活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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脳を最適化すれば能力は2倍になる

満足度★★★★
付箋数:28

2004年アテネオリンピックで金メダル、
2012年ロンドンオリンピックで銅メダルを
獲得したハンマー投の室伏広治選手。

室伏選手が、ハンマーを投げる直前に、
大きな声を出すところをテレビで見たことが
ある人も多いでしょう。

よく見ると室伏選手に限らず、ハンマー投の
選手の多くが、同じように投げる直前に
大声を出しています。

なぜ、ハンマー投の選手は、大声を出すのか?

「気合を入れる」ために、大声を出している
ように思えるかもしれません。

もちろん、そういった心理的な面の効果も
あることでしょう。

しかし、大声を出す最も大切な理由は
他にあります。

それは脳内物資の1つである「アドレナリン」
を分泌させること。

大きな声を出して叫ぶことで、脳に刺激が
与えられ、アドレナリンが分泌されるのです。

アドレナリンには、大きく2つの効果があります。

1つ目は、身体機能や筋力を一時的に
アップさせる「身体に対する効果」。

2つ目は、集中力や判断力を高める
「脳に対する効果」です。

このシャウティング効果は、実験的にも
確かめられていて、他のスポーツでも
用いられています。

元プロレスラーのアニマル浜口さんが、
「気合だー、気合だ―!!」と連呼すると、
応援する相手よりも、浜口さん自身に、
アドレナリンが分泌されているのです。

しかし、アドレナリンが分泌されると、
プラスの効果だけでなくマイナスの効果も
あります。

アドレナリンが過剰分泌されてしまうと、
血圧が上がり過ぎて、筋肉がこわばって
しまいます。

また、冷静さを失って暴走してしまう
可能性もあります。

更に、アドレナリンは依存性もあるので、
常にその状態を求めてしまう
アドレナリン・ジャンキーになる
危険性もあるのです。

アドレナリン・ジャンキーになると、
心臓疾患、脳卒中、糖尿病、癌などの
身体の病気だけでなく、うつ病などの
心の病気になる可能性もあります。

アドレナリンは、あくまで「勝負物質」なので、
オンにするのと同様に、オフにすることも
重要なのです。

さて本書は、米国で脳科学の研究にも
携わっていた精神科医の樺沢紫苑さんによる
脳内物質を活用した仕事術の本です。

本書で紹介される脳内物質は以下の7つです。

  ・ドーパミン(幸福物質)
  ・ノルアドレナリン(闘争か逃走か)
  ・アドレナリン(興奮物資)
  ・セロトニン(癒やしの物質)
  ・メラトニン(睡眠物質)
  ・アセチルコリン(記憶と学習)
  ・エンドルフィン(脳内麻薬)

実際に脳内物質は50以上ありますが、
その中でも脳の重要な役割を担っている
7つを厳選して仕事術としてまとめています。

これまでにも、どれか1つの脳内物質を
扱った本はたくさんありますが、
樺沢さんは、あえて1冊の本の中で、
7つの脳内物質を紹介しています。

その理由は、脳内物質は「バランス」が
重要だからです。

どれか1つの物質が多過ぎてもダメで、
脳や身体がうまく働かなくなるので、
バランスをとるために、7つの脳内物質を
まとめて紹介しているのです。

本書は非常に濃い内容の本で、
1冊でここまで内容が詰まっている本は
珍しいと思います。

こんなお買い得の本は滅多にありませんが、
1点だけ注意が必要です。

それは、本書が2010年にマガジンハウスから
刊行された『脳内物質仕事術』の改訂版で
あることです。

以前の本を持っている方だけは、
本書を購入する必要はないと思います。

私はそうと気づかず、本書を読みましたが、
改めて樺沢さんの本の凄さを実感しました。

この本から何を活かすか?

セロトニンは癒やしの物質で、覚醒や気分、
心の安定と深く関わっています。

このセロトニンをうまく活用すると、
朝の時間がゴールデンタイムになり、
量と質の両方で仕事の効率が上がります。

では、どのようにするとセロトニンが
うまく生成されるのか?

その方法は、ズバリ「カーテンを開けて寝る」。

カーテンを閉めずに、朝日を浴びて
目覚めることが、セロトニンの合成を促し、
朝のゴールデンタイムを作るのです。

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サイコパス

満足度★★★★
付箋数:24

あなたの周りに「サイコパス」と思われる人は
いませんか?

さまざまな研究結果によって幅はあるものの、
サイコパスは100人に1人程度はいることが
明らかになっています。

もともとサイコパスは、連続殺人犯などの
反社会的な人格を説明するために開発された
診断上の概念です。

サイコパスは社会性についての病質であり、
その実態を指し示す、適切な訳語はありませんが、
次のような特徴があります。

 ・外見や語りが過剰に魅力的でナルシスティック。

 ・恐怖や不安、緊張を感じにくく、大舞台でも
  堂々として見える。

 ・多くの人が倫理的な理由でためらいを感じたり
  危険に思ってやらなかったりすることも
  平然と行うため、挑戦的で勇気があるように
  見える。

 ・お世辞がうまい人ころがしで、有力者を味方に
  つけていたり、崇拝者のような取り巻きが
  いたりする。

サイコパスは尊大で、自己愛と欺瞞に満ちた
対人関係を築き、共感的な感情が欠落し、
衝動的で反社会的な存在です。

しかし、サイコパスでない人がすべて善人では
ないように、サイコパスも全員が悪人であったり、
犯罪者予備軍というわけではありません。

歴史上の偉人と呼ばれる人がサイコパスで
あったり、大企業のCEOや弁護士、外科医などの
大胆な決断をしなければならない職業の人々に
サイコパスが多いという研究結果もあります。

近年、脳科学の進歩により、サイコパスの正体が
徐々にわかってきました。

脳内の器質のうち、他者に対する共感性や
「痛み」を認識する部分の働きが、一般の人とは
大きく違うことが明らかになっています。

本書は、最新の脳科学からサイコパスの特質を
解説し、サイコパスの存在意義を考える本です。

著者は、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など
でもおなじみの脳科学者、中野信子さんです。

  第1章 サイコパスの心理的・身体的特徴
  第2章 サイコパスの脳
  第3章 サイコパスはいかにして発見されたか
  第4章 サイコパスと進化
  第5章 現代に生きるサイコパス
  第6章 サイコパスかもしれないあなたへ

サイコパスは一般的にIQが高いイメージが
ありますが、実際にIQが高い特徴がある
わけではありません。

サイコパスでも、賢い人もいれば、
頭が悪い人もいるというのが本当のところ。

サイコパスの脳は、扁桃体の活動が低く、
前頭前皮質との結びつきが弱かったり、
海馬と後帯状回の機能障害があったり、
脳梁の形状にも一般人と大きな違いが
見られるようです。

一般の人からすると、サイコパスは厄介な
存在で、できれば関わりたくないと考えるのが
普通でしょう。

しかし、「サイコパスが人類を進化させた」
と考えることもできます。

アメリカの有人宇宙船アポロ11号の乗務員、
ニール・アームストロングさんは、
サイコパスだったのではと言われています。

アポロが月の岩場に激突寸前の状況下でも、
ひとりだけ極めて冷静沈着に判断を下し、
見事、人類初の月面着陸を成功させたからです。

リスクに直面しても大きな恐怖や不安を
感じないサイコパスの特性が、ほか人間たちが
できないような仕事を引き受けることで、
人類全体の役に立ってきた面もあるのです。

ちなみに、歴史上の人物では、織田信長さん、
ピョートル大帝、ジョン・F・ケネディさん、
毛沢東さん、マザー・テレサさんなども
サイコパスではないかと言われています。

この本から何を活かすか?

人への共感が少なくて、もしかすると、
「自分はサイコパスでは?」と思ったあなた。

次の「道徳のジレンマ」の問題で、
自分が、サイコパスかどうかを確認しましょう。

ある村に13日の金曜日のジェイソンのような
殺人鬼がやってきまいあた。

あなたを含む村人は、みんなで隠れます。

息を潜め、音を立てないようにしなければ
ならない状況で、ある赤ちゃんが突然、
泣き始めました。

殺人鬼に気付かれたら、あなたも含め
村人全員が皆殺しにされてしまいます。

さて、あなたは、その赤ちゃんをどうしますか?

この道徳のジレンマで、迷わず赤ちゃんを
「絞め殺す」と答えた方は、サイコパスです。

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つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線

満足度★★★★
付箋数:26

私たちは、過去に見たり、聞いたり、経験した
ことを「記憶」として覚えています。

私たちが生きていくうえで「記憶」することは、
欠かすことのできない能力です。

ところで、あなたが、「経験した」と
記憶していることは、本当にあなたが
経験したことなのでしょうか?

人は現実に経験したことのないことでも、
あたかも経験したかのごとく記憶をつくって
しまうことがあります。

これを「過誤記憶(フォールスメモリー)」
いいます。

意識するかしないかは別にして、私たちは
常に記憶をつくり続けています。

例えば、廊下ですれ違っただけの人でも、
容姿端麗だったり、奇抜な服装だったりすると、
一瞬見ただけでも、ある程度は覚えてしまう
ものです。

このように終始つくり出される記憶ですが、
ある条件下では、経験したはずがないことを
「した」と主張して譲らない人が現れます。

「私は宇宙人にさらわれた!」という人が
いるのもその一例です。

この過誤記憶は大きな社会的問題になります。

その理由の1つは、裁判の証言に対する
信憑性が揺らぐからです。

「本当にこの人がやった」というような、
心から「それが事実なんだ」と信じる
過誤記憶が、人間には頻繁に起きています。

DNA鑑定が一般的になる前の時代には、
何人もの無実の人が過誤記憶の被害を
受けていたと考えられています。

アメリカのある調査では、証言が中心的な
役割を果たして重罪が決定し、長年懲役に
服していた人々の4分の3は、実は無実であった
ということが報告されています。

経験していないことを記憶に刷り込む操作は、
実際にマウスの実験で成功しています。

通常、マウスを新しいケージに入れると、
5~7分かけて動き回って、マウスは
そのケージの特徴を覚えます。

その時に、ケージに弱い電気を流すと、
少しピリピリするので、マウスはびっくりして
フリーズしてしまいます。

自分が今いるケージは危ないところだという
記憶の痕跡(エングラム)がつくられるのです。

過誤記憶をつくる実験では、最初にマウスを
安全なケージAに入れます。

次にマウスを別のケージBに移してから、
ケージAを記憶している海馬に光を当てながら、
電気ショックを与えます。

すると、安全だったケージAに戻しても、
恐怖記憶を想起してフリーズするようになります。

マウスの脳の中では、最初に安全だと判断した
ケージAの記憶痕が再構成され、扁桃体の恐怖の
記憶痕と結びついて、経験したことのないことが、
経験したという記憶に書き換えられたのです。

実は記憶の書き換えは、悪いことばかりではなく、
うつ病、アルツハイマー病、自閉症などの
治療に利用されることが期待されています。

本書は、理化学研究所脳科学総合研究センターに
所属する9人の脳科学の研究者へのインタビューを
まとめた本です。

最先端の脳科学の研究について、9人の研究者が
それぞれの専門分野について語った内容を
サイエンスライターの丸山篤史さんが、
一般向けにわかりやすくまとめました。

「はじめに」と第1章の「記憶をつなげる脳」では、
センター長であり、ノーベル生理学・医学賞を
受賞した利根川進さんが語っています。

  「この本では、現在の脳研究でどこまで
  脳のことが分かったのか、あるいはまだまだ
  分かっていないことについて、研究者たちが
  その最前線をお伝えしていきます。
  本書のテーマは “つながり” です。」

脳研究のそれぞれの分野がつながっていて、
更にはあらゆる学問とつながることがわかる
非常に密度の濃い本です。

この本から何を活かすか?

ある人の海馬から「トム・クルーズ細胞」という
ニューロンが見つかりました。

これは俳優のトム・クルーズさんにちなんで
命名された細胞ですが、もちろん彼が発見した
わけではありません。

てんかんの治療目的で電極を刺した
患者さんにさまざまな画像を見せたときに、
たまたまトム・クルーズさんの画像にのみ
発火する細胞が見つかったのです。

このトム・クルーズ細胞は、正面写真でも
横顔でも、文字情報でも、トム・クルーズさんを
示す情報にならすべて反応したそうです。

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ハーバード集中力革命

満足度★★★
付箋数:25

あなたには、次のような状態にあったり、
次のように考える傾向はありませんか?

 ・携帯電話が手元にないと苦痛だ。
 ・インターネットを使っていると
  気づかないうちに1時間は経っている。
 ・時間内にできる量以上にやるべき
  ことがある。
 ・自制心を失っている。
 ・職場や家でこっそりインターネットを
  使ってしまう。
 ・仕事でストレスを感じると、
  よくインターネットの世界に引きこもる。
 ・ランチに出るときにスマホを
  持って行かないなんて想像もできない。
 ・いつでも何かが足りないと感じている。
 ・自分の仕事の出来が悪い。
 ・やる気はある。ただ、やり方がわからない。

もし、このような傾向があれば、
あなたは、「デジタル依存症」タイプの
「ADT」かもしれません。

ADTとは聞き慣れない言葉かもしれませんが、
「注意欠陥特性」のことです。

これは本書の著者で、精神科医の
エドワード・M・ハロウェルさんが1994年に
作った用語です。

ハロウェルさんは、ADD(注意欠陥障害)
およびADHD(注意欠陥・多動性障害)の
権威として知られる方です。

ADDやADHDといった障害が遺伝的な原因に
よるのに対して、ADTは「環境」が原因で、
集中力が続かない状態です。

つまり、ADTは外部要因によって、
現れたり消えたりするものなのです。

スポーツ選手などが、もっとも集中した
精神状態に入ることを「フロー」とか
「ゾーン」などと言ったりします。

  「集中とは、つまり短いフローの状態である。
  誰でも、集中が何かは知っているだろう。
  意識を凝縮し、精神を明確にし、
  目標に焦点を合わせている状態を示す言葉だ。
  そして、集中とフローの間に、私の呼ぶ
   “柔軟な集中” の状態がある。
  柔軟な集中の場合、フローほどの高揚感は
  伴わない。しかし、夢中になってほかの
  何にも注意を向けられなくなるということ
  なしに、課題に集中する能力を保ったまま、
  同時に新しいインプットを受け入れる
  ことができる。」

本書は、医学的な根拠に基づき、
集中力を自分でコントロール方法を学び
「柔軟な集中」を手に入れます。

本書では、人の集中力を奪う、
ADTのタイプを6つの症候群に分類します。

 1. デジタル依存症
 2. マルチタスク
 3. アイディアホッピング
 4. 心配性
 5. おせっかい焼き
 6. ヘマばかり

症候群のネーミングが、ちょっと野暮ったい
気がしますが、それは適切な日本語が
なかったためなのでしょう。

自分に集中力が足りないと感じる方は、
まず、自分がどのタイプなのかを確認し、
その特性を押さえておくべきです。

そして、ハロウェルさんは本書の後半で、
集中力をコントロールするための
「5つの基本プラン」を示します。

基本プランのタイトルだけ挙げておくと、
「エネルギー」、「感情」、「エンゲージメント」、
「仕組み」、「コントロール」になります。

自分のADTのタイプによって、これらの
5つのプランを組み合わせて対処し、
集中力を高めて、生産性を改善します。

環境が集中力の低下を引き起こしていると
考えるのは、現代社会においては
十分納得できる説明です。

そして、本書の対処法は具体的で、
そのまま真似て実践しやすい本だと思います。

この本から何を活かすか?

子どもだけでなく、大人にもADHD
(注意欠陥・多動性障害)があります。

しかも、その8割は見過ごされている。

しかし、正しく対処さえすればADHDほど、
生活をよりよいものに変えるチャンスとなる
精神疾患はありません。

そこで次のような兆しが見られれば、
ADHDを理解している専門医に
相談した方がいいようです。

  「 “説明のつかない出来の悪さ” に加え、
  才能がひらめいたのに、その後最後まで
  やり通せないとかボーっとしてしまう
  といった、 “能力の一貫性のなさ” 」

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〈わたし〉は脳に操られているのか

満足度★★★
付箋数:23

1991年2月17日の真夜中すぎ、米ジョージア州
オークウッドのドミノ・ピザに強盗が入りました。

強盗はレジから現金を奪った後、
店長にひざまずくように命令しました。

強盗は相手の後ろに回り、汗に濡れた後頭部に
拳銃を当てます。

店長は金を持って出ていってくれと命乞い
しましたが、強盗は容赦なく引き金を引きました。

こんな無慈悲な殺人者にも弁護団がつきます。

どうすればこんな殺人事件でも有利に裁判を
すすめることができるのか、弁護団は考えました。

まず、健康診断から始めることにして、
彼の身体と精神を徹底的に検査しました。

しかし、成果は乏しく、彼には身体的、心理的、
精神的、神経学的な疾患はありませんでした。

また、躁うつ病も、統合失調症も、
アルツハイマー病もありませんでした。

検査で見つかったのは、取るに足りないこと
だけで、いくつかの主要神経伝達物質を
分解するモノアミン酸化酵素Aが、
わずかに不足しているに過ぎませんでした。

これで犯人が正気でなかったと主張するには
まったくもって不十分です。

しかし、ここで弁護団は大胆な作戦に
出ることにしました。

脳内ニューロン間のコミュニケーションが
神経伝達物質の相対的濃度に影響されたせいで、
彼は殺人を犯したと主張しました。

弁護団の陳述は以下の通りです。

 罹患男性におけるMOMA(モノアミン酸化酵素A)
 の活動停滞は、通常MOMAを用いて体内で
 分解される、神経伝達物質のセロトニン、
 ノルアドレナリン、ドーパミン、および
 アドレナリンの過剰分泌につながった。
 ・・・MOMA遺伝子の欠陥により、これらの
 神経伝達物質が過剰に蓄積すると、
 罹患者はストレスの多い状況に対応するのが
 困難になり、その結果、過剰に、
 ときに暴力的に反応する。

この主張は、彼が殺人を犯したのは、
彼の脳によって決定されたことなので、
彼自身は犯罪に対して全責任を負うことは
できないということを意味します。

果たして、人を殺したのは脳のせいと
言うことができるのでしょうか?

現在の脳科学では、脳が人間の思考や行動を
因果的に決めているため、自由な意志は
存在しないと考える「決定論」が主流派の
考えです。

この決定論でいくと、ドミノ・ピザの
強盗殺人事件の弁護団の陳述のように、
「それは脳のせいだ」という主張に
なりかねません。

ちなみに一般的決定論は、19世紀に
ピエール・ラプラスさんが主張した、
いわゆる「ラプラスの悪魔」につながります。

この決定論と対立するのが、人間には
「自由意志」があるという立場です。

こちらは脳による無意識の決定を超えて、
人間には意識的に熟考する能力があると
考えます。

著者のエリエザー・スタンバーグさんは、
イェール大学付属病院の神経科医で、
本書で脳科学の主流派の主張に異を唱えます。

「限りのない問題」があった場合、
決定論的システム(アルゴリズム)では
解けないとし、一方、人間は「限りのない問題」
に対処できることから、人間にはアルゴリズムを
超える自由意志があると主張します。

本書は、脳科学の重要なテーマを論じ、
多数派の主張に切り込んでいく話題作です。

この本から何を活かすか?

  「もしもある瞬間における全ての物質の
  力学的状態と力を知ることができ、
  かつもしもそれらのデータを解析できるだけの
  能力の知性が存在するとすれば、この知性に
  とっては、不確実なことは何もなくなり、
  その目には未来も(過去同様に)全て見えて
  いるであろう。」

これがピエール・ラプラスさんの提案です。

しかし、20世紀になって「ラプラスの悪魔」を
覆したのが、量子力学でした。

全ての粒子の位置と速度を正確に知ることが
できないから、原子の運動は確率的にしか
把握できない。

つまり、ラプラスの悪魔でさえも未来を
完全に計算することはできないのです。

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