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弱い日本の強い円

弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)
弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)
(2011/10/12)
佐々木 融 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:25

1990年以降、過去21年間で世界で最も強い通貨は何か?

1990年以降といえば、日本にとっては、
失われた10年とも、20年とも呼ばれる時代です。

しかし、この期間で世界で最も強い通貨は「日本円」。

あれ?

日本は高齢化が進み、しかも人口も 減り始めているんじゃないの?
日本の「国力」ってそんなに強かったっけ?
GDPだって、ほとんど伸びていないのに。

世間では、このような誤解が蔓延しています。

どうしても、「国力」が高い国の通貨が強くなる
という イメージがあるのかもしれません。

その誤解を逆手にとってつけたタイトルが、
本書の「弱い日本の強い円」です。

それでは、国力でなければ、
いったい何が通貨の強さに影響するのでしょうか?

それは、1990年以降の日本が他の先進国と比べ、
経済的に何が違っていたかを考えればわかるでしょう。

日本が過去21年間見舞われているのはデフレ。

つまり、日本が主要国中で最もインフレ率が低かったことが、
円が最強通貨となった要因なのです。

本書は、為替相場変動のメカニズムを
わかりやすく解説した本です。

著者は、日本銀行時代には介入の実務を担当し、
現在はJPモルガン・チェース銀行で
マネジングディレクターを務める佐々木融さん。

為替相場は、株式相場などよりも
予測不可能と言われることがあります。

佐々木さんは、為替が難しく感じられる原因は
2つあると説明しています。

1つ目は、為替は表面的には簡単に見えてしまうこと。

そのため、変動の理由や背景が単純に語られ、
それがもっともらしく聞こえてしまいます。

しかし、実際のメカニズムは、これだけを見れば、
為替の動きがわかるといった単純なものではありません。

その見た目とのギャップがかえって、
為替を難しく感じさせてしまうようです。

2つ目の原因は、一般的に言われる為替変動の要因が
的外れなものが多いということ。

冒頭に挙げた、国力と通貨の関係はその最たるものです。

実際に、国力と為替相場の関係は希薄。

この間違った常識が、イメージ的に
すんなりと 受け入れられてしまうので、
かえって、為替の動きが予想がつかないと思わせるようです。

本書は、こういった誤解を解き、
為替相場を正しく理解するための良書です。

この本から何を活かすか?

20年後のドル/円のレートはどうなるのでしょうか?
 
日本の物価上昇率が今後も、
これまでと同様に 米国より2~3%程度下回り続けるなら、
1ドル50円前後となるのがレートとしては適正のようです。
 
しかし、佐々木さんは必ずしも実際に50円台に
下落するとは考えていません。

それは、前提となる日米の物価上昇率格差が、
これまでと同様とならない可能性もあるからです。
 
佐々木さんは、将来的にはむしろ日本の物価上昇率が
米国の物価上昇率を上回る可能性もゼロではないと考えているようです。

ただし、私たちとしては、仮に1ドル50円台に突入しても
いいように準備はしておく必要がありますね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 

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