活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2012年05月 | ARCHIVE-SELECT | 2012年07月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

0点主義

0点主義 新しい知的生産の技術57
0点主義 新しい知的生産の技術57
(2012/05/16)
荒俣 宏 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:25

  「どんなにマイナーなことでも、いつかはきっと多くの人が興味を
  持ってくれる。ただ、それまでじっと耐える辛抱が必要なだけだ。
  お化けの世界だって、今はとてもポピュラーなように。」

この言葉、荒俣宏さんから聞くと重いですね。

荒俣さんといえば、博物学者にして神秘学の権威、
そして作家・翻訳家としても活躍する、
まさに博覧強記という言葉がピッタリの知の怪人です。

サブタイトルには「知的生産の技術」とありますが、
本書で解説されているのは「勉強法」です。

その名も「アラマタ式0点主義の勉強法」。

これは、熱い情熱に衝き動かされる勉強法で、
学校の試験で100点を目指すものではありません。

  「この本がテーマにしているのは、人の知力という点で、
  ストライクを投げる能力ではなく、ここぞという場面で相手を
  空振りさせる“決め球”の磨き方だ。そしてこういう球は、
  試験でストライクかどうかを判定すれば、ボール、
  つまり0点にしかならない。」

はじめは世間に認められない「0点」であっても、
極めることで、大きな武器になるということです。

確かにどんな分野でも、荒俣さんのようにトコトン掘り下げていけば、
その分野の第一人者になることができます。

自分の興味があることを見つけ出したら、次の流れで学習を加速します。

  1. 勉強するのがとても楽しく、脳も喜び、幸せになる。
  2. 幸せを感じたおかげで、勉強によって得たものすべてが血肉になる。
  3. 学んだことが身についた実感、勉強の楽しさを感じて、
    さらに興味を追求してみたくなる。

まさに理想的な勉強の仕方ですが、
問題は、そこまでのめり込むほど好きな分野があるかということ。

ここで大切なのは、好きではないことを、好きにしてしまう力です。

  「好きなことは、私でなくとも誰だってやれる。
  ただ、私には好きでないのにしなければならなくなったことを、
  好きなことにの一つにしてしまえる変な能力があると思っている。」

誰もやっていない、ニッチな分野で第一人者にならなくとも、
心の在り方を変えて、嫌なことや苦手なことを、
好きになるようにコントロールできれば、
今まで苦痛に感じていた仕事さえ、楽しくできるはずです。

本書には、荒俣さんの体験から、好きでないことを好きになことに変え、
理想的な勉強のサイクルを回すコツが披露されています。

この本から何を活かすか?

荒俣さんは、あの膨大な知識をどのように得ているのか?

  「私の場合、一日の中には、決まって再読に費やす時間がある。
  といっても、興味がある本や資料を読み返しているだけなのだが、
  その “繰り返し力” のおかげで、数百ページもある図鑑でも
  なんとなく “ここにはこんな色の絵があったな、そこにあの情報が
  あったな” と思い出すことができる。」

本を読んだ場合、関心のある部分に絞って再読するのがポイント。

大きな情報を切り刻んで、興味のある情報だけコンパクト化し、
いつでも取り出せるようにするようです。

私も、読んだ本は翌朝に軽く再読を行います。

しかし、この荒俣さんのコメントを読んで、
もう少し再読の時間を長めにとってみようと思いました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 勉強法 | 11:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

経営学を「使える武器」にする

経営学を「使える武器」にする
経営学を「使える武器」にする
(2012/05/18)
高山 信彦 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:29

  「“A社はXで成功した” “B社もXで成功した” “C社も同様だ”。
  であれば “企業はXをするべきだ” となります。
  一見、とても論理的です。勉強にもなる。でも考えてみてください。
  こうしたアプローチには “Xをしても成功しなかった企業はないのか”
  “どうすればXができるのか” という視点が欠落していませんか。」

高山信彦さんは、世間にあふれる経営学の本の欠点を
このように指摘します。

安易な帰納的なアプローチだけでは、実際の企業価値向上には
何の役にも立たないと。

それでは、高山さん自身は経営コンサルタントとして、
どのように企業の経営を動かしているのか?

高山さんは、コンサルティングの契約を結んだ企業に対し、
1枚もレポートを出しません。

更に、経営計画の草案を書くことも、
パワーポイントでまとめた資料を出すこともありません。

その代わり行うのが、ゼミナール方式の「人材研修」。

1回きりのスポット研修ではなく、年間を通じて、
あるいは10年以上も継続して行われる「授業」です。

ならば、高山さんは、単なる人材研修の講師なのでしょうか?

否。

なぜなら、高山さんの手法は「人材研修」ですが、
狙いは「経営革新」「事業革新」にあるからです。

高山さんは授業で、経営学の古典を読み込むことを求めます。

特にマイケル・ポーターさんの「競争優位の戦略」。

その理論をもとに、とことん戦略を考え抜き、
VOC(顧客の声)を集めて仮説・検証を繰り返し、実践に移します。

授業形式ですから、前半は経営大学院の授業と
大きな違いはないかもしれません。

しかし、「How」ではなく「What」を徹底的に追求し、
実践を伴いますから、後半は、まさに経営を動かす場になります。

本書では、実際に高山さんが経営学を使って、
どのように企業改革を行ったかが、造船会社ツネイシホールディングス
(常石造船)の事例を使って詳細に説明されています。

造船所のオヤジが、ポーターさんの分厚い経営書を手にして、
どのように会社を変えていったのか?

その変革の過程には、読んでいて熱く感じるものがあります。

こういった経営学の本では、多くの事例を詰め込んで、
総花的に語るものもありますが、1つの事例を突っ込んで
解説していることが、本書の価値を高めていますね。

幾多の大企業を蘇らせた「伝説の研修」という
キャッチコピーに偽りはない、かなりオススメの経営書。

本書が刊行されたことで、高山さんに研修を依頼する企業が
殺到していることでしょう。

この本から何を活かすか?

  ポジショニングの重要性

本書で、わかりやすい例として挙げられていたのが、
元大相撲横綱・曙さんのポジショニング。

曙さんは、2003年に大相撲を引退し、
総合格闘家に転じましたが、デビューから連敗続きでした。

  「これを見ていて私は、悪いポジショニングアプローチの典型に
  見えて仕方ありませんでした。だってそうでしょう。
  勝てる仮説もないままリングに上がり負け続ける。
  そうすると、どんどんブランドイメージが下がり、報酬が落ちる。」

その後、曙さんはプロレスへ転向することで、
ポジショニングを修正し、活躍することになります。

高山さんは、企業の中を見渡せば、チーム・ヨコヅナを
笑えない部署がいくらでもあると指摘しています。

すべての基本となるポジショニング。
我が身を振り返ってみる必要がありそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 経営・戦略 | 06:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

勝ち残る営業の36の掟

住宅営業という修羅場で26年 7000軒売った男が教える勝ち残る営業の36の掟
住宅営業という修羅場で26年 7000軒売った男が教える勝ち残る営業の36の掟
(2012/06/15)
斉藤孝安 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:24

サンクチュアリ出版から献本いただきました。ありがとうございます。

  「ある日、私はわが社の営業マンたちを前にして、こう叫んでいた。

  “お前ら全員スーツを脱いで、ドラえもんの格好しろ!”

  営業成績が上がらないという彼らの報告を受けていると、
  お客様の要望にすべて“YES”で対応しようと思っていることが
  わかってきたからだ。

  ただ欲しいものを出すだけなら、四次元ポケットを持つドラえもんと同じ。
  だから“スーツを脱ぎ、ドラえもんになれ”と言ったのだ。」

本書の著者、不動産仲介業ハウスプラザ社副社長の斉藤孝安さんは、
住宅を7000件以上売った、営業のプロ中のプロです。

本書は、ハウスプラザの月例研修で語られた、
営業のプロとして必要な36の掟が公開されています。

  「セールストークを上達させたい、とは思うな!
  技術が上達すれば、それだけお客様は警戒をするもの。」

本書で語られるのは、営業のマニュアルではありません。
むしろスマートなマニュアルとは対極にあります。

では、一体どうしたら、結果の出る営業マンになれるのか?

  「お客様の前だけで営業マンであればいいと思っていないか?
  常にお客様の幸せを願い、常に考えているのが
  営業マンという仕事だ。」

斉藤さんが営業マンに求めるのは、仕事とプライベートを
分けるのではなく、普段の生活でも常にお客様について考える姿勢。

そうしてお客様について考える習慣がついてこそ、
営業マンとしてやるべきことが見えてくると言います。

だからといって、お客様の求める理想の住宅を
いつまでも探し続けるわけではありません。

デメリットは隠さず伝え、あくまでお客様の理想を
現実の型に収め直し、住宅のプロとして現実的選択肢を示すのが、
真の営業マンであると説明されています。

本書は、不動産営業を題材にしていますが、
究極的には「人間力」に磨きをかけて、売上アップを目指しますから、
あらゆる営業職の方に参考となる本だと思います。

イラストを含め、かなりコテコテ感があります。

しかし本書は、長年現場を指揮し、直接経験を積み重ねた
斉藤さんだからこそ、語ることができる濃い内容です。

本書は結果のでない、迷える営業マンの救いとなる一冊だと思います。

この本から何を活かすか?

  「この本を読んでいただいた営業マンの皆さん。
  日々の営業ご苦労様です。

  がんばっても結果が出なかったときの悔しさは、
  本人しかわかりません。
  一番身近な直属の上司にすらわかってもらえない時もあるでしょう。

  ですが、それでいいんです。わかってもらえたところで、
  何の解決にもならないばかりか、次の一手が遅れることに
  なるかもしれないですから。

  上司にわかってもらうより、我々営業マンは、
  お客様に理解していただけなければ、
  一歩も前に進めないポジションであることを
  覚悟しようではありませんか。」

このように、本書が対象にするのは、現場の営業マンです。

ターゲットを絞って本気で語りかけているからこそ、
営業マンに届く言葉になっているのだと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| マーケティング・営業 | 06:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない

人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない
人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない
(2012/04/12)
見城 徹、藤田 晋 他 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:26

ベストセラーとなった「憂鬱でなければ、仕事じゃない」から1年。

幻冬舎社長の見城徹さんと、サイバーエージェント社長の藤田晋さんの
コンビが、更に強烈になって帰ってきました。

相変わらず、表紙の見城さんの写真はドスが効いていて怖いですね。

本書は前作がベストセラーになったことで、急遽企画されのではなく、
前作の作成中から、より本質的な内容で続編を出すことが
決まっていたようです。

ただし、今回は書く内容について、お二人で事前の打ち合わせは、
あえて行わなかったと藤田さんは言っています。

それは、藤田さんが見城さんの意見に流されるのを防ぐため。

見城さんの個性があまりにも強すぎますから、
この藤田さんの判断は賢明だったと思います。

今回は、見城さんが先に書いた言葉に対し、
藤田さんがレスポンスするというスタイルです。

一見すると、見城さんの言葉のインパクトがあり過ぎて、
藤田さんが迎合して、話を合わせているようにも感じられます。

しかし、見城さんがどんなに極端で先鋭的な話をしても、
それをしっかり受け止め、自分の解釈を加え柔軟に言葉を返す
藤田さんの懐の深さにも驚かされます。

年齢や経験から考えると、見城さんと藤田さんの役回りは
普通、逆になるはずです。

しかし、60歳を過ぎても攻めの姿勢を失わない見城さん。

そして、その見城さんの言葉を冷静に受け止め、
大きく返す30代の藤田さん。

常識とは逆の役割であっても、違和感なく演じられるところが、
お二人の凄さなのだと思います。

また、お二人が反対のことを言っているようで、
本質的には同じ事を言っている時もあるので、興味深いです。

見城さんは「早朝に永遠が見える」と言い、
早起きして行動することの大切さを説きます。

一方、藤田さんはサイバーエージェントの始業時間を
9時から10時に変更しました。

藤田さんが、始業時間を1時間遅らせたのは、
ギリギリの時間に会社に駆け込むのではなく、
朝にその日やるべきことを整理して、しっかりと準備し、
余裕を持って1日のスタートを切って欲しいと考えたからです。

早起きすることと、会社の始業時間を1時間遅らせること。

逆の行動のようで、どちらも朝のゆとりが
1日をコントロールできるという意味で、同じ事を目指しています。

この本から何を活かすか?

  「僕は、数ある格闘技の中でもボクシングが好きだ。
  特に、モハメド・アリに強く惹かれる。」

これは、本書の見城さんの言葉。

私も、格闘技ではボクシングが一番好きです。

ただし、私は見城さんより下の世代なので、
ド真ん中は、シュガー・レイ・レナードさんらが活躍した
「黄金のミドル」の時代です。

見城さんは、自身が元ライトヘビー級王者だった、
ホセ・トレスさんが、アリさんの半生を綴った本、
「カシアス・クレイ」に強く影響を受けたと言います。

世界チャンピオンが、自分以外の世界チャンピオンのことを
書いた本なんてあるんですね。

初版が1971年の古い本なので、
図書館で探して、読んでみたいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 仕事論 | 09:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

知らないと恥をかく世界の大問題3

知らないと恥をかく世界の大問題3  角川SSC新書
知らないと恥をかく世界の大問題3 角川SSC新書
(2012/05/10)
池上 彰 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:20

池上彰さんの「知らないと恥をかく」シリーズ第3弾。

本シリーズは、世界情勢をわかりやくす解説するために、
第1弾が2009年11月に、第2弾が2011年3月に刊行されました。

そして、東日本大震災から1年が経過し刊行されたのが本書です。

日本はいまだ復興の目処が立たず、政治は混迷を極めていますが、
そうする間にも世界情勢は、刻一刻と変化しています。

  「2012年は世界のリーダーが変わります」

日本以外の国では、リーダーが変わると国も変わります。

今年、リーダーが代わり、大きな節目を迎える国があります。
あなたは、いくつの国が思い浮かびますか?

北朝鮮は、金正日氏の死により金正恩氏が最高指導者になりました。
ロシアでは、プーチン首相が大統領に返り咲きました。
中国では、共産党のトップの交代が予定されえています。
更にアメリカは11月に大統領選挙を迎えます。

本書では、世界が大きく変化する中で、過去の歴史を振り返りつつ、
今の、そして今後の世界の大問題を解説します。

  プロローグ この目で見た世界の大問題
  第1章 アラブに春は来たのか?
  第2章 日本が無視できない三つの“独裁”国家
  第3章 揺らぐ資本主義
  第4章 震災、原発事故後の日本は内憂外患のまま
  第5章 浮上してきた新たな国家
  第6章 エネルギー、人口、温暖化問題が深刻に
  エピローグ 私たちが進むべき道

池上さんは2011年4月以降、テレビやラジオの出演を抑え、
時間的な余裕を作り、精力的に海外を飛び回っています。

1年365日のうち90日以上を、海外取材に当てたそうです。

本書は単なるニュース解説ではなく、ジャーナリストとして
池上さんが実際に目で見てきたことも交えながら、
日本と世界が直面する課題を取り上げ、
今後、それらの問題にどのように向き合うべきかを示唆します。

テレビ出演に追われる日々から開放された池上さんは、
リフレッシュされ、新鮮な気持ちで
本書を執筆している様子が伝わってきます。

本書は、1つ1つの問題を掘り下げて、深く追求していませんが、
さらっと世界の動きを知るにはお手頃な一冊です。

この本から何を活かすか?

本書の内容からクイズを2つ作りました。

Q1. 自殺率は、その国の幸福度を測る一つの目安に
 されることがあります。
 それでは、世界で最も自殺率の低い幸せな国はどこでしょうか?

Q2. アフリカ大陸の東端にある国、ソマリア。
 この国で女性が結婚相手にしたい男性の
 「職業NO.1」は何でしょうか?

いずれも、本書から私が勝手にクイズに仕立てたものです。

A1. 最初のクイズの答えは経済危機の震源地「ギリシャ」。

あれだけの財政問題を抱えながら、
自助努力をしようとしない人が多いギリシャは、
確かに悩みが少ない、幸せな国なのかもしれません。

A2. ソマリア人女性が結婚したい職業NO.1は「海賊」。

マンガ「ワンピース」の話ではありません。現実の話しです。

ソマリア沖からアデン湾にかけては、
ヨーロッパとアジアを結ぶ重要な航路となっています。

ここに出没する海賊の1回あたりの身代金額は平均5億円。
ソマリアの海岸沿いには、海賊御殿が立ち並んでいるそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 社会・国家・国際情勢 | 06:23 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

(日本人)

(日本人)
(日本人)
(2012/05/11)
橘 玲 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:26

  「私たちは日本人である以前に人間(ヒト)である。
  人種や国籍にかかわらず、ヒトには共通の本性がある。
  だとしたら“日本人性”とは、私たちから人間の本性を差し引いた
  あとに残ったなにものかのことだ。」

タイトルは、「かっこにっぽんじん」と読みます。
本書は、橘玲さんが東日本大震災をきっかけに考えた「日本人論」。

それは従来の、「和をもって貴しとなす」という
日本人観を根底から覆すものです。

今まで、私たちがイメージする日本人像は、
次のようなジョークに象徴されるものでした。

  沈没しそうな船の救命ボートに、定員オーバーのため
  1人だけ乗ることができません。
  船員は男性客に船に残るように説得します。

  英国人に「君こそ紳士だ」
  米国人に「君こそヒーローだ」
  日本人に「皆さんそうしてらっしゃいます」

横並びが好きで、空気を読むことを大事にするとされる日本人。

しかし、橘さんは本書のイントロダクションで、
「世界価値観調査」の結果を引用し、
日本人が他の国々と比べ大きく異なる、3つの特徴を挙げています。

それは、国のために戦う気がなく、日本人としての誇りもなく、
権力や権威を嫌う、という日本人像でした。

日本人は、なぜ、このような特異な価値観を持つようになったのか?

  「本書はこの“謎”を出発点に、私たちは何者で、
  どのような社会に生きているかを解明していく。
  そこでは、進化心理学の知見が私たちの旅を助けてくれるだろう。」

橘さんが、本書を着想したのは、山岸俊男さんの一連の著作で、
「日本人はアメリカ人よりも個人主義的」で、
「アメリカ人は日本人より協調的で他人を信頼する」という
主張に触れたのが、きっかけだったようです。

そこに金融・経済、リバタリアニズム、
伽藍を捨ててバザールへ行け、など過去の著作でも述べられてきた
主張で味付けをしながら、真の日本人像に迫ります。

日本人とは何なのか、そしてこれから私たちは、
どこに向かうべきなのか?

本書はとにかく話題が豊富で、途中で何を論じていたのかを
忘れてしまうぐらい様々な知識が盛り込まれています。

いずれも、世の中を別の角度から見る視点を与えてくれる
面白い話しばかりですが、日本人を論じるには必要ない部分も
あるように感じました。

しかし、テーマにこだわらず400ページ近くの「橘ワールド」を
堪能できると考えると、貴重な一冊でした。

この本から何を活かすか?

  「ハシズムとは純化したネオリベである」

本書で言う「ハシズム」は、橋下徹大阪市長の政治哲学を意味します。
「ネオリベ」とは新自由主義(ネオリベラル)です。

  「橋下市長はなぜ、わずか140文字のツイッターで
  あらゆる批判を粉砕することができるのか?
  ここに、ハシズムの本質が隠されている。」

本書の中で、このように橋下さんの政治哲学について
論じられているパートは秀逸です。

ネオリベを超えるのはリバタリアンしかないという
橘さんらしい着地点にもっていくのは別にして、
現在進行形の橋下政治についての考察は必読に値します。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 社会・国家・国際情勢 | 06:54 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

つながりの仕事術

つながりの仕事術~「コワーキング」を始めよう (洋泉社新書y)
つながりの仕事術~「コワーキング」を始めよう (洋泉社新書y)
(2012/05/10)
佐谷 恭、藤木 穣 他 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:18

本書は、新しいワークスタイル「コワーキング」を解説する本です。

カタカナで「コワーキング」と書くと、聞き馴れないこともあって、
わかりにくいかもしれませんが、「Co-working」です。

workingに「一緒に、共に」を意味する接頭語の「co」がついたもの。

これは、2006年にアメリカで始まったと言われるワークスタイルです。

日本では、本書の著者の一人、佐谷恭さんが2010年に、
コワーキングスペース「パックス・コワーキング」を始めました。

  「コワーキングとは、異なる職業や仕事を持った人が集まって
  仕事場を共有することであり、コミュニケーションを
  積極的に取ることで知恵と情報をシェアし、高め合っていこうという
  発想のワークスタイルです。」

この説明を聞いて、私が最初に思ったのは、
「コワーキングとシェアオフィスは何が違うのか?」ということです。

私と同じような疑問を持つ人も多いようで、
本書のQ&Aのページで、最初に取り上げられていました。

  「原理的なコワーキングスペースの定義は
  “コミュニティが中心にある”ということになるでしょう。
  従来のオフィスシェアやレンタルオフィスが施設ありきなのに対して、
  人の参加を軸に運営されているのがコワーキングスペースなのです。」

使う側からしても、どんな施設やサービスが
利用できるかというより、そこにどんな人が集まっているかが
コワーキングスペースを選ぶ際のポイントのようです。

ですから、コワーキングスペースは、「気軽に声をかけられる仲間」や
「クリエイティブな出会い」を求めて利用されるようです。

最近流行りの「ノマドワーカー」の方も、
カフェやレストランで1日中仕事をしていると、
誰とも話せずに孤独を感じることもあるようですから、
そんな時は、コワーキングスペースを使えばいいというわけです。

また、利用するコーワーキングスペースは、1つに限定するよりも
複数を掛け持ちすることが推奨されています。

高城剛さんは、「アイディアは移動距離に比例する」と言いましたが、
本書のコンセプトで言い変えてみると、
「アイディアはコワークスする仲間の人数に比例する」となるでしょう。

本書では、コワーキングスペースの利用方法や、
国内外で運営されるコワーキングスペースが紹介されていますから、
興味を持った方がすぐに利用できるガイド本になっています。

この本から何を活かすか?

本書には私の住む北海道のコワーキングスペースは
紹介されていなかったので、コワーキングスペースjpで調べてみました。

札幌に2ヶ所ありました。

  ・Garage labs(ガレージラボ)
    登録は必要ですが、なんと利用は無料のようです。
  ・さっぽろ大通コワーキングスペース ドリノキ
    2012年6月15日に開設された新しいコワーキングスペース

ホームページを見る限り、Garage labsは
出張で札幌に来た人でも、気軽に使えそうな雰囲気ですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 09:14 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

愛されるアイデアのつくり方

愛されるアイデアのつくり方
愛されるアイデアのつくり方
(2012/05/08)
鹿毛康司 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:23

  「2011年-。ミゲルやT.M.Revolution西川貴教さんが歌う
  “消臭力のCM”がとにかく愛された。日本でもっとも好感度の
  高いCMに選んでいただいたほか、いくつかの賞を頂戴する
  栄誉にも恵まれた。そこには、とても考えられないような
  “愛され方”があった。」

本書は日用雑貨メーカーであるエステー株式会社の宣伝部長、
鹿毛康司さんがアイディアの発想法を明かす本です。

鹿毛さんは、「消臭力」などの話題のCM仕掛け人。

残念ながら、私は普段、テレビCMをまったく見ないので、
消臭力のミゲル君についても、西川貴教さんと一緒に出演したCMが
好感度No.1に輝いたことも知りませんでした。

それでも、本書は熱いものが伝わってくる本でした。

鹿毛さんは、エステーらしくクスっと笑えて
心温まるCM作りを目指します。

完成した作品を目にする私たちにはわかりませんが、
その裏には、絶対に人を傷つけないように、
徹底的にこだわった姿勢で作品が作られてます。

鹿毛さんが、人を傷つけないことにこだわるのは、
強烈な原体験があるから。

それは、2000年に起きた「雪印事件」。

当時、雪印に在籍し営業改革を担当していた鹿毛さんは、
2000年の集団食中毒事件と2001年の牛肉偽装事件で、
被害者とマスコミ対応の前線に立ち、対応を続けました。

その時の経験がエステーに移ってからも活かされ、
決して斜め上からにはならない、お客様と目線を合わせた
CMを一貫して作り続けています。

  「このCMにも偽善はある。まず、それを認識しよう。
  ただ、その“偽”をできるだけ小さくするんだ。
  そのためには、ただひたすら心を込めるしかない。
  賞もいらない。商品が売れなくてもいい。とにかく心をこめるんだ」

そうして東日本大震災の直後に作られたのが、
ポルトガルの首都リスボンで撮影された
歌う少年ミゲル君の消臭力のコマーシャルでした。

本書のメイントピックとなるのは、ミゲル君のCM誕生秘話と、
雪印事件での対応です。

しかし、本書は全編から鹿毛さんの気持ちが伝わってきます。

ノウハウについてはほ、とんど書かれていません。

愛されようと考えずに、ひたすら心をこめる。
それが結果として愛されることにつながります。

消臭力のCMがそうだったように、
本書にも鹿毛さんの熱い思いが込められていますので、
読んだ人から愛される一冊になるでしょう。

この本から何を活かすか?

と言うことで、私は消臭力のCMをテレビで見たことがなかったので、
YouTubeで見てみました。





妙にメロディーが頭に残りますし、
なんだかわからないけれど惹きつけられるCMですね。

好感度NO.1になるのも、うなずけます。

また、エステー宣伝部ドットコムのサイトでは
いろいろなバージョンやメイキングも公開されています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| アイディア・発想法・企画 | 06:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

「処方せん」的読書術

「処方せん」的読書術  心を強くする読み方、選び方、使い方 (oneテーマ21)
「処方せん」的読書術 心を強くする読み方、選び方、使い方 (oneテーマ21)
(2012/05/10)
奥野 宣之 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:22

  「本書は“どのように本を心の支えにしていくか”について、
  僕が体験的に学んできたことをまとめたものだ。」

奥野宣之さんと言えば、「100円ノート」シリーズに代表されるように、
生産性を高めるのノウハウ本の著者というイメージがありました。

このブログでも、過去に5冊の奥野さんの著作を紹介しています。

  ・情報は1冊のノートにまとめなさい
  ・読書は1冊のノートにまとめなさい
  ・情報は「整理」しないで捨てなさい
  ・知的生産ワークアウト
  ・人生は1冊のノートにまとめなさい

これらの本は、効率性を追求することが全面に出ているので、
奥野さんが悩むタイプの人だという印象は受けませんでした。

ところが、奥野さんは社会人になりたての頃は、
「豆腐のようなメンタル」で、ずいぶんと悩むこともあったようです。

そんな時に、奥野さんが自分を取り戻すための
心の拠り所としたのは、「読書」でした。

本書で紹介されるのは、「心を強くするための読書術」。

楽しむことを目的としたり、知識を得るためだったり、
あるいは、ノウハウを学ぶための読書術ではありません。

あくまでも奥野さんが体験的に学んだ、
メンタルに効かせるための読書術です。

ですから、本を心に響かせ、生きていくための支えにするために、
他の読書本とは違うことが言われています。

  「心を強くするための読書の場合は、僕はこう強調したい。
  “感動は、一人でこっそり持っておいてください!”と。
  “何でも共有したらいい”というのは、ネット文化の悪いところだと
  考えています。感動は共有したら減るのです。」

今の時代、自分が思い感じたことは、ツイッターなどで
どんどん発信して、リアルタイムで共有するのが、
良いこととされる風潮があります。

しかし奥野さんは、「感動は共有するな」と言います。

なぜなら、感動は一人ひとり違うものであり、
自分の心のなかに絶対的にあった価値観が、
人の感想と比べることで、陳腐化してしまうからです。

私は、読んだ本の内容をブログで発信している身ですが、
奥野さんの言うことが、思い当たることがあります。

それは、自分が読んだ本で感動して、興奮気味で、
他の人もどんなに感動しているだろうと期待して、
アマゾンを見ると、意外と冷めたレビューが書かれていた時です。

場合によっては、些細な事で叩かれている場合さえあります。

そんな時は、自分の中の絶対的だった感動が、
他の人のレビューを読むことで相対化され、
高かったテンションが下がってしまうことがありますね。

だから最近、本を選ぶ時は、レビューを参考にするものの、
本を読んだ後は、レビューを読まないようにしています。

この本から何を活かすか?

  「ある本があったとして、“それを読む理由は何か”
  と考えてみたとき、一番多いのが、“人物に興味を持ったから”
  というものではないでしょうか。」

本探しは人間探し。

奥野さんは、お気に入りの一冊として「人物20世紀」を挙げています。

人名辞典と現代史事典が混ざったようなスタイルで、
その年ごとに活躍した人が、魅力的に紹介されているそうです。

この本、面白そうなので、図書館で探してみよう思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 読書法・速読術 | 06:45 | comments:0 | trackbacks:2 | TOP↑

≫ EDIT

私が弁護士になるまで

私が弁護士になるまで
私が弁護士になるまで
(2012/01/13)
菊間 千乃 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:18

元フジテレビアナウンサー菊間千乃さんの司法試験合格体験記。

  「なぜアナウンサーを辞めて、弁護士になろうと思ったのか。
  弁護士になるための勉強のさなか、同じように、
  社会人から弁護士になろうと志を同じくした仲間たちとの切磋琢磨。
  三度しかチャンスのないこの試験に賭け、皆、前職をなげうち
  背水の陣を敷いていた。
  そのぎりぎりの状況のなかで生まれた連帯感と友情。
  ひとり勉強をしているときに、このままずっと私には平穏な日常など
  訪れる日はないのではないかと、不安に押しつぶされそうになった。」

新司法試験制度は、ロースクールで3年間きっちり勉強すれば、
予備校に頼らなくても、7~8割は合格するという触れ込みで
始まりました。

しかし、実際にふたを開けてみると、合格率は25%程度。

旧司法試験の合格率1~2%よりは改善されているもの、
受験するまでに、何度かふるいにかけられるので、
実質的な難しさは、昔とさほど変わらないと言う人もいます。

ちなみに、新制度では法科大学院を卒業してから5年以内に
3回まで司法試験を受験することができます。

裏を返すと、受験のチャンスは3回しかないということです。

菊間さんは、番組で一緒になった弁護士から、
「夜間クラスもあるからロースクールに通ってみたら」
という誘いを受け、アナウンサーの仕事の幅を広げるために
法科大学院に通い始めました。

そして、アナウンサーと法科大学院生の二足のわらじを
履くなかで起こした、未成年を飲酒させた事件。

菊間さんは、この事件で全番組を降板し、謹慎処分となります。

そのなかで、司法試験の勉強は本格化したため、
菊間さんはフジテレビを退社し、受験に専念することを決めます。

1年間の謹慎後、一応、番組には復帰していたものの、
追われるようにして会社を辞めたこともあり、
菊間さんのなかには、弁護士になって見返してやろう
という気持ちがあったのでしょう。

法科大学院卒業後、1度目の受験で不合格。

そして、受験仲間との絆を強めながら、
菊間さんは、2度目の受験で見事合格します。

本書は具体的な勉強方法よりも、その時の菊間さんの心情を中心に
書かれていますから、思わず感情移入してしまいます。

一般の方が書いた合格体験記と違い、
その時の菊間さんの顔を思い浮かべながら読めるのが、
有名人の書いた本のメリットですね。

勝間和代さんの『「有名人になる」ということ』には、
一度、有名人になると、「元有名人」になることはあっても、
「有名人でない人」に戻ることはできないとありました。

菊間さんも、まさにその有名人のひとり。

本書は、よくできた美談と感じるところもありますが、
それは有名人本なので、仕方がないところでしょうか。

この本から何を活かすか?

弁護士がタレントになるパターンはありましたが、
有名人が弁護士になる例は、ほとんどありません。

その意味では、菊間さんは他の弁護士の方と差別化されていて、
ブランド力のある存在です。

菊間さんは、司法修習の自己開拓プログラムで、
古巣のフジテレビで研修を行ったそうです。

菊間さんが、弁護士のコメンテーターとして、
フジテレビ番組に出演する日もそう遠くないかもしれません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 勉強法 | 06:45 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)
僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)
(2012/04/26)
木暮 太一 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:26

給料が今より、あと10万円多かったらな~。
いやそこまで贅沢は言わなくても、あと3万円多かったら
ずいぶん生活が違うのに・・・

働いている方なら、誰でもこんな妄想をしたことがあるはずです。

しかし実際には、数年後にそれが実現していても、
やはり同じ事を考えてしまいます。

それは、人は環境に慣れてしまう生きものだからです。

問題は、多く給料をもらうための働き方。

やみくもに残業をして得ても、疲労感だけが残ります。

  「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」

働いても、働いても、一向にラクにならず、
かえって辛くなるばかりだと感じている人には、
思わず手に取りたくなるタイトルの本ですね。

本書で木暮太一さんは、カール・マルクスさんの「資本論」と
ロバート・キヨサキさんの「金持ち父さん貧乏父さん」を参考に、
目指すべき働き方を示します。

マルクスさんは、資本主義経済のなかで、労働者は搾取され続ける。
豊かになれない。だから革命を起こせ!と言いました。

キヨサキさんは、資本主義経済のなかで、労働者はラットレースに
巻き込まれて、豊かになれない。だから不労所得を得よ!と言いました。

小暮さんが注目したのは、この2人が「資本主義経済のなかでは、
労働者は決して豊かになれない」という同じ前提に立っていたことでした。

革命を起こすわけでもない。不動産に投資するわけでもない。

小暮さんが本書で示すのは、資本主義の前提条件を十分に
理解した上での、あくまで現実的な解決方法です。

転職や独立を煽ることもなく、
しんどい働き方を根本から変えていく方法です。

そのヒントは意外と身近なところにありました。

本書では、企業の社外取締役や顧問、アドバイザーを例に挙げています。

なぜ彼らは、ちょっとした会議にパートタイムで参加するだけで、
一般の従業員が必死に1日中走り回って得る給料よりも、
たくさんの報酬を得ることができるのか?

身を削って働いている人からすると、
簡単には納得できないことかもしれません。

彼らに支払われているのは、「過去からの積み上げ(土台)」に
対する報酬です。

過去から積み上げた土台が、労働力の価値を引き上げているので、
毎日せっせと働くなくても、高い報酬が得られるのです。

ですから、小暮さんが本書で提案するのは、
自分の労働力の価値(土台)を積み上げていく働きかたです。

目先の業務の処理に没頭せず、
「資産を作る仕事を、今日はどれだけやったか?」
と毎日自分自身に問う必要があるようです。

この本から何を活かすか?

  「『金持ち父さん貧乏父さん』では、“だから不労所得を作れ!
  (不動産投資や株式投資を行え!)”と結論づけています。
  ただ、当時のわたしにはあまりに現実離れした話でした。
  もっと身近で、自分がイメージできる解決策を探していったのです。
  そしてたどりついたのが、“労力をかけずに、高い給料をもらう”
  という考えでした。」

小暮さんは、大学卒業を控えた当時をこのように振り返ります。

ロバート・キヨサキさんの「金持ち父さん貧乏父さん」が
日本で刊行されたのは、2000年のことでした。

個人的には、今こそキヨサキさんの考えが、
もっと注目されていいと思います。

なぜなら、10年以上前より今の方が、
ラットレースの輪は、より小さくなっています。

しかし、不労所得を作るための選択肢は増え、
以前より得やすい環境になっているからです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 仕事論 | 06:45 | comments:1 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

「有名人になる」ということ

「有名人になる」ということ (ディスカヴァー携書)
「有名人になる」ということ (ディスカヴァー携書)
(2012/04/28)
勝間 和代 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:22

  <有名人になる五つのステップ>
  ステップ1 自分の商品性を把握し、顧客やパートナー、
        競争相手を特定する
  ステップ2 自分がターゲットとする市場について、
        セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを行う
  ステップ3 自分を売り込むためのサービスを開発し、
        そのサービスの提供プロセスを管理する
  ステップ4 自分がつくったサービスを普及させるための
        適切なチャネルを見つける
  ステップ5 自分のサービスに適切な価格をつけ、品質を保証する

これが勝間和代さんが本書にまとめた有名人になる方法です。

それでは、なぜ有名人になる必要があるのでしょうか?

  「なぜ世の中に有名人が存在するのか、といったら、それは、
  有名人が存在することが、メディアやそれを活用する周囲にとっても
  ビジネスになるからです。」

有名人になってからの誹謗中傷に困惑する様子を見る限り、
私は勝間さんが勢いで有名人になってしまったような
印象を受けていました。

しかし、実は勝間さんは、ビジネス戦略として
あえて「有名人になる」ことを選択していたそうです。

自分が立ち上げた会社「監査と分析」の社員に給料を払うため、
そして家族を養い、残債を返済するために、
自分が有名人になり、そのプラットフォームを
ビジネスに活用したと、勝間さんは説明しています。

2011年は「有名人になる」ビジネスを休み、
趣味を充実させる1年を過ごしていたそうですが、
2012年はもう一度、「有名人になる」ビジネスを再開するとか。

その再開にあたって、勝間さんの過去数年間の
「有名人になる」という体験を方法論としてまとめ、
再現できるように体系化したのが本書です。

有名人になると、衆人環視の中で生きることになり、
見知らぬ人たちからも批判されるデメリットもあります。

それでも、ビジネスとしてはそれ以上のメリットがあるようです。

  「もし、生まれ変わったときも、もう一度有名人になりたいか、
  と聞かれたら、やはりちょっとためらってしまいます。
  (中略)でも、何度生まれ変わるとしても、やはり
  “自分がなんらかの形で、いろいろな人たちのハブとなって、
  いろいろな情報を集めることができ、そして、人のチャンスを
  ひろげられる仕事をしていたい”と思います。そしてもし、
  “有名人になる”ことが、そのいちばんの近道であったとしたら、
  きっとまたわたしは、同じビジネスを選ぶことでしょう。」

本書は、自己ブランディングの手引書としては、
類書にない視点で書かれていて、非常に興味深い内容です。

本気で「有名人ビジネス」をやりたい人には、参考になります。

しかし、「カツマー」のみなさんは、
本書を読まない方がいいでしょう。

自分が憧れて追いかけていた人から、
それは単にビジネスのためだったと言われると、
興ざめしてしまうからです。

でも、本当の信者の域まで行くと、
その点も含めて、全てが受け入れられるのかもしれませんね。

この本から何を活かすか?

  「おおむね、一人のコンテンツを三~五くらい手に入れると、
  “大ファン”でない限り、お腹がいっぱいになる」

私にとっては、最近まったく読まなくなった
苫米地英人さんの本は、まさにこのパターンです。

逆に、藤巻健史さんの本などは、お腹いっぱいだけど、
大ファンだから読んでる方に入ります。

さて、私はこれまでこのブログで、
勝間和代さんの本を何冊紹介してきたのか?

カウントしてみると、本書が28冊目でした。

自分でもビックリするくらいの多さです。

私は、勝間さんに対しては、大ファンでもアンチでもありません。
すでにお腹もいっぱいです。

しかし、毎回、何かあるのではと期待させてくれ、
良いにつけ悪いにつけ、何らかの話題を提供してくれる
勝間さんは、やはりスゴイなと感じます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| マーケティング・営業 | 06:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

6/16 休載します

早朝からキャンプに出発するため、
6月16日(土)は休載させていただきます。

18日から更新を再開しますので、またよろしくお願いします。

このエントリーをはてなブックマークに追加

| お知らせ | 04:34 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

社長の勉強法

社長の勉強法 (メディアファクトリー新書)
社長の勉強法 (メディアファクトリー新書)
(2012/04/27)
國貞文隆 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:21

  「ビジネスで成功したり、会社で出世した人たちを見ていると、
  最初から能力やセンス、やる気があったり、あるいは幸運だったから
  成功した“特別な人”だと思うかもしれない。
  “凡人の私”は、どんなに努力してもムダなのではないか、と。
  最初に断言してしまえば、そんなことはない。
  成功者の典型である社長たちの日常を調べても、それは明らかだ。」

こう断言するのは、ジャーナリストの國貞文隆さん。

では、最近注目の名社長たちは、どのように努力しているのか?

その疑問に答えるべく、インタビューをして、
社長の勉強法をまとめたのが本書です。

紹介されているのは、次の8人のビジネスリーダー。

  ビームス社長 設楽洋さん
    「トレンドを読む、直感力を高める」

  グロービス・グループ代表 堀義人さん
    「常識を疑い、強固な信念で『与える』仲間を決める」

  パーク・コーポレーション社長 井上英明さん
    「感覚を真似る、学ぶ。学びは人生最高の楽しみ」

  クロスカパニー社長 石川康晴さん
    「批判力をもちながら上手に真似る」

  ライフネット生命副社長 岩瀬大輔さん
    「発信することで次のステージを引き寄せる」

  エニグモ代表取締役共同最高経営責任者 須田将啓さん
    「新しい仕組みを生み出す発想法」

  コモンズ投信会長 渋沢健さん
    「仲間とともに飛躍する」

  ブックフィールドキャピタル代表、弁護士 荒井裕樹さん
    「一瞬で正しい決断をするために」

読んでみると勉強法は、8人8様。
しかし、共通点もあるようです。

  「今回の取材を通じて、社長たちの勉強法には
  ある共通項があることに気づいた。
  仕事の種類は違えども、成功している社長たちには複数の、
  同じ行動原理をもっている。
  自分を信じる、1日のなかで考える時間を必ず持つ、
  ポジティブである・・・。
  そのなかで最も大事なことは、目標をもって勉強すること。」

こういった勉強法のノウハウ本では、部分から入るのではなく、
まずは抽象度を上げて得られる全体から入るのがポイント。

そうしないとその勉強法本来の目的からズレてしまい、
小手先の真似事に終わってしまいます。

國貞さんが、帰納法的に得た結論は、
「目標をもって勉強すること」でした。

しかし、大切なのは苫米地英人さん風に言うと、
8人の社長さんへのインタビューから自ら抽象度を上げ、
自分に合わせて抽象度を下げる作業を行うことだと思います。

この本から何を活かすか?

グリー、アイスタイル、ライフネット生命、
ワークスアプリケーションズ・・・

これらの成長を続けるITベンチャーには、ある共通点があります。

それは、グロービス・グループから出資を受けていること。

グロービスと言えば、国内でMBAを取得できる
経営大学院として有名で、本書にはグループ代表の
堀義人さんへのインタビューが掲載されています。

堀さんは、「グロービス・キャピタル・パートナーズ」で、
ベンチャー企業への投資を行なっているようです。

ちなみに、最近話題のグリーへの投資は2005年7月で、
東証マザーズへIPOした2008年12月に売却しているようです。

グロービス・キャピタル・パートナーズは、
先見の明がありそうなので、どんなポートフォリを組んでいるか、
どんな投資戦略なのか、一度調べてみようと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 勉強法 | 06:42 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

科学予測は8割はずれる

科学予測は8割はずれる
科学予測は8割はずれる
(2012/05/01)
竹内 薫 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:19

タイトルと内容が違う本。

竹内薫さんの本では、2006年に刊行された「99・9%は仮説」が
非常によく売れたので、本書はその再現を狙ったようなタイトルです。

私は、完全に2匹目のドジョウとして、すくわれました。

「科学予測は8割はずれる」については、本書巻末に付録として
掲載されている竹内さん、加藤茂生さん、廣野善幸さんの
鼎談の中で、そういった発言が少しある程度です。

一般的に言われているより、新しい科学技術の開発は遅れる、
あるいは実現しないという意味で語られています。

それでは、本書のメインテーマは何なのか?

  「現代日本は科学技術立国でありながら、科学の歴史を学ぶ人は
  ほとんどいません。しかし、大震災と原発事故から立ち直ろうと
  歩き始めた今こそ、過去に学ぶことが大切なのです。
  過去を見ずして未来はありません。
  というわけで、この本では、科学への信頼が大きく揺らいでいる
  現代日本において、あえて科学の歴史を振り返ることにより、
  日本がこれから歩む道を、読者のみなさんと一緒に
  考えていきたいのです。」

本書は科学の歴史を振り返る、科学史エッセイです。

  第1章 そもそも「科学」とは何か?
  第2章 科学と宗教は対立している、という「説」について
  第3章 科学は爆発だ!
  第4章 ノーベル賞の世紀
  第5章 なぜ科学技術は色あせたのか?

科学技術の進歩は、全人類に関わることです。

これから先、科学がどういった方向に進むべきかを、
私たちがいま立っている場所から見るだけでなく、
科学がどのように発展してきたかという歴史や背景を踏まえて
考えましょうと竹内さんは言っています。

科学史を振り返ることで、私たちが直面している
エネルギー問題についても、冷静な判断が下せるかもしれません。

本書で科学の歴史を振り返ってみると、
かなり長い期間「神様」がいて、自然界があって、人間がいる
という図式の中で科学が進歩を遂げてきたことが分かります。

そして、科学の進歩によって神様と自然界が一体になった現代でも、
神様の存在を信じる科学者は多いようです。

日本の科学者からは、神様を信じるといった発言を
聞く機会はほとんどありませんが、
欧米では約半数の科学者が神を信じているそうです。

そう言えば、アインシュタインさんも、
量子が確率論的に振る舞うとする量子力学には、
「神はサイコロを振らない」と言って反対していましたね。

竹内さんは、日本で行われている科学に関する議論には、
哲学的な側面から考ることが欠けていると指摘しています。

この本から何を活かすか?

  「ここから述べることは、テレビやラジオでは決して話せない、
  いわばタブーなのですが、科学史を学ぶ上では、
  避けて通ることができない問題です。」

竹内さんが、こんな前置きで始めた話題は「原発問題」です。

現在、反原発の方向へ舵を切りつつあるのは、
「日本」、「ドイツ」、「イタリア」。

一方、原発をやめないとはっきり言い切っているのは、
英仏米露中の5カ国。

日本、ドイツ、イタリアを「日独伊」と言ったほうが、
ピンとくる人も多いかもしれませんね。

竹内さんが、何を言いたいかというと、原発に対する態度は
第二次世界大戦の敗戦国と勝戦国でハッキリ別れているということ。

しかも、勝戦5カ国は、いずれも核ミサイルを保有してる。

私たちが原発問題で、他国の動向を参考にする際は、
こういった背景も考慮すべきなのでしょうか。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 科学・生活 | 06:46 | comments:1 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

決断する力

決断する力 (PHPビジネス新書)
決断する力 (PHPビジネス新書)
(2012/03/17)
猪瀬 直樹 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:23

  「突然の危機に見舞われたとき、たいていの人はパニックに陥る。
  自分の身に降りかかった現実が信じられず、何から手をつけていいかも
  わからない。(中略)
  こういうときこそ、指揮命令系統も、指示内容もシンプルにする
  必要がある。但し書きがいくつもつくような指示はダメ。
  大きな方針だけ示して、後は現場の判断にまかせるのが、
  リーダーたる者の務めである。」

平時ではそれほどわからなくても、非常時になるほど
リーダーの持っている決断力の差が顕著に現れます。

その最も良い例が、国家的な危機でもあった東日本大震災。

本書は、東京都副知事を務める猪瀬直樹さんが、
自治体のリーダーとして、どのように大震災に対応したかの記録です。

  第1章 即決即断で立ち向かう
  第2章 “想定外”をなくす思考と行動
  第3章 リスクをとって攻めに転じる

緊急時には、何を優先して、どう決断すべきなのか?

そして、既存の通信手段が麻痺しているとき、
どのようにして、必要な情報を必要な人に伝えたら良いのか?

東日本大震災には、様々な教訓が詰まっています。

本書では、震災当日からその後数ヶ月の猪瀬さんの行動を中心に
時系列で振り返りながら、リーダーとして必要な決断を説明します。

圧巻は、猪瀬さんのツイッターの活用です。

ツイッターは、リアルタイムで情報が瞬く間に拡散するので、
一歩間違えば、公人として致命的なダメージを負ってしまいます。

こういう性質のコミュニケーションツールだからこそ、
緊急時の対応と同様に、使う人によって差が出るのでしょう。

震災当日、気仙沼市は猛烈な火災に見舞われ、
同市の中央公民館には、400人が取り残され孤立していたそうです。

気仙沼市マザーホーム園長の内海直子さんも
そこに取り残された1人でした。

公民館の周りは火で包まれ、119番もその他の電話も
全くつながらず助けを呼べない状態。

地元の消防も壊滅的な状態で、全く機能していませんでした。

唯一、通じる通信手段は携帯のメールのみ。

内海さんは、イギリス在住の息子さんに
「火の海 ダメかも がんばる」とメールを送ります。

しかし、あきらめかけた翌朝、
東京消防庁の救出ヘリコプターが気仙沼に駆けつけ、
内海さんら取り残された400人は、
なんとか一命を取り留めることができました。

一体、どのようにして、119番通報もなく、地元からの要請もないのに、
東京消防庁は気仙沼市に駆けつけたのでしょうか?

実は、内海さんからのSOSメールにイギリスの息子さんが、
ツイッターで情報の拡散を依頼を書き込みました。

それをたまたま見た東京の人が反応し、
猪瀬さんへ情報を転送したようです。

猪瀬さんは、息子さんの文章が5W1Hがしっかりしていることから、
本物のSOSツイートだと判断し、すぐに東京消防庁の防災部長へ
出動を要請しました。

まさにツイッターの即時拡散性を象徴する例ですが、
猪瀬さんがツイッターを使いこなし、同時に前例にとらわれない
決断をしなかったら、多くの人の命は救われなかったかもしれません。

この本から何を活かすか?

マイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱授業」の関連番組に
猪瀬さんは古田敦也さんらと共にゲスト出演して、
講義を受けたそうです。

  ・マイケル・サンデル 究極の選択 第四回
  「お金で買えるもの買えないもの」

サンデルさんが、ゲストを迎えてこんな講義をしていたんですね。

NHKのサイトを見ると、第五回の講義には猪瀬さんだでなく、
竹中平蔵さんもゲスト出演しているようです。

いったい、どんな議論が交わされたのでしょうか?
映像を探して、見てみようと思います。


Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| リーダーシップ | 06:55 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

世襲企業の興亡

世襲企業の興亡 同族会社は何代続くか
世襲企業の興亡 同族会社は何代続くか
(2012/06/05)
有森 隆 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:18

さくら舎の古森さんより献本いただきました。ありがとうございます。

  「世襲&同族企業は別名、ファミリー企業と呼ばれる。
  日本は中小企業が多いから、95%がファミリー企業だ。
  出資比率が5%しかなくても、創業家一族が経営トップとなって、
  実質的にその企業を支配していればファミリー企業だ。
  日本を代表するファミリー企業はトヨタである。」

トヨタぐらいの規模になると、私たちが持つファミリー企業の
イメージからずいぶん離れているように感じがしますが、
有森隆さんの定義では、ファミリー企業になります。

つい最近でも、ファミリー企業の「強さ」が見直され、
国内外を含めて、何代も続く同族企業が脚光を浴びたこともあります。

しかし、一枚岩の「強さ」は、「脆さ」の裏返し。

有森さんは、本書で世襲&同族企業の4つの盲点を指摘します。

  1. 公私混同
  2. 骨肉の争い
  3. 血は水より濃いことを態度で示す親バカ
  4. 自信過剰

ダメになっていく世襲&同族企業は、これらの4点のうち、
いくつかの問題を抱えているようです。

本書で有森さんが、その興亡をレポートするのは、
一時代を築きながら、現在はその輝きを失ってしまったり、
あるいは破綻してしまった7社です。

その中には、独自の経営を貫くために、
あえて非上場の道を選んだ企業もあります。

  ・大王製紙(井川家)  二代目“中興の祖”の独裁
  ・武富士(武井家)  サラ金トップ企業の誕生と破滅
  ・スズキ(鈴木家)  婿養子経営の大成功と誤算
  ・ワコールホールディングス(塚本家)  初代に潰された二代目
  ・ヤマハ(川上家)  非オーナー経営者三代の悲劇
  ・林原(林原家)  超優良企業の隠された虚飾
  ・セイコーホールディングス(服部家)  華麗なる一族の骨肉の争い

巨額融資事件で大王製紙の井川意高さんが逮捕されたのは、
2011年のことですから、まだ記憶に新しいところですね。

この事件で、創業家は本体の経営陣から一掃されました。

しかし、大王製紙グループでは、生産を担う多くの子会社の
株式を創業家が握っているため、いまだ井川家の実効支配から、
抜け出せない状況にあるようです。

本書では、一族の関係や支配の歴史がわかるように、
家系図も資料として掲載されています。

そして有森さんは栄華を極めた企業が、
どのように転落していったのかを、鋭く内側に切り込み、
詳細にレポートしています。

この本から何を活かすか?

昨日、福岡伸一さんの本を読んだばかりなので、
世襲&同族企業には「動的平衡」が働いていないように感じました。

生物が生きていくために必要な「動的平衡」。

細胞が入れ替わることを拒んでは、
企業もまた、長く生きていけないということでしょう。

また、別の表現で喩えると、
「世襲&同族企業=固定相場」だと思います。

固定相場制は、あくまで発展途上国が一時的に採用するもの。

為替の変動がなく、一見、メリットがあるように見えても、
自国の金融政策を放棄しなければなりません。

固定相場制の脆弱性は歴史が証明していますから、
経営トップを創業者にペッグした世襲&同族企業も
同じような脆さを抱えていると言えるでしょう。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| ビジネス一般・ストーリー | 06:37 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

せいめいのはなし

せいめいのはなし
せいめいのはなし
(2012/04/27)
福岡 伸一 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:27

  「さまざまな方と“対談”をしてきました。
  ですが、この本で語り合った四人ほど、この人に会ったから、
  次はこの人に会いたい-そういった連なりをもった人たちは
  いませんでした」

本書は生物学者の福岡伸一さんが、
4人のゲストの方を迎えた対談本です。

1人目のゲストは、「街場」シリーズでおなじみの思想家、内田樹さん。

福岡さんは内田さんのために、何枚かのスライドを用意して、
対談を行なっています。

内田さんがゲストと言うより、福岡さんがゲストという雰囲気。
「動的平衡」を経済に当てはめる議論が興味深いところです。

2人目の対談者は、芥川賞作家の川上弘美さん。

川上さんは、生物学科出身で高校で生物を教えた経験もあります。

福岡さんとは同じ生物学系ということで、
すぐに会話が噛み合いました。

この対談では、ガン細胞とES細胞が非常に似ているという
少し専門的な話まで出てきます。

3人目も、芥川賞を受賞した作家で、朝吹真理子さん。

朝吹さんは将棋が趣味ということで、盤面の記憶方法の話しから、
人間の記憶蓄積方法についての話題から対談が始まります。

私たちの記憶も「動的」なものであると。

4人目の対談者は、「バカの壁」で有名な解剖学者の養老孟司さん。

養老さんは昆虫採集の大家であるため、
昆虫少年だった福岡さんとの話が盛り上がるだろうと
予想していましたが、まさに予想通りの対談でした。

もちろん、昆虫話で盛り上がるだけでなく、
お2人は様々なテーマについて対談の中で取り上げ、
後半では「言葉とは何か」といった深い内容にまで踏み込んでいます。

4人の方、いずれとの対談も、非常に中身が濃く、
甲乙がつけがたいぐらいに面白い内容です。

しかし、対談者だけを個々に見てみると、
福岡さんの言うような「連なり」や「関係性」は見えません。

一体、この4人に連なっているものは何なのか?

福岡さん自身も、すべての対談が終わるまでは、
その連なりは見えなかったそうですが、
今ではその連なりが見えると。

  「ひと時として“同じ自分”はおらず、その一瞬一瞬で、
  “私”は移ろっていきます。それぞれの私の“瞬間”を受け止め
  反射してくれたのがこの四人なのです。四人によって“福岡伸一”の
  瞬間が何枚も映し出され、それは私でさえ知らない“福岡伸一”を
  形作ってくれたように思います。」

4人の方は、福岡さんの動的平衡を映す鏡だったようです。

つまり本書は、福岡さんが4人のゲストから
何かを引き出したというより、4人のゲストによって、
福岡さんが引き出された対談本だったと言えます。

また、本書のタイトルは、バージニア・リー・バートンさんの
傑作絵本「せいめいのれきし」へのオマージュとして、
「せいめいのはなし」とつけられているようです。

この本から何を活かすか?

  「続・生物と無生物のあいだ」

私が福岡さんのファンになったのは、
生物と無生物のあいだ」がきっかけでした。

本書には、その後日談が紹介され、
続編のネタが少しだけ披露されています。

動的平衡にも「破綻」があった。

とにかく、福岡さんのファンとしては
「続・生物と無生物のあいだ」が待ち遠しいですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 科学・生活 | 06:45 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

成功は缶コーヒーの中に

成功は缶コーヒーの中に
成功は缶コーヒーの中に
(2012/03/30)
谷田 利景(タニダ トシカゲ) 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:19

本書は、ポッカコーポレーション創業者、谷田利景さんが、
「出口が見えない混迷から脱出するための羅針盤」に
なって欲しいという思いで書いた本です。

  「自分の将来を案じているサラリーマンも、
  進路で迷っている経営者も “読めばたちまち元気百倍!”
  そんな特効薬にするつもりで私は本書を書いた。
  このままでは死にきれない。これだけは伝えなければならない。
  そんな熱い思いを行間に込めた。」

谷田さんは、既に80代半ば。
現在はポッカの最高顧問も退任しています。

しかし、「コカ・コーラに挑んだ男」として数々の挑戦をしてきた
谷田さんとしては、今の不甲斐ない日本の状況を見て、
このままではいられないという思いで筆をとったのでしょう。

谷田さんは、誰もやらないことにこそチャンスがあると考え、
多くの「日本初」や「世界初」の商品を世に送り出してきました。

  ・1957年 合成レモンの製造販売
  ・1972年 世界初、本格缶コーヒーの販売
  ・1973年 世界初、ホット/コールド型自動販売機の開発
  ・1996年 「じっくりコトコト煮込んだスープ」発売

私たちが、今、当たり前のように缶コーヒーを飲めるのも、
谷田さんが単に商品を販売したからではなく、
缶でコーヒーを飲む「文化」を創り上げたからです。

ちなみに、100g中5g以上のコーヒー豆を使用したものだけが、
商品名を「コーヒー」として表示できるようです。

この規格で世界で初めて商品化されたのが「ポッカコーヒー」でした。
ちょっと人種がわからない「男の顔」のデザインで有名ですね。

洗練された缶コーヒーのデザインの中にあって、
あの顔は、今も変わらずインパクトがあります。

また、谷田さんの挑戦の歴史の中には、多くの失敗もありました。

合成レモンの不当表示事件、缶コーヒーの米進出失敗、
不味いジュース歴代NO.1の「維力」の発売・・・

その中には会社の存続に関わる危機もありましたが、
谷田さんは幾度となくドン底から立ち上がり、
新たな活路を見つけて、会社を成長させました。

本書には、谷田さんの戦いの歴史の中から、
人生を再考するための、46項目のヒントがまとめられています。

語り口こそ静かですが、その奥に熱い思いが感じられる一冊です。

この本から何を活かすか?

  「ジャネの法則」

人は年を取るにつれて、実感として1年1年が短く感じられます。

それを学問的に説明したのが、ピエール・ジャネさんという
フランスの心理学者だと、本書に説明がありました。

人間の心理的な時間は、年齢の逆数に比例するそうです。

例えば、10歳の頃の1年は1/10、20歳の頃の1年は1/20と感じる。

つまり、つまり10歳の1年より、20歳の1年の方が、
2倍早く感じる計算です。

これがどの程度信憑性のある話かは分かりませんが、
いずれにせよ、これから年をとるにつれ、
もっと時間が早く過ぎるように感じるのは間違いなさそうです。

昨日の1日よりも、今日の1日は短い。
今日の1日よりも、明日の1日はもっと短い。

それを意識して、毎日を大切に生きていきたいですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 仕事論 | 10:35 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

僕がアップルで学んだこと

僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書)
僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書)
(2012/04/10)
松井博 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:22

  「あの会社がここまで変わることができるなら、
  どの会社でも変わることができる」

本書の著者、松井博さんが、このように振り返る
「あの会社」とは、アップル社のこと。

松井さんは、アップル社に16年間在籍しました。
このうち2002年から米国本社に管理職として7年間勤務。

今や誰もが認めるイノベーティブな企業になった
アップルですが、かつては経営の危機に瀕していました。

そこに追放されていた、スティーブ・ジョブズさんが復帰して、
世界を変える製品を次々と生み出すようになり、
アップルが大きく生まれ変わったことは、広く知られています。

では、ジョブズさんが復帰する前のアップルは、
どの程度ダメ会社だったのでしょうか?

松井さんは次のように、当時のことを振り返ります。

  「社内のコミュニケーションの質は本当に
  笑えるレベルにまで低下しました。社内にどんなプロジェクトが
  走っているのかすらも定かではないのです。
  それでいて会社の機密事項は常に漏れっぱなしで、
  自分が関わっていない別のプロジェクトを知ろうと思ったら
  マック専門誌を買って読んだ方が正しい情報が得られるくらいでした。
  そんなわけでマック専門誌はまるで社内報のように
  重宝がられていました。」

これほどまでにダメ会社だった、アップルはいかにして、
現在のエクセレントカンパニーに変わったのでしょうか?

松井さんは、ジョブズさんが復帰して徹底的に替えたのは、
「働く環境」だと説明します。

「環境」こそが、アップルだけでなくフェイスブックやグーグルなどの
米企業と日本企業の差になっていると松井さんは考えます。

ですから、本書のサブタイトルは、
「環境を整えれば人が変わる、組織が変わる」
となっているのです。

本書の前半では、ジョブズさんが復帰して、
アップル内部の環境が、具体的にどのように変わったかが、
時系列で整理されています。

そして、イノベーションを起こすための環境を考察します。

後半では、一個人が会社などの自分を取り巻く環境に
どのように働きかければ良いかが書かれています。

アップルの過去の話は、単に好奇心を刺激するだけですが、
整理整頓から始まる、松井さん独自の環境論は
かなり実用的な内容だと思います。

また、アップルは社内政治が熾烈な会社だったらしく、
本書には、「社内政治と賢く付き合う」という章が設けています。

この章では、かなり具体的なノウハウが紹介されているので、
社内政治を苦手にしている人には、参考になると思います。

この本から何を活かすか?

松井さんは、アップルの米国本社に務めていたとはいえ、
ジョブズさんとミーティングで一緒になったことは、
2回しかなかったそうです。

しかし、その2回の体験があまりにも強烈だったために、
ブログに「Steve Jobs の思い出」という記事を
書いたところ驚異的なアクセスになり、
それがきっかけで、本書を執筆することになったそうです。

松井さんのブログ「まつひろのガレージライフ」は、
アップルのことに限らず、いろいろなテーマで
記事を書いているとのこと。

ジョブズさんの記事以外も読んでみようと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| 組織・社内教育・コーチング | 06:46 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

ウィルゲート 逆境から生まれたチーム

ウィルゲート 逆境から生まれたチーム
ウィルゲート 逆境から生まれたチーム
(2012/04/06)
小島 梨揮 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:20

SEOを中心とするウェブマーケティングのベンチャー企業、
「ウィルゲート」の創業から経営危機を経て∨字回復した物語。

  「もしもし、諒? 将来の夢を決めたよ!」
  「何?」
  「会社を創る。それで俺が社長になるから、諒は専務になってよ」
  「別にいいけど・・・、どんな会社を創るの?」
  「働いている仲間と熱くなれる会社、事業内容はこれから考える!」

本書の著者、小島梨揮さんが、こんな将来の夢を口にしたのは、
高校2年生の夏のことでした。

小島さんは、翌年、高校3年生の時にネットショップの事業を立ち上げ、
その2年後には株式会社ウィルゲートを法人登記します。

小島さんは電話で夢を語った相手、吉岡諒さんを
専務取締役として、2人3脚で会社の経営を軌道に乗せていきます。

ウィルゲートは、創業当初こそネットショップからスタートしましたが、
検索エンジンの最適化のSEO対策を柱とした、
ウェブマーケティングへ特化した事業内容へシフトします。

しかし、会社が成長する中で、少しずつ歯車が狂いが。

事業の拡大を目指した資金調達、即戦力を求めての中途採用。

やがてメンバーの間に、意識の溝が生まれ、
組織の成長痛ではすまされない、ほころびが見え始めます。

そして、買収話をきっかけに起こったウィルゲート・ショック。

会社のために休みも取らずに奔走していた小島さんは、
社員から次のように言われてしまいます。

  「うちの経営陣は人の使い方も物事の伝え方も下手です。
  今回の制作部解散の伝え方が悪すぎるので、
  かなり社内に波紋を呼んでいます。
  はっきりいってマネジメントとしてはマイナス100点ですね。
  たぶん、今多くの社員間で社長・経営陣の人望は0点だと思います。」

赤字は毎月増え続け、社員はどんどん辞めていきました。

ウィルゲートが倒産寸前の状態に陥った時、
創業から4年弱、小島さんは、弱冠22歳でした。

それでも、小島さんたち経営陣は、
わずかに残ったメンバーと正面から向き合い、
ビジョンの共有と覚悟の確認をして、再興に向けて動き出します。

この時になって小島さんは、ベンチャー企業として走ってきた
ウィルゲートに足りなかったのは、「理念とビジョン」、
それを浸透、実現させる「リーダーシップ」だと気づきます。

そして、逆境の中から生まれた強い絆で結ばれたチームは、
どん底の状態から、∨字回復し新たな成長の段階へ移ります。

本書からは、若いながらも、濃密な体験をした
小島さんの経営者としての苦悩と葛藤、
そして覚悟と喜びがリアルに伝わってきました。

本書は起業を志している人はもちろん、そうでない人にも、
困難なことに挑戦する気概を与えてくれる、熱くなれる本です。

この本から何を活かすか?

現在、ウィルゲートは当初目指していた株式公開をやめ、
社内体制の強化にも注力しているようです。

ベンチャー企業の中には、株式公開を目指して急成長し、
実際に公開まで無理やりこぎつけたものの、
中身がボロボロになっている会社も少なくありません。

経営危機を経たことで、管理基盤を整え、
組織力を強化へ目を向けたことは、
ウィルゲートの今後の飛躍に必要なことだったと思います。

今後の、更なるウィルゲートの成長に注目したいですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book

このエントリーをはてなブックマークに追加

| ビジネス一般・ストーリー | 06:57 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

競争優位で勝つ統計学

競争優位で勝つ統計学 ーーわずかな差を大きな勝利に変える方法
競争優位で勝つ統計学 ーーわずかな差を大きな勝利に変える方法
(2011/11/08)
ジェフリー マー 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:26

ベン・メズリックさん原作の映画「ラスベガスをぶっつぶせ」は、
マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生ベン・キャンベルが、
数学を駆使したブラックジャックの必勝法を引っさげて
ラスベガスに乗り込み、カジノから大金を巻き上げようとする
実話に基づいたサスペンスでした。

本書の著者、ジェフリー・マーさんは、
その主人公ベン・キャンベル(原作本ではケビン・ルイス)の
モデルになった方です。

  「ギャンブルにまつわる本が世間でどう評価されるか
  不安もあったので、実名は伏せてもらった。
  『ケビン・ルイス』と『ベン・キャンベル』となった私の経験は、
  ニューヨーク・タイムズのベストセラー小説と大ヒット映画の中で
  語り継がれることになった。どちらも私の身に実際に起ったことを軸に、
  娯楽性とドラマチックな要素を強調してチームの紆余曲折を
  描いているが、カジノを打ち負かすためのイノベーション、
  発明、洞察力といった側面は十分に取り上げられていない。
  私が思うに、それこそがビジネスの場で幅広く役立つ知識である。」

本書は、ギャンブルの指南本ではありません。

わずかな統計上の優位を、データ主導の意思決定によって
大きな成功につなげるための方法論を語る本です。

マーさんはMIT卒業後、数学の能力が認められ、
シカゴのオプション取引会社でデリバティブの取引を
するようになります。

しかしマーさんは、あることに気づき、
その会社を短い期間でやめてしまいます。

  「私はカジノの方がトレーディング・フロアよりも
  はるかにゆるぎない優位性を獲得できることに気づいた。(中略)
  私たちがカジノでやっていることにギャンブルの要素は
  ほとんどなかった。ところがトレーディングはまるで違った。
  本質をつきつめてみれば、トレーディングにはブラックジャックに
  備わっている確実性が欠けているのだ。」

マーさんが、カジノで勝負するのはブラックジャックだけでした。

なぜなら、ブラックジャックが唯一攻略可能なゲームだからです。

ブラックジャックを支配するのは、過去にプレイされたカードが
将来にプレイされるカードに影響を及ぼす、条件付き確率。

カードをカウンティングし、確率的に優位な場合は
賭金を多くし、不利な場合は賭金を減らしたり、
勝負から降りるという統計に基づく戦略をとることができます。

一方、カジノを代表するルーレットなどは、
過去に何回「赤」が連続して出ても、
過去の結果が将来に全く影響しない独立事象。

10回連続「赤」が出たから、次こそは「黒が出る」と考えるのは、
いわゆる「ギャンブラーの誤謬」です。

  「ブラックジャックにおいてデータ分析に徹することができるのは、
  このゲームが数学の規則に忠実だからだ。短い期間ながら金融業界に
  身を置いた経験も役立ち、私は自分が優位に立つ上で欠かせない、
  いくつかの基本原則を会得することができた。
  この原則は戒律とも呼べるものであり、
  本書で取り扱う中心的なテーマになっている。
  基本原則を理解することが、分析的アプローチで
  成功を手にするための必要条件である。」

本書は、カジノでのリアリティある描写が楽しめ、
同時に、数学や統計をどのようにビジネスに活かすかの
ヒントを与えてくれる、オススメの一冊です。

この本から何を活かすか?

マーさんは、統計学という宗教を信じています。

その宗教を信じで利益を上げるための戒律(投資戦略)として、
本書で次の3点を挙げています。

  戒律1. 偏差を味方につける
  戒律2. 長期的な見通しを重視する
  戒律3. 十分な資金を用意する

この中でも重要なのが、偏差に惑わされない術を身につけること。

ただし、個人的には、そもそもの投資対象が、
統計学で扱えるものかどうかを見極めることが大切だと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 数学 | 06:45 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

勝手に売れていく人の秘密

勝手に売れていく人の秘密
勝手に売れていく人の秘密
(2012/03/09)
清水 康一朗 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:20

モノやサービスを売るためには、マーケティングとセールスの
両方を学ぶ必要があります。

では、一体、誰から何を学ぶのが一番いいのでしょうか?

  「本書には、世界中で支持されている“マーケティングの神様”、
  “営業の神様”の知恵がぎっしりと詰まっています。」

どうせ学ぶなら、その世界でNO.1と呼ばれる人から学べばいい。

そんなコンセプトで書かれたのが本書です。

まず、本書はマーケティングについて、
ジェイ・エイブラハムさんの極意をまとめて紹介します。

エイブラハムさんは、1時間のコンサルティング料60万円、
1日のコンサルティング料480万円という超高額の料金設定ながら、
世界中からクライアントが押し寄せる天才マーケッター。

日本でも金森重樹さん監訳の
ハイパワー・マーケティング」で知られています。

  マーケティングの極意1 オプティマイゼーション
  マーケティングの極意2 フロントエンドとバックエンド
  マーケティングの極意3 セールスファネル
  マーケティングの極意4 戦略的ジョイントベンチャー
  マーケティングの極意5 リスクリバーサル
  マーケティングの極意6 フューチャーペーシング
  マーケティングの極意7 卓越の戦略

次に、本書はセールスについて、
ブライアン・トレーシーさんの叡智をまとめて紹介します。

トレーシーさんは、営業の神様と呼ばれるビジネスコンサルタント。

セールスパーソンとして全米はもちろん、世界85ヶ国以上を歴訪し、
30種類以上の事業を手掛けた実績があります。

このブログでも「フォーカル・ポイント」など、
過去に5冊ほどトレーシーさんの著書を紹介しています。

  営業の叡智1 信頼のピラミッド
  営業の叡智2 ラポール
  営業の叡智3 信頼の構築
  営業の叡智4 ニーズの把握
  営業の叡智5 プレゼンテーション
  営業の叡智6 クロージング
  営業の叡智7 達成の心理学

このエイブラハムさんとトレーシーさんの知恵を、
活かすことができれば、「勝手に売れていく」というわけです。

ただし、エイブラハムさんとトレーシーさんが、
本書を執筆しているわけではありません。

あくまでも、本書は著者の清水康一郎さんが、
2部構成で2人の巨匠の教えをまとめたものです。

だからこそ、あり得ない夢のコラボが実現しているのです。

ズルイと言ってしまえばそれまでですが、
セミナーのポータルサイトを運営する清水さんだからこそ、
このような企画の本を世に出せたのかも知れません。

この本から何を活かすか?

本書のように2人のカリスマを
勝手にコラボさせるのは、面白い企画ですね。

例えば、フィリップ・コトラーさんとジグ・ジグラーさん。
ピーター・ドラッカーさんとヘンリー・ミンツバーグさん。
アンソニー・ロビンズさんとジョン・C・マクスウェルさん。
ジャック・ウェルチさんとスティーブ・ジョブズさん。
大前研一さんとウォーレン・ベニスさん。
ウォーレン・バフェットさんとジョージ・ソロスさん。

考えだすとキリがありませんが、
故人も含め、いくらでも面白そうなコラボができそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| マーケティング・営業 | 06:33 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

この国で起きている本当のこと

この国で起きている本当のこと
この国で起きている本当のこと
(2012/04/20)
辛坊治郎 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:17

  「大阪維新の会といえば、全国的には橋下徹氏一人が率いる
  地域政党という印象を持つ人が多いだろう。
  しかし、元々この組織を構想し作り上げたのは松井一郎氏と、
  大阪府議会長を務める浅田均氏の二人なのだ。」

このように「大阪秋の陣」のウラ舞台を語るのは、
人気キャスター辛坊治郎さん。

かつて、松井さんと浅田さんのお二人は、自分たちがうまく操れる、
大阪府知事候補探しに奔走していたそうです。

実は、辛坊さんも、知事にならないかと浅田さんに
声をかけられた一人だとか。

  「その後、彼らが発掘したのが橋下徹氏だったのだ。
  浅田、松井両氏の本音としては、誰でもいいから知事選に
  勝ってくれさえすれば、マリオネットのように操って政治をする
  つもりだったのだろうと思う。さらに裏の話をすれば、
  今回の橋下氏の市長転進のシナリオは2年前に両氏から
  聞かされていた。

  だからといって、今でも橋下氏が操り人形だと言うつもりはない。
  彼らが選んだマリオネットは知事に就任するやいなや、
  自ら思考し、自分で手足を動かし、いまや逆に人形師を操るほどの
  力を持ち始めているように見える。」

さすが、大阪が地盤の辛坊さんだけあって、
世間ではあまり知られていない、コアな情報を持っていますね。

本書は、辛坊さんが2011年4月から連載を開始した、
週刊朝日のコラム「甘辛ジャーナル」をまとめたもの。

辛坊さんは、日本の抱える7つの問題について、
現実を伝え、私たちに「これからどうすべきか」を
考えるように促します。

  第1章 年金の恐ろしい真実
  第2章 検証「3・11原発敗戦」
  第3章 これから原発をどうすべきか
  第4章 日本の財政はもう「詰み」なのか
  第5章 国は「農」から腐る
  第6章 「橋下徹」という爆弾
  第7章 不思議の国・日本の情景

辛坊さんは、TVキャスターらしく、
読者に分かりやすいように、
日本の諸問題の病根を明らかにします。

ただし、それらの話の情報源や根拠は示されていないことも多く、
どこまで本当なのか、どもまで信用して良いかは分かりません。

本書では、その点も含めて、自分で裏を取りながら
考えた方がいいということなのかもしれません。

この本から何を活かすか?

  「日本で、確実に死ぬことが分かっている状況下で、
  自衛官に4号機の上空で停止して至近距離からの注水を
  命じることができるか?
  1~3号機の弁を開けなければ世界が破滅する局面で、
  致死量を超える放射線レベルの場所に、“誰か”を
  行かせることができるか?
  また、誰にその作業を命じるのが正義か?」

辛坊さんは、マイケル・サンデルさんではありませんが、
このような極限状況における「正義」を問います。

辛坊さんが納得感がある候補として挙げるのは、
「日本の原発では絶対に事故が起こらない」と主張してきた
学者、業者、役人。

また、組織のトップが責任をとるということでは、
東電社長、原子力安全委員長、原子力安全・保安院長、
経済産業大臣、内閣総理大臣を挙げています。

更には、原発事故の当事者ではありませんが、
死刑執行が決まっている犯罪者などを候補としています。

あなたは、この究極の場面でどう判断しますか?

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 社会・国家・国際情勢 | 06:49 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

イラン人は面白すぎる!

イラン人は面白すぎる! (光文社新書)
イラン人は面白すぎる! (光文社新書)
(2012/04/17)
エマミ・シュン・サラミ 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:24

イスラム教では、ラマダンという断食月があります。

この期間は日の出から日没まで、食べ物だけではなく、
飲み物も一切口にしてはいけません。

ですから、ラマダンの時期にイランで放送される
テレビ番組では、食事のシーンが全てカットされるそうです。

それは、アニメも例外ではありません。

  「当時イランで放送されていた日本のアニメ
  『それいけ!アンパンマン』では、アンパンマンの顔に
  モザイクをかけられてしまった。

  顔にモザイクがかかっているヒーローという斬新さ。

  バイキンマンと闘っているヒーローのほうにモザイクがかかり、
  どっちが悪者なのかわからない不思議なアニメになってしまった。」

このようにイランに住んでいた当時を振り返るのは、
本書の著者、エマミ・シュン・サラミさん。

サラミさんは、1980年にイランの首都テヘランで生まれ、
10歳のときに日本に来た在日イラン人。

現在は、武井志門さんと漫才コンビ「デスペラード」を組む、
吉本のお笑い芸人さんです。

私は、サラミさんのことも、コンビ名のデスペラードのことも、
本書を読むまで、全く聞いたことがなかったので、
失礼ながら、あまり売れていない芸人さんなのでしょう。

そもそも、私はこの本を芸人さんが書いた本だとは知らずに、
手にしました。

私たちが、普段、イランについて耳にするのは、
核問題だったり、近隣国との戦争だったり、
イスラム過激派の報道など、あまり良い話は伝わって来ません。

その他では、多くのイスラム教徒が集まって土下座をするように
祈っているシーンは、ニュースで見かけることはあります。

果たして、私たち日本人には、イランの人たちやイスラム教のことが、
正しく伝わっているのでしょうか?

私たちのイランに対する認識は、日本をよく知らない欧米人が、
サムライと芸者と富士山の国だと思い込んでいるのと、
大差はないのではないでしょうか。

本書は、私たちが知らない、本当のイラン人がわかる本。

  「みなさんがこの本をきっかけにイスラム文化やイスラム教に抱く
  ネガティブなイメージを少しでもやわらげてほしい。
  それが僕の一番の願いだ。」

サラミさんは、私たちの持つイランやイスラム教に対する
イメージを根底から覆します。

イラン人が面白いのか、サラミさんが面白過ぎるのか分かりませんが、
とにかく笑えます。

本書を読んでいる時に、私は知り合いから
「ひとりで本読んで笑って、気持ち悪い」と言われたほど。

笑いながら、イランのことを知ることができ、
気がつくと、イランの人たちとの距離が縮まる素敵な本です。

この本から何を活かすか?

イスラム教で最大のタブーとされるのは、豚肉を食べることです。

不幸なことに(ひょっとすると幸運?)、サラミさんが、
父親と一緒にイランから来日して住んだのが、
イスラム教徒が日本で一番住んではいけない町でした。

それは、北海道の帯広市。

実は私の出身地でもありますが、ここは「豚丼」で有名な町です。

いかにして、サラミさんは天国に行くことをあきらめ、
脱イスラム宣言をしてまで、豚を食べることになったのか?

このくだりも面白いので、ぜひ本書でお楽しみください。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 社会・国家・国際情勢 | 12:21 | comments:1 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

大転換 「BOP」ビジネスの新潮流

大転換 「BOP」ビジネスの新潮流
大転換 「BOP」ビジネスの新潮流
(2012/04/04)
田原総一朗 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:19

  「一年ばかり前(2010年初頭)に『BOP』という言葉を聞いた。

  BOPとは、ボトム・オブ・ピラミッドの頭文字で、
  つまりピラミッドの底という意味なのだという。

  だが、ピラミッドの底では、それがどうしたというだけで
  興味が持てないが、これが経済や文化の壮大な未来を
  拓くのだというのである。

  ボトム・オブ・ピラミッドが、これから超巨大市場になるというのだ。
  しかも日本はBOPに遅れに遅れているようだ。」

このように、田原総一朗さんの興味を掻き立てた「BOP」ビジネス。

もともとは、C.K.プラハラードさんの「ネクスト・マーケット」で
広く知られるようになった概念です。

しかし、田原さんは取材をすすめると、
今は「ボトム・オブ・ピラミッド」とは言わないことを知ります。

私も田原さんと同じように、BOP=ボトム・オブ・ピラミッドだと
思っていましたから、過去記事の「グラミンフォンという奇跡
の中でも、そのように紹介していました。

現在は、「ボトム」ではちょっと表現が良くないということで、
「ベース」と言い換え、「ベース・オブ・ピラミッド」と呼ぶようです。

呼び方はさておき、世界の所得ピラミッドは3層に分かれます。

ピラミッドの頂上は、日本やアメリカ、ヨーロッパなどの
先進国が含まれるトップ層で、人口規模は1.75億人のマーケット。

このトップ層の平均年間所得は約200万円で、
既に成熟しきっています。

それに続く、中国、ブラジル、ロシアなど新興国が含まれる
ミドル層は約14億人のマーケット。

世界経済を牽引する勢いのある層で、年間平均所得は約30万円。

ピラミッドの一番下にあり、アフリカや南米、アジアの
貧困国が中心で、BOPの主役となるマーケットがベース層。

世界の人口の70%以上を占め、年間平均所得が5万円程度の国も
多く含まれます。

ベース層のマーケットの規模は約500兆円で、
日本のGDPとほぼ同額のようです。

本書では、このマーケットでビジネスを展開する若手起業家や
企業に田原さんが取材し、BOPビジネスの最前線を伝えます。

私が興味深かったのは、田原さんが感じた、
日本企業と外国企業のBOPビジネスに対する温度感の差でした。

  「(日本企業は)BOPビジネスを紹介することで企業のイメージが
  損なわれはしないかと躊躇している例が少なくないのではないか。
  
  それに対し、外国企業はまず自社の理念を掲げる。
  そしてBOPビジネスに早く参入するというか、
  道なき道を切り開いたこと。恵まれない、貧困生活に喘ぎ、
  文明から置き去りにされていた人々の生活を、健康を、教育を
  高めるために役割を果たしていることが誇りであり、
  そのために企業のイメージが高まるのだと確信し、
  自信をもって広く知らせようと努力しているようだ。」

この本から何を活かすか?

本書の中で大和証券が扱う「ワクチン債」が紹介されてました。

ワクチン債とは、投資家から集めたお金で貧困国で使う
ワクチンを買い、投資家には別途集まってくる国や団体からの
寄付金を使って、金利をつけて償還するという金融商品。

「あなたの投資で子供たちの命が救われます」
と宣伝して販売されていました。

個人的には、これをBOPビジネスと扱うのもどうかと思いますし、
この金融商品には、いつもの田原さんらしく、
もっと鋭くツッコんで欲しかったですね。

この取材に関しては、田原さんが、ほぼ証券会社の担当者に
言われるままになっているのがちょっと残念でした。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| ビジネス一般・ストーリー | 06:42 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

| PAGE-SELECT |