21世紀の国富論
21世紀の国富論
(2007/06/21)
原 丈人 商品詳細を見る
満足度★★★
国を豊かにするのは、新しい「技術」である。
基幹となる産業は、繊維から鉄鋼、
そしてIT産業からポスト・コンピュータ産業へ。
そのポスト・コンピュータ産業時代の核となるのが、
「PUC」という次世代アーキテクチャ。
簡単に著者の原丈人さんの主張をまとめると、
国が繁栄するためには、このPUCという技術に注力し、
それを活かす体制を政府としても整えよ、
ということです。
ところで、本書のキーワードとなる「PUC」とは、
Pervasive Ubiquitous Communicationの略で、
使っていることを感じさせず、どこにでも偏在し利用できる
コミュニケーション機能を指す技術的概念です。
これは原さんがつくった概念で、いわゆるユビキタスのように
単にコンピュータをいたる所に偏在させるものではなく、
「機械が人間に合わせる社会の実現」がその思想の
根底にあるようです。
本書の前半は、REO重視経営、ストックップション制度、
時価会計・減損会計など、日本でも重視されるようになった
アメリカ型資本主義への批判にページを割いています。
後半はPUCを中心に据えた国興しへがテーマとなっていて、
そのビジョンには賛同できるものの、実現のためには、
もう少し現実に則した提言が必要のようにも感じました。
本書は、私が読んだ時点(2009年1月)で既に、
執筆されてから2年近くの歳月が経過していますが、
現時点でも、まだ少し先の世界という印象でした。 この本から何を活かすか?
新しい基幹産業が雇用を生み出し、物質面で人々の生活を
豊かにするのは紛れもない事実です。
しかし、新しい技術のみが、国や世界を豊かにする
唯一の方法と考えてしまうと、貢献できるのはごく限られた
一部の最先端技術を持った人だけになってしまいます。
例えば、マザー・テレサは技術を持っていませんでしたが、
多くの人々を豊かにしました。
私のような特段の技術を持たない人は、原さんが切り開く
未来を歓迎しつつ、マザー・テレサとまではいかなくとも、
少しでも社会に貢献できることを考え実践すべきなのでしょう。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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