活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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10年後の仕事図鑑

満足度★★★
付箋数:21

  「あなたが落ち込んでいるならば、
  あなたは過去に生きている。
  不安でいるならば、未来に生きている。
  でも心が穏やかならば、今を生きている。」

これは中国の賢人・老子の言葉です。

本書の冒頭で、堀江貴文さんは同じような
ことを言っています。

  「僕は、未来のことを考えるのが嫌いだ。
  未来を想像したところで、その通りに実現
  することなんてありえない。
  未来を想像して怯えるなんて暇人の
  やることだし、今を懸命に生きることが
  大事だと思っている。」

なぜ、こんなことを堀江さんが言っている
のかというと、AI(人工知能)の発達で
「AIに仕事が奪われる」という不安の声が
聞こえてくるからです。

本書は、新たに始まる時代でどう生きるか
について、堀江貴文さんと落合陽一さんが
交互に語った本です。

朋友であるお二人が何度も対談を重ねて
作られた本ですが、対談形式ではありません。

堀江さんがいつものように、周りを気にせず、
ぶっちゃけているので、それに触発された
落合さんも、ずいぶん本音を言ってしまった
印象があります。

いい意味で「本音の本音」が語られてる
本だと言えます。

お二人は次のように言います。

AIに仕事を奪われると思っている時点で、
「搾取される側」になっていると。

仕事を奪われて、価値を失うことを
恐れる前に、AIを使いこなし、
「価値を生み出す側」の視点を持てと。

お二人は「搾取する側になれ」とまでは
言わないまでも、AIの時代は「古代ローマ」
に似ているとも言います。

古代ローマには奴隷制度がありました。

ローマの市民クラスは、その奴隷に労働させ、
自分たちは豊かな暮らしをしていました。

生きるために働く必要がなく、学問や芸術など、
自分が興味を持つことに、存分に自分の時間を
使うことができたのです。

AIが、古代ローマの奴隷の役割を果たします。

つまり、私たちはAIを使いこなしさえすれば、
ローマ市民のように豊かに暮らすことが
できるようになるのです。

また、堀江さんは「なくなる仕事リスト」
なんて、血液型占いくらいの精度しかない
とも言っています。

1年後だってどうなるかわからないのに、
10年後の未来を想像することは、
まったく何の意味もないことなのです。

そんなことは「暇人のやること」とまで、
言っていますが、なぜか本書では、
10年後の職業の未来をイラスト入りで、
解説しています。

10年後に「なくなる仕事」、「変わる仕事」、
「生まれる仕事」、「伸びる仕事」を
かなりのページを割いて紹介しています。

発言内容と矛盾する部分がありますが、
そこは口述筆記の「ノリと勢い」で、
本書を作ったからでしょう。

個人的には、逆に、あまり深く考えて、
言葉を選んで語られていない点が
本書の一番の魅力だと思います。

  Chapter0 激動の時代を生きるあなたへ
  Chapter1 すべてが逆転するこれからの働き方
  Chapter2 なくなる仕事・変わる仕事
  Chapter3 生まれる仕事・伸びる仕事
  Chapter4 お金の未来
  Chapter5 日本の幸福と社会について
  Chapter6 ピュアな情熱に導かれた
      “自分の人生”を生きよ

この本から何を活かすか?

私が本書で注目したのは、中国の信用評価の
システム、芝麻信用(セサミ・クレジット)が
紹介されていたことです。

これは、中国のIT企業・阿里巴巴(アリババ)が
運営する電子マネー「支付宝(アリペイ)」を
利用する上で活用する、使用者の信用度を
数値で算出するサービスです。

信用度を表すスコアが高いと、融資の審査が
すぐに通ったり、部屋を借りる時の敷金が
「なし」になったりするようです。

この評価システムで信用度が可視化され、
社会全体が最適化できると、堀江さんは言います。

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| 社会・国家・国際情勢 | 12:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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分断した世界 逆転するグローバリズムの行方

満足度★★★★
付箋数:24

オトバンクの上田さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

高城剛さんと言えば、世間一般では、
まだまだ「沢尻エリカさんの元夫」という
イメージが強いと思います。

高城さんって、「一体、何をしている人?」と
思っている人も少なくないはずです。

本書は、高城さんに対してそんな印象しか
持っていない人には、是非、読んで欲しい本です。

きっと、見る目が変わることでしょう。

また、過去に高城さんの著書を読んだことの
ある人は、その突き抜けた発想に、
荒唐無稽な印象を抱いたかもしれません。

しかし、やはり本書を読むと、良い意味で、
期待を裏切られると思います。

高城さんのファンである私も、正直、
「こんな緻密なルポルタージュを書くのか?!」
と驚きました。

本書は、高城さんが立てた「ある仮説」を
検証するために書かれた本です。

高城さんは、その仮説の検証のために、
歴史を振返りながら、およそ1年半かけて
世界中を回りました。

そして、市井の人たちから、
政治家まで話を聞き、今何が起きていて、
これから何が起こるのかを考察しました。

では、高城さんは、どんな仮説を検証しようと
したのでしょうか?

それは、次のような仮説です。

  「世界最古の金融バブルと言われるオランダの
  チューリップバブルから最近の仮想通貨まで、
  人類史におけるバブルとその破綻は
   “情報の爆発” によって引き起こされると、
  僕は考えている。
  あるとき、 “魔法の機械” を手にした日から、
  人々はまったく知らない世界の情報を簡単に
  手にするようになり、どこからともなく
  欲が湧き、悪巧みを考える。
  どうにか、ひと儲けできないか。
  こうして、バブルが巻き起こり、
  いずれそれが崩壊するのは、歴史の教えだ。」

直近では、2000年に崩壊したインターネット
バブルや、その後に起こったサブプライム問題
が記憶に新しいところです。

そして、高城さんは、今後起こるであろう
バブルの崩壊について警告します。

  「現在、まだわれわれは、スマートフォンと
  高速ワイヤレス回線によるバブル崩壊を
  迎えていない。」

高城さんは、新しい「魔法の機械」である
スマホを手に入れ、欲に駆られた人類は、
「情報の爆発」によって、再びバブル崩壊を
迎えると予想します。

その仮説が、本当に起ころうとしているのか、
あるいはどこまで状況は進んでいるのかを
自分の目で確かめるために、高城さんは
世界の端から端まで時間をかけて回りました。

そこで実感したのは、グローバリゼーションの
逆転現象であり、世界は「分断」の方向に
進んでいるという事実でした。

その象徴的な出来事が、米トランプ大統領の
就任や、イギリスのEU離脱です。

 ・レーガンは「統一」だったが、トランプは
 「分断」した “強いアメリカ” 復活を目指す
 ・トランプ旋風は21世紀の “百姓一揆” なのか
 ・イギリスはEUと無事に “離婚” できるのか?
 ・低迷が続くイタリアは、日本に酷似している
 ・メルケル失墜。ドイツは極右政党AfDが第三党に

グローバリゼーションの反動で世界中で起こる
「分断」の兆候を、実際に現地に行って取材し、
1つ1つ事実を積み上げ、その本質に迫ります。

世界が今後どこに向かていくのか、
データを見て理論で考えられる学者はいても、
高城さんのように、自分の目で見た実感を込めて
レポートできる人は滅多にいません。

そういった意味で、本書は世界の流れを掴む
ための貴重な一冊だと思います。

ちなみに、高城さんは、前編と後編の2冊に
分けて執筆しており、本書は前編に当たります。

前編では、世界がひとつになった1989年から、
2019年までを「分断」という視点で検証します。

今後、刊行される予定の後編は、2020年から
2049年までの世界が、今起こっている分断から
「再びひとつとなる」予測を書いているようです。

後編の刊行にも期待が高まります。

この本から何を活かすか?

高城さんは、この20年ほどアフリカの
エチオピアを定期的に訪れているそうです。

そこで、どのような変化が起こっているのか?

かつては、写真を撮影しているだけで、
大人も子供も珍しがって寄ってきたそうです。

しかし、2017年10月の訪問では、
水も電気もない村の多くの人たちが、
スマホや携帯を持っていたそうです。

ちなみに、充電は近隣の電気がある村まで
出向くとか。

そして、高城さんが撮影しようとすると、
「ひとりにつき5ブル(25円)払え」と請求し、
子供を写すなら、更にその倍払えと迫って
きたそうです。

こんなことから、ITとグローバリゼーション、
そして資本主義が世界の隅々まで行き渡ったと
高城さんは実感しました。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論

満足度★★★★
付箋数:25

次の各国の数字は、何を表したものか
わかりますか?

ドイツ1052万人、イタリア504万人、
スペイン323万人、日本は4101万人。

実はこれ、2060年までに「人口減少」する
予測値です。

他の先進国に比べて日本の数値が、
突出していることがわかります。

人口減少は、日本に劇的な変化をもたらします。

その変化を何もせずに受け入れてしまっては、
日本に残る道は衰退しかありません。

なぜなら、人口が減っても、高齢者の数は
あまり減らないので、1人当りの医療費の負担が
重くのしかかってくるからです。

また、日本はGDPの2倍以上の借金があるので、
人口減少によって、経済が縮小してしまうと、
首が回らなくなってしまうのです。

では、日本は人口減少を、座して死を待つ
ことしかできないのでしょうか?

本書の著者、デービッド・アトキンソンさんは、
人口減少を補う唯一方法は、「生産性」の向上
だと説きます。

ちなみに、ここで言う生産性とは、
「1人あたりのGDP」のことを指します。

  「今までの働き方、すなわち1人あたりの生産性、
  1時間あたりの生産性を変えずに経済を維持
  しようとすると、桁外れの移民を受け入れないと
  いけません。日本人労働者だけでなんとか
  しようとすると、現実的ではない長時間労働が
  必要になります。生産性を固定する以上、
  どうやっても計算が合わないのです。
  やはり人口減少の規模が大きすぎて、生産性を
  向上させる以外の解決策は考えられません。」

本書は、日本の生産性を、いかに向上させるか
について論じた本です。

アトキンソンさんにとっては9冊目の著書で、
17万部超のベストセラーになっている、
「新・◯◯論」シリーズの第3弾です。

  第1弾:『新・観光立国論
  第2弾:『新・所得倍増論

日本の生産性の低さは、以前から指摘されて
いるところです。

一般的にその理由は、日本では質の高い商品や
きめ細やかなサービスを提供している割に、
価格が抑えられているからと認識されています。

つまり「高品質・低価格」であり、
それは日本人の「美徳」であるとする考えです。

しかし、アトキンソンさんは、
「高品質・低価格」は単に生産性の低さを
ごまかすための「屁理屈」と一刀両断。

「高品質・低価格」は、人口増加社会でしか
通用せず、これを続けていると労働者の
「地獄」を生み出す。

そして、日本の生産性が低いのは、
労働者ではなく、経営者に原因があると
指摘します。

  「世界に誇れる優秀な労働者がいるにも
  かかわらず、この体たらくはいったい
  どういうことなのでしょう。
  この体たらくを招いた責任は、ひとえに
  日本の経営者にあります。彼らの無能っぷりは、
  もはや奇跡的としか言いようがありません。」

本書でも、歯に衣着せぬアトキンソンさん
らしい痛快な言い回しが、炸裂しています。

では、日本が生き残っていくために、
どのようにして生産性を上げていけば
いいのでしょうか?

アトキンソンさんは、まず国がすべきこと
として、3つの政策を挙げます。

  1. 企業数の削減
  2. 最低賃金の段階的な引き上げ
  3. 女性の活躍

次に、企業の生産性を上げるためには、
あらためて言うまでもない常識としながらも、
次の5つを挙げています。

  1. 設備投資を含めた資本の増強
  2. 技術革新
  3. 労働者のスキルアップ
  4. 新規参入
  5. 競争

そして、アトキンソンさんは、
日本人は、世界でもっともお金にうるさく
ならなければいけないと、つけ加えます。

今回も、日本人が持っている誤解を
次々と指摘し、論理的に畳み掛けてきます。

読後は、もう本書で言われている通りに
やるしか道はない、と思ってしまうほどの
勢いがあります。

この本から何を活かすか?

よくある誤解が、生産性と効率性の混同です。

誰も求めていない商品を「効率よく」つくる
ことは可能です。

しかし、売れない以上、売上がないので、
付加価値はゼロ、つまり生産性はありません。

生産性のないものを、アトキンソンさんは、
「無駄」と呼んでいます。

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| 社会・国家・国際情勢 | 05:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ

満足度★★★
付箋数:23

オトバンクの上田さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

思ったことをすぐ口にする、米トランプ大統領。

彼の怒りに触れ、罵詈雑言を浴びせられた人は、
米国内、国外を問わず、数えられないほどいます。

そんなトランプさんが、外国の指導者の中で、
唯一「非常に聡明」と称賛し、
罵倒しなかったのは誰でしょうか?

それは、ロシア大統領のプーチンさんです。

  「トランプがあれほどまで、あるいは、
  あれほど頻繁に称賛した外国の指導者は
  ほかにいない。そして、彼のプーチンに対する
  恭順の姿勢は大統領就任後も続くことになる。」

本書は、今アメリカを揺るがしている、
ロシア疑惑、所謂「ロシアゲート」の
真相に迫る本です。

これは、2016年アメリカ合衆国大統領選挙に
おけるロシアの干渉問題のことです。

ロシアは、米大統領選挙でトランプさんを
勝利させるために、サイバー攻撃やSNSを使って、
世論工作や選挙干渉をしたのではないか
という疑惑です。

トランプさんには、政権内部にも敵が多いので、
リークされることを最も警戒していますね。

ロシアゲートの争点は、ロシアの選挙介入は、
トランプ陣営が関与していたかどうか。

そして、この件の調査を行っていた、
FBI前長官ジェームズ・コミーさんの解任は、
操作妨害にあたるか否かです。

  「2016年の騒がしい日々、スティールが依頼
  されていた秘密の調査は、まさにマトリョーシカ
  のようだった。このロシア人形のように、
  最後に真実が現れるまで隠れた秘密を1つ1つ
  引っ張り出し、ドナルド・J・トランプに関わる
  ロシア政府の機密中の機密を暴くという
  危険な仕事である。調査結果はアメリカの
  諜報コミッティーを揺るがし、リチャード・
  ニクソン大統領とウォーターゲート事件の
  暗黒時代以降、類を見ない政治的な激震を
  引き起こすことになる。」

ここで登場するスティールさんとは、
トランプさんとロシアの関係について
情報を入手し、文書を作成したとされる、
英国情報機関MI6の元職員です。

本書は、このスティールさんとの接触から始め、
ロシアとアメリカで細かい取材を重ね、
疑惑の真相を解明していきます。

著者は、英ガーディアン紙海外特派員で、
作家のルーク・ハーディングさんです。

ガーディアン紙では、モスクワ支局長を
務めていたので、ロシアに独自の
ネットワークを持っている方です。

地道に取材を重ねたハーディングさんは、
ロシアがトランプに目をつけたのは、
2016年の米大統領選挙のかなり前から
であったことを知ります。

それは、なんと冷戦のさなか、
1980年代だったといいますから驚きです。

私たちにとってみると、トランプさんの
大統領就任は、降って湧いた出来事でしたが、
実は、ロシアが何十年も時間をかけて、
用意周到に準備したことだったのです。

そして本書では、ロシアからの資金の流れを
追いながら、癒着と共謀の実態を一歩ずつ
明らかにしていきます。

ロシアゲートの今後の展開は、まだ目が離せない
ところですが、本書は、ジャーナリスト魂で、
丹念に足を使って書いた400ページ超の力作。

複雑な人間関係がありますが、冒頭で本書に
登場する人物の写真付き解説が6ページ渡って
掲載されているので、理解を助けてくれます。

ちなみに、スティールさんの35ページの
報告書は、ネットで公開されています。

この本から何を活かすか?

私が本書を読んで思ったのは、やはり政治家は、
迂闊にツィートしてはいけないということ。

トランプさんは、何かにつけてツィートします。

ハーディングさんは、トランプさんのツィートを
手掛かりして、取材に当たりをつけています。

ツイッターは、その瞬間の出来事や感情を
切り取って投稿するもの。

しかし、それを後からつなぎ合わせると、
意外な事実が浮かび上がることもあるので、
政治家は注意しなければなりませんね。

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| 社会・国家・国際情勢 | 05:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか

満足度★★★
付箋数:24

オトバンクの上田さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

2016年9月末、ジャーナリストの布施祐仁さんは、
自衛隊が南スーダンの国連平和維持活動(PKO)
に参加している活動記録、「日報」についての
情報公開請求を行いました。

その決定通知書が防衛省から布施さんの元に
届いたのが同年12月9日のことでした。

  「決定通知書には、想像もしていない結果が
  書かれていた。結論は、私が開示請求した
   “南スーダン派遣施設隊が現地時間で2016年
  7月7日から12日までに作成した日報” は
   “開示しないことと決定した” というもので
  あった。文書の大部分が黒塗りされる
   “海苔弁” は覚悟していたが、全面不開示は
  予測していなかった。さらにまったく想定外
  だったのは、不開示の理由である。」

防衛省からの行政文書不開示決定通知書には、
次のように記されていました。

  「本件開示請求に係る行政文書について
  存否を確認した結果、既に廃棄しており、
  保有していなかったことから、文書不存在
  につき不開示としました」

布施さんは、この理由を読んで、
驚きとともに、大きな憤りを感じましたが、
しかし、頭は冷静に回転していました。

  「え? 破棄? 直感的に、 “あり得ない”
  と思った。海外派遣という実任務の貴重な
  一次資料であり、陸自の国際活動教育隊で
   “主要教訓資料源” として活用されている
  ような自衛隊にとっても重要な日報が、
  半年も経たずに廃棄され、防衛省に存在
  しないなんて、常識的に言って考えられない。
  しかも、陸自の文書管理規則では、
  PKO関連文書の標準保存期間は三年と
  定められている。それを数ヶ月で廃棄すると
  いうのは、違法じゃないのか。それに、
  こんなに短期間で廃棄されてしまったら、
  国民は自衛隊のPKO活動について何も検証
  できないのではないか。」

布施さんは、結局、すべてが「ウソ」
なんじゃないかと考えたのです。

この陸上自衛隊PKO日報問題の顛末は、
既に多くのメディアで報道されたとおり、
廃棄したと言っていた日報が保管されていた
ことが明らかになりました。

結果として、安倍晋三首相が「将来の首相候補」
として守り続けてきた、稲田朋美防衛大臣は
引責辞任に追い込まれました。

そして、防衛省の不祥事を調査する
防衛監査本部は、南スーダンのPKOの
日報隠蔽疑惑について、防衛省・自衛隊の
幹部らが組織ぐるみで隠蔽に関与していた
とする監査結果を公表しました。

最終的に防衛省・自衛隊の最高幹部3人が
辞任するという前代未聞の事態に発展しました。

本書は、この「日報隠蔽問題」の内実に迫る
ノンフィクションです。

布施さんと、本書を共著しているのは、
朝日新聞記者で当時南アフリカ特派員だった
三浦英之さんです。

三浦さんは、「日報隠蔽問題」の舞台となった
南スーダンの真の姿をリポート。

首都ジャバで三浦さんが目撃したのは、
あまりに衝撃的な自衛隊宿営地の姿でした。

三浦さんは、南スーダンの反大統領勢力の
戦闘員が立てこもったという建物の7階テラス
から宿営地を見下ろしました。

  「目の前に広がったのは宿営地の全景。
  (中略)自衛隊員が車に乗り込んだり、
  会話をしながら道を歩いたりしているのが
  肉眼でもはっきりと見える。狙撃銃なら
  簡単に隊員の命を狙える距離だし、
  肩掛け式のロケットランチャーを
  撃ち込まれれば、間違いなく多数の死傷者が
  出ただろう。」

このような状況であるにも関わらず、
「ジュバは安定しており、武力紛争は新たに
生じておらず、紛争当事者がいるわけではない」
として、PKO活動継続を行っていました。

本書は、二人の気鋭ジャーナリストが
「日報隠蔽問題」の内側と現地から挑む、
非常に優れた調査報道ノンフィクションです。

この本から何を活かすか?

本書で考えさせられるのは、
「情報公開」の重要性です。

メディアが報道する情報を鵜呑みにせず、
私たちは、もっと情報公開制度を利用すべき
ということです。

ただし、そもそも、その文書があることを
知らなければ公開請求できないことが、
大きな課題です。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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