活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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グローバル恐慌の真相

グローバル恐慌の真相 (集英社新書)グローバル恐慌の真相 (集英社新書)
(2011/12/16)
中野 剛志、柴山 桂太 他 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:23

日本では民主党政権が迷走し、経済が悪化する中で、
東日本大震災が起こりました。

ヨーロッパではギリシャ危機をきっかけに、
EU内諸国での国家債務危が飛び火し、
EU自体の存在意義が問われています。

そして、世界経済を牽引していたアメリカでも、
オバマ政権は有効な経済政策が打てず、行き詰まりを見せています。

それでも世界経済は、一時的に低迷しているだけで、
これからもグローバル化は順調に進み、
いずれ好調に戻るのでしょうか?

それとも、米経済学者のポール・クルーグマンさんが、
リーマン・ショック後に言ったような
「今の世界は鏡の国のアリスのような状況」が、
今後も続くのでしょうか?

「鏡の国」とは、それは今まで良かったことが悪くなり、
悪かったことが良くなる、考え方がすべて逆転した世界。

本書の著者、中野剛志さんと柴山桂太さんは、
共に後者の考えです。

中野さん「リーマン・ショックを引き起こしたグローバル化や
     新自由主義的な考え方で、問題を解決することは
     できないのです。」

柴山さん「グローバル化は経済危機の原因であって、グローバル化を
     経済危機の処方箋とすることはできない、というわけですね。」

本書は「TPP亡国論」で注目された中野さんと、
その盟友であり気鋭の経済思想家の柴山さんの熱き対談本。

これまでの主流派経済学には、解決の処方箋は無いとして、
過去の経済思想家の考えを引き合いに出しながら、
これまでの通俗観念を覆すような議論が展開されます。

  第1章 グローバル化の罠に落ちたアメリカと世界
  第2章 デフレで「未来」を手放す日本
  第3章 格差と分裂で破綻する中国とEU
  第4章 冬の時代のための経済ナショナリズム

お2人とも考えが近いので、反TPPはもとより、
現在の世界経済の危機は過度なグローバル化がもたらしたものであり、
完全な反グローバル化で意見が一致しています。

中野さんが、自身の主張を政治経済思想の観点からも
強化するために柴山さんを呼んだような印象です。

ですから、意見を戦わせることはほとんどなく、
共通認識を確かめながら、深く語り合うような対談になっています。

中野さん「日本も世界もここまで滅茶苦茶をやれば、
     こうすればバラ色になるなんという処方箋なんて、
     もうあり得ないですよ。今、必要なのは、
     事態がもっと悪化するのを食いとめるという敗戦処理、
     ダメージ・コントロールです。」

柴山さん「僕が思うのは、これからは消耗戦なんですよね。
     日本だけでなくすべての先進国が、グローバル競争のなかで、
     せっかく蓄積してきたナショナル・キャピタルを
     減らし続けている。これ以上、消耗しないように
     なんとか踏みとどまるというのが、
     強いて言えば方針になるかな、と。」

分かり合っているお2人ですから、話もかみ合い、
非常に質の高い対談になっていると思います。

この本から何を活かすか?

今までは、世界経済の成長に長期投資するのが、
投資の王道でした。

なぜなら、景気の波や地域によって好不調はあっても、
人の欲望をエンジンとして、常に拡大していくことが
資本主義の本質だからです。

それでは、リーマン・ショック後に、
「鏡の国」に入ってしまった私たちは、世界への株式投資は控えて、
できるだけ現金で資産を持っていた方が良いのでしょうか?

私は、そうは思いません。

中野さんと柴山さんからは、批判を受けるかもしれませんが、
これからますます不安定な世界の経済状況が続くなら、
ボラティリティによって儲けることも考えるべきだと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 経済・行動経済学 | 07:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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