活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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(日本人)

(日本人)
(日本人)
(2012/05/11)
橘 玲 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:26

  「私たちは日本人である以前に人間(ヒト)である。
  人種や国籍にかかわらず、ヒトには共通の本性がある。
  だとしたら“日本人性”とは、私たちから人間の本性を差し引いた
  あとに残ったなにものかのことだ。」

タイトルは、「かっこにっぽんじん」と読みます。
本書は、橘玲さんが東日本大震災をきっかけに考えた「日本人論」。

それは従来の、「和をもって貴しとなす」という
日本人観を根底から覆すものです。

今まで、私たちがイメージする日本人像は、
次のようなジョークに象徴されるものでした。

  沈没しそうな船の救命ボートに、定員オーバーのため
  1人だけ乗ることができません。
  船員は男性客に船に残るように説得します。

  英国人に「君こそ紳士だ」
  米国人に「君こそヒーローだ」
  日本人に「皆さんそうしてらっしゃいます」

横並びが好きで、空気を読むことを大事にするとされる日本人。

しかし、橘さんは本書のイントロダクションで、
「世界価値観調査」の結果を引用し、
日本人が他の国々と比べ大きく異なる、3つの特徴を挙げています。

それは、国のために戦う気がなく、日本人としての誇りもなく、
権力や権威を嫌う、という日本人像でした。

日本人は、なぜ、このような特異な価値観を持つようになったのか?

  「本書はこの“謎”を出発点に、私たちは何者で、
  どのような社会に生きているかを解明していく。
  そこでは、進化心理学の知見が私たちの旅を助けてくれるだろう。」

橘さんが、本書を着想したのは、山岸俊男さんの一連の著作で、
「日本人はアメリカ人よりも個人主義的」で、
「アメリカ人は日本人より協調的で他人を信頼する」という
主張に触れたのが、きっかけだったようです。

そこに金融・経済、リバタリアニズム、
伽藍を捨ててバザールへ行け、など過去の著作でも述べられてきた
主張で味付けをしながら、真の日本人像に迫ります。

日本人とは何なのか、そしてこれから私たちは、
どこに向かうべきなのか?

本書はとにかく話題が豊富で、途中で何を論じていたのかを
忘れてしまうぐらい様々な知識が盛り込まれています。

いずれも、世の中を別の角度から見る視点を与えてくれる
面白い話しばかりですが、日本人を論じるには必要ない部分も
あるように感じました。

しかし、テーマにこだわらず400ページ近くの「橘ワールド」を
堪能できると考えると、貴重な一冊でした。

この本から何を活かすか?

  「ハシズムとは純化したネオリベである」

本書で言う「ハシズム」は、橋下徹大阪市長の政治哲学を意味します。
「ネオリベ」とは新自由主義(ネオリベラル)です。

  「橋下市長はなぜ、わずか140文字のツイッターで
  あらゆる批判を粉砕することができるのか?
  ここに、ハシズムの本質が隠されている。」

本書の中で、このように橋下さんの政治哲学について
論じられているパートは秀逸です。

ネオリベを超えるのはリバタリアンしかないという
橘さんらしい着地点にもっていくのは別にして、
現在進行形の橋下政治についての考察は必読に値します。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:54 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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