活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


2009年06月 | ARCHIVE-SELECT | 2009年08月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

単純な脳、複雑な「私」

単純な脳、複雑な「私」
単純な脳、複雑な「私」
(2009/05/08)
池谷裕二 商品詳細を見る

満足度★★★★★

今年読んだ本で、私が最も知的興奮した一冊。最高です。

昨今の脳ブームに便乗した、脳科学っぽい雰囲気だけの話しではなく、
脳科学で解明されていること、解明されていないことを
本当に分かりやすく説明した、池谷裕二さんによる講義録。

池谷さんの本では、ニューヨークへ留学中の中高校生を対象とした
講義を収録した「進化しすぎた脳」も素晴らしかったですが、
今回は日本で、しかも池谷さんの出身高校で後輩を相手にした
講義ですから気合の入り方も十分。

本書は、藤枝東高校で行われた全校生徒への講義(第1章)と
その後、参加希望者9名を対象に行われた春休み中の講義(第2~4章)の
計4日間の内容が収録さています。

講義テーマは「心の構造化」。

「手を見れば、理系か文系か判別できる?」、
「天然パーマはIQが低い!?」といった、いかにも高校生が食いつきそうな
ツカミから入り、次々と興味深い話しが提供されます。

更に、講演当時発表されたばかりの科学誌サイエンスに
掲載された最新の論文なども交えながら、
気がつくと、かなり本格的な脳科学の講義になっていますね。

しかし、ここが池谷さんの凄いところですが、
まったく難しさを感じさせないまま、
グイグイと魅力的な話しに引き込んでいきます。

特に後半の講義は、参加者9名のプライベート講義なので、
質疑応答や思考実験などが取り入れられ、内容が深い。

「完全なアンドロイドを、人間と区別する理由はあるか?」
「ラッセルのパラドックス(リカージョンは矛盾を生む)」
などが本書で登場した思考実験の一例。

参加している高校生もけっこうレベルが高く、鋭い質問があることで、
池谷さんが嬉しそうに講義をする雰囲気も伝わってきます。

  「脳には驚くべき単純性と、そこから創発される複雑性が共存する」

この考えが、本書のタイトルにもなっている、
池谷さんが強調している内容です。

400ページ以上ありますが、時間を忘れ没頭して読んでしまいました。
「かつてないほどの知的興奮が沸きあがる、4つの講義を収録」
という裏表紙の言葉に偽りはありません。

個人的には、是非、この講義をオーディオブックで
出して欲しいと思いますが、朝日出版社さん、いかがでしょうか?

参考までに、本書で紹介されている動画が見れる
特設サイトはこちらです

この本から何を活かすか?

  「“自由意思が存在するかどうか”という問いは、その質問自体が
  微妙なところがあって、今の講義のように、
  むしろ自由を“感じる能力”が私たちの脳に備わっているかどうか
  という疑問にも変換しうる。自由意志は、存在するかどうかではなくて、
  知覚されるものではないか、とね。」

これは第3章での池谷さんの言葉。

ここでの自由意志を「幸せ」に置き換えて考えると、
よく言われるように、幸せになることを望むのではなく、
幸せを感じることが重要という話しにつながりますね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.


このエントリーをはてなブックマークに追加

| | 10:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT |