活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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フォールト・ラインズ

フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く
フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く

(2011/01/18)
ラグラム・ラジャン 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:29

リーマンショックに端を発した金融危機は終わったのか?

日本以外の各国の経済指標や株価を見る限り、
ゆっくりではありますが、着実に回復しているように思えます。

しかし、今回の危機の原因をどこまで深く考えるかによって、
その見方はまったく違うものになります。

金融危機の原因は、金融セクターだけにあるのではない。

世界経済の奥深くに隠れる「大断層」が存在する限り、
再び危機にさらされる可能性が強いと指摘するのが、
本書の著者、米シカゴ大学経営大学院教授のラグラム・ラジャンさん。

ラジャンさんは、アラン・グリーンスパンさんがFRB議長として
最後に出席した会合、2005年の地区連銀主催のシンポジウムで、
金融危機についての予言をして、袋叩きにあった方。

その後、予言の通り世界経済が危機を迎えたことで
注目を浴びた気鋭のエコノミストです。

あまりに冷静で、驚くくらい深い分析。
淡々とした語りが、かえって怖いくらいです。

  「世界経済には無数の深い断層線がある。
  国際社会が統合され、経済が統合されている今日では、
  個人投資家や企業にとって最善であることが、
  システムにとって最善であるとはかぎらない。
  そのことがこの断層線をひろげていった。」

フォールト・ラインズとは、地質学でいう断層線のこと。

簡単に言うと、地層に入った「ひび」。

注目すべきは、金融セクターの暴走は、
単に最初からあった断層線を広げたに過ぎないということ。

主な断層線は、アメリカ人の過剰消費によるもの、
多国間の貿易不均衡から生まれたもの、
そして、さまざまなタイプの金融システムが
接触したときに発生するものなど。

格差がひろがり、脆弱なセーフティーネットしかない
裏返しとして、いくらでも借金ができる国、アメリカ。

そうした社会背景がもたらす、根の深い過剰消費。

一方、過剰貯蓄によって集められたマネーが、
ひたすら国債購入に向かっている日本のような国もあります。

こうした不均衡がなくならない限り、
少しのきっかけで、再び断層線はひろがっていく。

その様は、過冷却状態にある水が、わずかな刺激によって
急速に結晶化するようでもありますね。

果たして、世界経済はいまだ過冷却状態にあるのか?

本書は、2010年にフィナンシャル・タイムズと
ゴールドマン・サックスによる最優秀ビジネス・ブック賞を
受賞した注目の一冊です。

この本から何を活かすか?

アマゾンのレビューでも多くの方が指摘されていますが、
本書は原文の約半分の「序章」しか掲載されず、
「脚注」にいたっては、文章に番号だけ振られていて、
一切掲載されていません。

読みたい人は、新潮社のウェブサイトで見てください
という編集方針のようです。

もともと私は、脚注はインターネットで検索することも多いので、
ウェブサイトに掲載されていてもなんとかなるという感じですが、
「序章」のカットについては、かなり驚きです。

損をした感じが拭えませんね。

そんな訳で、原書はこちら。
Fault Lines: How Hidden Fractures Still Threaten the World Economy

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


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| 経済・行動経済学 | 07:40 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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