活かす読書

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せいめいのはなし

せいめいのはなし
せいめいのはなし
(2012/04/27)
福岡 伸一 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:27

  「さまざまな方と“対談”をしてきました。
  ですが、この本で語り合った四人ほど、この人に会ったから、
  次はこの人に会いたい-そういった連なりをもった人たちは
  いませんでした」

本書は生物学者の福岡伸一さんが、
4人のゲストの方を迎えた対談本です。

1人目のゲストは、「街場」シリーズでおなじみの思想家、内田樹さん。

福岡さんは内田さんのために、何枚かのスライドを用意して、
対談を行なっています。

内田さんがゲストと言うより、福岡さんがゲストという雰囲気。
「動的平衡」を経済に当てはめる議論が興味深いところです。

2人目の対談者は、芥川賞作家の川上弘美さん。

川上さんは、生物学科出身で高校で生物を教えた経験もあります。

福岡さんとは同じ生物学系ということで、
すぐに会話が噛み合いました。

この対談では、ガン細胞とES細胞が非常に似ているという
少し専門的な話まで出てきます。

3人目も、芥川賞を受賞した作家で、朝吹真理子さん。

朝吹さんは将棋が趣味ということで、盤面の記憶方法の話しから、
人間の記憶蓄積方法についての話題から対談が始まります。

私たちの記憶も「動的」なものであると。

4人目の対談者は、「バカの壁」で有名な解剖学者の養老孟司さん。

養老さんは昆虫採集の大家であるため、
昆虫少年だった福岡さんとの話が盛り上がるだろうと
予想していましたが、まさに予想通りの対談でした。

もちろん、昆虫話で盛り上がるだけでなく、
お2人は様々なテーマについて対談の中で取り上げ、
後半では「言葉とは何か」といった深い内容にまで踏み込んでいます。

4人の方、いずれとの対談も、非常に中身が濃く、
甲乙がつけがたいぐらいに面白い内容です。

しかし、対談者だけを個々に見てみると、
福岡さんの言うような「連なり」や「関係性」は見えません。

一体、この4人に連なっているものは何なのか?

福岡さん自身も、すべての対談が終わるまでは、
その連なりは見えなかったそうですが、
今ではその連なりが見えると。

  「ひと時として“同じ自分”はおらず、その一瞬一瞬で、
  “私”は移ろっていきます。それぞれの私の“瞬間”を受け止め
  反射してくれたのがこの四人なのです。四人によって“福岡伸一”の
  瞬間が何枚も映し出され、それは私でさえ知らない“福岡伸一”を
  形作ってくれたように思います。」

4人の方は、福岡さんの動的平衡を映す鏡だったようです。

つまり本書は、福岡さんが4人のゲストから
何かを引き出したというより、4人のゲストによって、
福岡さんが引き出された対談本だったと言えます。

また、本書のタイトルは、バージニア・リー・バートンさんの
傑作絵本「せいめいのれきし」へのオマージュとして、
「せいめいのはなし」とつけられているようです。

この本から何を活かすか?

  「続・生物と無生物のあいだ」

私が福岡さんのファンになったのは、
生物と無生物のあいだ」がきっかけでした。

本書には、その後日談が紹介され、
続編のネタが少しだけ披露されています。

動的平衡にも「破綻」があった。

とにかく、福岡さんのファンとしては
「続・生物と無生物のあいだ」が待ち遠しいですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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