オークションの人間行動学
オークションの人間行動学 最新理論からネットオークション必勝法まで
(2008/04/24)
ケン・スティグリッツ 商品詳細を見る
満足度★★★
本書は、古銭のオークション取引を趣味にする
米プリンストン大学の教授、ケン・スティッグリッツさんが書いた、
学問としてのオークションの「教科書」です。
アメリカのオークションサイトの「イーベイ(eBay)」が、
主な題材となっていますが、イーベイを利用したことのない読者は、
ヤフオクや楽天を当てはめて考えるのが無難でしょう。
本書はゲーム理論をベースに、「価格」、「均衡」、
「ホモ・エコノミカス(合理的経済人)」の視点から、
オークションに参加する人間の行動を考察します。
買い手と売り手の行動分析、合理的戦略、理論と現実のギャップ、
そして、サクラや談合などの不正行為にまで言及しています。
本書で展開される理論は、実際にイーベイなどで、
入札実験を行って検証されたものもありますから、
信用に足るものでしょう。
ただ、あくまでも理論を理解するための本なので、
この本の理論が、実際にヤフオクなどで活用できる保証は
どこにもありません。
全体のページ数は、約300ページ。
その内、本編200ページは、多少アカデミックな記述もありますが、
数式は登場せず、実例を使って分かりやすく説明されています。
付録編は全体の1/3ものページ数を占め、
この100ページには数式も多く登場し、
理解するためには、ある程度の数学知識が必要となります。 この本から何を活かすか?
スティッグリッツさんは、「勝者の呪い」を説明するために、
自分の教えるクラスで、次のような実験をするそうです。
1. 5セントがたくさん入って封印された透明な壺を用意する
(大まかな金額の想像はつくが、正確には分からない状態)
2. 教室の学生に、この壺をオークションで売ると申し出る
3. 学生は全員参加で、入札1位の人が自分の入札額で壺を購入
スティッグリッツさんは、どのような結果であれ、
容赦なく学生からお金を徴収して、壺を渡します。
そして、かなりの確率で主催者、
つまりスティッグリッツさんが、儲かるそうです。
これは、自分が落札することを想定せずに、
過大入札する人が出てくるからです。
「勝者の呪い」にかからないよう、注意しなくてはなりませんね。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経済・行動経済学 | 07:04 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑
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