるわけではないようです。

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| 経済・行動経済学 | 11:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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クオリティ国家という戦略

クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道
(2013/01/15)
大前研一

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満足度★★★
付箋数:22

  「本書はこれまで私が上梓した中でも、『新・国富論
  『平成維新』 『地域国家論』など道州制の導入と霞ヶ関の
  解体を軸にゼロベースの新しい国家モデル構築を提言してきた
  シリーズに連なる、エポック・メイキングな1冊となる。」

大前研一さんは、以前から道州制の導入を説いていますが、
最近では一部の政治家や識者の中でも、
道州制を主張する方々が出てきました。

しかし、同じ道州制という言葉を使っていても、
その中身は似て非なるものです。

最近言われている道州制は、目的があくまでも行政の効率化。

大前さんが提言してきた道州制も、もちろん効率化はできますが、
グローバル市場に出て行くために、
小回りが利く最適な単位になることが一番の目的です。

本書で大前さんは、世界で繁栄する国を2つのタイプに分けています。

ひとつは経済規模が巨大で、人口・労働力のボリュームと
低コストの人件費を強みとする工業国家モデルの「ボリューム国家」。

BRICsなどが、ボリューム国家に当たります。

そしてもうひとつが、本書のタイトルにもなっている
「クオリティ国家」。

こちらは経済規模が小さく、人口が300万~1000万人で、
1人当りのGDPが400万円以上で、世界の繁栄を取り込むのがうまい国。

小粒でもぴりりと辛く、世界に伍していく競争力を持ち、
規模の拡大よりも質の向上を目指す国家です。

具体的には、スイス、シンガポール、フィンランド、スウェーデン
など国際競争力ランキング上位の国を指します。

実はボリューム国家と見られがちのアメリカと中国は、
クオリティ国家の集合体。

各州や省、地域、市などが独自の強みを持った
都市国家モデルとして機能しています。

日本の道州制が目指すのも、単なる行政単位の変更ではなく、
地域の独自性を磨き上げて世界に出て行く、
あるいは、世界から人とお金を呼び込む
クオリティ国家になることです。

本書ではクオリティ国家の事例研究として、
スイス、シンガポールの2ヶ国について、
かなりのページを割き、詳細にレポートされていました。

大前さんの場合、数字での分析にとどまらず、
現地視察をして自分の目で実態を見ていますから、
強さの秘密がリアルに伝わってきます。

2カ国とも、税制や規制緩和、あるいは産業振興といった
経済に直接関わる面よりも、将来への投資として、
国を作るための「教育」に力を入れていることが特徴的。

クオリティ国家と呼ぶには、若干違和感もありますが、
本書で「韓国」の英語教育が取り上げられていたもの
やはり教育の重要性があってのことでしょう。

本書では最終章で、日本の進むべき道として、
道州制を元にしたクオリティ国家戦略が述べられています。

北海道は観光業で、アジアのスイスか、
高度農業国としてデンマークを目指す。

九州はハブ空港を作り、付加価値の高い観光産業を確立し、
ディスティネーション・ツーリズムと呼ばれる、
長期滞在型の観光を目玉とするクオリティ国家を作る。

ただし、これらの提言は、過去の大前さんの著書でも
何度か述べられてきましたから、
それほど目新しさを感じることはありません。

この本から何を活かすか?

本書で、大前さんが一番言いたかったのは、
自分の道州制を一番理解していて、アドバイスもしていた
橋下徹さんが、国政に色気を出してしまったので、
本書を読んで「初心に帰れ」ということだと思います。

言わば大前さんから、橋下さんへの私的なメッセージ。

私も橋下さんが石原慎太郎さんと手を組むのは、
いただけないと思います。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:28 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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宇宙になぜ我々が存在するのか

宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス)宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス)
(2013/01/18)
村山 斉

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満足度★★★
付箋数:25

宇宙に、なぜ私たちが存在できるようになったのかを、
宇宙の誕生までさかのぼり、2つの素粒子を軸に解説する本。

2つの素粒子とは、ニュートリノとヒッグス粒子です。

現代の素粒子理論によると、「物質」には必ずそれと対になる
「反物質」が存在することが知られています。

物質と反物質は、質量が同じで電気的性質が反対。

この2つは同時に同じ数だけ生まれ、
出会うと大きなエネルギーを発して消滅してしまいます。

ちなみに、反物質はスタートレックに登場する宇宙船、
エンタープライズ号の動力源。

エンタープライズ号は、反水素を使って
反物質駆動エンジンで宇宙を航行します。

さて、私たちが存在するためには、
必ずそれを作るための「材料」が必要です。

現在の私たちから、生命の誕生、地球の誕生、
更には宇宙の誕生までさかのぼっても
材料が必要であることに変わりはありません。

しかし、宇宙が誕生したときにできた物質に対し、
同数の反物質が存在したはずですから、
この2つは出会うと何もなくなってしまいます。

そうなると、私たちを作る材料が何も残らない・・・・

ところが、よくよく調べてみると、同じ数だけ存在するはずの
物質と反物質の量にわずかに差があったことがわかりました。

実は、反物質より物質の方が少しだけ多かった。
その差は、わずか10億分の2。

そうしてほとんどの物質と反物質が対消滅しても、
10億分の2だけ残った物質が、私たちの材料となったのです。

それでは、なぜ、物質と反物質の量に差ができたのか?

その謎を解く鍵となるのが、ニュートリノという素粒子です。

  「ニュートリノと反ニュートリノも、他の物質と反物質の
  ペアと同じように1対1でできたのですが、
  ニュートリノがちょっといたずらをして、
  10億個のうち1個分だけ、反ニュートリノと物質のニュートリノの
  バランスを崩したのではないかと考えられるのです。」

なぜこんな芸当ができたかというと、ニュートリノは
質量があるのに電気的性質を持たないからです。

そして、もう一つ宇宙に私たちが存在できるようになった
鍵となるのが、ヒッグス粒子です。

2012年7月に、スイスの欧州原子核研究機構(CERN)が
ヒッグス粒子の発見を示すデータが測定できたと公表し、
話題になりました。

ヒッグス粒子は、もともと質量をもっていなかった素粒子に
重さを与える役割を果たしたと考えられています。

ニュートリノが質量をもったのも、
ヒッグス粒子のおかげというわけです。

本書の著者は、宇宙のことをわかりやすく解説することに
定評のある、東京大学数物連携宇宙研究機構長の村山斉さん。

当ブログでも過去に村山さんの著書では、
  『宇宙は何でできているのか
  『宇宙は本当にひとつなのか
  『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか
の3冊を紹介していますが、今回は素粒子という切り口なので、
他の本とは違った角度から宇宙の誕生を知ることができます。

この本から何を活かすか?

  「村山さんのタイムマシン発言の真相」

2011年秋にニュートリノが光の速度を超えたと話題になりました。

実際には測定のミスで光速を超えていなかったわけですが、
当時、「これでタイムマシンもできる」と
村山さんが言ったことが、新聞の見出しを飾りました。

しかし、実際はそんなことは言っていなかったようです。

  「もしニュートリノが光より速いことが本当だったら、
  過去に信号を送れてしまうので、ありえない」

という意味で村山さんが発言した内容が、
あの新聞記事になってしまったようです。

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| 科学・生活 | 06:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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トレーダーの生理学

トレーダーの生理学 (ハヤカワ・ノンフィクション)トレーダーの生理学 (ハヤカワ・ノンフィクション)
(2013/01/10)
ジョン コーツ、John Coates 他

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満足度★★★★
付箋数:24

  「ファンドを積極的に運用していたとき、背中が痛くなってきた。
  強い痛みに襲われたときは、ポートフォリオに間違いがあるという
  信号だととらえることにしている。」

これは、クォンタム・ファンドを創設したジョージ・ソロスさんの言葉。

これを相場師が持つ動物的な「勘」として片付けるのではなく、
体の中で起こった生理学的な変化まで掘り下げて
研究しているのが、本書の著者、ジョン・コーツさん。

具体的には、リスクを冒しストレスを感じたときに、
どのような「ホルモン」が分泌され、
その分泌が、人の行動にどんな影響を与えるかを調べています。

なにもリスクを冒すときの生理学的な働きは、
トレーダーに限った現象ではありません。

私たちはスポーツをする時など、他人と競争する場面では、
同じようなストレスを感じ、体内である種のホルモンが分泌される
現象が起こります。

では、なぜコーツさんは、トレーダーを題材に選んだのか?

  「金融が世界経済の中枢神経であるからだ。
  スポーツ選手が自信過剰になっても試合に負けるだけだが、
  トレーダーがホルモンの奔流にさらされたら、世界の市場が崩壊する。
  最近になって明らかになり人びとを愕然とさせたが、
  金融システムは、リスクを取るトレーダーたちの精神状態の上に
  危うくバランスを保っているのだ。」

本書で根拠なき熱狂を呼ぶホルモンとして、
コーツさんが挙げているのは、テストステロン。

これは男性ホルモンとして知られるステロイドホルモンです。

ここでニュースなどで流れる、トレーディングフロアの様子を
思い出してみてください。

最近は電子取引で少し様子が違いますが、
強気相場で熱気を帯びて取引するトレーダー達の様子が
しばしば映像として使われます。

その中に、女性の姿はあったでしょうか?

実は、女性トレーダーの割合は極端に少ない。
熱狂するトレーディングフロアに溢れるのは、ほとんどが男性です。

強気市場では、男性ホルモンであるテストステロンが
フィードバックループにより増幅され、バブルが引き起こされる。

つまり、バブルは男性的な現象という仮説が考えられます。

コーツさんは、ここで金融市場の安定のために、
生理学的な見地から、ユニークな提案をしています。

それは、トレーダーとして女性や年配の男性の雇用を増やすこと。

女性にもテストステロンは分泌されますが、男性よりも少なく、
また年配になると男性でも分泌量は減るからです。

これによって、市場が受けるテストステロンの
フィードバックループの影響が少なくなる。

コーツさんの仮説や提案は、今後更なる検証が必要ですが、
従来の行動経済学をもう一段深堀りするようで、
非常に興味深いものでした。

また、コーツさんは、生理学の研究者になる前は、
ゴールドマン・サックスやメリルリンチなどで
トレーダーとして働いた経歴を持ちます。

ですから、本書で描写されるトレーディングフロアの様子は
非常に緊迫感があり、物語としても楽しめます。

この本から何を活かすか?
  
  「科学的にプレッシャーに強くなるには」

あくまでも精神面や遺伝的な面を除き、
生理学的に鍛えることができる部分に絞っての話しですが、
本書には次のように書かれています。
 
  「つねに冷たい天候のもとにいたり、冷たい水の中を
  泳いでいたりする人は、効果的な訓練方法を
  実践していることになり、長期的なストレスに直面したときに、
  情動面で安定性が増しているのかもしれない。(中略)
  おそらく、サウナの後に冷たい水に入るという
  北欧の習慣からは、同じ効果が得られるのではないだろうか。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| トレード | 06:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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学び続ける力

学び続ける力 (講談社現代新書)学び続ける力 (講談社現代新書)
(2013/01/18)
池上 彰

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満足度★★★
付箋数:20

  「出席はしなくて結構。それで成績に響くわけではないから。
  ただし、私は学生のみなさんが聴きたくなるような話を
  するように努力します。出席をとらないから欠席するのか、
  出席をとらなくても面白いから出席するのか。
  みなさんが欠席したら私の負け、というつもりです。」

これは池上彰さんが、2012年4月に東京工業大学の
リベラルアーツセンター教授に就任して、
最初の授業で学生に宣言した内容です。

池上さん自身の大学生時代の経験から、出席カードを集めても
あまり意味がないと思ったゆえの宣言だったようです。

学生にとっては、ありがたいことですが、
池上さんには毎回の授業が真剣勝負で、
かなりのプレッシャーがかかったことでしょう。

実際のところ、毎回の授業は盛況で、
教室も満員御礼だったようですが、テストの評価を厳しくすると、
後期の履修者は教室の定員を大きく下回ったそうです。

いくら話が面白くても、単位が通らないなら履修しないという、
現実的な学生の考えもわからなくもありませんが、
少し寂しい話ですね。

池上さんの東工大での詳しい講義内容は、
この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう
として、本書とは別に書籍化されています。

本書は、その講義を担当することになって
改めて「教養とは何か」について考えたエッセイです。

テーマは、「現代版教養のすすめ」。

東工大の授業のメイキングや、池上さんがNHKの記者時代から、
これまでどのようにして学んできたかを振り返り、
勉強することの意味や、学び続けることの意味を考えます。

  第1章 学ぶことは楽しい
  第2章 大学で教えることになった
  第3章 身につけたい力
  第4章 読書の楽しさ
  第5章 学ぶことは生きること

本書の「はじめに」で、今は亡き池上さんのお父さんの
思いで話が紹介されていました。

池上さんのお父さんは銀行勤めで、
いつも帰宅してからは、家で本を広げていました。

独学で通訳ガイドの資格を取得する勉強をしていたようです。

池上さんが小学生のときに、60歳で銀行を定年退職すると、
通訳ガイドの資格を生かし、外国人を観光地へ案内する仕事や、
英語の技術書を翻訳する仕事を請け負い始めました。

そして、米寿を過ぎて寝たきりになってからも、
最新版の広辞苑を枕元に置き、ページをめくっていたとか。

  「私は、明日死ぬことがわかっていても、
  やっぱり勉強を続けたいと願っています。
  こんな心構えを、父は教えてくれたのでしょう。」

そして今、その姿勢を受け継いだ池上さんから、
私たちは本書を通じて、学び続けることの大切さを
知ることができます。

本書は特段、扉に「父に捧ぐ」といった
献辞の言葉が書かれているわけではありませんが、
池上さんの父親への感謝の気持ちが伝わってきました。

私は本読を読んで、最近、自分が学ぶ後ろ姿を、
子どもに見せていないことを反省しました。

この本から何を活かすか?

池上さんは、「どうしてわかりやすい説明ができるのですか?」
という質問をよく受けます。

しかし、漠然とした質問には、池上さんでさえ、
答えも漠然となってしまい、
得られるものが少ない話になってしまいます。

本書では、久米宏さんの効果的な質問の仕方が
紹介されていました。

話の引き出し方のウマイ人は、もっと具体的な話に落とし込んで、
ポイントとなる面白い話を引き出すようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 勉強法 | 06:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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福岡ハカセの本棚

福岡ハカセの本棚 (メディアファクトリー新書)福岡ハカセの本棚 (メディアファクトリー新書)
(2012/12/28)
福岡伸一

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満足度★★★
付箋数:22

私は、人の家を訪れると、インテリアよりもなによりも、
その人の本棚を探してしまいます。

その人が、どんな本を読んでいるのかが、とても気になるのです。

特にその人のことを尊敬していたり、その人に興味があると、
本棚を見たいという欲求は、もっと高くなります。

そして本棚を見ると、「新しい発見」があり、
同時に「共感」も生まれます。

私は、福岡伸一さんの本棚をすごく見たかったので、
本書はそんな欲求を満たしてくれる本でした。

ジュンク堂書店は、作家が自分の愛読書や推薦書を集めて作る
作家書店」というコーナーを店舗に設けています。

福岡さんは、15代目店長として「動的書房」というネーミングで、
2011年5月14日~2012年3月18日までの期間、
このコーナーを担当し、約400冊の推薦書を店頭に並べました。

本書は、その時に選んだ本の中から厳選し、新たな本を40冊加え、
計100冊の本について福岡さんが語るエッセイです。

紹介されている本の分野は、図鑑、芸術・美術、建築、
ドリトル先生、進化論、科学書、SFなど。

福岡さんは生物学者ですから、生物関連の本が多いのは当然として、
それ以外では、小説や文学作品、歴史書の紹介はあまり多くなく、
その代わり、美しい世界を描く芸術や建築関係の本が多いのが特徴。

また、私はまだ読んでいませんが
成毛眞さんの著書「面白い本」と比べてみたいところ。

そうすることで、福岡さんの立ち位置が、より鮮明になると思います。

本書は、福岡さんの好きな本をただ解説しているのではなく、
読み物としても十分に成立しています。

  「図鑑から始まった本を巡る旅は、思わぬ方向へ私を導いてきて
  くれたようです。マップラバーとして世界を整理することに
  夢中だった自分が、いつしか地図を離れ、よりにもよって
  マップヘイターとして歩き出そうとは、かつては想像もできない
  ことでした。」

ちなみに、「マップラバー」と「マップヘイター」とは、
世界は分けてもわからない』でも紹介されていた
人の行動や性向を、大きく2つにタイプ分けしたもの。

マップラバー(map lover)は、地図をこよなく愛し、
目的地に向かうときに必ずそれを頼りにし、
世界を鳥瞰的に見ようとします。

一方、マップヘイター(map hater)は、自分の感と嗅覚で
目指す場所にたどり着けるタイプです。

  「たとえばデパートに入ったとき、 “売り場案内板” に
  直行するのがマップラバー。まわりの様子を一瞥して、
  いきなり歩き出すのがマップヘイター。」

本の読み方で言うと、目次をじっくり見る人がマップラバーで、
いきなり読みだす人がマップヘイターというところでしょうか。

私は基本的にマップラバーですが、
たまにマップヘイターになることもあります。

福岡さんもマップラバーから、マップヘイターに変わったというより、
美しさや知を巡る旅の中で、自分の想いや考えを語っているうちに、
いつもは隠れていた一面が、顔を出したということなのでしょう。

この本から何を活かすか?

本書の中で解説、または「動的書房」で取り上げられていた本で、
当ブログで紹介済みの本は以下の4冊です。

  『働かないアリに意義がある
  『完全なる証明
  『ハチはなぜ大量死したのか
  『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ

いずれも、私の満足度が★4つ以上の良書。

福岡さんのファンである私にとっては、
私の好きな本を福岡さんも推薦しているのはウレシイことです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 読書法・速読術 | 06:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦
(2012/12/19)
出雲 充

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満足度★★★★
付箋数:25

東京大学名誉教授近藤次郎さんが1989年に発表した論文、
「地球環境を閉鎖・循環型生態系として配慮した食糧生産システム
ユーグレナの食糧資源化に関する研究」。

そこにはユーグレナを大量に培養して、栄養豊富な食料として
利用すること、またユーグレナが光合成で作ったエネルギーを
精製て燃料として利用できること、更に二酸化炭素を吸収させ
地球温暖化を食い止めることができると述べられていました。

ユーグレナとは学術名で、私たちが「ミドリムシ」として
知っている、理科の授業で習う単細胞生物です。

藻の一種であるミドリムシは、体内に葉緑素を備え
光合成を行うので、植物性の栄養素を作り出します。

それと同時に、自ら動く性質も持ち、動物性栄養素も作り出します。

その大量培養を行うことで、人類そして地球が抱える
食糧問題、エネルギー問題、温暖化問題の3つを
同時に解決できる可能性があると期待されていました。

日本政府は、国家プロジェクトとして1980年代にスタートさせた
ニューサンシャイン計画(サンシャイン計画)の一環として、
ミドリムシの本格的な研究を開始します。

しかし、政府の進めたこの計画は2000年に頓挫。

それは、いくらミドリムシが栄養源・エネルギー源として優れ、
温暖化防止に役だっても、その大量培養ができなかったからです。

当時の技術で研究室内では、「月産耳かき1杯」程度の
ミドリムシしか生産できなかったのです。

では、なぜ自然界に大量に存在するミドリムシの
純粋培養が、そんなに難しいのか?

その理由は、ミドリムシが「美味しすぎる」から。

ミドリムシは食物連鎖の最下層。

私たちが口にする肉や魚なども、すべての栄養素の元をたどれば、
ミドリムシに行き着くといっても過言ではありません。

だから、栄養価の高いミドリムシを培養していると、
他の微生物が侵入してきて、あっという間にミドリムシを
食い尽くしてしまうのです。

生物をやっている方にはお馴染みの、いわゆるコンタミです。

このミドリムシの大量培養の技術は困難を極め、
日本がニューサンシャイン計画に取り組んでいた当時、
世界でも成功例はありませんでした。

本書は、そんな「ミドリムシが地球を救う」ことに賭けた、
男たちの挑戦の物語です。

主人公は、本書の著者でもある1980年生まれの出雲充さん。

出雲さんが始めた、東大発バイオベンチャー
株式会社ユーグレナ」の「プロジェクトX」です。

本書の物語は大きく2つのパートに分かれます。

前半は、条件が整わない中、発想の転換で、
ミドリムシの大量培養に成功するまでの物語。

後半は、大量培養に成功した後に直面する、
ビジネスとして事業化の困難な壁を乗り越えて、
成功するまでの物語。

事実は小説より奇なりという言葉がピッタリの
ドラマチックな展開で、疾走感もあります。

主役の出雲さん以外にも、リスクを恐れない
男気ある面々が登場し脇を固めます。

更に堀江貴文さんや、成毛眞さんも登場。

そして、ミドリムシにすべてを賭けた出雲さんからの
熱いメッセージも伝わってきます。

  「この本で僕が語りたいのは、
  “どんなちっぽけなものにも可能性があり、
  それを追い求めていれば、やがてその努力は報われる”
  ということの、僕なりの証明だ。」

この本から何を活かすか?

ミドリムシの持つ栄養価が、微生物の中では最も高くても、
実際のところ、私たち日本人がサプリメントとして、
ミドリムシを飲用する必要性は、あまりないように感じます。

やはり、出雲さんが18歳のときにグラミン銀行の
インターンシップで行ったバングラデシュのような、
コメはあるけれど、他の栄養素が全く足りていない国でこそ、
真価を発揮するのでしょう。

ですから、日本というより、世界を救うという意味で、
株式会社ユーグレナ」は応援していきたいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| ビジネス一般・ストーリー | 12:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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30ポイントで身につく! 「戦略シナリオ」の技術

30ポイントで身につく! 「戦略シナリオ」の技術30ポイントで身につく! 「戦略シナリオ」の技術
(2012/12/16)
HRインスティテュート

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満足度★★★
付箋数:20

野口吉昭さん率いるコンサルティングファーム、
HRインスティテュート著で、2012年3月に刊行された
30ポイントで身につく!「ロジカルシンキング」の技術』の続編。

今回のテーマは、「戦略のシナリオ化」です。

まず、シナリオ化する前に、そもそも戦略とは何なのか?

本書での定義は、「フォーカス&ディープ!」。
勝つために、強みとなる「軸」を明確にし、そこを深める指針。

一般的な表現を使うと、「選択と集中」でしょうか。

米ゼネラル・エレクトリック社のCEOだった
ジャック・ウェルチさんの得意とする手法ですね。

本書では押さえておきたい基本の戦略論として、
孫子の兵法、ランチェスター戦略、
マイケル・ポーターさんの競争戦略、
ジェイ・バーニーさんの内部資源理論の4つを挙げています。

しかし、立てた戦略がいくら素晴らしくても、
それが共有されなければ、単なる絵に描いた餅。

現場の人にわかりやくす伝え、実行しやすくするために、
戦略をシナリオ化することが必要です。

更に戦略だけでなく、ミッション、ビジョン、ロードマップを
そのシナリオに織り込むことで、
現場での日々の行動に結びつけることができるのです。

本書では戦略のシナリオ化の技術を30のポイントにまとめて解説。

まずは、「戦略を立案するポイント」として、
4項目に分けて25ポイントを説明。

  ・理念、目標設定編
  ・戦略分析編
  ・戦略策定編
  ・戦略実行編

それに「戦略的なリーダーになるための五つのポイント」
を加えて解説します。

各ポイントでは、「実践のコツ」と「企業実践ケース」が
紹介されています。

さすがにHRインスティテュートが執筆しているだけあって、
翻訳物の戦略書にありがちな、ケース紹介が海外の企業ばかり
ということはありません。

ケースのほとんどが国内企業なのでイメージしやすく、
リブセンス、ライフネット生命、レアジョブなど、
時代に合った新しい企業も紹介されているのが良い所です。

たまたま私の場合は、昨日、池田信太朗さんの
個を動かす』を読んで、新浪剛史さんのローソン改革について
知ったばかりだったので、その内容を本書のポイントに
重ねあわせて読みました。

すると、ローソンが本書に紹介されているポイントを
1つ1つ実践していることがよくわかりました。

本書は、ポイント1から30までを順番にやっていくと、
自動的に戦略のシナリオ化ができるというタイプの
本ではありません。

ですから、戦略を立てて実践に移行するうえでの、
参考書として利用するのが良いと思います。

この本から何を活かすか?

  「目に見えないものを見ようとする」

本書では成功の歓喜の中で、しっかりと自社の課題に目を向け、
次に向けうべき道に舵を切った例として、名古屋を拠点とする
通販会社、オークローンマーケティングが紹介されていました。

2006年に大ヒットした「ビリーズブートキャンプ」を
リリースした会社です。

同社は、あの大ヒットの中、消費者が使い続けられるような
サポートをするために、コールセンターの拡充に
資源を投下したそうです。

オークローンマーケティング社が、その後、
どんな商品を通販しているのか見てみようと思います。

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| 経営・戦略 | 06:46 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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個を動かす

個を動かす  新浪剛史、ローソン作り直しの10年個を動かす 新浪剛史、ローソン作り直しの10年
(2012/12/13)
池田信太朗

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満足度★★★★
付箋数:27

  「これから本書で振り返る新浪改革の10年。
  一言で言えばそれは、企業内の “個” を奮い立たせて、
  地域の “顧客” と向き合う “個店” を作り上げる、
  ということだった。」

本書は、日経ビジネスの記者、池田信太朗さんが描く
ビジネス・ルポルタージュ。

主役は表紙の写真やサブタイトルからわかる通り、
株式会社ローソン代表取締役社長(CEO)の新浪剛史さんです。

新浪さんが43歳の若さでローソンの社長に就任してから10年。

池田さんは、その改革の歴史を新浪さんへのインタビューを交え、
入念な取材と抜群の構成力でレポートします。

新浪さんの人物像に焦点を当てた半生記を描こうとすると、
どうしても間延びするパートが出てきます。

しかし、本書ではローソンの改革がメインなので、
新浪さんの幼少~青年期のエピソードはごくわずか。

ほぼ社長就任前夜から、改革のクライマックスだけを
書いているので、濃密で面白いところだけしかありません。

業界王者のセブン-イレブンの模倣をやめたローソン。

改革当初の新浪さんは、ローソンのあるべき姿を、
次のように語っています。

  「隣にセブンがあれば、それはセブンに行く。
  むこうが “本物” なんだから。
  違う個性があるかこそ、こっちに来る。
  セブンが巨人ならうちは阪神。早稲田なら慶応になりたい。」

一方、セブンの生みの親、鈴木敏文さんはこう語ります。

  「これからセブン-イレブンをどうしたいか 
  ― マスコミの方にしょっちゅう質問されるのですが、
  いつも答えはひとつです。
  セブン-イレブンはいつまで経ってもセブン-イレブンなんですよ。
  ほかのビジネスに手を広げようとは思いませんし、
  まして看板の色を変えようなんて思わない。
  奇をてらったことは一切しません。」

この鈴木さんの言葉に反するように、
新浪さんは、ローソンを差別化戦略へ向けて舵を切ります。

目指したのは、「多様性」の重視と「分権」。
いずれもセブンの運営にはない思想です。

セブンは、全国に散る1500名もの店舗指導のスパーバイザーを
隔週で一箇所に集め、トップの意思を等しく伝える
「中央集権」のオペレーション。

その結果、全国どこでも均一のサービスが受けられます。

しかし、このオペレーションでは、加盟店は本部の指示通り
動くことが求められ、発注以外に考える余地はありません。

これに対し、ローソンが目指したのはその正反対の仕組み。
加盟店オーナー(MO)にマネジメント機能を移した制度です。

もちろん本部からのサポートはありますが、
MOの店舗をスパーバイザーが巡回することはなく、
加盟店に「考える権限」を与えた制度をとります。

日本国内のコンビニは、すべてがセブンを生みの親に持ちます。

だから模倣していては、いつまで経っても親は超えられない。

それがわかって、ローソンがあえて選んだ異端の道。

  「本書で筆者は、どんな問いにも淀みなく答えるけれど、
  私たちが手を伸ばそうとすると煙に巻くように姿をくらませる
  新浪社長の “本当の姿” に、そして、打ち上げ花火のような
  奇策を次々に弄しつつ、その背後でじりじりと体力をつけた
  この10年のローソンの “本当の姿” に、
  一歩でも近づきたいと思っている。」

この本から何を活かすか?

私もセブンとローソンが並んでいると、
ついセブンに入ってしまいます。

本書を読んだからには、今度はローソンに入り、
新浪さんがどこで差別化を図っているのかを
じっくりと自分の目で見てみたいと思います。

でも、佐藤可士和さんプロデュースの
「セブンカフェ」は、どうしても捨てがたい。

たった100円であの美味しさは、驚きです。

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| 経営・戦略 | 06:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「いいひと」戦略

超情報化社会におけるサバイバル術   「いいひと」戦略超情報化社会におけるサバイバル術 「いいひと」戦略
(2012/12/20)
岡田 斗司夫

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満足度★★★
付箋数:25

  「 “いいひと戦略” とは、21世紀の超情報化社会において
  個人が生き延びる最適戦略です。
  ネット時代である現代のリスク管理です。
  いいひとだよ、という評判こそ個人戦略上、
  最も手堅く強い効果を発揮します。」

本書は、岡田斗司夫さんがマガジンハウス本社内で行った
「いいひと戦略」のセミナーをFREEexのメンバーの方々が
まとめたもの。

現代のSNSを中心としたネット社会では、
なによりもその人の「評価」が重要視されます。

能力よりも人格が優先し、評価がお金を生み出します。

評価を仲介にして、モノ、サービス、カネが交換される。
それが評価経済社会。

この説明については、以前の岡田さんの著書
評価経済社会」にも書かれています。

本書は、そこから一歩踏み出し、
ハイパー情報化社会で評価される、
「いいひと」になるための具体的な戦略を示します。

最終的な目標は、「キャラクター上場」すること。

評価が閾値を超えると、ネット上でパブリックな存在になり、
評価だけで食べていけるようになります。

実際にキャラクター上場している人は、岡田さんもそうですし、
堀江貴文さん、勝間和代さん、橋下徹さんなど。

もちろん「上場」というのは比喩で、
その人が東京証券取引所に上場して株式を発行している
わけではありません。

しかし、誰もが上場会社の株を売買できるように、
ネット上の有名人に対しては、ネット市民の誰もが
良い評価をつけたり、悪い評価をつけたりできるわけですから、
キャラクター上場とは、実にうまい表現だと思います。

さて、本書の「いいひと」になる戦略ですが、
その前段階として、岡田さんは、
まず「イヤな人になる努力」をやめることが必要だと説きます。

  欠点を探す、改善点を見つけて提案する、陰で言う、
  悪口で盛り上がる、悲観的・否定的になる、
  面白い人・頭の良い人・気の合う人だけで集まる

私も良かれと思って、「改善点を見つけて提案する」
をずいぶんやっていましたが、その前に「共感」がなければ、
人の心は1ミリも動かないようです。

知らず知らずのうち「イヤな人」になっていたんですね。

まずは、「イヤな人」になる行為を知り、それをやめる。
その上で次の6段階からなる「いいひと戦略」をとります。

  助走 : フォローする
  離陸 : 共感する
  上昇 : 褒める
  巡航 : 手伝う、助ける、応援する
  再加速 : 教える
  軌道到達 : マネー経済から抜けだす

ネット社会において、長期的には「いいひと」が一番得をする。
そして「いいひと戦略」は人を選びません。

ならば、本書の「いいひと戦略」を、試さない手はありません。

この本から何を活かすか?

「イヤな人になる努力」をやめることもそうですが、
「いいひと戦略」でも、私は最初の「助走:フォローする」
からできていません。

ちなみに、ソーシャルメディアにおける他人への影響力を
測定してくれる「Klout(クラウト)」で、
私のTwitterを測定してみると100点満点中、「35点」でした。

フォローしている人の数が少なすぎることを反省。

今年は、フォローしていく人を増やして行きます。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 06:41 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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たくらむ技術

たくらむ技術 (新潮新書)たくらむ技術 (新潮新書)
(2012/12/15)
加地 倫三

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満足度★★★
付箋数:23

  「MC席の右側にひな壇がある場合、核になる人はMCに一番近い
  最前列左端の席です。例えば、ツッチーこと土田晃之くんや
  サバンナの高橋くんのようなタイプがここに座ります。
  隣に有吉くんやフットボールアワーの後藤(輝基)くんのように
  “安定感” もあり、 “イジれる人” を置きます。
  最前列の右端には “かき回し役” のフジモンや劇団ひとり。
  2段目の左端や真ん中には、博多華丸・大吉の(博多)大吉くんや
  麒麟の川島(明)くんのような安定感抜群の人に座ってもらいます。
  そして2段目の大外は、出川さん、狩野、アンガールズの田中
  (卓志)くんのような “大ボケ” の人の定位置です。」

これは、雨上がり決死隊がMCを務める
テレビ朝日のバラエティトーク番組「アメトーーク!」の
芸人さんの座る席の決め方です。

本書は、人気番組「アメトーーク!」や「ロンドンハーツ」の
プロデューサーとしてテレビ朝日バラエティ番組を牽引する
加地倫三さんが、番組作りでの「たくらむ技術」を公開したもの。

  ・バカげた企画こそクソマジメに積み重ねる
  ・トレンドに背を向ける
  ・「逆に」を考える
  ・一定の負けを計算に入れておく
  ・短く書いて「減点」を減らす
  ・あえて「遠回り」する

普段、私たちがなにげなく見ているバラエティ番組でも、
緻密に計算され、多くの人が関わって番組が完成します。

例えば、テロップひとつにしても、
ただ出演者の発言をなぞるのではなく、
できるだけ短く、笑いを増幅させる表現を厳選し、
タイミングを見計らって差し込んでいく。

1カット1カットに様々な「たくらみ」が折り重なり、
細かな職人技によって、番組は作られています。

それは「バラエティ番組でも」というより、
タイミングが重要な「バラエティ番組だからこそ」の
こだわりなのかもしれません。

  「基本的に、僕は番組を作る上で視聴率のことを気にしていません。
  もちろん、気にしないといっても、別に知らないわけでは
  ありません。放っておいても数字は報告されます。(中略)
  それでも “気にしない” と言うのはどういう意味か。
  それは企画を考える際に、 “視聴率を取れそうだからやろう”
  といった思考法はとらない、ということです。
  あくまでも最初に考えるのは、自分たちが “面白い” と
  感じるかどうか。」

これが加地さんの番組作りの姿勢です。

確かに、視聴率を狙って視聴者に迎合する番組より、
そこまでやるのかと思えるくらい、作り手が楽しんでいる
ハチャメチャな番組の方が勢いがあり、
結果として視聴率もついてくるのかもしれません。

本書の仕事術は、テレビ局のプロデューサーとして
考えていることがベースですが、一般のビジネスパーソンが
仕事を進めていく上でも参考にできるところがあります。

アイディアの出し方や会議のコツ、仕事と向き合う姿勢など。

もちろん、「アメトーーク!」や「ロンドンハーツ」の視聴者や、
業界の裏側に興味がある人は、
制作する側ならではの裏話も盛り沢山ですから、
本書を普通のビジネス書以上に興味を持って、
読むことができるでしょう。

この本から何を活かすか?

実は、私は「アメトーーク!」をほとんど見たことがありません。

放送時間には既に寝ていますし、
そもそも録画したテレビ番組しか、見ていないので。

本書で加地さんのこだわりの番組作りがわかったので、
今週から録画予約を入れて、見てみようと思います。

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| アイディア・発想法・企画 | 05:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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不連続の日本経済

不連続の日本経済不連続の日本経済
(2012/12/20)
若林 栄四

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満足度★★★
付箋数:24

  「いまから二十数年前、黄金分割と正五角形(ペンタゴン)を
  使った相場分析の手法に巡り合った。
  以来、その研究を重ねてきた結果、相場の原理は
  黄金分割しかないということを確信するに至った。
  相場とは価格だけではなく、日柄がそれ以上に重要である。」

本書は独自の黄金分割理論で熱狂的なファンがいる
若林栄四さんの次の相場を予言する本。

若林さんは2007年頃、まだ1ドル120円以上だった頃に、
「2011年に1ドル75円になる」と予言しました。

また、2011年に刊行した「デフレの終わり」では、
「2012年初頭に最後の円高局面がきて大転換する」と
書いています。

これら相場の節目となるところで、他の専門家と異なる見解で、
予想を当てていますから、熱心な支持者が出るのもうなずけます。

私自身は、ペンタゴンチャートも使わないし、
エリオット波動にも懐疑的。

しかし、相場に「日柄」は重要な要素だと認識しています。

日柄とは、相場における時間の経過。

  「たとえば、相場がある日、不連続に急落する。急落した水準で
  長期間横這うと、そこにアイランド(島)ができる。
  その長期間横這いのあいだでも、それなりの相場の上下はあるが、
  それはすべてその低迷状態のコンファイン(拘束)を大きく逸脱
  するものではなく、限られた水準での上下動を繰り返しながら
  ひたすらホリゾンタル(水平的)に相場が推移するからである。
  そしてある日、今度は不連続的に急騰に転じる(リバース)。
  これが相場の底のしるしであり、ホリゾンタルな推移の期間が
  長ければ長いほど、バーティカル(垂直)な動きが大きくなる。」

これは、本書のアイランド・リバースの説明ですが、
マーケットに参加している多くの人が、納得できる感覚です。

前著で既に「日本のデフレは終わっている」と
主張した若林さんは、本書では「リフレへの道筋」として
次のようなシナリオを予想しています。

  第1段階 : 2015年に向けて円急落(円安)

  第2段階 : 株は2015年から本格上昇
        2015年以前も上昇するが助走程度

  第3段階 : 景気は2017年に全般上昇

それでは、なぜ、2015年から日本株は上昇相場になるのか?

その答えは、簡単。

  「とくに誰が買うのでもなく相場が上がり始める
  日柄にあるということである。」

また若林さんは、「購買力平価に基づくと
昨今の為替レートは円高ではない」という説も一蹴します。

なぜなら、デフレは正常な経済現象の一部ではないので、
その現象から派生する変数を当てはめてみても、
大局(インフレが正常)を示すことはできないから。

インフレ率を考慮して、10年前の1ドル100円が、
実効実質レートでは、ここ数年の1ドル80円と同じと言うなら、
10年後は1ドル56円、更に10年後には1ドル42円が
適正レートになってしまうと若林さんは解説します。

ゴットハンド若林さんと言えど、
当たる予想もあれば、外れる予想もあります。

しかし、大局的にマーケットを見るのは大切なこと。

個人的には、マーケットを見る視点を変えるのに有益な本でした。

この本から何を活かすか?

本書には、現役時代の若林さんのディーラー物語が書かれています。
これは、「デフレの終わり」に書かれていた内容の続編。

今回は、1979年に東京銀行のシンガポール支店から
東京の為替課に戻った後の、為替課長時代の話し。

ニューヨーク支店に転勤になる前、1983年頃までの回顧録です。

この話の続きは、2009年刊行の「2019年までの黄金の投資戦略」に
書かれているようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| トレード | 10:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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脳はこんなに悩ましい

脳はこんなに悩ましい脳はこんなに悩ましい
(2012/12/21)
池谷 裕二、中村 うさぎ 他

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満足度★★★★★
付箋数:28

  「どうしてこのふたりが対談本を?
  なぜなら私、池谷裕二が中村うさぎさんを尊敬しているからです。」

本書は新潮社から刊行されている月間小説「小説新潮」
および読書情報誌「波」に計6回掲載された
池谷裕二さんと中村うさぎさんの対談
「オトナのための脳科学」を編集したもの。

硬軟織り交ぜた「私と脳」を巡る対談。

何についても赤裸々に語る中村さんに、
いつも冷静な池谷さんも、ちょっと興奮気味で、
明らかにテンションが他の著作とは違います。

対談内容は「硬軟織り交ぜた」というより、
「軟硬軟」といった方がいいかもしれません。

池谷さんが担当した「はじめに」には、次のように書かれています。

  「私は調子に乗って多く話しすぎてしまいました。
  これはそのまま本にも反映されています。
  あらかじめ読者の皆様にもお詫びします。
  と同時に、慎重居士たるべき科学者としてもまた、
  ブッ飛ばしすぎたと反省しています。」

また、中村さんの「おわりに」には、こう書かれています。

  「そうだ、脳のことをもっと知りたい。
  そこに “私” がいるはずだから。
  私の探していた “私” がきっとそこにいるはずだから。
  そこからはもう、めくるめくような探検の旅だった。
  池谷先生に導かれて、脳という宇宙を縦横無尽に駆けめぐる旅だ。」

個人的には、池谷さんを饒舌にさせ、新たな魅力を引き出した、
中村さんの魅力(魔力?)には驚かされました。

池谷さんは、何か本当に魔法をかけられたようにさえ感じられます。

柔らかめのネタはこんな会話です。(以下敬称略および一部省略)

  池谷 : セックスで放出されるホルモンがあります。
      「オキシトシン」というのですが、これは相手を信頼する
      ことに関与するホルモンです。おもしろいことに、
      オキシトシンは他人に使うこともできるんです。
      相手の鼻に噴霧するだけで、効いちゃうんですよ。
  中村 : ん? どんなふうに?
  池谷 : 人をだますことができる。
      薬効から醒めると、「何であんなに信じたんだろう」と
      不思議に思うらしいのですが、ふたたび鼻に噴霧されると、
      また信じちゃうんです。そのくらい作用が強烈。
  中村 : それがセックスのときに出るんですね。惚れ薬みたい。
      鼻に噴霧したい人がいるんですけど、売ってますか?

この後も、セックスの感度の違いでオキシトシンの量は違うのか?
オキシトシンを風俗嬢に使ったら?
などと、まだまだお二人の会話は盛り上がります。

池谷さんの本では、先日紹介した『脳には妙なクセがある』も
良かったですが、池谷さんの新たな一面を見れるということでは、
本書の方がオススメ。

個人的に池谷さんの著作の中では、『単純な脳、複雑な「私」
と双璧をなす作品だと思います。

ちなみに、池谷さんのAmazon著者ページを見ても、
この2冊が、「脳観」が伝わる本として自薦されています。

この本から何を活かすか?

対談の後半で池谷さんと中村さんのお二人は、
米「23andMe社」に遺伝子診断を依頼しています。

これは99ドルで個人の遺伝子を鑑定してくれるサービス。

全遺伝子情報の解析ではありませんが、
一部パターン(スニップ)を解読すると、
その人の遺伝体質がわかるというものです。

唾液を23andMe社に送ると、結果をウェブ上で見られます。

これ、やってみたいですね。
自分だけでなく、妻や子どもの分も調べてみたい。

ちなみに、池谷さんはヘロインの常習性の高い遺伝子を
持っていると出ていました。

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キャリア官僚の仕事力

キャリア官僚の仕事力  秀才たちの知られざる実態と思考法 (ソフトバンク新書)キャリア官僚の仕事力 秀才たちの知られざる実態と思考法 (ソフトバンク新書)
(2012/12/18)
中野 雅至

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満足度★★★
付箋数:23

  「僕は、官僚を辞めてわかったことがある。
  それは、官僚がどんな仕事をしているか世間では全く
  知られていないということ。マスコミ報道の影響で、
  “悪者” と “エリート” という両極端が強調され、
  実態とは大きく乖離している。」

官僚とは、国家公務員Ⅰ種試験に合格して中央省庁に入った者。

日本では、官僚が国を動かしていると言われますが、
実際のところ、官僚がどのように働いているかは、
私たちのところには、あまり伝わってきません。

本書は、厚生労働省の元官僚・中野雅至さんが、
キャリア官僚の実態と、その仕事術を公開する本です。

キャリア官僚と言えば、東大法学部卒というイメージですが、
中野さん自身は、同志社大学卒という変わり種。

だからこそ、周りの東大卒の官僚の仕事ぶりを
第三者的に観察できたのかもしれません。

  「僕の経験からすると、仕事に相場観のある人は
  間違いなく出世する。」

私は相場観と聞くと、ついマーケット、投資のことを
連想してしまいますが、中野さんの言う相場観とは、
仕事の段取りを着想する能力のことです。

「現状 → 問題点 → 課題 → 解決策」という
一連の流れを短時間で考える能力。

これは、官僚の世界だけでなくあらゆるビジネスパーソンが
身につけたい力でもあります。

中野さんによると、元々優秀な官僚でも、
はじめから相場観が備わっているわけではないと言います。

相場観は仕事の環境によって養われる。

それは、できるだけ厳しい仕事をこなしてきた数に比例します。

つまり、幅広い「経験」が物を言うということですが、
官僚は人事システムとして、相場観が身につく環境が
否応なしに用意されているようです。

一般のビジネスパーソンで考えると、
あえて火中に飛び込むような覚悟で仕事をすると、
他の人より早く相場観を身につけられるのでしょう。

また、具体的な官僚の仕事術の中で、
私が注目したのは、そのプレゼンのノウハウです。

プレゼンといえば、外資系コンサルティングファームの
コンサルタントが上手いとイメージする人も多いと思いますが、
官僚のプレゼンの強みはそれとは少し違います。

  「特筆すべきなのは、官僚の質疑応答への対応力だ。
  プレゼンや講演の後の質疑応答に官僚はやたらと強い。
  答えにくい質問を含めて、どんな質問でも淀みなく
  答える官僚が多いのだ。」

官僚は、国民やマスコミから聞かれそうなことを
分厚い「想定問答集」を作って事前に準備しています。

模範解答を作ることよりもむしろ、「質問」を考えることに、
エネルギーを割く方がいいようです。

本書で紹介される官僚の仕事術は、
中には特殊な環境でしか使えないものもありますが、
一般のビジネスパーソンでも応用できるように
うまく紹介されていました。

この本から何を活かすか?

  官僚の文章作法

官僚は大量の文章を、誰からも突っ込まれないように
書かなければなりません。

中野さんが紹介する官僚の文章作法は、次の4つです。

  1. 帰納法を多用する
  2. 抽象的に表現した後に具体例を示す
  3. 接続詞を有効活用する
  4. 文章の最初と最後を、きちんと書いて読み直す

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 06:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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決算書が読めない社員はいらない

決算書が読めない社員はいらない決算書が読めない社員はいらない
(2012/12/13)
木村 俊治

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満足度★★★
付箋数:20

タイトルのような過激な内容ではありあせん。
中身はいたって実用的な財務諸表の読み方を解説する本。

  「私は公認会計士です。ですから、仕事の中で様々な決算書を
  読む機会がありますが、最初から決算書を読めたわけでは
  ありません。 “決算書を読めるようになった” と初めて思えた
  のは、会計士として仕事をして5~6年たってからだと思います。」

難関の会計士の試験に合格して、実務についていた
木村俊治さんでさえ、「決算書を読めたつもり」に
なっていたようですから、本当の意味で決算書を読める人は、
意外と少ないのかもしれません。

当時の木村さんが、「決算書を読めたつもり」になっていた
原因を次のように振り返っています。

  1. そもそも決算書を読むことの意味を知らなかった

  2. 決算書を読むための順序・コツ、そして分析手法の重要度を
    知らずに、無謀にも決算書をよもうとしてしまった

  3. 決算書を読めることのメリット、読めないことのデメリットを
    知らなかった

この3つのいずれかに該当する方は、本書を読む価値があります。

なぜなら、決算書を読めるようになることは、
仮に今は仕事上で経営分析をする立場になくても、
長い仕事人生の中で、必ず役立つことがあるからです。

もちろん、仕事以外でもファンダメンタルズ分析には、
財務諸表の読み込みは必須ですから、
株式投資をする場合にも、本書は非常に役に立ちます。

本書では3ステップで決算書を学びます。

  用語を理解する → 決算書のルールを理解する → 実践する

ただし、本書は「世界一やさしい」とか「サルでもわかる」
といったイラストをふんだんに使った、
概念を理解することだけを目的とした本ではありません。

決算書に出てくる用語を全く聞いたことのない人が、
初めて本書で学ぶことは、無理とは言いませんが、
結構ハードルが高いと思います。

本書を読む前に、超初心者用の決算書入門本を
一冊読んでおいた方が、スッと入っていけるでしょう。

  第1章 決算書は2時間で読めるようになる
  第2章 損益計算書は5つの利益を読む
  第3章 貸借対照表は3つのブロックの関連性を見る
  第4章 キャッシュ・フロー計算書は3つに分ける
  第5章 財務3表のつながりから見えてくること
  第6章 収益性と安全性の分析手法
  第7章 経営状況を推察する比較分析
  第8章 決算書をもっと上手に利用するために

本書自体は2時間で読めても、
ゼロの状態から2時間で決算書を読めるようにはならない
というのが、私の正直な感想です。

会計に関わらない一般人のレベルで言うと、
用語解説や財務諸表の構成を解説した後の「応答編」が、
本書では第6章~第8章に当たります。

全体の構成で見ても、この3つの章に60%近いページを
割いていますから、かなり実践的な内容の本だと言えます。

各章では、最初に「見るべきポイント」が
簡潔にまとめられているので、何を目的にその項目を学ぶのかが
わかるようになっているのがイイですね。

この本から何を活かすか?

本書の経営分析パートで実例として財務諸表が
取り上げられていたのが、ライバル関係にある
「ゼンショー(すき家)」、「吉野家」、「松屋」の3社でした。

牛丼の味の好みは別として、投資対象として
財務諸表を見るなら、この3社では「すき家」が魅力的。

もちろん、株式投資でファンダメンタルズ分析をするなら、
1株あたりの利益や、現在の株価が割高なのか割安なのか
なども考えなければなりません。

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| 会計・ファイナンス・企業分析 | 06:19 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本の選択 あなたはどちらを選びますか?

日本の選択 あなたはどちらを選びますか?    先送りできない日本2 (角川oneテーマ21)日本の選択 あなたはどちらを選びますか? 先送りできない日本2 (角川oneテーマ21)
(2012/12/10)
池上 彰

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満足度★★★
付箋数:22

本書は、サブタイトルにある通り、本書は2011年に刊行された
池上彰さんの「先送りできない日本」の続編です。

池上さんの前著は好評で、多くの読者から賛同を得ました。

しかし、それにも関わらず、依然、「先送り」ばかりして、
問題解決に動こうとしない日本の政治家や官僚に対して、
憤りを感じつつも、本書では新たに10個のテーマを取り上げます。

  第1章 消費税の増税に賛成? 反対?
  第2章 これからの社会保障は高齢者重視? 次世代重視?
  第3章 これからも “安くていいもの ”をつくり続けますか?
  第4章 領土問題は強硬に? 穏便に?
  第5章 日本維新の会に投票しますか? しませんか?
  第6章 大学の秋入学に賛成? 反対?
  第7章 教育委員会制度は存続? 廃止?
  第8章 原発ゼロに賛成? 反対?
  第9章 どうする、選挙制度改革。一票の格差を許せますか?
  第10章 がれきの広域処理は受け入れるべき? 断るべき?

私は、李大統領の態度の軟化の理由が、
本書を読むまでよくわかっていませんでしたが、
日本の切った「日韓通貨スワップ見直し」のカードが
かなり有効だったんですね。

  「韓国の李明博大統領が、少しやりすぎたかなと
  反省しているようです。このところ支持率の低下が著しい
  李大統領は、国内での支持率を上げるために反日感情を
  利用してきましたが、日本が厳しい対抗措置を取る様子を見せると、
  態度を軟化させました。」

「日韓通貨スワップ」は、いざというときに、
日本が韓国にドルを貸してあげるという、韓国の救済措置。

最近、ウォン高に苦しむ韓国ですから、
やはり、いざというときの日本の後ろ盾は失いたくないのでしょう。

本書は、テーマの重要度に少し差はあるものの、
いずれも賛否両論あり、日本が先に進むためには、
避けて通れない課題をとりあげています。

池上さん自身は、どうすべきか自分の意見を
言っているわけではありません。

また、賛成でも反対でもない、
第三の道を新たに提示するわけでもありません。

池上さんは、あくまで問題の背景や現在までの経緯、
賛成派・反対派それぞれの主張、
それが実現した場合に想定されることなどを
バランスをとってわかりやすく解説します。

いつものようにキュレーター的な立場を崩しませんが、
これらを材料に、自分の頭で考えて、
読者一人ひとりが行動を起こすように促します。

実際、池上さんが様々なメディアを通じて問題を提起し、
わかりやすく説明しても、なかなか良くならないのが現状。

むしろ、今までの問題は解決せずに先送りされ、
新たな問題が持ち上がってきますから、
池上さんのストレスは以前より高くなっているのかもしれません。

そのため過去の著作と比べると、背後にある池上さんの主張が、
少しだけ滲み出ている感じもします。

この本から何を活かすか?

  「若い人はこれから年金保険料を払い始めるのは
  嫌だなと思うかもしれません。」

私も、若い人ならそう考えて当然だと思います。

ただし、老後を年金に頼らずにやっていけるように、
自分で行動を起こしている人は少ないように感じます。

個人的には、若い世代に限らず、それぞれの世代が、
年金だけを頼りにせずに、自分で老後をなんとかする道を
もう少し考えていれば、利害のからみも少なくなり、
年金制度改革も先に進むのではないかと考えます。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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部下を育てる「承認力」を身につける本

部下を育てる「承認力」を身につける本 (DO BOOKS)部下を育てる「承認力」を身につける本 (DO BOOKS)
(2013/01/31)
吉田 幸弘

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満足度★★★
付箋数:20

著者の吉田幸弘さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

米国の心理学者、アブラハム・マズローさんが
提唱したことで知られる「欲求階層説(欲求のピラミッド)」。

人はピラミッドの低次の欲求が満たされると、
一段上の欲求が高まり、その欲求を満たすための行動を
起こすという学説です。

ピラミッドの第一階層の「生理的欲求」は、食べたい、寝たい
などの生きていくための基本的・本能的な欲求。

次の第二階層は、安全・安心な暮らしがしたいなどの「安全欲求」。

これらを満たした後の第三階層は、「社会的欲求」で、
集団に属したり、他人と関わることを求めます。

更に上の第四階層では、他者から認められたいなどの
内的な心を充たしたいという「承認欲求」が現れます。

最後のピラミッドの頂点は、自分の能力を引き出し
創造的活動がしたいなど「自己実現欲求」の欲求が生まれます。

本書は、この中の第四階層「承認欲求」に焦点を当て、
部下を承認することでモチベーションを上げ、
活気ある組織づくりをするための本です。

人は誰でも他人から承認されたい。

ほめる、叱ることも大事ですが、コミュニケーションの第一歩は
相手を承認することから始まります。

それはわかっていても、いざ職場で部下を承認しようとすると、
いったいどんな言葉をかけたらいいのか戸惑うものです。

ほめることがない部下、ミスを繰り返す部下、
成績優秀で気が強い部下、言われたことしかしない部下、
理屈ばかりで行動に移せない部下、年上の部下・・・・

職場には困った部下が溢れています。

彼らの欠点や直して欲しいところなどのマイナス面は、
すぐに指摘(承認)できます。

しかし、モチベーションを向上させるために必要なのは、
マイナスではなく、プラスの承認。

本書では、部下を承認するほめ方、叱り方、言葉の使い方、
しぐさなどをわかりやすく解説します。

  第1章 承認体質をつくるための心構え
  第2章 承認体質が浸透する環境づくり
  第3章 言葉で承認しよう
  第4章 言葉以外でも承認しよう
  第5章 チーム運営
  第6章 困った部下はこう承認しよう

  「自己開示して自分の失敗をさらけ出す上司に対して、
  部下は “私を認めてくれているから話してくれたのだろう”
  と、プラスの承認を感じることでしょう。」

この言葉通り、吉田さんは本書の中で、
自分の失敗談を数多く紹介しています。

上司と部下との関係ではありませんが、
読者にも吉田さんが自己開示していることが伝わります。

また、吉田さんの体験談が、「承認力」を身につける
ビフォー&アフターの具体例にもなっています。

本書は、部下が思うように動かないと感じたり、
部下との間に壁を感じる場合に参考になる本です。

この本から何を活かすか?

ネガティブな言葉をポジティブに置き換えるマジックワード。

短所は、見方を変えれば長所にもなるとは、よく言います。

では、実際のコミュニケーションでは、どのように
ネガティブな言葉をポジティブに置き換えたらよいのでしょうか?

  「裏を返せば・・・・」

このひと言で、欠点をほめ言葉に変えることができると
吉田さんは解説します。

パッと思い浮かばなくても、「裏を返せば・・・・」と言って、
本人に考えさせることもアリだと思います。

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| コミュニケーション | 06:21 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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ずる

ずる―嘘とごまかしの行動経済学ずる―嘘とごまかしの行動経済学
(2012/12/07)
ダン アリエリー、Dan Ariely 他

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満足度★★★
付箋数:25

本書は「予想どおりに不合理」、
不合理だからすべてがうまくいく」に続く
ダン・アリエリーさんの3作目の著作。

ニュースなどを賑わす、詐欺行為や企業の不正行為。

これらの「ずるい」行為は、少数の悪人によって行われることで、
私たち一般市民には関係のないことなのでしょうか?

  「はっきり言わせてもらおう。
  あいつらはずるをする。あなたもずるをする。
  そしてそう、わたしもときどきはずるをする。」

アリエリーさんは言います。

不正は、少数の外れ者だけに限った行為ではないので、
誰もが仕事や家庭で「ずる」をしかねない。

だからこそ、不正が起こる本当の仕組みを理解し、
コントロールする必要がある。

アリエリーさんの1作目と同じ頃に刊行された、
ティム・ハーフォードさんの「人は意外に合理的」では、
人は費用便益を考えて、合理的に不正を働くと説明されています。

例えば、違法駐車をする場合、想定される費用と、
(捕まったり、罰金を払ったり、レッカーされることなど)
得られる利益(楽できる、駐車料金を払わない、時間の節約など)
を天秤にかけて、善悪の判断を入れずに意思決定していると。

これを「シンプルな合理的犯罪モデル(SMORC)」と呼びます。

しかし、アリエリーさんは本書で、
不正はもっと複雑な要因で起こっていると仮説を立てます。

それが「つじつま合わせの仮説」。

人には相反する2つの心理が働きます。

1つは、自分を正直で立派な人物だと思いたいという心理。
もう1つは、ごまかしから利益を得て、得をしたいという心理。

私たちは、この2つの心理を認知的柔軟性により、
いいとこ取りをして、うまくバランスを取っていると、
アリエリーさんは説明します。

簡単に言うと、自分のイメージを損なわない、
正当化できる程度のずるなら、「これぐらいならいいだろう」と
倫理の境界線をちょっと動かし、やってしまうようです。

本書では、人の不正行為を説明するには「SMORC」ではなく、
「つじつま合わせの仮説」が有効であることを検証るために、
数々の実験を行っています。

そして、どういった場合に、つじつま合わせの係数が大きくなり、
不品行や不正行為を行なっても、違和感を覚えにくくなるのか。

あるいは、どんな場合に、つじつま合わせの係数が小さくなり、
自分の行為を正当化できなくなって、
不正やごまかしに違和感を持ちやすくなるのかを考察します。

あまり色々な話題を取り上げず、
一冊まるまる「ずる」について深く検証した結果、
不正を防止するために得られた結論は、
けっこう平凡なところに落ち着きます。

ですから、本書のアドバイスを参考にして、
劇的に不正行為が減ることはないでしょう。

私たちが、あまり根拠なくやっている、不正防止対策が、
意外と効果があると実証されたという感じです。

本書は、結論だけを読んで納得するタイプの本ではなく、
仮説を検証するプロセスを楽しむ本だと思います。

この本から何を活かすか?

  「誘惑に抵抗するには大変な努力とエネルギーが必要
  だというのが、自我消耗の基本的な考え方だ。」

つまり、脳が疲れているときは、誘惑に負けやすい。

朝、ダイエットを誓っても、
夜になると、つい食べてしまうのはこのためです。

アリエリーさんのアドバイスは、
誘惑に打ち勝つことにエネルギーを注ぐよりも、
誘惑自体を避けるようにすること。

それが簡単にできれば、苦労しない・・・・

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| 経済・行動経済学 | 06:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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人生をやめたいと思ったとき読む本

人生をやめたいと思ったとき読む本: マンションから飛び降りたぼくがあなたに贈る 生きる力がわいてくる30のメッセージ人生をやめたいと思ったとき読む本: マンションから飛び降りたぼくがあなたに贈る 生きる力がわいてくる30のメッセージ
(2013/01/11)
澤登 和夫

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満足度★★★
付箋数:18

東洋経済新報社、中村さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

本来、この本は私が読むべき本ではありません。

なぜなら、著者の澤登和夫さんは、
「人生をやめたい」と思っている人のことだけを考えて、
この本を書いているからです。

でも正直、読んでよかった。

  「2005年8月のある朝、ぼくはボーッとしながら家の近くを
  歩いていました。元気になりたいための散歩ではなく、
  どのマンションから飛び降りるか決めるために歩いていました。
  そして、その日の夜、ついにスイッチが入りました。」

澤登さんは、大学卒業後、大手物流会社に勤務し、
仕事では着実に実績を残し栄転、
更にプライベートでは4年間付き合っていた彼女と結婚し、
人が羨む順風満帆な人生を歩んでいました。

しかし、栄転と結婚のわずか4ヶ月後、「うつ病」と診断されます。

そして、今から7年前の夏の日、澤登さんは、
マンションの最上階から、何の躊躇もなくポンっと飛び降りました。

澤登さんが、うつ病で苦しんでいた頃、
藁にもすがる思いで、いろいろな本を読みましたが、
その対処法は頭では理解できるものの、
「今の自分には無理」と感じていたそうです。

この本は、澤登さんが「人生をやめたい」と
思っていたときに、感じていたことを綴ることで、
今現在、行き場がないと感じている人に
静かに寄り添って、支えとなります。

澤登さんが本当に苦しんでいた当時の心情がリアルに
書かれていますから、心が健康な人が読むと、
少し辛いかもしれません。

また澤登さんは、うつで自殺未遂を起こした後、
今度は潰瘍性大腸炎を患い、大腸を「全摘出」してしまいます。

しかし、そんな状況でも、うつ友や家族に支えられ、
澤登さんは「死にたい」という気持ちが、
本当は「生きたい」の裏返しの気持ちであることに
気づくようになります。

そして、今では「うつ」が自分の命を守ってくれたと
思えるようになり、うつ専門のカウンセラーとして、
かつての澤登さんのように「人生をやめたい」と思っている人の
手助けをしています。

本書は本当に助けを必要としている人には、
ぜひ、手にとって欲しい本です。

この本から何を活かすか?

今から十数年前、私のサラリーマン時代にも
「うつ病」を患う同僚がいました。

あるとき会社で大規模なリストラを敢行することになり、
彼と私は、リストラする側にまわってします。

楽天的な私と違い、まじめ過ぎる同僚は、
他の従業員を解雇することに、苦しんでいました。

そして、突然の首吊り自殺。

残念なことに、澤登さんの場合とは違い、
私の同僚の自殺は成功してしまいます。

昨日まで、一緒に仕事をしていた同僚が死を選択したことで、
私ははじめて彼の苦悩の深さを知りました。

彼が悩んでいたときに、もっと自分にできたことが
あったはずだったと、私は悔やみました。

当時の私には、うつの人には「頑張れ」が禁句だという
程度の認識しかなく、彼とどう接していいのかわからない
というのが正直なところでした。

あの時、この本のことを私が知っていたら、
何も言わず、彼にこの本を渡していたでしょう。

二度と同じ後悔をしないために、
この本のことは、心に留めておきます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 心に効く本 | 10:35 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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金持ちになる人の財布、貧乏になる人の財布

金持ちになる人の財布、貧乏になる人の財布金持ちになる人の財布、貧乏になる人の財布
(2012/12/11)
羽根田 修

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満足度★★★
付箋数:18

財布の本ではなく、片付けの本。

お金を貯めるには、節約することが必要ですが、
節約の前に、まず「片づけ」をしましょうというのが、
本書のコンセプト。

著者の羽根田修さんは、2つの顔を持ちます。

1つ目の顔は、工場のコスト削減コンサルタント。

これが羽根田さんの本職で、多くの工場を見てきた結果、
儲かる工場は、片づけを重視していることがわかりました。

工場では、「片付け=整理整頓」こそがコスト削減の要です。

もう1つの羽根田さんの顔は、アパートの大家さん。

羽根田さんは、投資のためにアパート経営をしているので、
大家さんとして何世帯もの部屋を見ています。

たくさんの住人の部屋を見て気づいたのは、
家賃滞納者ほど、部屋が汚く、片づけができていないということ。

この2つのことから、お金を貯めるためには、
片づけが必須であると考え、羽根田さん自身も
「片づけ → 節約 → 貯金」のサイクルを
ぐるぐる回して、資産を増やしているそうです。

羽根田さんが本書で片づけを指導するのが3つの場所です。

まず最初に片づける場所が「財布」の中。

財布から手を付ける理由は、財布はお金の家であり、
片づけやすく、中身をチェックする習慣を身につけて欲しいから。

本当はしっかりと家計簿をつけて、
お金の使い道や残高を確認したいところですが、
ハードルが高いと感じる人も多いので、
最初の一歩として、財布の中身を整理することから始めます。

次に片づけるのは、「机」の上。

机を片づける理由は、部屋片づけのスタートであり、
家計簿をつける場所であり、夢を実現させる作業場所だから。

そもそも机を持っていないという人もいると思いますが、
羽根田さんは、長時間集中できる環境をつくるためにも、
机を持つことを強く推奨しています。

最後に片づけるのは、「部屋」。

判断基準を持って、不要なものを捨てることで、
本当に必要なものだけを残します。

何を残して、何を捨てるかに関しては、
持ち物の99%を処分して、1%を残したという
高城剛さんの本「LIFE PACKING(ライフパッキング)」が
参考になるかもしれませんね。

個人的には、羽根田さんの「片づけから始める」という
コンセプトには賛成です。

ただし、これはあくまで、今までお金を貯めることに
無頓着であったり、なかなかできなかった人が、
ハードルを下げて始めるための話し。

実際にお金を貯めていくには、
羽根田さんも不動産投資をしているように、
「片づけ → 節約 → 貯金」のサイクルの後に、
「投資」を加えて、
「片づけ → 節約 → 貯金 → 投資」のサイクルで
回す必要があります。

この本から何を活かすか?

家計簿だけでは片手落ち。

節約系の本では、家計簿をつけることの重要性が説かれます。

私も家計簿は必須だと思います。

しかし、企業では損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)が
必要なように、家計でもこの両方を押さえるべきだと思います。

家計でフローを把握するために、PLとキャッシュフロー計算書を
分ける必要はありませんが、ストック(BS)は記録したいところ。

家計簿はPLに当たるので、それとは別にBSも必要。

また、ダイエットで体重の推移を記録して、
だんだん減っていくことが、モチベーションになるように、
資産が毎月増える(または負債が減る)様子を記録すると、
それが資産形成への大きなモチベーションにもなります。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| マネー一般 | 06:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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