活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I
スティーブ・ジョブズ I

(2011/10/25)
ウォルター・アイザックソン 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:22

  「ジョブズは上司としても人間としてもモデルになるような
  人間ではない。
  わかりやすくて皆がまねしたいと思うような人物でもない。
  悪鬼につかれているかのように、周囲の人間を怒らせ、
  絶望させるのだ。しかし、彼の個性と情熱と製品は
  全体がひとつのシステムであるかのように絡み合っている

  -アップルのハードウェアとソフトウェアが
  そうなっていることが多いように。

  だからこそ彼の物語には示唆に富む部分と
  注意しなければならない部分の両面があり、
  そして、イノベーション、キャラクター、リーダーシップ、
  価値についての教訓があふれているのだ。」

「伝記」が面白くなるための要素は3つあります。

1つ目は、題材となる人物の個性。

その個性がもたらすエピソードの豊富さにおいて、
スティーブ・ジョブズさんほどの人物はなかなかいません。

本書では、天才経営者のジョブズさん一面だけでなく、
欠陥のある人間としての様が克明に描かれています。

あまりの奇人ぶりに、引いてしまう人もいるかもしれませんね。

2つ目は、その人物が歩んだ人生のストーリー。

ジョブズさんの人生は、養子に出されるところから始まります。

恵まれた才能でアップルを立ち上げて一度目の成功。
しかし、その後会社から追放され、大きな挫折を味わいます。

その苦難を乗り越えて、アップルの危機に復帰してからの、
新たな成功のステージへ。

2011年8月には時価総額世界1位に
なりましたから、ストーリーとしても申し分ありません。

3つ目は、書き手のストーリーテラーとしての能力。

著者のウォルター・アイザックソンさんは、
ジョブズさんから見込まれ、何度も伝記を書くように依頼されて、
本書を執筆しています。

アイザックソンさんは、過去にもベンジャミン・フランクリンさんや、
アインシュタインさんの伝記を書いてベストセラーに
なっていますから、その実力は折り紙つき。

この3つの要素が揃った本書が、面白くないわけがありません。

日本語版の本書は上下巻の2分冊となっていて、
上巻の内容は、子ども時代から、ピクサーで成功したころまで。

スティーブ・ウォズニアックさんとの出会い、アップルの設立、
アップルⅡの成功、マック誕生、ジョン・スカリーさんとの関係、
ビル・ゲイツさんとの確執、アップル追放などが描かれています。

私は、本書を読んで疑問に感じたことがあります。

何でも病的なまでに自分でコントロールしなければ気のすまない
ジョブズさんが、なぜ伝記の内容には口出ししなかったのか?

40回もの取材にも応じ、内容への注文も一切つけず、
出版前に原稿を見せてほしいとの要求さえしなかったそうです。

アイザックソンさんに伝記を頼んだ時点で、
ジョブズさんは自分の死期が見えていましたから、
最後はありのままの真実を書いてほしいと思ったのかもしれません。

この本から何を活かすか?

  「現実歪曲フィールド」

  「スティーブには、現実歪曲フィールドがあるんだ。
  彼の周囲では現実が柔軟性を持つんだ。
  誰が相手でも、どんなことでも、彼は納得させてしまう。
  本人がいなくなるとその効果も消えるけど、でも、そんなわけで
  現実的なスケジュールなんて夢なのさ」

これは、アップの仲間だったバド・トリブルさんが、
「スター・トレック」から引用して、
ジョブズさんの特殊能力を評したもの。

つまり、今のアップルからは現実歪曲フィールドが
消えてしまったということですね。

イノベーションを研究する場合、最近では、ジョブズさんが
題材として用いられることがよくあります。

しかし、私が本書を読む限りでは、ジョブズさんのイノベーションは
科学ではなく、むしろ芸術に近い感じがします。

ですから、いくらジョブズさんのイノベーションを研究しても
再現することは難しいように思えます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 

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