活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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2050年 衝撃の未来予想

満足度:★★★
付箋数:22

TAC株式会社の藤明さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

あなたは、2050年に何歳になっていますか?

この記事を書いている2017年から33年後です。

現在、30代の人は60代、70代になっているので、
仕事も定年になっている頃でしょう。

すると2050年の未来予想をして、
社会が大きく変わっていても、あまり切実でないと
感じるかもしれません。

しかし、苫米地英人さんは次のように言います。

  「それでも私が2050年の未来予測に十分意味が
  あると考えるのには、確固たる理由があります。
  それは、2050年には “60代、70代は働き盛り” 
   “90代でも若造” の時代になっているからです。」

苫米地さんは、2050年に平均寿命が120歳に
なっていてもおかしくないと考えます。

それは、今後も医学が進歩していく限り、
私たちの寿命も延び続ける可能性が高いからです。

実現の可能性はさておき、もし、平均寿命が
120歳になるならば、「60代、70代は働き盛り」
と考えるのはそれほど違和感はありません。

平均寿命が80歳代の今でも、経済界では
60歳は若造と言われますから、「90代でも若造」
と言われる可能性もあるでしょう。

苫米地さんが、本書で描くのは、
平均寿命が120歳になっているかもしれない
「2050年の未来図」です。

ところで、なぜ、苫米地さんは、
5年後、10年後ではなく、そんな先の未来を
本書で予想したのでしょうか?

  「未来を知って、よりよい未来に変えたいと
  思うならば、すでに一部の人たちが描いた
  現実である5年後10年後の予想など意味が
  ありません。そうではなく、少なくとも
  今まさに開発中の技術の特許が切れる
  20年先、さらに、その技術が一般化し、
  社会に本質的な変化をもたらす30年先、
  40年先を予想しなければ意味がないのです。」

未来予測をする場合、最も大切なのは、
ベースにある「社会構造」の変化です。

5年後、10年後では、現在の社会構造が、
大きく変わっている可能性は高くありません。

しかし、今から30年以上先の世界は、
社会構造が激変している可能性があるため、
未来予測する意味があるのです。

では、30年以上先の未来を、一体どのように
予測すればいいのでしょうか?

ここで思い出すのが、「歴史は繰り返す」
という言葉です。

しかし、苫米地さんは、この考えは誤りで、
未来を見誤る誤謬だと指摘します。

  「正確にいえば、歴史を生み出してきた
  社会や人間の行動理念が変わらないため、
  歴史が繰り返したように見えるのです。」

ですから、30年先の未来を予測をする場合も、
もっとも重要になるのは人間です。

人間から発せられるニーズやエゴ、
それが原動力になって動く政治や経済をもとに
社会構造の変化を読み解く必要があるのです。

 ・職場すら “電子化” される
 ・巨大資本による仮想通貨の流通
 ・国家という概念の消失
 ・サイバー独立国家の誕生
 ・ポストサイバー戦争はマインドハッキング
 ・「優先国民」という新種の奴隷の誕生

苫米地さんの予測は極端かもしれませんが、
実際にそうなったときにどうするかを
予めシミュレーションしておくことは
大切だと思います。

また「巻末提言」として、直近の未来では、
トランプ政権誕生後の国際情勢も予想。

苫米地さんは、未来学者、社会学者
ではありません。

この分野の専門家ではないからこそ、
逆に、ここまで大胆な予想ができた
ように思えます。

この本から何を活かすか?

「公務員はすべて人工知能になる」

苫米地さんが予測する究極は、
国家の運営では、内閣総理大臣と
検察庁長官と最高裁長官の3人以外は
すべて人工知能に置き換えられた状態。

しかし、その3人すら人工知能になり、
巨大な人工知能が国家を運営する時代が
やがてやってくる。

さすがに、そうなるのは2150年ぐらい
と予想しています。

2050年は、その過渡期にあたり、
公務員の仕事のうちルーティン色の
強いものから、人工知能に置き換わる。

あり得ないような未来の話を先に聞くと、
30年先の大胆予想は、普通に起こり得る
ように思えるのが不思議です。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2040年全ビジネスモデル消滅

満足度:★★★
付箋数:18

   「本書では、マクドナルドが日本にやってきた
  1971年を起点として、その後の時代を四半世紀
  (25年)ごとに区切り、1996年を日本社会の
  変化の節目ととらえ、83年に日本にやってきた
  ディズニーランドの隆盛とマクドナルドの
  業績低迷を、日本社会における “価値軸の変化” 
  に照らし合わせて検証するものです。
  私は長らく不動産関係の仕事をしてますが、
  実はマクドナルドの低迷とディズニーランドの
  隆盛は不動産に対する人々の価値観の変化にも
  密接に結びついていることがわかってきました。」

本書の著者、牧野知弘さんは、ボストン・
コンサルティング・グループを経て、
三井不動産に勤務していた不動産の専門家。

現在は独立して、ホテルや不動産の開発や
運用をする傍ら、事業顧問や講演活動なども
行っている方です。

著書では、2015年8月に刊行した
2020年マンション大崩壊』が大きな話題を
呼びました。

本書では、不動産に対する価値観の変化から、
マクドナルドやディズニーランドに代表される
ビジネスモデルが時代の変化に対して、
今後どうなっていくかを占います。

マクドナルドは、「量的充足」を目指すことで、
成功したビジネスモデルでした。

日本の高度成長期においては、1億総中流と
均質社会の象徴として発展しました。

また、バブル崩壊後も、デフレをも販売戦略に
積極的に取り込み、隆盛を極めました。

しかし、この成功は一時的なものでした。

日本の生産人口が下り坂になると、
マクドナルドのビジネスモデルは、
急速にコモディティ化して価値が崩壊します。

一方、ディズニーランドは「質的充足」を
目指した時代の先駆者でした。

1983年に日本に上陸したディズニーランドは、
バーチャルな夢の世界を作りあげ、
他では手に入らない、特別なサービスを
提供することで、現在のビジネスシーンを
牽引しています。

ディズニーランドは、客に媚びない価値を
創造し続けることで、デフレ下においても
3年連続で値上げを行いました。

しかし、現在、死角がないように見える
ディズニーランドのビジネスモデルも
やがて限界がやってきます。

  「ディズニーランドで、みんなが酔いしれた
  甘い夢にも “終わり” の時代がやってきます。
  2040年以降の日本に関する、
  いろいろな予測をみる限り、日本は人口も、
  年齢構成も、そして何よりも社会の
  激しい二極化が生じることが避けれれない
  時代に突入していきます。
  バーチャルな世界が織りなす価値観が
  現実世界では何ら富を生み出すものでは
  ないことに多くの人が気づきはじめるのです。」

牧野さんが、ディズニーランドに限界が
やってくると予測するのは、1%の超富裕層と
99%の貧困層で構成される超格差社会では、
「質的充足」のビジネスモデルですら、
存続不能だと考えるからです。

  第1章 マクドナルドが目指した「量的充足」
     社会の実現
  第2章 ディズニーランドがこだわる
     「質的充足」ビジネスの展開
  第3章 マクドナルドはなぜ行き詰ったのか
  第4章 ディズニーランドはなぜ三年連続で
     値上げできるのか
  第5章 マクドナルド型ビジネスモデルに見る
     今後の価値下落
  第6章 ディズニー型ビジネスモデルによる
     価値創造
  第7章 ディズニーの夢から醒めたとき

牧野さんが語る、過去の不動産市場の変化や
今後の展望はさすがと思える洞察があります。

しかし、その不動産市場から得られた示唆と
マクドナルドやディズニーランドの
ビジネスモデルの関連は、少し弱いように
感じました。

また、マクドナルドとディズニーランドは、
代表的なビジネスモデルではありますが、
これをもって「全ビジネスモデル消滅」
と言うのは、ちょっと乱暴な気がします。

この本から何を活かすか?

  「一方的に富を手にする、1パーセントの
  人たちがディズニーランド型ビジネスモデル
  においてやろうとしていることは、
  99パーセントの一般庶民に、相変わらず
  ディズニーランドの手法で魔法をかけ続けて、
  何の得にもならない “夢” を追い求めさせ
  続けることにあるからです。」

ずっと魔法にかかったままでいたい、
ディズニーフリークの人は、
本書を読まない方がいいかもしれません。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本につけるクスリ

満足度:★★★
付箋数:24

  「今回、一人の勇猛果敢な若者が私のもとを
  訪ねてくれた。彼の名は、安部敏樹。
  1987年生まれ、29歳の社会起業家だ。
  じつは、この “はじめに” の文章は対談が
  すべて終わってから書いているのだが、
  彼との対談はとても刺激的だった。
  団塊の世代同士とも、経済学者同士とも、
  政治家経験者同士ともまったく違う、
  エキサイティングな時間。
  いい議論をするのに年齢や立場は関係ない、
  とあらためて実感した対談でもあった。
  安部さんをご存じの方はまだ少ないかも
  しれない。だが、みなさんが10年後に
   “あいつが20代のころから知っていた” と
  友達に自慢できるような活躍をしている
  ことは間違いないだろうと思う。」

本書は竹中平蔵さんと安部敏樹さんの対談本。

竹中さんについては、ご存じの方も多い
はずですが、対談相手の安部さんについては、
知らない方も多いことでしょう。

私も本書で初めて安部さんの存在を知りました。

安部さんは、東京大学在学中に、社会問題の
現場を学ぶ旅行「スタディツアー」などを
提供する「リディラバ」を立ち上げた方。

その経験から、24歳のときに史上最年少で
東京大学教養学部にて授業を担当しました。

そもそも、なぜ安部さんが若いうちから
社会問題に興味を持ったかというと、
安部さん自身が社会問題だったからです。

中学のときには、母親をバットで殴って、
家を追い出され路上生活していた時期が
あったそうです。

高校に入っても、毎日コンビニの前で
タバコを吸ったりケンカをしていました。

高校3年のときにクラスメイトが立ち上げた
「ドラゴン桜プロジェクト」で猛勉強して、
奇跡的に東京大学に合格。

東大に入学してからは、普通の学生生活が
あまりに退屈だったため、マグロ漁師として、
毎年オーストラリアやギリシャへ行っていた
という変わり種です。

竹中さんと安部さんは、65歳と29歳という
親子ほどの年齢差があります。

また、高度成長もバブルも経験した
「逃げ切り世代」と、そのツケを払わされる
若い世代という立場の違いもあります。

本書は、そんな世代間のギャップを超えて、
「日本を変える具体的な方法」について
議論した本です。

安部さんは、社会問題が解決されない
一番の理由は「社会問題の現場と、
その問題に関わりがない人との距離が
縮まらないこと」と考えています。

この距離を縮めるためには、当事者でない人に
いかに振り向いてもらえるかがポイント。

そのためには越えなければならない
「3つの壁」があると指摘します。

 1. 関心の壁  関心を持つきっかけがない
 2. 情報の壁  関心を持っても情報が手に入らない
 3. 関与の壁  情報を手にしても実際に
       どう関わっていいかわからない

本書では、この3つの壁を越えて、
社会問題に無関心でいられなくなるような
熱い対談が繰り広げられています。

お二人が大事にしているのは、「そもそも論」を
理解したうえで、事実に基づいて議論すること。

「そもそも、税金とは?」を知らずして、
「消費税を増税すべきかどうか」について
議論しても表面的な話しかできません。

税金、格差、政治、地方自治、メディア、教育

本書では、この6つのテーマについて、
何が問題なのかを詳らかにして、
日本を変えるための処方箋を提示します。

お二人の意見は、大筋では一致しているものの、
細かい部分では違いがある点が、対談としては
読み応えを感じるところです。

この本から何を活かすか?

  「最後に、安部さんは非常に独特の
  キャラクターの方で、言いたいことが溢れて
  時折タメ口になることがあった。
  読者のみなさんは目くじらを立てず、
  寛容な心で読み進めていただければと思う。」

数々のバッシングを受けてきた竹中さん
ならではの、安部さんに対する配慮です。

しかし、本当に安部さんのことを思うなら、
文字になる前に指摘してあげた方が
本人のためには、良かったように思えます。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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国家は破綻する 「日本は例外」にはならない!

満足度★★★
付箋数:23

2016年の夏に、「International Economy」
という世界的な権威から意見を集めている
雑誌に藤巻健史さんは寄稿しました。

テーマは、「今、誰も予想していないが、
次の10年で起こりうるショッキングな出来事」。

藤巻さんが予想したのは、「日銀の倒産」です。

この10年、実際に誰も予想しなかったことが、
いろいろと起こりました。

最近ではトランプさんの米大統領就任が
ありましたし、英国のEU離脱もありました。

2016年に日銀が採用したマイナス金利政策も
その1つかもしれません。

しかし、今から20年以上前、マイナス金利政策
の導入を主張した人がいました。

それが、本書の著者、藤巻健史さんです。

  「私は将来、マイナス金利時代が来ることを
  予想するとともに、政策としての
  マイナス金利政策導入を唱えていました。
  当時は “奇人変人” 扱いをされていましたが。
  その十数年後、ECBがマイナス金利政策を
  導入し、日銀までも導入するようになって、
  私はやっと “奇人変人” から“ 普通の人” に
  戻してもらえたのです。」

さて、藤巻さんが「日銀の倒産」を予想
するのは、「異次元の質的量的緩和」を
行ったからです。

ちなみに、量的緩和はお金をジャブジャブに
するために法定準備預金以上に、
日銀当座預金に積ませようという政策。

「質的」とは、通貨量を供給するために、
10年債、30年債という長期国債の爆買いを
行っている状態を言います。

実は、一般の人から見ると違和感のある
マイナス金利政策は、学問上も実務上も
その効果が実証されている伝統的な金融政策
だと言います。

一方、「異次元の質的量的緩和」は、
学問的にも実務的にも効果が検証されておらず、
一度始めたら出口がない政策のようです。

  「日銀は “ルビコン川” ならぬ、 “三途の川” 
  を渡ってしまったのです。
  Xデーは先に延びましたが、衝撃はその分、
  非常に大きくなってしまうのです。
  私は今回起こるXデーは、明治維新、
  第2次世界大戦の敗戦に匹敵するぐらいの
  大激震だと思っています。
  それに対処し、生き延びるための基本中の
  基本は、 “事態を的確に理解しておくこと” 
  だと思います。」

日本の財政は、今のままではいずれ限界が
来るのか? それとも永遠に安泰なのか?

自分の生きているうちは大丈夫だと思って、
特に準備をしないのも1つの考え方です。

しかし、藤巻さんの言う「国家破綻」に
煽られなくとも、いざという時のために、
何かしらの準備をしておくことは賢明だと
思います。

藤巻さんは、自身がオオカミ少年ならぬ、
オオカミおじさん、あるいはオオカミ爺さん
という認識はあります。

それが分っていて、何十年も同じ主張を
繰り返しているのです。

個人的にはイソップ寓話のオオカミ少年は、
普段の伝え方に問題があったと思います。

いつも「狼が出た!」と言う代わりに、
「万一、狼が出た時のために備えましょう!」
と言っていれば聞く耳をもってくれた人も
いたはずです。

藤巻さんの本書の主張も言い方の問題で、
可能性の1つとして、いざという時の
準備のために読むのは十分アリだと思います。

また、藤巻さんの本はいつも内容は同じですが、
今回は、いつもより内容は濃かったと思います。

この本から何を活かすか?

  「日本は25年間経済を前進させられず、
  赤字を積み上げるだけだったため、
  日本が行っていることは実際のところ
  非常に危険だ」

これは、かつて藤巻さんの雇い主だった
ジョージ・ソロスさんの発言です。

藤巻さんも、ソロスさんに同意しています。

  「今、円は “避難通貨” という認識が
  市場で広がっていますが、二十数年間も
  経済が停滞して、危険な施策を打っている
  国の通貨が、避難通貨なわけがありません。
  暴落の危険があるとの認識を、
  私はソロス氏と共有します。」

私も個人的には円が避難通貨と思われて
いることには違和感があります。

しかし、論理的に考えてそうなるはずの
方向になかなか動かないのが、
マーケットの難しいところです。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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モテる構造: 男と女の社会学

満足度★★★
付箋数:24

タイトルは「モテる構造」となっていますが、
本書はモテ方のHow To 本ではありません。

あくまで一般論ですが、男性の場合は、
仕事が「できる」ことが、男性としての魅力に
結びつくことが多いとされています。

これに対して女性は、仕事が「できる」ことが、
女性としての魅力に結びつくことが少ないと
考えられます。

簡単に言うと、男性は「できる人がモテる」、
女性は「できること」と「モテること」が
関係ないことを意味します。

これは性別による非対称性を示す事例で、
男女の生き方に大きな違いをもたらしています。

極端な言い方をすれば、男性はズボンをはく
ことによって自分が男性であることを確認し、
女性はスカートをはくことによって、
自分が女であることを確認します。

多くの男性は、スカートをはいてみたいという
欲求を抱いても、変な男性と見られる不利益と
天秤にかけて、スカートをはかないことを
選択しているのです。

私たちの社会は昔に比べて男女差別が
少なくなったと言われていますが、
「男性はこのようにすべき」、
「女性はこのようにすべきではない」
という性別による社会的規範が存在します。

なぜ、このような価値観はなくならないのか?

その理由は、どういう相手を性愛の
対象として好きになるかという、
人間の「感情」が性別の「らしさ規範」と
強く結びついているから。

社会におけるジェンダー構造の違いは、
わたしたちの「感情」によって、
支えられているのです。

  「本書では、いままでジェンダー論の中で
  避けられてきた、男女に関わる非対称的な
   “感情” に焦点を当てる。それがどのような
  構造を持ち、どのように性別による規範を
  作りあげているかを、らしさ規範・
  性別役割規範・性愛規範の三種に分類して、
  分析する。さらに、性別による規範が、
  どのような効果もしくは性差別を社会に
  もたらしてるか、社会自体の構造が
  転換するなかで現在変化しているのかの
  解明を目指す。」

著者は、『「婚活」時代』、『希望格差社会』、
パラサイト・シングルの時代』など興味深い
切り口の本をこれまで執筆してきた社会学者の
山田昌弘さんです。

私たちが感覚的に持つ「できる男性はモテる」、
しかし「女性はできることと、モテることは別」
という構造が、どのように生じて、
実際の社会でどのような影響があるかを
様々な角度から社会学的に考察します。

結論を言ってしまうと、感情によって性愛対象
を選ぶ、選ばれるという構造がある以上、
男性らしさ・女性らしさの規範をなくす
ことは難しいようです。

それは、性別による生き難さの違いが
存在するということです。

男性は、常にできなければいけないという
プレッシャーに晒されることになります。

女性は、仕事でできることを追求しても、
性的魅力が増すわけではなく、逆に、
女性としてのアイデンティティを否定される
こともあります。

昔からある、「男と女、どちらが得か?」
という議論では、この「デキる・デキない」の
条件によって答えが違うということです。

近代のジェンダー構造では、男性が得なのは、
「デキる男性」の場合で、「デキない男性」は
損をしているように見えます。

女性は、仕事で活躍したい女性からすると、
男性に比べて損をしていると思いますし、
仕事ができなくても他の道があると見ると、
男性に比べて得と考えることもできます。

この本から何を活かすか?

本書では男女の性自認の形成や違いの観点
からも考察しています。

私がその中で面白いと思ったのは、
男性は「する性」、女性は「である性」
という考え方です。

女性は何もしなくても、女性であるという
性自認はなかなか揺るぎません。

一方、男性は男性であることを証明するために、
様々な男性らしいことを「すること」を
要求されるという考えです。

こうした男性のアイデンティティの
不安定さが、「男性は弱い」と言われる
所以なのかもしれません。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:11 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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