ビジネス<勝負脳>
ビジネス<勝負脳> (ベスト新書)
(2009/01/31)
林 成之 商品詳細を見る
満足度★★★
「リーダー」が知っておくべき、脳の性質について書かれた本。
リーダー論の本としては、異彩を放った一冊です。
著者の林成之さんは脳神経外科医。
北島康介選手などが活躍した2008年北京オリンピックの
競泳日本代表チームを指導した実績があります。
林さんが指導するのは、ここぞというときに力が発揮できる「勝負脳」。
本書では、「勝負脳」の鍛え方を通じ、
勝つためのリーダーに必要な知識を披露しています。
具体的には、脳の本能を利用した、心の動かし方、
記憶への残し方、意識付けの方法など。
単なる精神論ではなく、リーダーが身につけるべき能力を
次の6つの分野で示します。
1. 自分に勝つ力
2. 理解する力
3. 指導者としてのカリスマ性
4. 独創的思考能力
5. 人間力
6. 過去の体験や訓練を活かす力
これらの6つの能力には、それぞれ5つの訓練すべき項目があり、
例えば、「理解する力」には、次の項目が挙げられています。
・二つ以上の情報を重ねて理解することを習慣にする
・理解した内容を四日後に再度確認する
・人の話を感動して聞く
・空間認知力を鍛えている
・脳の「統一・一貫性」のデメリットを理解している
本書では、この6能力×5項目のチェックシートが掲載され、
自分の「リーダー<勝負脳>度」が診断できるようになっています。
私にとって本書で興味深かったのは、カリスマ性についての分析。
林さんは、カリスマ性を先天的なものと、後天的なものに分け、
「後天的なカリスマ性=達成率」と定義しています。
要するに、約束したことや発言したことに対し、
いつも実現させる度合いが高ければ、カリスマ性は高くなる。
私は、すべてのリーダーがカリスマ性を備えている必要はないと
考えていましたが、それは林さんの定義する先天的カリスマ性であって、
後天的なカリスマ性である高い達成率は、
やはりリーダーとしては、求められるべきだと思いました。 この本から何を活かすか?
人間の脳は、「統一・一貫性」のあるモノを好むそうです。
だから、整った顔立ちの人、つまり美人やイケメンが
本能的に多くの人に好まれるとか。
それはさておき、「統一・一貫性」の性質は、
自然と“長いものに巻かれる”状態を好み、
物事の成否を歪めるデメリットを持つそうです。
私はこの性質を、ジョージ・ソロスさんが言う
「可謬性(fallibility)」と共に、常に意識しておきたいと思います。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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