活かす読書

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エッジエフェクト

エッジエフェクト(界面作用) 福岡伸一対談集
エッジエフェクト(界面作用) 福岡伸一対談集
(2010/07/07)
福岡 伸一 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:16

生物と無生物のあいだ」の福岡伸一さんの対談集。

過去の福岡作品とは異なり、ある意味、地が出ています。

初作で商業的にヒットしたアーティストが、
成功によって自分のやりたい路線で作品を創れるようになると、
そのことによって、逆にヒット作が生まれなくなる。

そんな場面を見かけることがありますが、
福岡さんにも、少しそんな気配が感じられます。

エッジ・エフェクトとは、2つ以上の異なる生態系が
出会う場所で生成される現象。

これは、本書での対談相手ではありませんが、
福岡さんが、以前、世界を代表するチェロ奏者である
ヨーヨー・マさんと対談したときに出ていた言葉。

  「生態学的にいうと、森林と砂漠の界面にあるサバンナ、
  あるいは地政学的にいうと、フランスとドイツの界面にある
  アルザス・ロレーヌ地方。そういう場所では、何か激しい、
  そしてすばらしいことが起こる。」

これは、人についても同様で、
福岡さんは、このマさんの言葉を聞いて以来、
できるだけ異なる分野の人と話す機会を設け、
自分にエッジ・エフェクトが起こるようにしてきたようです。

今回、分子生物学者である福岡さんと対談するのは、
小説家の桐野夏生さん、哲学者の柄谷行人さん、
美術家の森村泰昌さん、女優の小泉今日子さん、
小説家の鈴木光司さん、哲学者の梅原猛さんの6名。

各分野の専門家との対談によって、福岡さんの見地に
微妙な変化を見て取れるのが、エッジ・エフェクトが
起こっているということでしょうか。

本書の対談の最大の見せ場は、科学と哲学との界面。

ただし、哲学者お2人との対談は、一人の語りが、
やたらと長く、対話によって活性化されて新たな考えが
生まれてくるという感じはしません。

私にとっては、桐野さんの次の言葉が印象的でした。

  「母親には子どもという存在があってこそ、時間が可視となる。」

これは、子を持つ親としては、
本当に実感できることですね。

この本から何を活かすか?

ところで、本書ではエッジ・エフェクトを
プラスの効果として捉えていますが、
実際には、それが必ずしも良い効果をもたらすとは
限らないように思います。

自然界と人間界との接地面が増えることは、
人間にとっては良くても、野生動物にとっては
それが良くないのは明らかです。

福岡さんのように、人のコミュニケーションにおいて
エッジ・エフェクトを期待する場合でも、
異なる分野との境界面ばかりが増えてしまって、
知らないうちに、本業が侵食されることがあるかもしれません。

人間は本来的にエッジ・エフェクトを求める
性質があるのかもしれませんが、
本末転倒とならないよう、注意が必要です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 

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| 科学・生活 | 06:40 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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