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日本経済 「円」の真実

日本経済 「円」の真実日本経済 「円」の真実
(2012/10/16)
榊原 英資

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満足度★★
付箋数:17

1995年4月、為替レートは1ドル80円を割り込み、
当時の史上最高値、79.75円をつけました。

この時、大蔵省国際金融局長に就任した榊原英資さんは、
積極的に為替介入を行い、4~5ヶ月で円を100円台に
戻すことに成功しました。

その後、ドル円の流れは大きく変わり、
1998年の147円台まで続く、円安のトレンドを作りました。

この歴史上、最も成功した為替介入の仕掛け人として、
榊原さんは「ミスター円」と呼ばれるようになりました。

それでは、現在の1ドル80円前後の為替レートを、
「ミスター円」こと榊原さんは、一体どのように見ているのでしょうか?

本書には、次のように書かれています。

  「たとえいま私が財務省に戻ることになっても、
  かつてのように為替介入をすることはないだろう。」

榊原さんは、その理由を2つ挙げています。

  「一つは、現在の為替水準は、正しい意味で “円高” ではないからだ。
  そしてもう一つは、為替介入には効果が見込めないからである。」

榊原さんの認識では、実質実効為替レートで見ると、
1ドル80円を切った状態は円高ではないようです。

また為替介入は、かつて榊原さんが行った時のように、
日米の利害が一致した協調介入でなければ
効果がないと述べられています。

榊原さんは、経済の流れを読み解くとき、
最も頼りになる基準は、「為替」であると言い切ります。

本書で榊原さんは、経済にまつわる「22の通説」を
通貨の観点から分析し、そこから見える「真実」を解説します。

非常に平易な言葉で語っていますから、
経済にまったく明るくない人が読んでも十分理解できる内容です。

ただし、私には、榊原さんの主張する「真実」に
同意できるものもあれば、同意できないものもありました。

「同意できた」真実の代表は以下の通りです。

  通説17 「日本の借金は世界一。消費税増税はまったなし」
  真実 「世界同時不況の下、 “時期” は今ではない」

  通説20 「投機資金が為替市場を混乱させる」
  真実 「投機は市場に不可欠。乱高下は問題ではない」

「同意できなかった」真実の代表は以下の通りです。

  通説5 「深刻な円高が止まらない。早期解消が求められる」
  真実 「名目70円台は正常。本当の円高はこれから」

  通説13 「円高のせいで輸出企業の不振が続いている」
  真実 「日本企業の言い訳。不振の原因は別にある」

  通説15 「デフレ不況の原因は、日銀の円高放置」
  真実 「そもそもデフレではない。円高が物価を安定させる」

もちろん、人それぞれの見方があるので、
榊原さんのような考えがあってもしかるべきだと思います。

また、榊原さんは財団法人インド経済研究所の所長を
務めるだけあって、本書の後半では、
インドに対する思い入れが強く現れていました。

この本から何を活かすか?

「曲がり屋に向かえ」

これは、予測がまったく当たらず負け続けている人の
反対売買をすれば成功するという意味の格言です。

本書で榊原さんは、次のような予想を述べています。

  「2012年~2013年は、第二次世界大戦後
  “最悪の年” になる可能性がある」

  「私の見立てでは、名目レートで円高は当分続く。
  2012年9月以降6ヶ月~1年で言えば、75円~80円のレンジだろう。
  (中略)ただしアメリカ経済が腰折れすれば、70円台の前半、
  場合によると60円台もある。」

本書が刊行されたのは2012年10月ですが、その直後から、
ドル円は榊原さんのレンジ外れる動きをしています。

2012年12月7日現在、82円台で推移。

ここから、榊原さんが本当の「曲がり屋」となるか注目です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 経済・行動経済学 | 06:31 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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