活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2012年08月 | ARCHIVE-SELECT | 2012年10月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

確率・統計でわかる「金融リスク」のからくり

確率・統計でわかる「金融リスク」のからくり (ブルーバックス)確率・統計でわかる「金融リスク」のからくり (ブルーバックス)
(2012/08/21)
吉本 佳生

商品詳細を見る

満足度★★★★★
付箋数:29

デイトレードと長期投資は、どちらがリスクが高いのか?
株式投資とFX、本当はどちらがリスクが高いのか?

世間では、なぜかデイトレより長期投資の方が
良いイメージで、安全と思われている節があります。

ウォーレン・バフェットさんという偉大な投資家が、
長期投資派ですから、そういう認識が広まっているのでしょう。

また、1926年にわずか24ドルでマンハッタン島を白人に売った
アメリカ先住民が、6%複利で運用を続けると買い戻せる金額に
なるなんてエピソードも有名ですから、リスク計算をせずに、
長期投資はスゴイと思った人もいるはずです。

大切なのは、イメージに踊らされずに、リスク計算すること。

  「金融の世界では、漠然とした “危険性” を、
  確率や統計データを意識して把握しようとするとき、
  これを “リスク(risk)” と呼びます。(中略)

  本書がめざすのは、漠然としか意識されないことがふつうの
  金融商品の危険性を、確率・統計で裏打ちされたリスクとして
  具体的な数字でとらえることです。」

リスクとは、すなわちボラティリティ。

価格が変動すると損失する可能性もありますが、
逆に利益の源泉でもあります。

そのボラティリティを計算するのが、確率・統計なのです。

しかし、そんな机上の計算が実際の投資で役に立つのでしょうか?

  「カジノにパソコンを持参して、統計分析を駆使しながら
  儲けようとすると、即座に追い出されます。
  “確率をきちんと計算して儲ける” やり方は、
  それほど強力なのです。」

ただし、金融市場ではサイコロを振るのと違って、
確率がはっきり見えないところがあったり、
人の心理が働いたりするなど、
カジノよりも確率計算の威力は若干薄まります。

さて、本書では確率・統計の知識を正しく使って、
喧伝されている金融商品や金融市場のイメージを覆す本です。

著者は、「スタバではグランデを買え!」で有名な吉本佳生さん。

吉本さんの著書では、2005年に刊行された
金融広告を読め」が傑作と言われていますが、
個人的に本書はそれを上回っていると思います。

ただし、本書は講談社ブルーバックスからの
刊行ということもあって、読み物の部分よりも
計算のための図表が多くなっているところが、
好みの分かれるところかもしれません。

それでも、私は買いの一冊として本書を強く薦めます。

この本から何を活かすか?

ちなみに、冒頭の「問い」ですが、正しくは、
デイトレードより、長期投資の方がリスクがあり、
外貨投資よりも株式投資の方がリスクがあります。

詳しい解説は、本書を参照してください。 

マンハッタン島の話も、なぜか毎年6%の利益が上がることが
前提になっていますが、逆のパターンも考えてみるべきでしょう。

現在のマンハッタン島を買い取れるだけの資産を持つ人が、
長期投資をして毎年6%の損を出し続ければ、
いずれ24ドルまで減ってしまう可能性があるということです。

また、本書の計算結果を少しだけ紹介すると、
株式投資の中でもローリスクの日経平均への投資は、
外貨投資の中でもハイリスクの豪ドル投資よりも
1.6倍リスクが高くなっていました。

ただし、現実の投資でデイトレと長期投資を比べる時は、
リスク以外に手数料を考慮する必要があります。

また、FXで破綻する原因は、通貨のボラティリティよりも、
ポジションサイジング(大きすぎるレバレッジ)
にあることも忘れてはいけません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| トレード | 10:22 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

| PAGE-SELECT |