活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2010年07月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年09月

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「働きがい」なんて求めるな。

「働きがい」なんて求めるな。
「働きがい」なんて求めるな。

(2010/07/22)
牧野正幸 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:23

2010年の「働きがいのある会社」調査で、NO.1に選出された
株式会社ワークスアプリケーションズ。

その代表取締役CEOを務める牧野正幸さんは、次のように語ります。

  「働きがいのある会社っていうのは確かに色んな意味で
  良い会社であろうが、多くの人にとっては・・・
  いや多くの現代日本人(すなわち、あなただ!)にとっては、
  むしろ良い会社ではないと思うのである。」

要するに、人から与えれる「働きがい」や「やりがい」
なんか求めても、たかが知れているということ。

本書は、独自の語り口で、牧野さんの
仕事に対する考え方が述べられています。

小中学生時代は、1度も学校の宿題を
やったことがないという牧野さん。

子どもの頃から、常識に流されず独自の路線を
歩んできたからこそ、今の牧野さんがあるようです。

本書では、テーマを絞らず幅広く語られているので、
牧野さんが、何を見て、どう考えているのかがよく分かります。

ワークスアプリケーションズは、学生に大人気で
インターンシップの受け入れも行なっていますから、
本書はその事前予習的な意味合いがあるのかもしれません。

もともと本書は、日経ビジネスアソシエに連載の
「牧野正幸 反常識の成功学」がベースになっていてます。

アソシエの連載自体も、ワークスアプリケーションズに
興味のある方をターゲットにしていたのでしょうね。

尊敬されて、怖がられて、憧れられるのが、本当の「大人」。

本書は、牧野さんがそんな大人っぷりを披露する、
個性的で刺激的なビジネスエッセイです。

この本から何を活かすか?

  「この本はすべて自分で書き上げました。(中略)
  隔週での締め切りは本当に大変でした。
  だからもうよほどのことがない限り、
  このような本は出さないでしょう。
  それに書きたいことは90%書き上げました。」

2010年7月に刊行された本書の「あとがき」に、
このように書かれていましたが、
その1ヵ月後、8月に入って
牧野さんの新しい本が出たようです。

君の会社は五年後あるか? 最も優秀な人材が興奮する組織とは

この本には、牧野さんの書きたいことの、
残り10%が書かれているのか?

だとすると、それが何か知りたいところです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 

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| 仕事論 | 08:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ビジョナリー・カンパニー3

ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階
ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階
(2010/07/22)
ジェームズ・C・コリンズ(James C. Collins) 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:38

ジェームズ・コリンズさんの「How The Mighty Fall」の邦訳本。

ビジョナリー・カンパニー』と『ビジョナリー・カンパニー2』で、
一度は「偉大」として取り上げた企業が、
いかにして衰退の経過をたどったかを解き明かします。

調査対象は、モトローラ、メルク、HP、ラバーメイド、
サーキット・シティ、バンク・オブ・アメリカなど11社。

そこには、共通する「衰退の5段階」がありました。

  第1段階 成功から生まれる傲慢
  第2段階 規律なき拡大路線
  第3段階 リスクと問題の否認
  第4段階 一発逆転の追及
  第5段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅

コリンズさんは、今回の調査スタッフに
「今度はフォースの暗黒面を調べよう」と冗談を言ったそうです。

繁栄していた企業が凋落していく様子は、
まさに最強のジェダイだったアナキン・スカイウォーカーが
暗黒面に魅入られていくようでもありますね。

人にしても組織にしても、外見上は、健康そのものに見えても、
内部では病気が進行していることはよくあります。

大切なのは、僅かな徴候を見逃さず、適切な処置を施すこと。

そして、暗闇に落ちていくのも、そこから脱出するのも
結局は「人」によるということです。

本書に取り上げられる事例は、すべて外国企業ですが、
「衰退の5段階」を日本の企業に当てはめながら、
読むのもまた面白いと思います。

あの企業は、第2段階の拡張しすぎだから、
今の著名な経営者が引退した後、症状が進むなとか、
この企業は、第4段階に入って特効薬に頼ろうとしているから、
そろそろ先がないななど・・・

本書は300ページ超のボリュームがありますが、
最後の100ページ以上は付録と原注なので、正味200ページほど。

見た目よりは、サラサラと読むことができます。

また、衰退企業のHPと、その比較成功企業のIBMの比較が
本書の要となっているので、次の本を併せて読むのがオススメです。

  ・ルイス・ガースナーさんの「巨象も踊る
  ・カーリー・フィオリーナさんの「私はこうして受付からCEOになった

この本から何を活かすか?

私は、本書の「衰退の5段階」を読んで、
投資やトレードで失敗する人も同じ過程をたどると感じました。

  第1段階 成功から生まれる傲慢 → 運を実力と勘違い
  第2段階 規律なき拡大路線 → 許容範囲を超えてポジションを建てる
  第3段階 リスクと問題の否認 → 都合の悪い情報を無視して正当化
  第4段階 一発逆転の追及 → ギャンブルのような勝負に出る
  第5段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅 → 市場から退場

常に、投資をする際は、念頭に置いておきたいものです。

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| 経営・戦略 | 10:39 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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特捜神話の終焉

特捜神話の終焉
特捜神話の終焉
(2010/07/22)
郷原 信郎 商品詳細を見る
 
満足度★★★
付箋数:18

元東京地検特捜部検事と有罪判決を受けた元被告の対談集。

検事側で本対談のホストを務めるのは、郷原信郎さん。

郷原さんは、2006年に検事を退官した後、
俗に言うヤメ検弁護士として刑事事件を取り扱わず、
コンプライアンスの専門家として活躍する変り種。

検察という組織を、内側からも外側からも、
客観的な視点で見てみきた人物という印象です。

一方、対談のゲストとして向けられるのは、この3人。

1人目は、ライブドア事件で逮捕・起訴された堀江貴文さん。
2010年8月現在、最高裁で係争中。

2人目は、キャッツ事件で逮捕・起訴された細野祐二さん。
細野さんはこの対談後、上告が棄却され有罪判決が確定。

3人目は、鈴木宗男さんと共に外務省から排除された佐藤優さん。
2009年に有罪判決が確定しています。

いずれも最後まで無罪を主張し戦った3人で、
共通しているのは、逮捕あるいは有罪の判決を受けてもなお、
社会から抹殺されるどころか、多方面で活躍しているところです。

特に佐藤さんは、逮捕・起訴があったからこそ、
大ベストセラー「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて
を生むことができ、現在の“佐藤優ブランド”を
構築できたとも言えるほどです。

1人でも十分魅力的で、バイタリティ溢れる面々を揃えて、
綻びが見えている検察をやり玉にあげるわけですから、
この対談が面白くないわけはありません。

  「特捜事件においては、強制捜査着手にあたって
  あらかじめ“ストーリー”が設定され、
  それを前提に捜査を行うことについて、
  最高検察庁も含め、検察組織全体の了承を得る。
  (中略)
  そのターゲットとされる政治家、経済人などの罪が
  “悪党”と理解しやすいストーリーであることが求められる。」

モノを売るには、ストーリーが必要とされる昨今ですが、
検察もストーリーを強力な武器として使っているということ。

特捜は、世間や裁判官を相手に、プレゼンテーションをして、
「有罪」という商品を買ってもらうわけですから、
共感を呼ぶストーリーは欠かせないということでしょうか。

これでは、知らないうちに、そのストーリーの主役に
据えられた方としては、たまったものではありませんね。

この本から何を活かすか?

  「じゃあどうすればよかったんですかね。
  公判でそういう雰囲気に対抗するには。」

これは、最初から有罪と決めてかかっている
裁判所の空気に対しての、堀江さんからの質問です。

それに対し、郷原さんは、村上世彰さんの裁判戦略を絶賛し、
次のように答えます。

  「まず、世の中の雰囲気を変え、法廷の雰囲気も変える
  という演出を考えますね。それに成功したのが、
  村上ファンドの村上世彰氏なんです。
  彼は非常にうまかった。ずるいくらいに、うまかった。」

性格的に村上さんのようにはできない堀江さんですが、
このアドバイスが活かされるかどうか、今後の裁判に注目です。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:12 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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ラテに感謝!

ラテに感謝! How Starbucks Saved My Life―転落エリートの私を救った世界最高の仕事
ラテに感謝! How Starbucks Saved My Life―転落エリートの私を救った世界最高の仕事
(2010/03/05)
マイケル・ゲイツ・ギル 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:16

  「これはアメリカのエスタブリッシュメントの頂点から
  転落した年老いた白人男性が、生まれや育ちがまったく異なる
  若いアフリカ系アメリカ人の女性と偶然出会い、
  人生で大切なものはなにかを学んだ真実の物語である。」

本書の著者であり、主人公のマイケル・ゲイツ・ギルさんは
白人として特権階級の家に生まれました。

子どもの頃、マイケルさんが「スチュワート・リトル」が好きだったので、
作者のE・B・ホワイトさんをパーティーに呼ぶほどの家庭です。

そして何不自由なくイェール大学を卒業し、
大手広告代理店JWTに就職し、
エクゼクティブ・バイスプレジデントまで昇進しました。

まさにエリート街道まっしぐらの人生です。

しかし、25年間働いたJWTから、ある日、突然の解雇。

そこからは、絵に描いたような転落が始まります。

独立して始めたコンサルティング会社は立ち行かず、
日々の暮らしにも困窮。

更に、浮気、妊娠、離婚、脳腫瘍の発見と
63歳になったマイケルさんに、次々と不幸な出来事が起こります。

そして、途方に暮れるマイケルさんが、
マンハッタンのあるスターバックスでラテを注文したとろ、
突然、28歳のアフリカ系女性に声をかけられます。

  「仕事がほしいのですか?」

声をかけたのは、クリスタル・トンプソンさん。
スタバでマネージャーを務める素敵な女性。

  「私の部下として働くことができますか?」

これをきっかけに、マイケルさんはバリスタとして職を得て、
ブロードウェイ通りのスタバで働くことになります。

そして、マイケルさんは今まで住んでいた世界と
まったく違う環境の中で働くうちに、少しずつ人生の豊かさを実感し、
幸せであることの本当の意味を知ります。

特権階級とスラム出身、男性と女性、白人と黒人、63歳と28歳。
この物語を際立たせているのは、
マイケルさんとクリスタルさんのコントラスト。

階層社会の実感が薄い、私たち日本人が読むと
そこまで強いコントラストを感じないかもしれませんが、
読むとなんとなく幸福度が上がりそうな物語です。

この本から何を活かすか?

この本、「How Starbucks Saved My Life」の物語は、
トム・ハンクスさん主演、ガス・ヴァン・サントさん監督で
映画化の話があるようです。

マイケルさんの写真付のCNNの記事はこちら

ところで、本書ではクリスタルさんが
かなり魅力的に描かれているので、
実際に会ってみたくなりますね。

ちなみに、当時、マイケルさんがクリスタルさんの下で
働いていたスタバはこちらです。

大きな地図で見る

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| 心に効く本 | 10:19 | comments:0 | trackbacks:2 | TOP↑

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アインシュタインと猿

アインシュタインと猿 パズルでのぞく物理の世界 (サイエンス・アイ新書)
アインシュタインと猿 パズルでのぞく物理の世界 (サイエンス・アイ新書)
(2010/07/17)
竹内 薫 原田 章夫 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:20

あまりこんなこと聞かれる機会はありませんが、
「好きな科学作家は?」と問われれば、
私が挙げるのは、福岡伸一さんと竹内薫さんのお二人。

本書は、その竹内薫さんの処女作の復刻版。

  「いまあなたは、恐るべき“迷著”の世界に一歩、
  足を踏み入れようとしています。
  この本は、科学作家歴20年のボクのデビュー作なのです。」

オリジナル版は、竹内さんが、まだカナダのマギル大学大学院に
留学中に執筆し、1989年に日経サイエンス社から刊行されたもの。

本書は、20年前の本の復刻版といっても、
古くなった話題は削除され、新しい話題も加筆されていますから、
全く古さは感じられません。

竹内さんがクイズ形式で問題を出し、
その後の解説で、楽しく物理の世界が学べる構成になっています。

ちなみに、本書のタイトルにもなっている
「アインシュタインと猿」は次のような問題です。
=======================================
  相対性理論によれば、動いている時計はゆっくり進みます。
  宇宙船は猛烈な速さで飛んでいるので、宇宙飛行士がコーヒーを
  1杯飲む間に、地球は何百年も経ってしまうのです。

  映画「猿の惑星」では、宇宙飛行士が地球に戻ると何万年も
  歳月が流れていました。

  でもよく考えると、宇宙船は地球に対して動いているのですが、
  宇宙船を基準にすれば、地球のほうが動いていることになります。
  だから地球人のほうがゆっくり歳をとってもよさそうです。

  本当はどっちなのでしょう?

  ①映画のように、宇宙飛行士が長生きする
  ②映画はウソで、地球の人々が長生きする
  ③歳のとりかたは同じ
=======================================

本書のポイントは、解説のツッコミ。

クイズの解説の後、竹内さんの叔父でコピーライターの
原田章夫さんがクイズの出来や、解説の分かりやすさなど、
容赦なく切り込む「対話」が掲載されているので、
いい味を出していると同時に、理解を深めることができます。

さすがに、デビュー作の竹内さんに
現在の毒舌を見ることはできませんが、
その役割を原田さんが見事に引き受けています。

この本から何を活かすか?

さて、先程のクイズは、①が正解です。
詳しい解説は、本書をご覧ください。

せっかくですから、本書の中からもう1問。

原田さんからは、「この話はチョッと“まゆつば”だな」と
ツッこまれた問題です。

  Q.人間の頭には「つむじ」があります
   どうして「つむじ」があるのでしょうか?

  A.生物学的にはいろいろな要因があることでしょうが、
   数学的な理由の1つとして、
   「つむじがないと髪の毛が1本立ってしまう」ことが挙げられます。

これはポアンカレの定理。
球の表面にびっしり毛が生えていると、
どうなでつけても、つむじができでしまいます。

つまり、ハゲでいなければ、つむじがあり、
つむじがないと、毛が1本立ってしまうということ。

こう考えると、サザエさんの父、磯野波平さんの、
ハゲているにも関わらず毛が1本立っている様は、
数学的にはありえないのかもしれませんね。

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| 科学・生活 | 09:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
(2010/07/15)
カーマイン・ガロ 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:30

  「ジョブズのテクニックは分析し、身につけることが可能で、
  そうすればあなたも聞き手に身を乗りださせることができる。」

本書は世界最高のプレゼンテーションを行なう、
スティーブ・ジョブズさんのテクニックを学ぶ本。

確かにテクニックは身につけることができるでしょう。

だからと言って、誰もがジョブズさんと
同じようなプレゼンができるようになるとは限りません。

観衆を魅了し、衝き動かすようなジョブズさんのプレゼンは、
次の3つの要素によって成り立っています。

1つ目は、パッション。

ジョブズさんは「宇宙に衝撃を与えたい」と思って
仕事をしているようです。

ジョブズさんの溢れんばかりの情熱を、本書で知ることはできても、
こればかりは簡単にマネする訳にはいきません。

2つ目は、努力。

リラックスしていとも簡単にやっているように見える
ジョブズさんのプレゼンも、その影には執拗なまでの練習があります。

緻密な計算のもと、何日もかけて各部門のスタッフと
入念なリハーサルを行なっているからこそ、
あの驚異的なプレゼンが実現できているのです。

本書では、プレゼンの仕上げと練習方法についても
多くのページを割いて説明されていますので、
正しい努力の方法が分かります。

3つ目が、テクニック。

ストーリーを作り、体験を提供する。
これが本書で習得できる部分です。

豊富な実例を交え、ジョブズさんのプレゼン技術が
詳しく解説されています。

そして、巻末には参考文献だけでなく参考動画のURLも
記載され、動画を見ながら本書を読むことが推奨されています。

個人的には、この3要素の中でジョブズさんは、
パッションが突出してるように感じます。

ですから、神のプレゼンに近づけるかどうかは、
どれだけのパッションを持てるかにかかっているように思えます。

最後にもうひとつ。

本書は、ガー・レイノルズさんの「プレゼンテーションZen」と
あわせて読むと効果的。

この本から何を活かすか?

ジョブズさんは、どのプレゼンにも同じ格好で登場します。

  セントクロイの黒のモックタートル
  リーバイス501のブルージーンズ
  ニューバランスM991のスニーカー

著者のカーマイン・ガロさんは、あの服をマネても意味はなく、
ジョブズさんだからこそ許される服装だと説明します。

ただ、トレードマークとして決まった服装や色を使うのは
アリだと思いますし、ジョブズさんと同じモノを身につけたいと
考えるファンの方も多いのではないでしょうか。

ちなみに、ジョブズさんのタートルはこれ。


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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 10:39 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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民の見えざる手

民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論
民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論
(2010/07/14)
大前 研一 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:22

本書は2007年11月刊行の
大前流心理経済学」の応用編という位置づけ。

「心理経済学」は大前研一さんが「株式・資産形成講座」を
立ち上げた直後で、その宣伝の度合いが強く感じられましたが、
今回は、これを売り出そうというものはありません。

その意味で純粋に、今まで大前研一さんが考えてきたことの
集大成になっています。

新しい世界経済の流れの中で、日本の現状と問題点を分析し、
いつものように具体的な政策提言を行い、
個人へはグッドライフを求めるよう発想の転換を迫ります。

ただし、私にとっては、あまり目新しい考えはありませんでした。

なぜなら、私は本書のベースとなっている
週刊ポスト連載の「ビジネス新大陸の歩き方」を
読んでいるからです。

本書は同連載と、リクルート「コレカラ」に連載された、
「人生、楽しく。とにかく楽しく」の記事をもとに、
書下ろしを加え、再構成したようです。

ただし、週刊誌の連載記事で読むのと違い、
こうした単行本でまとめて読むことは、全体の流れや、
背景にある大前さんの考えがより理解できるので、
個人的には欠かせない機会となっています。

また、本書のタイトルにもなっている
「民の見えざる手」については、
書き下ろしのプロローグで、次のように説明されています。
(以下、原文を勝手に要約)

  「官の見える手」が機能しなくなった後に、
  経済を牽引するのは「民の見えざる手」。

  もともとのアダム・スミスの「神の見えざる手」においても、
  神は無数の民の意思の総和であり、
  つまり、無限のクラウド・ソーシングの集大成である。

  それを突き詰めると、経済を動かしているのは、
  数式モデルでは表せない人の「心理」である。

たしかに、大前さんの説明に説得力はありますが、
本書全体の流れからすると、このプロローグだけが
やはり後付けといった感じが否めませんでした。

この本から何を活かすか?

大前さんの本を読むと、いつもその通りだなと思います。
私のレベルでは、大前さんの説にさして反論はできません。

と、同時にいつも「投資と投資効率」のことを思い浮かべます。

資金効率良く投資を行なうためには、
人より“半歩先”に動かなければなりません。

いくら投資判断が正しくても、2歩も3歩も先では、
リターンが得られるまで時間がかかり、
効率の良い投資とはなり得ません。

大前さんの提案が簡単に受け入れられないのも、
半歩先ではなく、常に時代の数歩先に
なっているからのように感じます。

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| 経済・行動経済学 | 06:10 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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エッジエフェクト

エッジエフェクト(界面作用) 福岡伸一対談集
エッジエフェクト(界面作用) 福岡伸一対談集
(2010/07/07)
福岡 伸一 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:16

生物と無生物のあいだ」の福岡伸一さんの対談集。

過去の福岡作品とは異なり、ある意味、地が出ています。

初作で商業的にヒットしたアーティストが、
成功によって自分のやりたい路線で作品を創れるようになると、
そのことによって、逆にヒット作が生まれなくなる。

そんな場面を見かけることがありますが、
福岡さんにも、少しそんな気配が感じられます。

エッジ・エフェクトとは、2つ以上の異なる生態系が
出会う場所で生成される現象。

これは、本書での対談相手ではありませんが、
福岡さんが、以前、世界を代表するチェロ奏者である
ヨーヨー・マさんと対談したときに出ていた言葉。

  「生態学的にいうと、森林と砂漠の界面にあるサバンナ、
  あるいは地政学的にいうと、フランスとドイツの界面にある
  アルザス・ロレーヌ地方。そういう場所では、何か激しい、
  そしてすばらしいことが起こる。」

これは、人についても同様で、
福岡さんは、このマさんの言葉を聞いて以来、
できるだけ異なる分野の人と話す機会を設け、
自分にエッジ・エフェクトが起こるようにしてきたようです。

今回、分子生物学者である福岡さんと対談するのは、
小説家の桐野夏生さん、哲学者の柄谷行人さん、
美術家の森村泰昌さん、女優の小泉今日子さん、
小説家の鈴木光司さん、哲学者の梅原猛さんの6名。

各分野の専門家との対談によって、福岡さんの見地に
微妙な変化を見て取れるのが、エッジ・エフェクトが
起こっているということでしょうか。

本書の対談の最大の見せ場は、科学と哲学との界面。

ただし、哲学者お2人との対談は、一人の語りが、
やたらと長く、対話によって活性化されて新たな考えが
生まれてくるという感じはしません。

私にとっては、桐野さんの次の言葉が印象的でした。

  「母親には子どもという存在があってこそ、時間が可視となる。」

これは、子を持つ親としては、
本当に実感できることですね。

この本から何を活かすか?

ところで、本書ではエッジ・エフェクトを
プラスの効果として捉えていますが、
実際には、それが必ずしも良い効果をもたらすとは
限らないように思います。

自然界と人間界との接地面が増えることは、
人間にとっては良くても、野生動物にとっては
それが良くないのは明らかです。

福岡さんのように、人のコミュニケーションにおいて
エッジ・エフェクトを期待する場合でも、
異なる分野との境界面ばかりが増えてしまって、
知らないうちに、本業が侵食されることがあるかもしれません。

人間は本来的にエッジ・エフェクトを求める
性質があるのかもしれませんが、
本末転倒とならないよう、注意が必要です。

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| 科学・生活 | 06:40 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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ケチャップの謎

マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想” (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選)
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想” (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選)
(2010/07/07)
マルコム・グラッドウェル 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:19

ティッピング・ポイント」で有名な
マルコム・グラッドウェルさんが1996年から
THE NEW YORKER誌で発表した記事の傑作集。

  「誰かの目を通して、他の人間の頭の中から
  眺めてみたらどうなるだろう?」

こんな視点から書かれた質の高いエッセイです。

原題は「What the Dog Saw」で、19編の記事が
まとめられていますが、邦訳版では3分冊されて刊行。

本書はその1巻目で、6篇の記事が収められています。

邦題になっている「ケチャップの謎」は、
米国で圧倒的なシャアを誇るハインツ社の
ケチャップの秘密に迫ります。

ただ、日本でケチャップと言えば、カゴメ。

世界中で最も売れ、米国では50%以上のシェアを占める
ハインツも、日本ではわずか数パーセントしか
売れていませんから、正直、ピンとこないところもあります。

この辺は、お国事情があるので、仕方ないところでしょう。

本書の原題にも採用されている記事、
「What the Dog Saw(犬は何を見たのか?)」は、
ドッグトレーナーとして有名なシーザー・ミランさんの話し。

ミランさんは、ナショナルジオグラフィックチャンネル放送の
「Dog Whisperer」でホスト役も務める、
全米一有名な、犬の気持ちが分かる調教師です。

個人的に一番興味深かったのは、ブレイク前の
ナシーム・タレブさんについての記事、
「ボローイング・アップの経済学」です。

記事は2002年のもので、グラッドウェルさんは、
まだ「ブラック・スワン」が世に出る前にタレブさんを
取材しています。

タレブさんのデリバティブトレーダー時代の考えや手法の
一端がレポートされ、そこには「ブラック・スワン」を生む
源流を見ることができます。

また、本書の翻訳は勝間和代さん。

勝間さんが関わる時点で賛否両論あるでしょうが、
私としては、余計な訳者解説なども掲載していないので、
受入れられ易いのではないかと思います。

この本から何を活かすか?

Amazonのレビューで、本書の内容をグラッドウェルさんの
サイトで読むことができるとの書き込みがありました。

確かに、掲載されています。
しかもHTML版とPDF版の両方が用意されていますね。

  ・第1章 The Pitchman
  ・第2章 The Ketchup Conundrum
  ・第3章 Blowing Up
  ・第4章 True Colors
  ・第5章 John Rock's Error
  ・第6章 What the Dog Saw

第6章だけは、プレスリリースの内容ですが、
他の章は全文が読めるようです。

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| ビジネス一般・ストーリー | 12:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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お前なんかもう死んでいる

お前なんかもう死んでいる ~プロ一発屋に学ぶ50の法則~
お前なんかもう死んでいる ~プロ一発屋に学ぶ50の法則~
(2010/06/16)
有吉 弘行 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:12

  いい大学出て、いい会社に入って、(中略)
  そんな人がいつクビ切られたり、会社がなくなったり、
  給料ゼロになるかわからない世の中ですからね。

  「大変だよな~、サラリーマンやってるのも」
  っていう時代ですよね。
  まあ僕からすれば、「ザマアミロ!」って思いますけどね。

のっけから毒舌を炸裂させるのは、
再ブレイク中の芸人、有吉弘之さん。

有吉さんは、1996年に始まった「進め!電波少年」の
ヒッチハイク旅行で「猿岩石」として人気を博し、
帰国後に大ブレイクしました。

しかし、猿岩石ブームは長く続かず、
仕事なし、給料ゼロの状態が7~8年続いたそうです。

一般の人から考えると、芸人として給料がない状態が続くと、
他の普通の仕事をしたらいいのにと思いますが、
芸能界で一発当てた人は、そう簡単にはいかないようです。

有吉さんは、7~8年もの期間、
収入無しで、いったいどうやって生きのびたのか?

有吉さんを支えたのは「ネガティブな堅実さ」。

猿岩石時代の人気がピークの時には、月収2千万円の時が
あったそうですが、その状態が異常であり、
いつ人気が落ちて仕事がなくなってもいいように
無駄使いせず貯金していたようです。

お金を遣えば遣うほど入ってくるという考えには賛同せず、
身の丈より一個下の生活をする。

最近流行の「自分へのご褒美」にもNOと言っています。

個人的には、有吉さんの堅実な考え方は好きですが、
本書は、良くも悪くもタレント本といった感じですね。

人生を、月収0の時を基準に考えるのか、
月収2千万円の時を基準に置くのかで、
見える世界は全く違うものになるということが分かります。

この本から何を活かすか?

有吉さんに欠けたいたものは何か?

それは、「ストック」から「フロー」を生む知恵。

本書を読む限り、分からないからという理由で
資産運用は何もしていなかったようです。

この考えがないと、貯めたお金を切り崩していく
恐怖からは、一生逃れられません。

例えば、当時の有吉さんぐらいのストックがあれば、
今ならマネー・スクウェアのトラップリピートで、
「月収30万円」ぐらいのフローを生み出せます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 10:14 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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宇宙飛行士選抜試験

ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)
ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)
(2010/06/17)
大鐘 良一 小原 健右 商品詳細を見る

満足度★★★★★
付箋数:18

NHKで2009年3月8日に放送された
「宇宙飛行士はこうして生まれた~密着・最終選抜試験~」
を書籍化したもの。

日本宇宙航空研究開発機構JAXAは、2008年2月27日付けで、
国際宇宙ステーション長期滞在に対応可能な日本人宇宙飛行士の
候補者を新規に募集・選抜すると発表しました。(募集要項

前回までの過去4回の試験で選ばれた
日本人宇宙飛行士(候補)は、わずかに8名。

今回は、約10年振りとなる募集で、応募総数は963人でした。

本書は、その最終選抜を密着取材したドキュメントです。

最終選抜に残ったのは、パイロット、医師、研究者、技術者など、
いずれも負けず劣らず高い資質を持った10名のプロフェッショナル達。

この中から、日本での閉鎖環境での試験、NASAでの試験を通じて、
数名だけが宇宙飛行士候補として選ばれます。

  「どんな苦しい局面でも決してあきらめず、他人を思いやり、
  その言葉と行動で人を動かす力があるか」

試されるのは、究極の人間力。まさに、ライトスタッフ。

日本人が宇宙飛行士になることは、JAXAへ中途採用されることを
意味するので、一種の「就活」と捉える向きもありますが、
そんな、生半可なものではありません。

今まで積み上げたきたキャリアや待遇をすべて捨て、
家族を犠牲にし、更に「66分の1」という高い死亡率を覚悟して、
人生を賭けて宇宙飛行士という職業に挑みます。

  「Why are you here, What brings you here ?」

NASAの面接では、どうして宇宙飛行士になりたいのかではなく、
なぜ、今ここ(面接会場)にいるのかを問われます。

今までの人生で下してきた決断とその理由が、深く掘り下げられ、
宇宙飛行士にふさわしい資質が備えられているかが、見極められます。

実は、私は平成3年の宇宙飛行士候補者の募集に
応募したことがあります。

当時の募集団体はJAXAではなく、
宇宙開発事業団(NASDA)でした。

私はあっさりと書類選考で落ち、
その回で選ばれた候補者は、若田光一さんでした。

私にとっては、そんな思い入れがある本書なので、
読んでいて手に力が入りました。

本書は、今まで公開されていなかった
宇宙飛行士の選抜過程を丹念に取材したレポートなので、
私のように思い入れの強い人でなくても、
読んで価値がある一冊だと思います。

この本から何を活かすか?

以下、本書を読んで思ったこと3点ほど。

その1.

週刊モーニングに連載中(2010年8月現在)の
小山宙哉さんのマンガ「宇宙兄弟」も、
実際の宇宙飛行士選抜試験に基づいて
かなりリアルに描かれていることがわかりました。

このマンガ、私は連載を読んでいますが、
コミック本を買って家族にも勧めようかと思います。

その2.

閉鎖環境の中の試験で使われていた
レゴ マインドストーム」が、猛烈に欲しくなりました。

値が張るので、しばし検討。

その3.

NHKで放送された「宇宙飛行士はこうして生まれた」を
私は見ていないので探してみました。

YouTubeにはありませんが、veohにはあるようです。

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| 科学・生活 | 08:04 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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モチベーション3.0

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
(2010/07/07)
ダニエル・ピンク 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:38

ブログに貼った付箋数を表示してから記録更新。

今まで、出口治明さんの『「思考軸」をつくれ』が最多でしたが、
本書があっさりとその記録を塗り替えました。

本書は、著者が「ハイ・コンセプト」のダニエル・ピンクさん、
翻訳が大前研一さんという最強のタッグ。

テーマは、モチベーション。

モチベーションを人間の基本ソフト「OS」と考えると
私たちは、生存することを目的とした「モチベーション1.0」から、
報酬と罰による動機付けの「モチベーション2.0」へと
バージョンアップしてきました。

そして、今求められるのが更に進化した「モチベーション3.0」。

これは自律性・マスタリー・目的を3要素とした内発的動機付け。

本書ではピンクさんが、様々な事例を交えながら、
アメとムチによる従来型の動機付けに大きな欠陥が
あることを指摘し、内なる「やる気」を持続する秘訣を紹介します。

本書によると、例えばダイエットなら、
目標達成術の本でよく書かれている、
「今週4日間運動したら、自分のシャツを買おう」といった
交換条件付きの報酬で、モチベーションを維持するのはNGとなっています。

内発的動機付けを失わせ、創造性を蝕むなど、長い目で見ると
かえって効果が上がらなくなる可能性があるようです。

先日紹介した、三谷宏治さんの
特別講義コンサルタントの整理術』でも、報酬を与えることが
クリエイティビティに悪影響を及ぼす事例として
「ドゥンカーのロウソク問題」の実験データが紹介されていましたが、
本書でもまったく同じ例が引用されていました。

私は自分に対しても、子どもに対しても、
つい鼻先にニンジンをぶら下げてしまいがちなので、
本書を読んで、考えを改めさせられました。

つい最近も、子どもがやっているスポーツ少年団のバスケの試合で、
「ゴールを決めたら、マンガの本を買ってあげるよ」と
約束したばかりでしたが、もちろんこれもNGですね。

石田淳さんが提唱する「行動科学マネジメント」も、
報酬と罰の原則に基づいていますから、
長期的に見るとその効果にも疑問を投げかけることになります。

ちなみに、ピンクさんの 「やる気に関する驚きの科学」の
映像はこちら(18:40)
。日本語の字幕も付いています。

また、本書の原書はこちら。
Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us

この本から何を活かすか?

ピンクさんは、モチベーション2.0型、つまり行動を
アメとムチによって外発的に動機付ける行動を「タイプX」と呼び、
モチベーション3.0型、内発的動機付けによる考え方や行動を
「タイプI」と呼びます。

そして、ピンクさんのサイトでは、タイプIかタイプXかを診断する
無料テストが用意されています。

メールアドレスの登録などが必要ないので手軽。
30問(英語)に答えると、自分のタイプが判定されます。

私は予想通り、タイプXと判定されました。

本書の巻末に掲載されている「ツールキット」を使って
改善を図る必要がありそうです。

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| 自己啓発・セルフマネジメント | 10:14 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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脱・社内奴隷

脱・社内奴隷 「伝説の先輩」が教える幸せになるための仕事のルール
脱・社内奴隷 「伝説の先輩」が教える幸せになるための仕事のルール
(2010/08/17)
小林一郎 栢原伸也 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:22

ユナイテッドブックスさんより献本頂きました。ありがとうございます。

本書は、「理想」と「現実」の間で、
うまくバランスをとって、「社内奴隷」にならずに
仕事をするためのヒントが書かれています。

著者の小林一郎さんと栢原伸也さんは、
お2人とも現在は青山学院大学で教鞭をとっていますが、
もともとはビジネスの最前線で活躍した方々。

会社人間にはならず、組織の中でも自分の信じることを貫き
伝説的な実績を残してきたようです。

お二人とも感性が似ているのか、同じトーンで書かれているので、
小林さんの書かれたパートなのか、栢原さんのパートなのか、
ほとんど意識せずに読むことができます。

ビジネスの現場にどっぷりと浸かっていると、
どうしても近視眼的な視点やアドバイスになりがちですし、
逆に現場を知らずに研究の道を究めている方の話は、
現実離れした理論に偏ってしまうこともあります。

その点、小林さんと栢原さんの話は、
現場の裏も表も知りつつ、かつ、一つ高い視点からの
実のあるアドバイスといった感じがします。

サービス業ならなんでも、盲目的にリッツ・カールトンや
ディズニーランドを礼賛し、自社のビジネスモデルを考えずに、
その手法を真似することに違和感を訴えています。

表面的なHow Toを追うことより、仕事をしていく上での
本当に大切なことを淡々と述べていますね。

正直、「社内奴隷」という衝撃的なキーワードは、
本文の中にほとんど出てきませんし、
あまりキャッチーな文章の書き方もしていません。

しかし、お2人の話は、幻想を打ち砕きながらも、
最も現実的で有用なアドバイスと言うことができます。

  「努力して変わるのは、結局のところ自分だけと
  思ったほうがいいでしょう。それでは意味がないと思われる
  かもしれませんが、自分が変われば、
  実は会社や世の中が変わって見えてくるのです。」

本書の「はじめに」と「おわりに」は
こちらのユナイテッド・ブックスのサイトで立読みできます。

この本から何を活かすか?

本書で「テセウスのパラドックス」が紹介されていました。

ギリシャ神話の「テセウスの船」という話で、
船を部分的に何度も何度も修理していく内に、
すべての木材が置き換えられてしまったら、
元と同じテセウスの船と呼べるのかという問題。

これって、福岡伸一さんが言う「動的平衡」ですね。

人間も200日くらいで完全に細胞が
入れ替わるとのことです。

哲学的なことは良く分かりませんが、
200日前の私も、200日後の私も、同じ私ではありませんが、
やはり私であることに間違いはありません。

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| 仕事論 | 13:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「4分割」ですべてがうまくいく マトリックス図解思考

「4分割」ですべてがうまくいく マトリックス図解思考
「4分割」ですべてがうまくいく マトリックス図解思考
(2010/07/01)
水野俊哉 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:28

数千冊のビジネス書を読破し、多くの「まとめ本」を
執筆する水野俊哉さん。

本書では、水野さんが複雑な情報を整理し、
成果を出すために用いている2種類の
マトリックスを使った思考法が解説されています。

紹介される2種類のマトリックスとは、
「マッピング・マトリックス」と「シナジー・マトリックス」。

  「まず、マッピング・マトリックスで全体像を把握して、
  現在の自分の位置を確認する。すると同時にニッチな分野や
  ブルー・オーシャンが見つかるので、目標設定ができる。

  ただ、その目標に向かうための手法もたくさんあるので、
  次は、シナジー・マトリックスで、
  やるべきことを4つに絞り込むわけだ。」

マトリックス図解思考の手順は、この水野さんの言葉に
集約されています。

マッピング・マトリックスとは、いわゆる田の字。
2軸(2×2)のマトリックスです。

スティーブン・コヴィーさんの有名な「時間管理マトリックス」や
「SWOT分析」などもこの種類ですね。

様々なシーンで使われていることからも、
最も簡単に使えて効果的なフレームワークの
一つと言うことができます。

そして、もう一つのマトリックスである、
シナジー・マトリックスとは、目標を達成するために
必要な4つの要素をマトリックスに書き出したもの。

各要素を20%ずつアップさせ、
1.2×1.2×1.2×1.2≒2倍の成果を得ることを目指します。

例えば、本書に紹介されていた
「勝間和代になるためのシナジー・マトリックス」では、
「フォトリーディング」・「自転車」・「自慢」・「Twitter」
の4要素が勝間さんのコア・コンピタンスであると説明されています。

個人的には、面白い捉え方ではあるものの、
ちょっと説得力に欠ける印象を持ちました。

このシナジー・マトリックスでは、
目標達成に欠かせない4要素を選び出し、
4各要素を分割されたマトリックスの区画に書くので、
漏れなく押さえたイメージを与えますが、
そもそもマトリックスに書く必然性は薄い気がしました。

この本から何を活かすか?

水野さんは、2008年と2009年の年末に
「書評ブロガーマトリックス」を発表し、大きな話題となりました。

ありがたいことに、当ブログも2年連続で掲載していただきました。

2年間のマトリックスを見ると、私のブログが掲載された理由は、
「情報×趣味」のゾーンが空いていたからに他なりません。

カッコ良く言うと、ブルーオーシャンだったから
ということでしょうか。

現在は、自己投資ゾーンや恋愛ゾーンがレッドオーシャンに
なりつつある様子です。

・2008年版:掲載ブログ55
・2009年版:掲載ブログ65

2年連続掲載ブログは36、2009年に新に掲載されたブログは29、
掲載されなくなったブログは18ありました。

2010年度版でも新旧入れ替えが同程度あるでしょう。

書評ブロガーにとってのスタンダード&プアーズのような
格付け機関になりつつある水野さんですが、
その辺は気にせず、今後もレビューしていきたいと思います。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 07:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 実践編

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 実践編 (Nanaブックス)
「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 実践編 (Nanaブックス)
(2010/06/25)
美崎 栄一郎 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:18

2009年9月に刊行されて話題を呼んだ、
美崎栄一郎さんのデビュー作、
『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』の続編。

デビュー後、1年も経っていませんが、
この本が5作品目となる多作ぶりは、
さすがスーパーサラリーマンの美崎さんです。

本書には、美崎さんが25名の一般社会人に対して、
ノートの取り方をカウンセリングする様子が収められています。

相談者の業種職種は、公務員、製造業、経理担当、法務担当、
研究員、ピアノ調律師、SE、医師、防災コンシェルジュ、
広告代理店、インテリコーディネーター、主婦など様々です。

相談者ではありませんが、芸能界からは勝俣州和さんや、
アンジャッシュ渡部建さんのノートも公開されています。

本書は、これだけ多種多様な仕事をする方の
リアルに記録されたノートを見る機会としても貴重。

美崎さんは、各相談者がどういう意図でメモを
取っているかをヒアリングし、次々と悩みを解決していくので、
まさに「ノート改善クリニック」といった感じでしょうか。

  仕事のノートの取り方に正解はありません。

  どんなノートの取り方でもいいのです。
  全員に当てはまる一つの正解はないのですから。
  ただ、あなたのノートの取り方には、実は「正解」があります。

  あなたがノートを取り続けることができること。
  その方法が、あなたにとっての「正解」なのです。

美崎さんのこの言葉にある通り、
その人にあった、それぞれのノートの取り方があります。

そして、どんなノートの取り方であっても、
ちょっと工夫することで
まだまだ改善の余地があるのもまた事実。

しかし、奥が深い「ノート道」ですが、
そこに囚われ過ぎず、あくまでツールとして使いこなして
成果を産むことが、最も大切なことですね。

また、本書は、自ら情報を発信することによって、
逆に自分のところに情報が集まってくるという
美崎さんの実例でもあります。

この本から何を活かすか?

本書の相談者の中に、コーネルメソッドで
議事録ノートを取っている方がいました。

コーネルメソッドは、コーネル大学で開発されたノートを
3分割(ノート・キュー・サマリー)して使うノート術。

講義や会議を記録するのに適した方法のようです。

私は、この方式を使ったことはありませんが、
美崎さんの様々なアドバイスを聞いていると、
工夫次第で、講義や会議以外でも使える感じがしました。

まずは、こちらからダウンロードして使ってみます。

Cornell Method PDF Generator

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| ノウハウ本 | 06:31 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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佐藤可士和のクリエイティブシンキング

佐藤可士和のクリエイティブシンキング
佐藤可士和のクリエイティブシンキング
(2010/06/26)
佐藤 可士和 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:25

佐藤可士和の超整理術」に続く第2弾。

本書は、佐藤可士和さんが日経産業新聞に2008年6月から
半年間連載した「クリエイティブをひとつまみ」
をベースに加筆修正して、書籍化したものです。

空間、情報、思考の整理術について書かれていた
「超整理術」は、正直に言って、ちょっと真似しにくい
部分がありました。

それに比べると本書は、もっと実践しやすいように感じます。

本書でテーマとする「クリエイティブシンキング」とは、
アーティスティックな感性や表現方法ではなく、
創造的な考え方で、問題を解決していくこと。

佐藤さんは、どのように創造的な思考法を用いて、
数々のブランディングプロジェクトを成功させてきたのか?

本書では、その秘密、佐藤さんの思考法の一端が明かされています。

  「気になるものに出会ったら、
  積極的にいろいろなタグを付けてみることです。」

という佐藤さんのアドバイスをもとに、
本書の気になった箇所をタグ付けしてみました。

以下、その中から抜粋です。

  ・その前提は正しいか?-「前提」、「問い」
  ・悩んだら気持ちを書いてみよう-「整理」、「深化」
  ・見立ての習慣、身につけよう-「習慣」、「比喩」
  ・リサーチよりリアリティ-「キーワード」、「共感」
  ・お客目線とお茶の間目線-「視点」、「お茶の間」
  ・ストーリーを描けるか?-「コンテクスト」、「ストーリー」
  ・ハマれるものを見つける-「尽き抜け」、「追求」

クリエイティブシンキングの出発点は“気づき”。

本書には、ビジネスでも日常生活でも、
気づくためのヒントが、数多く紹介されていました。

この本から何を活かすか?

本書の中でちょっと嬉しかったのは、
私が考えたアイディアと、佐藤さんが同じことを考え、
既に商品化していたこと。

佐藤さんは、ウォーキングの途中で、
「携帯電話に万歩計機能があればいいのに!」とヒラメキ、
ドコモのスポーツ携帯N07-Aを商品化したそうです。

実は3年くらい前に、私は友人達と、
今後欲しい携帯電話について議論したことがあります。

私が提案したのは、健康志向の万歩計付携帯や
アルコール検知器付携帯など。

携帯の進化の方向とは異なる路線だったので、
その時は、いずれも友人達には不評でしたが、
天下の佐藤可士和さんが、その一つを本当に製品化したと知ると、
友人達の私を見る目が変わるかもしれません。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 09:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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特別講義 コンサルタントの整理術

特別講義 コンサルタントの整理術
特別講義 コンサルタントの整理術
(2010/06/18)
三谷 宏治 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:21

私の中では、この著者の本はハズレがないと
思っている方が、何人かいます。

その一人が、この本の著者である三谷宏治さん。

本書は、過去の三谷さんの作品と比べると、
若干、行間が広く文字数も少なめですが、
簡潔な文章の中にも鋭い視点が満載されています。

今回のテーマは、仕事の整理術。

三谷さんは、締め切りに追われる仕事を
高速道路の「渋滞」に喩え、
解消する方法を、次のように説明します。

  1.「分ける」
    高速道路に乗せるべき車と、そうでない車を分ける。
    こだわるものと、こだわらないものを分ける。
  
  2.「減らす」
    そもそも車(シゴト)自体を減らす。
  
  3.「早めにやる」
    渋滞に巻き込まれないように、早めにスタートする。
  
  4.「習慣にする」
    これらを習慣化して自動的に行なう

三谷さんは、元経営コンサルタントらしく
誰もが1~3の技を身につけ、
習慣化する方法を戦略的に示します。

ところで、日本のホワイトカラーの生産性の低さは、
先進国の中でも最低と言われているそうです。

その非効率の原因は、悩むこと。

このとき必要なのが、想定外のことが起こった時の
判断のハカリを決めておくことのようです。

迷ったら、「最初の感覚」を信じる、「より分からない方」へ進む、
「一段上がって大局的に正しいこと」を言う、などなど。

そういえば、伊藤真さんや 大橋禅太郎さんの判断基準は、
迷ったら「ワクワクする方」を選ぶでしたね。

本書は、サラリと読める割には、核心を衝いているので、
読んで得をしたなと思わせる一冊でした。

また、奇数ページ欄外に書いてある
三谷さんの「つぶやき」や豆知識も秀逸。

この本から何を活かすか?

  「ドゥンカーのロウソク問題」

マッチと箱一杯の画びょうがあります。テーブルに蝋が
たれないよう、火のついたロウソクを壁に取り付けてください。

Duncker's Candle Problem 

これは、急がされるとヒトの生産性はダウンする
例として本書に紹介されていた問題。

2つのグループに分けてこの問題を出してみると、
何の条件もなく取り組んだグループが、
解答を出すのにかかった平均時間は7分。

一方、早く解けたヒトには報酬を出すという条件で
解いたグループの平均時間は10.5分だったという
実験データがあるそうです。

私は、本書で初めて「ドゥンカーのロウソク問題」を
知りましたが、たまたま見た瞬間に答えが分かったため、
こんな簡単でいいの?と、逆に少し考えてしまいました。

この問題の答えは、三谷さんのブログで。

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| 仕事術・スキルアップ・キャリア | 14:27 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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私にはもう出版社はいらない

私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~
私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~
(2010/06/11)
アロン シェパード 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:16

米国Amazonに的を絞った、オンデマンド印刷で
自費出版(セルフパブリッシング)するためのマニュアル本。

冒頭には、「電子書籍の衝撃」を著した佐々木俊尚さんの
特別寄稿が4ページほど掲載されています。

本書では、著者のアロン・シェパードさんが長年にわたって
築き上げた自費出版のメソッドが、実例と共に解説されています。

一般の書店に並べることを想定せず、
ウェブ上、しかもアマゾンだけに限定していのが潔い。

こちらが、シェパードさんが自費出版する本。
The Business of Writing for Children: An Award-Winning Author’s Tips on Writing Children’s Books and Publishing Them, or How to Write, Publish, and Promote a Book for Kids
The Business of Writing for Children: An Award-Winning Author’s Tips on Writing Children’s Books and Publishing Them, or How to Write, Publish, and Promote a Book for Kids
(2000/03/01)
Aaron Shepard 商品詳細を見る

今までの自費出版と違い、注文されてから印刷されるので、
在庫を持たず、返本の心配もないので、
かなり低リスクでのセルフパブリッシングが可能のようです。

ところで、セルフパブリッシングは、
単に趣味だけの自己満足な出版なのか?
それとも、ビジネスとして利益を上げることが可能なのか?

この問いには、訳者の平林祥さんが
答えてくれています。

平林さんの試算によると、上記の本の年間利益は19,140ドル。

他の本も合わせると、シェパードさんの自費出版での
年間利益は5万ドルに達している見込みです。

もちろん、これはノウハウを蓄積した
シェパードさんの成功例ですから、
自費出版した誰もが、この利益を得られる訳ではありません。

また、本書で解説されるノウハウは、
米国アマゾンのサービスがベースなので、
日本のアマゾンでは、提供していないサービスがあります。

しかし、だからこそ本書を読んだ誰もが
日本においてのセルフパブリッシングの第一人者に
なれるチャンスがあるということです。

今が、セルフパブリッシングの黎明期。

完全に日本語対応する前に、本書をガイドに
日本のセルフパブリッシングの道を切り開くのは、
なかなかエキサイティングな挑戦のように思えます。

この本から何を活かすか?

本書で意外だったのは、シェパードさんが
「なか見!検索」や「アマゾン・キャンペーン」に
否定的だったこと。

また、セルフパブリッシングを考える考えないは別にして、
本書を読んで、普段使わないアマゾンの
いろいろなサービスを知ることができました。

ちなみに、こちらはアマゾンの「出版社と著者のページ

今まで、数え切れないくらいアマゾンに
アクセスしていましたが、はじめて見ました。

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| ノウハウ本 | 06:26 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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「思考軸」をつくれ

「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由
「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由
(2010/06/25)
出口治明 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:32

当ブログでは2010年7月8日の記事から、
私がその本に貼った「付箋の数」を記事冒頭に表示し始めました。

本書は、約1ヶ月、24記事の中で最多の付箋数。

これは私が、出口治明さんの本を初めて読んだから
ということもありますが、それを差し引いても
得るものが多くありました。

出口さんは、日本生命保険を退職後、
60歳の時に岩瀬大輔さんと組み、
ライフネット生命を立ち上げました。

ライフネット生命は、保険会社を親会社としない
独立系ベンチャー企業では、戦後初の金融庁から
開業免許を取得したネット専業の生命保険会社。

なぜ、出口さんは定年退職するような年齢になってから、
生保業界の常識を打ち破るような挑戦をしたのか?

  「風が吹いたときに凧を上げる」

つまり突然、チャンスが訪れたからということ。

しかし、チャンスを逃さないためには、
いつ風が吹いてもいいように
準備をしておく必要があります。

その準備が、自分だけの「思考軸」をつくり、
それを磨いておくことだと、出口さんは説明します。

本書では、ライフネット生命の設立の熱い想いと共に、
自分の中に「思考軸」をつくる方法が語られています。

また、出口さんは、リーダーに必要な旅の仲間を集める能力を
「共感力」として、次の名文を引用しています。

  「探検隊員募集。わずかな報酬。極寒。まったく太陽を見ない日が
  何日も続く。生存の保証なし。ただし、成功すれば
  名誉と賞賛が手に入る」

これは1914年、シャクルトン卿が大英帝国南極横断探検隊員を
募集した時の有名な広告。

私も読むたびにワクワクさせられる、大好きなコピーです。

本書を読むと、出口さんもシャクルトン卿と
同じような共感力を持っているように感じます。

そして、出口さんの想いが込められたライフネット生命のマニュフェストは、
南極探検隊員の募集広告と同様に、
冒険を求める人材を集めているのかもしれません。

※ シャクルトン卿の精神を受け継いだ佐藤克文さんの科学書、
「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」の記事はこちら。

この本から何を活かすか?

以下、本書から実践してみようと思う事、2点。

1.「タテ」と「ヨコ」2つの思考軸で考える

  タテ思考とは、歴史から俯瞰すること。
  ヨコ思考とは、他の国や地域と比較してどうか見ること。

一歩引いて、この2つの軸を基準に物事を見ることで、
「森の姿」をとらえ、自分の軸をつくることができるようです。

2.まず「分厚い本」から読む

出口さんはある分野の知識を身につけたいとき、
薄い入門書から読むのではなく、
分厚く難しそうな本から読むそうです。

その方が全体像を把握しやすいため。

私は、いつもその逆をやっていますが、
一度、厚い本から入ることに挑戦してみたいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 

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| 仕事論 | 07:05 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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プレゼンテーション Zen デザイン

プレゼンテーション Zen デザイン
プレゼンテーション Zen デザイン
(2010/06/25)
Garr Reynoldsガー・レイノルズ 商品詳細を見る
 
満足度★★★
付箋数:18

17カ国で10万部以上売れ、大反響を呼び起こした
ガー・レイノルズさんの「プレゼンテーション Zen」。

本書はその第2弾。

前作で「抑制」「シンプル」「自然さ」を原則とした
プレゼンの「幹」を示したのに対し、
本作はデザインに特化した「葉」の部分を解説します。

ちなみに第3弾、プレゼンの実演部分をテーマにした
The Naked Presenter」は2010年10月に刊行予定です。

  「デザインは命である」

プレゼンにおけるデザインの重要性は、認識されつつも、
実際のところ、なかなか手が回らない
やっつけ仕事になってしまう部分でもあります。

しかし、デザインは重要な決め手。
神は細部に宿ります。

本書では、視覚がコミュニケーションに与える影響を語りつつ、
プレゼンでの書体、色彩、写真や動画、余白の機能まで、
こだわりを持って解説しています。

また、それぞれの分野では、
その道の専門家のアドバイスも交えます。

例えば、プレゼンで用いる写真。

入手した画像の処理や加工だけにとどまらず、
自分で写真を撮ることも推奨しています。

写真家スコット・ケルビーさんの
「美しい写真を撮る10の秘訣」も掲載。

プレゼンで使う画像をに自ら撮影する機会は
あまりないかもしれませんが、プライベートで
写真を撮ることを含め個人的には参考になりました。

  「背景であれ、人物写真であれ、建築写真であれ、
  あらゆる面においてシンプルさを追求しよう―
  周りがシンプルであればあるほど、インパクトは強くなる。」

本書はデザイナー以外のすべての人が、
パワーポイントでのプレゼンを脱したあとの、
ワンランク上の美しいプレゼンを目指す一冊。

この本自体も美しい。

この本から何を活かすか?

  「グラフィックデザインIQテスト」

本書で紹介されるスティーヴン・フューさんのサイトでは、
データの視覚化についてのIQテストが受けられます。

サイトは、こちら。
  ・Welcome to the Graph Design I.Q. Test.

どちらが適したグラフかを選らぶだけの
簡単なテストで、すぐに終わります(全10問)。

しかし、該当するデザインが他より優れている理由を知り、
その違いを見分けられるようになることが大切とのこと。

間違うと、解説が下に表示され次の問題に進めない
作りになっているので、ここはあえて間違って
表示される解説を確認することが重要なのかもしれません。

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| コミュニケーション | 07:13 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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ソロスの講義録

ソロスの講義録  資本主義の呪縛を超えて 
ソロスの講義録  資本主義の呪縛を超えて
(2010/06/16)
ジョージ・ソロス 商品詳細を見る

満足度★★★
付箋数:19

最も読みやすい「ソロス哲学」の本。

その独特の言い回しによって難解なイメージを持たれる
ジョージ・ソロスさんですが、
本書は話し言葉で記述されているので、
過去の著書より分かりやすく感じます。

本書はソロスさんが、故郷ハンガリーのブダペストに
自らが開設した中央ヨーロッパ大学で2009年10月に行った
5日間の講義内容を収めたもの。

  第一講義 人間の不確実性の原理
  第二講義 「再帰性」と金融市場
  第三講義 開かれた社会
  第四講義 資本主義VS.「開かれた社会」
  第五講義 未来に向けて

話の中心は、「ソロス哲学」の中心概念である
「再帰性」と「可謬性」。

これらの概念については、『ソロスは警告する』での
主張と変わりませんが、幾分理解しやすい説明になっています。

ちなみに、昨日の記事、木暮太一さんの
頭がよくなる「経済学思考」の技術』で扱われていた
「均衡モデル」は「再帰性モデル」と
真っ向から対立する概念です。

過去記事の中でも、私は「再帰性」を「相互干渉性」と
理解すると書きました。

「再帰性(reflexivity)」とは、金融市場を例にとると、
市場参加者はマーケットの動向を見て投資判断を下しますが、
参加者の思考や行動もまたマーケットに影響を与えるため、
予測通りにはならないという考えです。

また、本書の第五講義で語られるソロスさんの未来予測は
ソロスは警告する 2009』と大きく変わりませんが、
敗者はアメリカ、勝者は中国という考えが、
より鮮明となっているように感じられます。

勝者となる中国の課題は、開かれた社会に近づくこと。

ソロスさんの中で日本は、あくまで中国が反面教師として
学ぶべき過去の国という認識のようです。

更に、2009年秋の時点で、ヨーロッパの金融体制の
脆弱性を指摘している点は、さすがソロスさんといった感じです。

この本から何を活かすか?

かつては、クォンタム・ファンドの共同設立者として
朋友だったソロスさんとジム・ロジャーズさん。

現在は、袂を分かっているお二人ですが、
共通しているのは、「中国」を世界の中心と考えていること。

ロジャーズさんは、
人生と投資で成功するために 娘に贈る12の言葉
の中でも、中国語を子どもに教えることの重要性を
説いていました。

私もそろそろ、中国語の勉強について
真剣に考えてみようと思います。

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| 経済・行動経済学 | 06:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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頭がよくなる「経済学思考」の技術

頭がよくなる「経済学思考」の技術
頭がよくなる「経済学思考」の技術
(2010/04/16)
木暮 太一 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:17

「1つの武器」を徹底的に鍛えて、経済学思考の柱を作る本です。

著者は、「今までで一番やさしい経済の教科書」など
分かりやすい経済学のシリーズ本を執筆する木暮太一さん。

どんなに複雑に見える問題でも、
本書では、次の3ステップでその本質を見極めます。

  1. 当事者(プレイヤー)の「インセンティブ」を明らかにする
  2. プレイヤーをとり巻く環境や制限「ルール」を明らかにする
  3. プレイヤーが置かれているルールの中で、インセンティブに
    従って行動したときの結果「均衡点」を予測する

できるだけ雑音を取り除いて、「インセンティブ」、
「ルール」、「均衡点」の3要素だけに注目することがポイント。

需給曲線が均衡点に落着くように、どんな問題も
インセンティブとルールによって均衡点が決まるというイメージです。

例えば、「タスポで未成年者喫煙がなくないらない理由」。

小暮さんは、この問題のプレイヤーをタバコ販売店と喫煙者と
定義し、次のように解説します。

  1.インセンティブは、
    ・タバコ販売店:生活のためにタバコを売りたい
    ・喫煙者:これまで通りタバコを吸いたい

  2.ルールは、
    未成年者の判別は「店員任せ」で、システム的に制御されていない。

  3.均衡点は、
    タスポを導入しても、今まで自販機で買われていた分を、
    チェックの甘い別の店で買うように仕向けているだけで、
    未成年者の喫煙はなくならない。

小暮さんは、この他にも

  ・「高速道路1000円」の本当の問題点とは?
  ・秘書だけが逮捕される汚職事件のメカニズム
  ・自己啓発マニアが成功する確率は?
  ・年金が破綻する経済学的な理由
  ・大麻の生産を止める特効薬とは?

など興味深い23の事例を用い、一貫して3ステップの
思考の「型」が身につくように解説しています。

最初は、シンプル過ぎると感じるかもしれませんが、
世の中のさまざまな問題が、この原則で説明できることが
分かります。

あれもこれもと手を出さず、集中して一つの技術を
伝えようとする姿勢には好感が持てる本でした。

この本から何を活かすか?

本書の思考を身に付けると、ある問題についての対応策が、
うわべだけのものなのか、本当に解決できるものなのかが
判断できるようになります。

プレイヤーのインセンティブは変わったか?
ルールはどう変わったのか?

うわべだけの対策は、ルールの変更だけですから、
均衡点がわずかにズレる程度です。

それに対して効果的な対策は、必ずプレイヤーの
プレインセンティブに働きかけるルール変更がなされますから、
おのずと均衡点が大きく動くことになります。

自分の考えた対応策も、常にこの視点でチェックしたいと思います。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 06:53 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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交渉の達人

交渉の達人
交渉の達人
(2010/05/21)
ディーパック・マルホトラ マックス・H・ベイザーマン 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:25

  1912年、セオドア・ルーズベルト元大統領は3期目を目指して
  厳しい大統領選挙を戦っていた。

  そんなとき、誰もが予想しない難題が持ち上がる。
  
  遊説先で配るための写真入ビラ300万枚の印刷を終えたとき、
  選挙対策責任者は大失態に気がついた。
  写真家にルーズベルトの写真の使用許可をとっていなかったのだ。
  
  更に著作権法によれば、写真家は写真1枚に付き
  最大で1ドルの使用料を請求する権利があることが判明した。
  
  1912年当時の300万ドルは、現在の6000万ドルに相当し、
  選挙戦で負担できる額ではなかった。
  また、300万枚のビラを刷り直す代替案もコストがかかり、
  深刻な遅れとなるため現実的な選択ではなかった。
  
  選挙対策責任者は、カギを握る写真家に使用料を
  下げてもらう交渉をするしかない。
   
  一体、どのように交渉したらいいのか?

これは本書に紹介されていた、交渉術の凄さを示す
一つのエピソードです。

選挙対策責任者は、効果的な戦略を使って、
信じられないような取引をまとめましたが、
その内容は後ほど。

本書は、交渉術の基礎から実践までを体系的に学べるテキストです。

350ページ近いハードカバーで、とっつきにくい印象がありますが、
苦労してでも読む価値のある一冊です。

まさに、交渉術の教科書。

内容は、いわゆる「ハーバード流交渉術」で、
第1部では交渉の基本的な枠組み、第2部では交渉における心理学、
第3部では実際の交渉場面での問題がカバーされています。

交渉術は、ビジネス上の取引や裁判といった
限定されたシーンだけで必要な技術ではなく、
日常生活の中でもあらゆる対立を解消するために
不可欠なスキルです。

  「交渉の達人とは、集合が消えた人のことである。」

ここで言う「集合」とは、交渉可能なことの範囲。

つまり本書で交渉術を学んで実践を積んでいくと、
交渉可能な集合は拡大し、やがて「交渉可能なこと」と
「交渉不可能なこと」の区別がなくなるということです。

交渉術の本では、以前記事にした
松浦正浩さんの「実践!交渉学」も良い本でしたが、
本書は、もっとじっくり、深く学びたい人向けに
オススメできる良書です。

この本から何を活かすか?

さて、ルーズベルトの選挙対策責任者は、
実際に、この状況にどう対処したのか?

  選挙対策責任者は、問題を慎重に分析した後、
  次のような電報を写真家に送った。

  「写真付きの遊説用ビラを300万部配布する計画がある。
  写真家にとってまたとない宣伝の機会だと思われる。
  貴殿の写真を使用した場合、いくらなら払う用意があるのか、
  至急連絡されたし」

  この電報を見た写真家は、間髪を入れず回答してきた。

  「ありがたい機会ですが、250ドルまでしか払えません」

これを単なる「妙案のひらめき」による逸話として、
片付けないことが重要です。

本書では、この選挙対策責任者のような交渉解決術を
誰もが戦略的に行なえるよう解説されています。

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| 交渉術・伝える力・論理・人脈 | 06:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「問題即解決」101の方法

「問題即解決」101の方法
「問題即解決」101の方法
(2010/06/01)
ダレン・ブリッジャー デヴィッド・ルイス 商品詳細を見る
 
満足度★★
付箋数:14

決して悪い本ではありませんが、
私の満足度が高くないのは、事前期待が高まりすぎたからです。

「訳者のことば」で小宮一慶さんが、次のように書いています。

  「最近、読んだ中でダントツに面白い―。
  この本を書いた人は、じつに頭がいい。
  それがこの本に惚れ込んだ一番の理由です。」

相当な数のビジネス書を読んでいる小宮さんが、
「ダントツに面白い」と表現するなんて、
いったい、どんな内容の本なのか?

否が応でも、期待が高まりましたが、
実際に読んでみると、「あれ?」という感じでした。

確かに、本書では問題を解決するための
101個のアプローチが示されているので、
解決法の引き出しを増やすにはいいでしょう。

しかし、いずれも1~3ページで書かれた
軽めのTips集といった感じで、参考にはなるものの、
私には「ダントツに面白い」とは感じられませんでした。

ひょっとすると、原書を翻訳する作業が
エキサイティングだったため、
このような表現になったのかもしれません。

あるいは、小宮さんが実践する気分転換法、
「手首に輪ゴムをはめておき、パチンと弾く方法」が
紹介されていたので、本書に惚れ込んだのかも。

いずれにしても、問題解決のためのちょっとしたヒントや
フレームワークが数多く紹介されていますから、
問題に行き詰った時にパラパラとめくって
利用するには良い本かもしれません。

ちなみに、本書は日本のAmazonはもちろん、
2008年に刊行されているオリジナルUK版の
Think Smart, Act Smart」も、
US版の「Get It Done」もそれぞれの出版国での
Amazonでのレビューが一つも入っていません。
(2010年8月4日現在)

とすると、原書の評判は良くても邦版の評判が
イマイチというパターンでもないようです。

この本から何を活かすか?

  「オッカムの剃刀(Occam's razor)」

本書では、必要以上に複雑な解決方法を好み、
簡単な方法に目を向けないのは、
いっそうの混乱を招くと指摘しています。

それを防ぐ方法が、「オッカムの剃刀」の原則。

  「はっきりしないのなら、最も簡潔な答えがベストである」

ちょっと単純化され過ぎているような気がしますが、
分かりやすく解釈して、実際にこの原則を
使うことが大切ということでしょう。

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 07:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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