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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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無料ビジネスの時代

無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 (ちくま新書)
無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 (ちくま新書)

(2011/09/05)
吉本 佳生 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:29

 Q1. コーヒー1杯無料の券をあちこちで配布するカフェA。
  2杯目や3杯目を飲もうとすると、それらは有料となります。
  一方、カフェBでは、1杯目のコーヒーは有料ですが、
  おかわりで2杯目や3杯目を飲むときにには無料です。
   
  いまどきの賢いカフェ経営者なら、どちらを選ぶでしょうか?

このクイズは、吉本佳生さんがミスタードーナツでカフェオレを
飲みながら、マクドナルドのコーヒー1杯無料券がついた
雑誌を読んでいて思いついたそうです。

もちろん、カフェAはマクドナルドのことで、
カフェBはミスタードーナツのことです。

一見、コーヒーの無料提供という事実だけを見ると、
どちらも同じような価格戦略のように思えますが、
その裏にある動機や、狙っている顧客層、
他の商品の売り上げへの影響はまったく違います。

本書で「無料ビジネス」として考察されるのはカフェAの価格戦略。

これは、お店や企業が最初になにかを無料で提供して、
全体では利益を増やそうと狙うビジネス手法です。

  第1章 無料ビジネスとは? 2タイプのコーヒー無料から考える
  第2章 共同購入型クーポンVS.無料ビジネス 生き残るのは?
  第3章 TDLとUSJのアトラクション無料 入場料金値上げとの関係
  第4章 予算制約VS.時間制約 消費者のどこをまず狙うのか?
  第5章 ケータイと無料ビジネス 本質は個人向けファイナンス
  第6章 消費不況と無料 無料ビジネスが日本経済を救う?
  第7章 電子書籍と無料ビジネス 期待はずれに終わりやすい理由

ちなみに、吉本さんはミスタードーナツでは
コーヒーが無料でおかわりができて、
マクドナルドではできない前提で話をしていますが、
実際は、マクドナルドでもコーヒーのおかわりは無料です。

ですから、本当にマクドナルドがやっているのは、
1杯目も無料で、かつ、2杯目以降も無料の
「究極の無料戦略」ですね。

それはさておき、本書は吉本さんらしく、
他の無料ビジネスを扱った本とは、一線を画しています。

  「本書は、類書とは異なる視点から無料ビジネスについて考えます。
  推理小説にたとえれば、類書が主題とした“トリック(無料のカラクリ)”
  ではなく、あまり注目されてこなかった“動機”を中心に論じます。」

ここで比較されている類書とは、話題になった
クリス・アンダーソンさんの「フリー」などの本を指します。

なぜ、無料ビジネスの「トリック」より「動機」が大切なのか?

それは無料ビジネスのトリックに惚れ込んで、
動機がないのに、大切な商品を無料で提供してしまうようでは、
失敗が目に見えているからです。

推理小説でも、最初に動機があって、
その上で巧妙なトリックが考えられるからこそ、
その事件の謎を解く醍醐味があります。

本書は吉本佳生さんが、かなりの精力を傾けた意欲的な作品です。

無料ビジネスの本質がわかると、今までそれと気づかなかった
無料ビジネスが私たちの日常に入り込んでいることがわかります。

この本から何を活かすか?

  「たとえば、本書のような新書本の価格は、
  原則としてページ数に応じて決められます。
  少しでもいい内容の本にしようと、出版社も著者も努力するのに、
  内容に応じた価格設定にしないのです。」

たしかに、吉本さんの指摘の通りですね。

だからこそ、価格以上の価値のある本を読んだときに、
著者の努力やその内容の良さを伝えるのに、
このブログが少しでもお手伝いできればと思います。

本書は税込み798円ですが、
私には2倍以上の価値と満足度を感じました。

吉本さんが、本の価格について、電子書籍と出版業界に
問題定義したコラムはこちらで読めます。

  ・電子書籍が出版ビジネスに与えた真の衝撃~問われる価格戦略

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| 経済・行動経済学 | 11:03 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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