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世襲企業の興亡

世襲企業の興亡 同族会社は何代続くか
世襲企業の興亡 同族会社は何代続くか
(2012/06/05)
有森 隆 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:18

さくら舎の古森さんより献本いただきました。ありがとうございます。

  「世襲&同族企業は別名、ファミリー企業と呼ばれる。
  日本は中小企業が多いから、95%がファミリー企業だ。
  出資比率が5%しかなくても、創業家一族が経営トップとなって、
  実質的にその企業を支配していればファミリー企業だ。
  日本を代表するファミリー企業はトヨタである。」

トヨタぐらいの規模になると、私たちが持つファミリー企業の
イメージからずいぶん離れているように感じがしますが、
有森隆さんの定義では、ファミリー企業になります。

つい最近でも、ファミリー企業の「強さ」が見直され、
国内外を含めて、何代も続く同族企業が脚光を浴びたこともあります。

しかし、一枚岩の「強さ」は、「脆さ」の裏返し。

有森さんは、本書で世襲&同族企業の4つの盲点を指摘します。

  1. 公私混同
  2. 骨肉の争い
  3. 血は水より濃いことを態度で示す親バカ
  4. 自信過剰

ダメになっていく世襲&同族企業は、これらの4点のうち、
いくつかの問題を抱えているようです。

本書で有森さんが、その興亡をレポートするのは、
一時代を築きながら、現在はその輝きを失ってしまったり、
あるいは破綻してしまった7社です。

その中には、独自の経営を貫くために、
あえて非上場の道を選んだ企業もあります。

  ・大王製紙(井川家)  二代目“中興の祖”の独裁
  ・武富士(武井家)  サラ金トップ企業の誕生と破滅
  ・スズキ(鈴木家)  婿養子経営の大成功と誤算
  ・ワコールホールディングス(塚本家)  初代に潰された二代目
  ・ヤマハ(川上家)  非オーナー経営者三代の悲劇
  ・林原(林原家)  超優良企業の隠された虚飾
  ・セイコーホールディングス(服部家)  華麗なる一族の骨肉の争い

巨額融資事件で大王製紙の井川意高さんが逮捕されたのは、
2011年のことですから、まだ記憶に新しいところですね。

この事件で、創業家は本体の経営陣から一掃されました。

しかし、大王製紙グループでは、生産を担う多くの子会社の
株式を創業家が握っているため、いまだ井川家の実効支配から、
抜け出せない状況にあるようです。

本書では、一族の関係や支配の歴史がわかるように、
家系図も資料として掲載されています。

そして有森さんは栄華を極めた企業が、
どのように転落していったのかを、鋭く内側に切り込み、
詳細にレポートしています。

この本から何を活かすか?

昨日、福岡伸一さんの本を読んだばかりなので、
世襲&同族企業には「動的平衡」が働いていないように感じました。

生物が生きていくために必要な「動的平衡」。

細胞が入れ替わることを拒んでは、
企業もまた、長く生きていけないということでしょう。

また、別の表現で喩えると、
「世襲&同族企業=固定相場」だと思います。

固定相場制は、あくまで発展途上国が一時的に採用するもの。

為替の変動がなく、一見、メリットがあるように見えても、
自国の金融政策を放棄しなければなりません。

固定相場制の脆弱性は歴史が証明していますから、
経営トップを創業者にペッグした世襲&同族企業も
同じような脆さを抱えていると言えるでしょう。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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