活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

満足度★★★★★
付箋数:28

ダイヤモンド社の小川さんから献本頂きました。
ありがとうございます。

非常に内容が濃く、私が今年読んだ本の中では、
本書は最も収穫があった本かもしれません。

今、ビジネスの世界は、かつてない程の
大きな転換期を迎えています。

ビジネスの中心は「製品からサービスへ」、
「所有から利用へ」移行しつつあります。

モノづくりが得意だった日本企業は、
果たして、この大きな変革についていけるのか?

一部、対応している企業もありますが、
海外の企業に比べると動きが悪いように感じます。

韓国の現代自動車の例を見てみましょう。

新しいハイブリッドカー「アイオニック」に
乗りたければ、月額275ドルの利用料を払えば
乗ることができます。

わざわざクルマを所有しなくてもいい。

ネットでモデルを選び、2年か3年かの
プランを選び、オプションを選択したら、
販売店に行くと、そのままクルマに乗って
帰ることができます。

携帯電話のプランを選ぶような手軽さです。

このサービスは、今までの「リース」と
一体何が違うのでしょうか?

リースは利用者を特定のクルマに縛りますが、
このサービスでは様々な車種に乗ることが
できます。

クルマを所有しないので、登録や保守も
自分で気にしなくていいし、保険も自分で入る
必要がありません。

このように製品を販売するのではなく、
サービスを提供して定期収益を得るタイプの
ビジネスを「サブスクリプション」と呼びます。

新聞などの定期購読で使われている
古くからあるビジネスモデルです。

しかし、デジタル革命などによって、
従来できなかったものまでが、
サブスクリプション化が可能になりました。

サブスクリプションは、単なる月額課金の
ビジネスモデルではありません。

常に変化する顧客のニーズやウォンツに
柔軟に対応し、長期的な関係を作るための
ビジネスモデルです。

ところで、これまであったすべての製品は
サブスクリプション化できるのでしょうか?

  「サブスクリプション化できないものはない。
  なぜなのか種明かししよう。
  製品が提供するサービスのレベルについて
  契約すればよいのである。それはすべてに
  応用できる方法だ。冷蔵庫を提供するのでは
  なく、新鮮で冷たい食品の提供を保証する。」

製品を売らずに、結果を売るのがポイント。

これは「ドリルを売るには穴を売れ」という
マーケティングの考えに通じます。

本書は、急成長を遂げるサブスクリプション
ビジネスの仕組みを詳しく解説し、
サブスクリプションへのビジネス転換
までをアドバイスする本です。

著者は、サブスクリプション界の第一人者、
ティエン・ツォさん。

元セールスフォース・ドットコムのCMOで、
Zuora(ズオラ)の創業者兼CEO。

Zuoraは、まさにサブスクリプションへの
ビジネスモデル変革と収益向上の支援する
世界的な企業です。

ツォさんは、セールスフォースやZuoraでの
経験を惜しみなく披露しています。

ここまでサブスクリプションについて、
的確かつ詳細に書いている本は他にありません。

サブスクリプション企業は急成長を遂げます。

なぜなら、サブスクリプション企業は
顧客1人1人の全貌を把握した上で
ビジネスを行っているから。

サブスクリプションへ移行した企業は、
アドビ、ネットフリックス、コマツ、
フェンダー、ニューヨークタイムズなどが
挙げられています。

しかし、こられの企業は本格的な
サブスクリプション・エコノミー到来の
序章に過ぎません。

本書は、サブスクリプションについて
あまり明るくない方から、ある程度知っている
方まで、満足できる本だと思います。

なんとなく、「月額課金モデル」程度の
認識しかない方は、ビジネスモデルの
大変革を知る上で、必読書だと言えます。

この本から何を活かすか?

サブスクリプション・ベースの企業は、
S&P500企業の8倍、米国の小売売上の5倍の
スピードで成長していることが、
本書の巻末資料で示されています。

これは、Zuoraが持つ顧客データ5年分を
インデックス化したものです。

今後サブスクリプション企業への投資を
検討する際にも有益な情報だと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 経営・戦略 | 07:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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こうして店は潰れた: 地域土着スーパー「やまと」の教訓

満足度★★★
付箋数:21

著者の小林久さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

  「私は経営者として失格だった。
  100年以上続いた家業を倒産させ、180名にも
  上る従業員を解雇して路頭に迷わせた。
  金融機関や関係者、長年の取引業者に迷惑を
  かけ、何よりやまとを頼みに生活している
  地域のお客様、とりわけ高齢者から買い物の
  手段を奪ってしまった。
  いまさらながら本当に申し訳なく思っている。」

1912年に韮崎市で創業したスーパーマーケット
チェーンの「やまと」。

この老舗スーパーは、2017年12月6日に、
その歴史に幕を下ろし、山梨県内に展開する
9店舗全店を閉鎖することとなりました。

本書は「やまと」元社長、小林久さんによる、
倒産のドキュメンタリーです。

「やまと」倒産の発表を受け、山梨県民から
「なくなると困る」、「今後の買物はどうする?」、
「ヴァンフォーレがJ2降格ぐらい山梨にとって
重大な出来事やん」などの声が寄せられました。

「やまと」は地元から愛されていました。

業界でも先んじて移動販売車を走らせて
「買物難民」を救済し、山梨県内のスーパーでは、
いち早く「ノーレジ袋」を推進しました。

また、ホームレスを雇用し、街の明かりを
消さないため、シャッター通りになった
中心商店街にあえて出店するなどしていました。

三代目社長の小林さん自身は、若くして山梨県の
教育委員長を務め、また「やまとマン」という
愛称で、弱い者を助け、地域住民から愛されて
いました。

そんな多くのファンを持つ、地域土着型スーパーの
「やまと」は、いかにして潰れたのか?

当事者である小林さんが、本書で赤裸々に、
その真相を語っています。

  「社長、今日納品予定の商品が入ってきません。
  業者に確かめたら、発注のシステムエラーが
  原因だそうです。いつ復旧するかわからないと
  言っています!」

  「おいおい、冗談じゃやない!
  商品が入っけこなければ商売ができないじゃ
  ないか。こんな大事な時期に大会社の
  コンピュータが故障なんて本当か?」

始まりは、クリスマス商戦に入る直前の、
このような会話からでした。

すぐに別の店舗からも連絡が入りました。

  「社長、魚問屋からも納品がありません。
  これではケースが空っぽになってしまいます!」

  「米問屋が売場から商品を引き上げています」

これまでも厳しい経営状況が続いていたので、
「やまとがヤバイ」という噂は、
巷ではよく上がっていました。

実は、この年「やまと」は、金融機関の
協力の下、加えて取引業者の支払いサイト
延長の協力などもあり、4年ぶりに経営黒字が
見込まれていたのです。

しかし、ちょっと今回は状況がおかしく、
今までとは違うと、小林さんは本能的に
感じ取っていました。

一度広がった信用不安は、噂が噂を呼び、
更に広がり、元に戻ることはありませんでした。

小林さんは、親しく付き合っていた取引先の
社長3人からのアドバイスも受け、
納入業者の連鎖倒産を避けるために、
体力のある内に、全店閉店を決断しました。

  「資産も人脈もノウハウもない田舎の
  スーパーマーケットが、巨大資本や地元の
  大企業と戦ってきた。勝てるはずのない
  戦いと知りつつも命を削り、知恵を絞って
  つないできた。
  経営者としては失格だった私が、もう二度と
  戻ることのない業界へ “遺言” を記して
  おこうと決めた。そして、私ができなかった
  地域への恩返しを、読んでいただいた誰かに、
  同じ過ちを繰り返すことのないように託したい
  と思った。」

正しいことを行っていても、残念ながら
それだけではビジネスは立ち行かなくなる。

小林さんの地域へ貢献したいという想いは、
非常に共感できます。

しかし、それだけでは中小企業が生き残って
いけないという厳しい現実がありました。

本書は、多くの中小企業には「教訓」となる
学ぶべきことが詰め込まれています。

この本から何を活かすか?

株式会社やまとは、ヴァンフォーレ甲府の
公式スポンサーの1つでした。

やまとは売上の5%をチームの強化費に
当てる「ヴァンフォーレ甲府応援どんぶり」
を298円で販売していました。

対戦相手にちなんだ17種類もの弁当を
販売していたようですが、これもなくなり、
地元の方にとっては寂しい限りですね。

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| 経営・戦略 | 06:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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すいません、ほぼ日の経営。

満足度★★★★
付箋数:24

日経BPの日野さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

  「この本、 “すいません経営” と
  略されるのだろうか。

  最初にお断りしておきますが、
  この本のタイトルに “すいません” と
  入っているのは、ぼくのせいです。
  もともと、いろんなタイトル候補が
  あったのだけれど、ここはストレートに
   “ほぼ日の経営” としようではないか、
  ということに話がまとまりかけて
  いたのです。
  ただ、やっぱり、ぼくには “これがほぼ日の
  経営だ” と大上段から言えるようなものじゃ
  ないという気持ちがあったのです。」

最初にこの本のタイトルを見たときに、
「何で、 “すいません” なんだろう?」
と思いました。

そう思わせておきながら、どことなく
糸井重里さんっぽい感じがします。

糸井さんは、1980年代には西武百貨店の
「不思議、大好き。」や「おいしい生活」
などの名キャッチコピー生み出し、
「コピーライター・ブーム」の火付け役
となった方です。

そんな糸井さんが1998年から始めたのが、
Webサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」でした。

このサイトのオリジナル商品として
2002年から販売開始されたのが、
今や日本を代表する手帳に成長した
「ほぼ日手帳」です。

この手帳の販売意外にもクリエイティブな
活動を行ってきた、糸井重里事務所は
社名を「株式会社ほぼ日」に変更し、
2017年3月にジャスダックに上場しました。

  「ほぼ日は、どこに向かうのだろうか―。

  そんな素朴な疑問から、糸井さんに取材を
  申し込み、本書は始まった。
  私はこれまでにもいろいろな経営者に
  インタビューを重ねてきた。その経験から
  言えば、クリエイティブな視点を持った
  経営者はそれなりにいて、成功を収めて
  いる人も多い。
  一方で、クリエーター出身で企業経営に
  向き合おうとしている ― 言い換えれば、
  経営者の道を極めようとするクリエーター
  は、実はとても少ない。」

本書は、ほぼ日社長の糸井重里さんへの
インタビューをまとめたもの。

インタビュアーとして聞き手を務めるのは、
伊藤忠ファッションシステム取締役で、
ジャーナリストとしても長年活躍している
川島蓉子さんです。

  ・なぜ、糸井さんは上場を目指したのか?
  ・どのように事業を進めているのか?
  ・どのように人は働いているのか?
  ・ほぼ日は、どのような組織なのか?
  ・社長として糸井さんは何を目指すのか?

川島さんは、私たちが糸井さんとほぼ日に
関して、本当に聞きたかったことを
非常に丁寧に聞いてくれています。

そこでわかったのが、糸井さんが正面から
会社の経営に取り組んでいるということ。

しかし、そこには古くからあるけれど
新しい経営の形が見えてきました。

それは社会的責任を追いながらも、
「スペック」や「情熱」による競争は避け、
クリエイティブにこだわった経営姿勢。

  「大事にしてきたのは、ピーター・ドラッカー
  の “企業の目的は顧客の創造である” という
  姿勢であり、人々がよろこんでくれるものを
  新しく生み出すこと。人をよろこばせる
  ことを実現して稼ぐことで、市場の創造に
  つなげる。そんな循環を目指している。」

私も多くの経営者が語る本を読んできましたが、
やはり糸井さんの考えはユニークです。

成熟した社会において、企業が目指すべき
一つの理想の姿とも考えられるので、
かなり興味深いインタビュー内容でした。

ほぼ日ファンの方はもちろんですが、
それ以外の方にも、読んで欲しい本です。

この本から何を活かすか?

腕一本でフリーの職人としてやってきた
糸井重里さんが、チームで仕事をするようになり、
その会社は今では上場を果たしました。

それは次のような思いに至ったからです。

  「50歳になるのを目前にして、すいぶん晩熟
  だったとおもいますが、 “職人” のままで
  やっていくことに限界を感じはじめました。
  アイディアとか企画というようなものを
  考えたり、文章を考えたりするプレーヤー
  としての仕事も、それを実現したり伝えたり
  するための “場(メディア)” があって
  はじめて完成するものである、と。」

そのクリエーターが活躍できる「場」こそが
「ほぼ日」なのです。

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| 経営・戦略 | 06:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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amazon 世界最先端の戦略がわかる

満足度★★★★
付箋数:29

  「私たちは、もはやだれもアマゾンと無関係に
  暮らすことはできない。こう言ったら、
  言い過ぎだと思われるだろうか。しかし、
   “自分はアマゾンでは買い物をしない” という
  人も関係はない。サービスを直接利用する
  しないにかかわらず、社会のあちこちに確実に
  浸透しているからだ。

  アマゾンが秘密主義なのは有名な話である。
  誰にとっても、これほど身近になりながら、
  アマゾンはその全貌をつかませない。
  だからこそ、私たちはこの “帝国” アマゾンを
  知る必要がある。

  アマゾンのビジネスは、経営学の革命だと
  断言できる。10年後には、経営学の教科書に
  載るような、エポックメイキングな存在である。
   “ネットとリアルの境界” をなくした最初の
  存在として、未来に残り続けていくだろう。」

成毛眞さんの話は、ハッキリ言って極端です。

だからこそ、本当に凄いものを「物凄い」
と語らせると、天下一品。

本書でも、アマゾンの凄さが際立って
伝わります。

先月紹介したスコット・ギャロウェイさんの
the four GAFA 四騎士が創り変えた世界
では、地上を支配する現代の四騎士の1人として、
アマゾンはグーグル、アップル、フェイスブック
と同列で紹介されていました。

しかし、本書を読む限りでは、他の三騎士を
圧倒して、地上がアマゾンだけに支配されそうな
錯覚に陥ってしまいます。

私も、過去にアマゾンの強さを語る本は
何冊も読んでいますから、本書で紹介されている
「秘密」は、知っていることがいくつもあります。

しかし、それを成毛さんに語られると、
改めてアマゾンの凄さを思い知りました。

  「アマゾンは、顧客の望みを叶えるために、
  テクノロジーでインフラを整えてきた。
  いまや、AI、自動運転、顔認証や翻訳システム
  にまで投資している。アマゾンの投資先を
  知れば、この先の世界がわかるといってもいい。
  繰り返すが、アマゾンは “帝国” を築きつつある。
  そして、アマゾンの今を知ることは、ビジネスの
  最先端を知ることであり、未来の社会を知ること
  と同義なのだ。」

本書で語られるアマゾンの強さの1つに、
CCCがマイナスという「魔法」があります。

CCCとはキャッシュ・コンバージョン・サイクル
の略で、仕入れた商品を販売して、何日で
現金化できるかを示した指標です。

一般的な小売業では、CCCはプラス10~20日。

しかし、アマゾンのCCCはマイナス28.5日です。

これは物を売る約30日前に手元に現金が
入っていることを意味します。

  「アマゾンは売上が伸びれば伸びるほど、
  手元に入る資金が極大化するキャッシュ
  マシーンなのだ。」

どうやってアマゾンがCCCをマイナスにして
いるのか、その秘密は予測でしかないものの、
「マーケットプレイスの預かり金」ではないか、
と解説されています。

この「打ち出の小槌」のからくりに気づいた
ウォルマートも、今ではマーケットプレイスを
開設しているようです。

個人的には、成毛さんによるジェブ・ベゾスさん
の人物としての考察も、なるほどと感心ました。

  「たとえば、ベゾスとアップルのスティーブ・
  ジョブズとの違いは、そのまま会社のカラー
  に当てはまる。ベゾスはエンジニアなので、
  ものごとの構造や作り方を知っている。
  アマゾンの経営にも、ネットを使った
  テクノロジー会社を作りたいという気持ちが
  現れている。

  ジョブズは夢追い人であり、デザイナーだ。
  アップルも言ってしまえば “かっこいい” 
  から始めた、そんなアップルはGAFAの中でも
  ハードウェアを作る能力が最も高い。」

とにかく、成毛さんの語りは面白いので、
アマゾンをよく知る人も、よく知らない人も、
間違いなく、本書を楽しむことができるでしょう。

アマゾンにはいろいろな要素が詰まっています。

この1社を押さえておけば、これから世界が
どう変わっていくかを知ることができる
というのは、言い過ぎではないと思います。

この本から何を活かすか?

本書を読んでいて、アマゾンのコールセンター
のある担当者の話を思い出しました。

アマゾンのコールセンターに入る電話は
そのほとんどが「苦情」だと言います。

担当者、次のように語っていました。

  「最終的に、ほとんど苦情は収まります。
  結局、みんなアマゾンのことが好きなんです。」

アマゾンプライムの価格を後から値上げする
戦略も、これだけアマゾン好きな人を
先に作ったからこそ、成功するのでしょう。

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| 経営・戦略 | 05:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所

満足度★★★
付箋数:24

一般的な鉄工所の利益率は3~8%です。

そんな業界の中で、この10年、毎年、20%以上の
利益率を上げ、成長を続けている鉄工所があります。

しかも、取引先には、ウォルト・ディズニーや
NASA、Uberなど名だたる企業が含まれています。

それが、京都府宇治市に本社がある金属加工会社の
HILLTOP(ヒルトップ)株式会社です。

 「楽しくなければ仕事じゃない」

昔のフジテレビのキャッチフレーズのようですが、
これがヒルトップのモットーです。

ヒルトップは、油にまみれて重労働をする
鉄工所の薄暗いイメージを一新しました。

今では、わくわくして仕事ができる
「遊ぶ鉄工所」としてテレビなどにも紹介され、
年間2000人超が見学に訪れています。

しかし、現社長の山本昌作さんが、父親から
会社を引き継いだときには、自動車部品を加工する、
よくある下請けの鉄工所に過ぎませんでした。

多くの町工場が姿を消していく中で、
ヒルトップは、一体、どのようにして、
普通の鉄工所から夢工場に生まれ変わったのか?

  「社員が誇りに思えるような “夢工場” を
  つくろう」

  「油まみれの工場を “白衣を着て働く工場” 
  にしてみせる」

山本さんは、このような想いを実現するために、
次の5つの改革を行いました。

 1. 「人」を変えた

  経験やカンに頼り、自分の技術を定量的、
  論理的に説明できない「にわか職人」をなくす。

  職人のカンと経験を数値化して、機械化し、
  人は人にしかできないことに集中する。

 2. 「本社」を変えた

  中小企業こそ本社の外観にお金をかけるべき
  という信念から、外観はピンクで片側は全面
  ガラス張りの5階建ての本社を建てる。

 3. 「つくるもの」を変えた
  
  大量生産の扱いをやめ、単品ものに特化。

  製作数1~2個の多品種単品の受注を中心に受け、
  月に3000種類をオーダーメイドで製作。

 4. 「つくり方」を変えた

  普通の鉄工所の場合、就業時間の8割が
  機械の前、2割がデスク仕事。

  この割合を逆にして、昼間はデスクで人が
  プログラムをつくり、人が帰った夜中に、
  機械に働いてもらう生産管理システムを構築。

 5. 「取引先」を変えた

  親会社からの受注に依存する下請けから脱却。

  1社の依存率を30%以下にとどめ、取引先を
  分散して、毎年100社が入れ替わることを
  事業の新陳代謝としてとらえる。

こういった鉄工所としての改革は、ユニークで
目を見張りますが、一般のビジネスパーソンが
本書を読んで参考にしたいのは、「人を育てる」
ところでしょうか。

 ・ジョブ・ローテーションでモチベーション
  の低下を防ぐ。

 ・5%だけでも、楽しいと思える仕事をする。

 ・アメが8割、ムチが2割でほめちぎる。

 ・知的作業の循環を回し、自発能動人間をつくる。

やはり企業にとって最も大事なのは「人」。

ハードの面も大事ですが、ヒルトップが成長を
続けているのは、こうしたソフト面を重視して、
人を育てているからなのでしょう。

ヒルトップは本職のモノづくりより、
ヒトづくりの方が上手いのかもしれません。

本書から、山本さんの「夢工場をつくりたい」
という想いが、強く伝わってきます。

勢いがあって、一気に読める本だと思います。

そして、日本のモノづくりが、今後も
生き残っていくための道が、示されている
ように見えます。

この本から何を活かすか?

アメリカの心理学者、ダグラス・マグレガーさん
の「X理論」と「Y理論」が紹介されていました。

X理論は、人間は生来、怠ける者であるとする、
性悪説的な考え方。

この理論では、モチベーションを上げるために
「アメとムチ」を使い分けます。

Y理論は、魅力ある目標と責任を与えれば、
人は積極的に働くとする、性善説的な考え方。

この理論では、モチベーションを上げるために、
適切な環境を用意し、目標と責任を与えます。

ヒルトップでは、Y理論に基づき、
生産性を上げることよりも、モチベーションを
上げることを優先しているようです。

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| 経営・戦略 | 06:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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