活かす読書

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偶然の科学

偶然の科学
偶然の科学

(2012/01/25)
ダンカン・ワッツ、Duncan J. Watts 他 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:25

スティーブ・ジョブズさんに率いられたアップルの成功は
本当に「自明」のことだったのでしょうか?

ジョブズさんが存命中だった頃は、
その才能や功績が賞賛されながらも、
一方でその独裁的なやり方に批判する人もいました。

しかし、故人となってしまったい今、
以前のようにジョブズさんを悪く言う人は少なくなりましたね。

ハロー効果もあり、ジョブズさんが亡くなってから、
その功績は一層神格化し、アップルの成功は、
ジョブズさんなくしては成し遂げられなかったと誰もが考えています。

しかし、iPodやiPhoneの戦略は、失敗に終わるだけの要素を
いくつも持っていました。

仮に、iPodやiPhoneが失敗に終わっていたら、
ジョブズさんは、どのように批判されていたのでしょうか?

恐らく、ジョブスさんの負の側面が強調され、
「こんな傲慢で市場のニーズに注意を払わないやり方では、
失敗するのも当たり前」と言われていたかもしれません。

そして、ジョブズさんの跡を継いだティム・クックさん。

ジョブズさんのカリスマ性を失ったアップルが、
クックさんの手によって、更なるイノベーションを成し遂げたなら、
その時も、必ずもっともらしい成功要因が語られるはずです。

つまり私たちは、どんな結果であっても、
それを元からの知識と折り合いをつけ、納得できるのです。

たとえ、それがまったく正反対の結果であっても。

それでは、なぜ、私たちは正反対の結果までも
「自明」だったと思ってしまうのでしょうか?

  「本書でわたしが論じるのは、この矛盾の鍵は“常識”そのものに
  あるということだ。ここで言っておかなければならないが、
  常識はほぼ例外なく好ましいものだと見なされているだけに、
  それを批判するのはなかなかやりにくい。
  だがこの本でわたしはたびたび言うつもりでいる
  -“常識を用いるな”と。」

本書の著者は、スモールワールド理論の提唱者である
ダンカン・ワッツさん。

原題「Everything Is Obvious: *Once You Know the Answer
の通り、一度答えを知ってしまったら、
すべては自明と思えることについて考察した本です。

邦題だけを見ると、「科学」とありますから、
自然科学(natural science)の分野から「偶然」を
解説する本のように思えますが、
内容は社会科学(social sciences)の本です。

社会科学は、物理学者リチャード・ファインマンさんによって、
「科学に値しない」と批判されたこともあります。

そして、ワッツさん自身も、物理学から社会科学の世界へ転身し、
社会科学の有用性を問われることがよくあるそうです。

そんなワッツさんが、社会科学の存在意義を問いながら、
本書では常識に囚われることの危うさを示します。

300ページを超える早川書房らしい、ちょっと硬派な翻訳本でした。

この本から何を活かすか?

  「人間に未来予測はできない。リアルタイムで偶発性に対処せよ。」

これは本書の見返しに書かれている言葉ですが、
本文中で、ワッツさんはここまでハッキリと断言してはいません。

個人的には、正確に予測ができないからといって、
未来予測をしなくていいとは思えません。

私は「予測と対処」について投資やトレードにおいては、
次のように考えています。

「未来予測をせよ、その上でリアルタイムで偶発性に対処せよ。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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| 経済・行動経済学 | 07:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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