活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


| PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

一流の頭脳

満足度★★★★
付箋数:26

私たちは、「運動」はしないより、
したほうがイイことを知っています。

しかし、それは認識の誤りだったようです。

運動しないほうがイイということではありません。

運動による効用を、あまりに低く見積もっている
という意味での認識誤りです。

運動をするのと、しないのでは、
実は、天と地ほどの差があるようです。

  「脳のなかでは絶えず新しい細胞が生まれ、
  互いにつながったり、離れたりしている。
  あなたが何かをするたびに、それどころか
  何かを考えるだけでも、脳は少しだけ変わる。
  たとえるなら、それは固まらない粘土の
  ようなものだろう。
  では、どうすればこの “粘土” を、
  あなたにとってベストな形に
  変えられるのだとうか。
  じつは身体を動かすほど、脳に影響をおよぼす
  ものはない。これが本書のテーマであり、
  とりわけ効果の高い身体の動かし方と
  そのメカニズムをお伝えすることが、
  この本のねらいだ。」

本書は、ウェーデンで大ベストセラーに
なった本の邦訳本。

著者は、スウェーデンのストックホルム出身の
精神科医、アンダース・ハンセンさんです。

ハンセンさんは、ノーベル生理学・医学賞を
選定する世界最高峰の研究機関、
カロリンスカ研究所でリサーチャーとして
活動し、脳研究の最前線に身を置く方。

本書では、カロリンスカ研究所の最新知見を
脳をアップグレードするための実践情報
として紹介します。

ハンセンさんは、科学的根拠のない話は、
できるだけ書かない方針をとっているため、
本書では、圧倒的な数のエビデンスが
示されています。

そのほとんどが、「運動」がもたらす
良い効果を示すものばかりです。

  ・集中力が増す
  ・老化を抑制する
  ・気持ちが晴れやかになる
  ・不安やストレスが減る
  ・やる気を起こす
  ・記憶力が向上する
  ・創造性が増す
  ・知能が高まる
  ・疲労が少ない身体にする
  ・認知症の発症率を減らす
  ・高血圧、高血糖を改善する

これらはすべて、科学的根拠で示されている
運動することによる効用です。

なぜ、こんなに多くのことが可能になるか
というと、その根底には脳の神経可塑性が
あるからです。

脳の構造と機能は変えることができます。

  「脳の可塑性の研究においては、
  身体を活発に動かすことほどに脳を
  変えられる、つまり神経回路に変化を
  与えられるものはないことがわかっている。」

多くの面で、運動以上の特効薬はないのです。

また、日本の読者にとっては、
運動に関する科学的根拠以外の記述として、
村上春樹さんの例が紹介されているのが、
嬉しいところでしょうか。

村上さんを世界に広く知られる日本人作家
として紹介し、2007年に出版された回顧録
走ることについて語るときに僕の語ること
に書かれている内容に触れています。

村上さんの創造力の源泉は、走ることを
中心とした、身体を動かすことであると。

本書は、寺山修司さんの本のタイトル、
書を捨てよ、町へ出よう』ありませんが、
「書を捨てよ、運動しよう」といった
気分にさせられます。

ただし、書を捨てる前に、この本だけは
読んでからにしたほうがいいと思います。

この本から何を活かすか?

では、どれだけ、何の運動するのがいいのか?

実際には、その人のコンディションによって、
適切な運動量は異なると思いますが、
本書では以下のような運動が推奨されています。

  「より高い効果を望むなら、最低30分の
  ウォーキングをしよう。
  脳のための最高のコンディションを保つ
  ためには、ランニングを週に3回、
  45分以上行うことが望ましい。
  重要なポイントは心拍数を増やすことだ。
  そして、有酸素運動を中心に行おう。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | 04:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

絶対にミスをしない人の脳の習慣

満足度★★★★
付箋数:27

精神科医の樺沢紫苑さんは、これまで多くの
「うつ病」の患者さんと接してきました。

その経験からわかったことは、うつ病の方は、
ほぼ例外なく、その初期段階において、
「ミスが多くなる」ということです。

なぜ、ミスが多くなるかというと、
集中力を高める脳内物質が低下し、
注意力、集中力の低下が起こるからです。

ここで大事なのは、別にうつ病でなくても、
その一歩手前の脳の状態には、誰もが陥る
可能性があるということです。

それは「脳疲労」の状態。

脳が疲れていると、集中力が低下し、
正常な判断や情報処理ができなくなって、
ミスが起こるのです。

この脳疲労には、誰でも睡眠不足などで
簡単になってしまうのです。

  「 “ミスをなくす本” というのは、
  これまでたくさん出版されてきました。
  しかし、それらの本で、 “睡眠時間を増やそう” 
  とか “脳疲労を回復しよう” といった、
  科学的根拠に基づいた実践法を詳細に
  解説したものは、ほとんどありません。

  睡眠不足や脳疲労の人が、既存の
   “ミスをなくす本” を読んで、どれだけ
   “確認” や “机の上の整理” を実践したと
  しても、ミスを減らすことは不可能なのです。

  仕事のミスの根本に、注意・集中力の障害が
  存在しているわけですから、その部分を治す
  ことで、仕事のミスは解決できます。」

樺沢さんは、本書でミスが起こる原因を
4つに特定します。

本書では、なぜ、その原因に陥るかを
解説しながら、そうならないための
脳の「習慣術」を紹介します。

ミスの原因1 集中力の低下

 集中力は、朝が一番高くて、午後、夜と
 時間がたつにつれて低下する傾向があります。

 これはほとんどの人に当てはまる生理的な
 1日のリズムです。

 また慢性的な疲労やストレスによっても、
 集中力が低下することがわかっています。

ミスの原因2 ワーキングメモリの低下

 テンパってミスするのは、ワーキングメモリが
 不足している状態だから。

 脳の作業スペースとして、通常3つのトレイが
 あると考えると、3件の仕事こなすだけなら
 テンパることはありません。

 同時に5件の仕事をせざるを得ない状態に
 遭遇すると、作業スペースが不足し、
 焦りも出てきてテンパってしまうです。

ミスの原因3 脳疲労

 脳疲労に陥ると、いわゆる脳内物質の分泌が
 通常の状態とは異なってきます。

 ノルアドレナリンは外的なストレスに対する
 防御反応として分泌される脳内物質です。

 本来ノルアドレナリンが分泌されると、
 脳の集中力やパフォーマンスが高まりますが、
 恐怖や不安の状態が長く続くとこの物質が
 枯渇して分泌されなくなってしまいます。

 また心身の安定や心の安らぎにも関与する
 セロトニンも脳が疲れきった状態では
 分泌されにくくなってしまいます。

ミスの原因4 脳の老化

 「成人以降は、脳は成長しない。老化によって
 機能が失われていくだけ」という考え方は、
 現在の脳科学では完全に否定されています。

 脳の機能が衰えていくのは、脳を使わなく
 なっていくからです。

 脳を使わないと、加齢と共に脳細胞は失われて
 しまいますが、逆に上手に使うことによって、
 シナプスの結合数を増やし、イキイキとした
 状態で脳を保つことができるのです。

本書では、こうした脳の情報処理の仕方を
科学的に捉え、ミスが起こらないようにする
「仕組み」を紹介します。

もちろん、これまで言われてきたミスを減らす
一般的な方法も含まれていますが、
その原因を知ることで、納得して実践する
ことができます。

本書も樺沢さんの他の本と同様に、
買って損のない、サービス精神旺盛で
充実した内容の一冊でした。

この本から何を活かすか?

音楽を聞くと仕事ははかどるのか?

実は、音楽を聞くと「はかどる」という
研究結果と「邪魔になる」という研究結果の
両方があるようです。

仕事の内容を含めて樺沢さんが精査すると、
以下のようにまとめられます。

  「音楽は “学習”  “記憶”  “読解” などには
  マイナスに、 “作業”  “運動” にはプラスに
  働きます。」

仕事の内容によって音楽をかけるかどうか
判断すると良いようですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | 05:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

脳を最適化すれば能力は2倍になる

満足度★★★★
付箋数:28

2004年アテネオリンピックで金メダル、
2012年ロンドンオリンピックで銅メダルを
獲得したハンマー投の室伏広治選手。

室伏選手が、ハンマーを投げる直前に、
大きな声を出すところをテレビで見たことが
ある人も多いでしょう。

よく見ると室伏選手に限らず、ハンマー投の
選手の多くが、同じように投げる直前に
大声を出しています。

なぜ、ハンマー投の選手は、大声を出すのか?

「気合を入れる」ために、大声を出している
ように思えるかもしれません。

もちろん、そういった心理的な面の効果も
あることでしょう。

しかし、大声を出す最も大切な理由は
他にあります。

それは脳内物資の1つである「アドレナリン」
を分泌させること。

大きな声を出して叫ぶことで、脳に刺激が
与えられ、アドレナリンが分泌されるのです。

アドレナリンには、大きく2つの効果があります。

1つ目は、身体機能や筋力を一時的に
アップさせる「身体に対する効果」。

2つ目は、集中力や判断力を高める
「脳に対する効果」です。

このシャウティング効果は、実験的にも
確かめられていて、他のスポーツでも
用いられています。

元プロレスラーのアニマル浜口さんが、
「気合だー、気合だ―!!」と連呼すると、
応援する相手よりも、浜口さん自身に、
アドレナリンが分泌されているのです。

しかし、アドレナリンが分泌されると、
プラスの効果だけでなくマイナスの効果も
あります。

アドレナリンが過剰分泌されてしまうと、
血圧が上がり過ぎて、筋肉がこわばって
しまいます。

また、冷静さを失って暴走してしまう
可能性もあります。

更に、アドレナリンは依存性もあるので、
常にその状態を求めてしまう
アドレナリン・ジャンキーになる
危険性もあるのです。

アドレナリン・ジャンキーになると、
心臓疾患、脳卒中、糖尿病、癌などの
身体の病気だけでなく、うつ病などの
心の病気になる可能性もあります。

アドレナリンは、あくまで「勝負物質」なので、
オンにするのと同様に、オフにすることも
重要なのです。

さて本書は、米国で脳科学の研究にも
携わっていた精神科医の樺沢紫苑さんによる
脳内物質を活用した仕事術の本です。

本書で紹介される脳内物質は以下の7つです。

  ・ドーパミン(幸福物質)
  ・ノルアドレナリン(闘争か逃走か)
  ・アドレナリン(興奮物資)
  ・セロトニン(癒やしの物質)
  ・メラトニン(睡眠物質)
  ・アセチルコリン(記憶と学習)
  ・エンドルフィン(脳内麻薬)

実際に脳内物質は50以上ありますが、
その中でも脳の重要な役割を担っている
7つを厳選して仕事術としてまとめています。

これまでにも、どれか1つの脳内物質を
扱った本はたくさんありますが、
樺沢さんは、あえて1冊の本の中で、
7つの脳内物質を紹介しています。

その理由は、脳内物質は「バランス」が
重要だからです。

どれか1つの物質が多過ぎてもダメで、
脳や身体がうまく働かなくなるので、
バランスをとるために、7つの脳内物質を
まとめて紹介しているのです。

本書は非常に濃い内容の本で、
1冊でここまで内容が詰まっている本は
珍しいと思います。

こんなお買い得の本は滅多にありませんが、
1点だけ注意が必要です。

それは、本書が2010年にマガジンハウスから
刊行された『脳内物質仕事術』の改訂版で
あることです。

以前の本を持っている方だけは、
本書を購入する必要はないと思います。

私はそうと気づかず、本書を読みましたが、
改めて樺沢さんの本の凄さを実感しました。

この本から何を活かすか?

セロトニンは癒やしの物質で、覚醒や気分、
心の安定と深く関わっています。

このセロトニンをうまく活用すると、
朝の時間がゴールデンタイムになり、
量と質の両方で仕事の効率が上がります。

では、どのようにするとセロトニンが
うまく生成されるのか?

その方法は、ズバリ「カーテンを開けて寝る」。

カーテンを閉めずに、朝日を浴びて
目覚めることが、セロトニンの合成を促し、
朝のゴールデンタイムを作るのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | 06:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

サイコパス

満足度★★★★
付箋数:24

あなたの周りに「サイコパス」と思われる人は
いませんか?

さまざまな研究結果によって幅はあるものの、
サイコパスは100人に1人程度はいることが
明らかになっています。

もともとサイコパスは、連続殺人犯などの
反社会的な人格を説明するために開発された
診断上の概念です。

サイコパスは社会性についての病質であり、
その実態を指し示す、適切な訳語はありませんが、
次のような特徴があります。

 ・外見や語りが過剰に魅力的でナルシスティック。

 ・恐怖や不安、緊張を感じにくく、大舞台でも
  堂々として見える。

 ・多くの人が倫理的な理由でためらいを感じたり
  危険に思ってやらなかったりすることも
  平然と行うため、挑戦的で勇気があるように
  見える。

 ・お世辞がうまい人ころがしで、有力者を味方に
  つけていたり、崇拝者のような取り巻きが
  いたりする。

サイコパスは尊大で、自己愛と欺瞞に満ちた
対人関係を築き、共感的な感情が欠落し、
衝動的で反社会的な存在です。

しかし、サイコパスでない人がすべて善人では
ないように、サイコパスも全員が悪人であったり、
犯罪者予備軍というわけではありません。

歴史上の偉人と呼ばれる人がサイコパスで
あったり、大企業のCEOや弁護士、外科医などの
大胆な決断をしなければならない職業の人々に
サイコパスが多いという研究結果もあります。

近年、脳科学の進歩により、サイコパスの正体が
徐々にわかってきました。

脳内の器質のうち、他者に対する共感性や
「痛み」を認識する部分の働きが、一般の人とは
大きく違うことが明らかになっています。

本書は、最新の脳科学からサイコパスの特質を
解説し、サイコパスの存在意義を考える本です。

著者は、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など
でもおなじみの脳科学者、中野信子さんです。

  第1章 サイコパスの心理的・身体的特徴
  第2章 サイコパスの脳
  第3章 サイコパスはいかにして発見されたか
  第4章 サイコパスと進化
  第5章 現代に生きるサイコパス
  第6章 サイコパスかもしれないあなたへ

サイコパスは一般的にIQが高いイメージが
ありますが、実際にIQが高い特徴がある
わけではありません。

サイコパスでも、賢い人もいれば、
頭が悪い人もいるというのが本当のところ。

サイコパスの脳は、扁桃体の活動が低く、
前頭前皮質との結びつきが弱かったり、
海馬と後帯状回の機能障害があったり、
脳梁の形状にも一般人と大きな違いが
見られるようです。

一般の人からすると、サイコパスは厄介な
存在で、できれば関わりたくないと考えるのが
普通でしょう。

しかし、「サイコパスが人類を進化させた」
と考えることもできます。

アメリカの有人宇宙船アポロ11号の乗務員、
ニール・アームストロングさんは、
サイコパスだったのではと言われています。

アポロが月の岩場に激突寸前の状況下でも、
ひとりだけ極めて冷静沈着に判断を下し、
見事、人類初の月面着陸を成功させたからです。

リスクに直面しても大きな恐怖や不安を
感じないサイコパスの特性が、ほか人間たちが
できないような仕事を引き受けることで、
人類全体の役に立ってきた面もあるのです。

ちなみに、歴史上の人物では、織田信長さん、
ピョートル大帝、ジョン・F・ケネディさん、
毛沢東さん、マザー・テレサさんなども
サイコパスではないかと言われています。

この本から何を活かすか?

人への共感が少なくて、もしかすると、
「自分はサイコパスでは?」と思ったあなた。

次の「道徳のジレンマ」の問題で、
自分が、サイコパスかどうかを確認しましょう。

ある村に13日の金曜日のジェイソンのような
殺人鬼がやってきまいあた。

あなたを含む村人は、みんなで隠れます。

息を潜め、音を立てないようにしなければ
ならない状況で、ある赤ちゃんが突然、
泣き始めました。

殺人鬼に気付かれたら、あなたも含め
村人全員が皆殺しにされてしまいます。

さて、あなたは、その赤ちゃんをどうしますか?

この道徳のジレンマで、迷わず赤ちゃんを
「絞め殺す」と答えた方は、サイコパスです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | 06:36 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

≫ EDIT

つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線

満足度★★★★
付箋数:26

私たちは、過去に見たり、聞いたり、経験した
ことを「記憶」として覚えています。

私たちが生きていくうえで「記憶」することは、
欠かすことのできない能力です。

ところで、あなたが、「経験した」と
記憶していることは、本当にあなたが
経験したことなのでしょうか?

人は現実に経験したことのないことでも、
あたかも経験したかのごとく記憶をつくって
しまうことがあります。

これを「過誤記憶(フォールスメモリー)」
いいます。

意識するかしないかは別にして、私たちは
常に記憶をつくり続けています。

例えば、廊下ですれ違っただけの人でも、
容姿端麗だったり、奇抜な服装だったりすると、
一瞬見ただけでも、ある程度は覚えてしまう
ものです。

このように終始つくり出される記憶ですが、
ある条件下では、経験したはずがないことを
「した」と主張して譲らない人が現れます。

「私は宇宙人にさらわれた!」という人が
いるのもその一例です。

この過誤記憶は大きな社会的問題になります。

その理由の1つは、裁判の証言に対する
信憑性が揺らぐからです。

「本当にこの人がやった」というような、
心から「それが事実なんだ」と信じる
過誤記憶が、人間には頻繁に起きています。

DNA鑑定が一般的になる前の時代には、
何人もの無実の人が過誤記憶の被害を
受けていたと考えられています。

アメリカのある調査では、証言が中心的な
役割を果たして重罪が決定し、長年懲役に
服していた人々の4分の3は、実は無実であった
ということが報告されています。

経験していないことを記憶に刷り込む操作は、
実際にマウスの実験で成功しています。

通常、マウスを新しいケージに入れると、
5~7分かけて動き回って、マウスは
そのケージの特徴を覚えます。

その時に、ケージに弱い電気を流すと、
少しピリピリするので、マウスはびっくりして
フリーズしてしまいます。

自分が今いるケージは危ないところだという
記憶の痕跡(エングラム)がつくられるのです。

過誤記憶をつくる実験では、最初にマウスを
安全なケージAに入れます。

次にマウスを別のケージBに移してから、
ケージAを記憶している海馬に光を当てながら、
電気ショックを与えます。

すると、安全だったケージAに戻しても、
恐怖記憶を想起してフリーズするようになります。

マウスの脳の中では、最初に安全だと判断した
ケージAの記憶痕が再構成され、扁桃体の恐怖の
記憶痕と結びついて、経験したことのないことが、
経験したという記憶に書き換えられたのです。

実は記憶の書き換えは、悪いことばかりではなく、
うつ病、アルツハイマー病、自閉症などの
治療に利用されることが期待されています。

本書は、理化学研究所脳科学総合研究センターに
所属する9人の脳科学の研究者へのインタビューを
まとめた本です。

最先端の脳科学の研究について、9人の研究者が
それぞれの専門分野について語った内容を
サイエンスライターの丸山篤史さんが、
一般向けにわかりやすくまとめました。

「はじめに」と第1章の「記憶をつなげる脳」では、
センター長であり、ノーベル生理学・医学賞を
受賞した利根川進さんが語っています。

  「この本では、現在の脳研究でどこまで
  脳のことが分かったのか、あるいはまだまだ
  分かっていないことについて、研究者たちが
  その最前線をお伝えしていきます。
  本書のテーマは “つながり” です。」

脳研究のそれぞれの分野がつながっていて、
更にはあらゆる学問とつながることがわかる
非常に密度の濃い本です。

この本から何を活かすか?

ある人の海馬から「トム・クルーズ細胞」という
ニューロンが見つかりました。

これは俳優のトム・クルーズさんにちなんで
命名された細胞ですが、もちろん彼が発見した
わけではありません。

てんかんの治療目的で電極を刺した
患者さんにさまざまな画像を見せたときに、
たまたまトム・クルーズさんの画像にのみ
発火する細胞が見つかったのです。

このトム・クルーズ細胞は、正面写真でも
横顔でも、文字情報でも、トム・クルーズさんを
示す情報にならすべて反応したそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | 08:06 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT | NEXT