活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか

満足度★★★★
付箋数:25

あなたは、政治家や官僚を信頼していますか?

政治家や官僚は、国家を作る上で最も重要な
役割を果たす人たちです。

しかし、全員が全員ではないものの、
国会の答弁などを見ていると、信用できない
と思うことが少なくありません。

政治家や官僚さえあまり信頼できないのに、
私たちは、なぜ、まったくの他人を信用して車に
乗り込んだり、赤の他人の家に泊まることが
できるのでしょうか?

まったくの他人を信用できなければ、Uberや
Airbnbといったサービスは成り立ちません。

信頼とは、未知のものとの確たる関係。

信頼があればこそ、人はリスクを取り、
弱みを晒すことができます。

それは、結果がはっきりとわかる前に、
相手がどう振る舞うかわからなくても、
頼ったり、頼られたりすることです。

今、「信頼」の形が変わりつつあります。

  「この本では、ある大胆な仮説を提起している。
  わたしたちは今、人類の歴史の中で3度目の、
  もっとも大きな信頼の革命の入り口に
  立っている。過去を振り返ると、信頼には
  際立った区切りがある。最初はローカルな信頼。
  小さな地域社会の境界のなかで生き、
  みんながみんなを知っていた時代のことだ。
  次が制度への信頼。さまざまな契約や法律や
  企業ブランドを通して信頼が媒介され、
  商業が地域の境界を越えて、産業社会に
  必要な土台が作られた時代がそれに当たる。
  そして3番目が、まだはじまったばかりの
  分散された信頼の時代だ。」

信頼はかつて、上から下へと流れていました。

しかし、今の時代の信頼は少し形が違います。

「分散された信頼」とは、個人間で横に流れる
信頼のことです。

これは、ネットワークやプラットフォーム、
システムによって可能になります。

日本人からしてみると、中国人と商取引を
する際に、あまり信用できないと思う方も
多いのではないでしょうか。

ちょっとでも油断すると、騙されるのでは、
と考えても不思議ではありません。

そんな中国で、個人間で信頼をベースにした
ビジネスが成り立つなんて想像できますか?

  「ジャック・マーの物語は、無一文から身を
  起こして大金持ちになった起業家の成功談に
  とどまらない。それは、信頼構築という
  繊細で驚くべき偉業の物語だ。
  双方が信頼しなければ成り立たない
  インターネットのマーケットプレイスを
  うまく構築するのは大変な挑戦だが、
  マーの物語がさらに非凡なのはそれを
  中国で成し遂げたという点だ。」

本書では、分散した信頼の事例として、
中国のアリババを取り上げています。

本書は、信頼を取り巻くパラダイムシフトを
取り扱った本です。

信頼は、これまで「ローカルな信頼」から、
「制度への信頼」へと姿を変えてきました。

そして今、テクノロジーに支えられた、
「分散された信頼」へ姿を変えつつあります。

本書は、信頼革命の背景と仕組みを読み解き、
これからの時代、ビジネスには欠かせない
信頼構築の仕組みをつくるための本です。

著者は、2010年に『シェア』を刊行し、
共有経済、シェアリングエコノミーを紹介して、
話題となったレイチェル・ボッツマンさん。

本書のテーマも、また刺激的です。

シェアリングエコノミーを支える「信頼」に
着目して、深く掘り下げ考察しています。

本書では、分散された信頼の、
日の当たる面だけでなく、日陰の部分にも
事例を挙げて言及しています。

それは闇サイトでの売人と顧客間での信頼や、
中国の信用格付け制度の内側などです。

表にしろ裏にしろ、こらからビジネスを
行っていくには、本書を読んでおくことは
必須とも思える内容でした。

この本から何を活かすか?

新しい発想に人々が信頼を寄せるための
「3つの原則」が紹介されていました。

 1. カリフォルニアロールの原則
  新しいものと馴染みのある何かを組み合わせ、
  「新しいのに見慣れたもの」を作る。

 2. メリットの原則
  新しいものが「自分の得になること」を伝える。

 3. インフルエンサーの原則
  影響力を持つ人が使うことで、一気に信頼が
  増すことを利用する。

この中で、カリフォルニアロールの原則は、
言い得て妙なネーミングだと思いました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| IT・ネット | 06:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

満足度★★★★
付箋数:25

新約聖書の最後の書である「ヨハネの黙示録」。

これは将来起こる出来事を描いた書物で、
その中には四人の騎士が登場します。

四騎士はそれぞれが、地上の4分の1を支配し、
剣、飢饉、悪疫、獣によって、
「地上の人間を殺す権威」を与えられている
とされています。

第一の騎士は、白い馬に乗り、手には弓を持ち、
頭に冠を被っていて、勝利の上の支配を得る
役目を担っています。

第二の騎士は、赤い馬に乗り、手には大きな
剣を持ち、地上の人間に戦争を起こさせる
役目を担っています。

第三の騎士は、黒い馬に乗り、手には食料を
制限するための天秤を持ち、地上に飢饉を
もたらす役目を担っています。

第四の騎士は、蒼ざめた馬に乗り、
側に黄泉を連れ、病や野獣で地上の人間を
死に至らしめる役目を担っています。

本書はこの四騎士に、Google、Apple、Facebook、
Amazonの4強をなぞらえた本。

  「テクノロジー業界の四強と言えば、誰もが
  グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン
  を思い浮かべるだろう。こららの巨大企業は
  過去20年間、歴史上かつてないほどの喜びや
  人間同士のつながり、あるいは経済的な繁栄や
  発明を私たちにもたらしてきた。(中略)

  これらの企業は人類を幸せに導く聖なる
  四騎士なのか? それともヨハネの黙示録の
  四騎士なのだろうか? どちらの問に対する
  答えもイエスだ。」

本書では、4つの巨大企業がどのように生まれ、
神話を作り上げたのかを徹底分析します。

さらに四騎士は、これから先どこに向かって
行くのか、また、四騎士に代わる第五の騎士は
登場するのかについても考察します。

著者はシリアル・アントレプレナー(連続起業家)
として9つの会社を起業したことのある、
スコット・ギャロウェイさん。

現在、ギャロウェイさんは、ニューヨーク大学
スターン経営大学院で教授を務め、ブランド戦略
やデジタルマーケティングを教えています。

ちなみに、Googleが支配の役目の第一の騎士、
Appleが戦争を起こさせる第二の騎士、
Facebookが飢饉をもたらす第三の騎士、
Amazonが人間を死に至らしめる第四の騎士です。

この四騎士は、「ペテン師から成り上がった」、
あるいは「脳・心・性器を標的にしている」など、
かなり過激な発言もあります。

そしてギャロウェイさんは、四騎士には
共通する「覇権の8つの遺伝子」があると
指摘しています。

  1. 商品の差別化
  2. ビジョンへの投資
  3. 世界展開
  4. 好感度
  5. 垂直統合
  6. AI
  7. キャリアの泊づけになる
  8. 地の利

四騎士が持つ個別の強さを探るだけでなく、
こうした共通要素も抽出しているので、
第五の騎士になる可能性のある企業も
探すことができるのです。

第五の騎士として、挙げられていたのは、
アリババ、テスラ、ウーバー、ウォルマート、
マイクロソフト、エアビーアンドビー、
IBMなど。

この中で意外だったのは、ウォルマートです。

ウォルマートは、Amazonに対する最大の敗者
と目されていますが、まだ競争から降りていない
と書かれています。

eコマースが長期にわたって好調を維持する
ためには、現実のインフラも必要で、
この面においてウォルマートは無視できない
強みを持っているからです。

本書は450ページを超える分厚い本でしたが、
興味深い深い分析や、的を射た指摘が多く、
刺激的な本でした。

四騎士のユーザーには、オススメしたい一冊。

この本から何を活かすか?

ギャロウェイさんは、アップルを分析する章で、
高級ブランドの5つの条件を挙げています。

  「アイコン的な創業者」、「職人気質」、
  「垂直統合」、「世界展開」、「高価格」

スティーブ・ジョブズさんのように、
アイコンは死ぬと、毎日の生活につきまとう
批判を免れ、ブランドにとっては理想の状態
になるようです。

もし、タイガー・ウッズさんが不倫騒動の
ときに、妻の車で轢き殺されていたら、
ナイキにとってウッズさんのブランド価値は
計り知れないくらい高くなっていたとか。

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| IT・ネット | 12:29 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち

満足度★★★
付箋数:23

YouTubeの台頭で、ここ10年くらいの間に、
メディアを取り巻く環境は大きく変わりました。

YouTubeは世界標準のプラットフォームとなり、
毎月、15億人の人々が訪れています。

  「私たちが観るもの、読むもの、聴くものを
  決めるのは誰か。かつては国や企業だけが
  決めていたが、一世代もたたないうちに、
  私たち自身が決めるところまで来たのだ。
  YouTubeの出現で、人間は初めて、無料で即座に
  世界中の映像にアクセスできるようになった。
  Netflix、Hulu、Spotifyといった
  ストリーミング・サービスは、昔ながらの
  コンテンツを新しい方法で配信するという、
  とてつもないことを実現したが、YouTubeの
  ようなオープンプラットフォームは、メディアを
  プロデュースできる人、配信できる人、
  消費できる人を変えた。あるときから突然、
  世界中の誰もが、世界中のすべての人と映像を
  共有できるようになったのだ。」

本書は、これまでのYouTubeの経緯を振返りつつ、
YouTubeの未来を語る本です。

著者は、YouTube副社長のロバート・キンセルさん。

キンセルさんは、以前はNetflix社でネットへ
ストリーミングするコンテンツの獲得業務を
率いていた方です。

現在は、YouTubeでビジネスと広告、
そしてクリエイティブ・リレーションシップを
統括しています。

YouTubeから見出されたアーティストと言えば、
ジャスティン・ビーバーさんが有名です。

カナダの12歳の少年は、いかにして見出され、
世界的なスターになったのでしょうか?

ビーバーさんを発掘したのは、後にマネジャー
となるスクーター・ブラウンさんです。

ブラウンさんは、2007年に並外れた歌唱力を
持つ12歳の名もない少年が、YouTubeで歌っている
映像を偶然見つけます。

八方手を尽くして、その少年が誰かを探し当て、
YouTubeを使ってジャスティスさんを歌手として
売り出す仕事に取り掛かりました。

初期の頃はジャスティンさんがカバー曲を歌う
動画をひたすら投稿していきました。

この動画では、「決して名前を名乗らず、
ただ歌えばいい。カメラを見る必要もない。」
とジャスティンさんに教えました。

このとき、ブラウンさんが考えたプロモートの
戦略は「Netflix方式」だったと言います。

  「1シーズン無料、一気に観るためのカタログも
  ある。世間の人たちは、そうやって動画を見て
  いたからね。」

こうしてジャスティンさんの動画の視聴回数が
6千万回に登り、R&B歌手アッシャーさんとの
面会を経て、アイランド・レコードとの契約へ
こぎつけました。

その後のジャスティンさんの世界的なブレイクは、
世間で知られている通りです。

これでアーティストの成功の仕方が逆転し、
デビューする前にYouTubeで先行してプロモート
する方法が一般的となりました。

これはYouTubeが世界を変えた一例に過ぎません。

本書では、アメリカのユーチューバーたちの
豊富な事例も交え、YouTubeが作る未来を語ります。

YouTube副社長が語る、新しいメディアの
教科書として参考になるでしょう。

「成功するユーチューバーになる条件」や
「ストリーミングのマネタイズ方法」についても
YouTube内部からの視点で解説されているので、
ユーチューバーになりたい人も必見です。

ちなみに、巻末の解説は落合陽一さんが
担当しています。

また、小中学生が将来なりたい職業として
ユーチューバーを挙げるような時代に
なりましたから、子を持つ親としても
本書は読んでおいた方がいいかもしれません。

この本から何を活かすか?

音楽業界で懸念されているのは、
YouTubeによる無料配信や定額配信サービス
による影響です。

しかし、キンセルさんは音楽業界の未来を
楽観視しています。

なぜなら、人々は音楽を愛していて、
そのコンテンツを持っているのは音楽業界
だからです。

YouTubeと定額配信サービスの相乗効果で、
音楽業界はまだまだ成長余力があると
キンセルさんは考えています。

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| IT・ネット | 06:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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AI vs. 教科書が読めない子どもたち

満足度★★★★
付箋数:26

  「私の未来予想図はこうです。
  企業は人不足で頭を抱えているのに、
  社会には失業者が溢れている――。
  折角、新しい産業が興っても、その担い手と
  なる、AIにはできない仕事ができる人材が
  不足するため、新しい産業は経済成長の
  エンジンとはならない。一方、AIで仕事を
  失った人は、誰にでもできる低賃金の仕事に
  再就職するか、失業するかの二者択一を
  迫られる――。私には、そんな社会の姿が
  ありありと目に浮かびます。」

このような未来を想像するのは、
国立情報学研究所教授、同社会共有知研究
センター長の新井紀子さんです。

新井さんは、数理論理学が専門で、
人工知能プロジェクト「東ロボくん」を
主導する方です。

「東ロボくん」とは、ロボットは東大に
入れるかに挑戦する人工知能プロジェクトです。

このプロジェクトでは、人工知能はまだ東大に
入れるレベルには達していないものの、
MARCHレベルの有名私立大には合格できる
偏差値には達しています。

そんな研究をする数学者が本書で明かすのは、
驚愕する2つの事実です。

1つ目は、シンギュラリティは来ないということ。

シンギュラリティとは、レイ・カーツワイル博士
により提唱された概念で、技術的特異点のこと。

シンギュラリティに達すると、人工知能が
人間の知性を超え、自分自身より高い能力の
AIを作り出すことができます。

人工知能の研究開発が加速し、2045年頃には、
シンギュラリティが到来するとも言われています。

しかし、新井さんは数学の常識として、
シンギュラリティは起こりえないと完全に
否定します。

なぜなら、人工知能は「意味」を理解しないから。

コンピュータは数学の言葉だけを使っているので、
私たちが認識していることを、すべて解明して、
数式に翻訳しない限りは、人工知能が人間の
知性レベルに達することはないのです。

2つ目は、日本の中高生の多くは、教科書程度の
文章を正確に理解する読解力がないということ。

これは新井さんが、全国2万5千人の中高生を
対象に行なった、基礎的読解力の調査から
判明したことです。

たかが読解力と侮ってはいけません。

入試において、読解力がなければ、試験問題を
早く正確に読めませんから、読解力は必須です。

入試以外においても、文を読んで理解することは、
非常に大切な力で、人生を左右する能力と
言っても過言ではありません。

そして、何より、人間が人工知能に負けない、
人間としての存在価値を示す能力でもあります。

この読解力がなければ、たとえ人工知能が
人間の知性のレベルに達していなくても、
簡単に人間の仕事が人工知能に代替されて
しまうのです。

この人間の読解力の低下が、冒頭で紹介した、
新井さんの未来予想図につながります。

将来、多くの仕事がAIに代替されると同時に、
AIにはできない新たな仕事が生まれる。

しかし、AIに仕事を奪われた勤労者は、
読解力がないと、新たに生まれた仕事もできず、
仕事に就くことができないという図式です。

これは、チャップアップさんの時代にも
起こったこと同じと、新井さんは指摘します。

工場がオートメーション化されたことで、
単純作業が減る一方、事務仕事が増え、
新たにホワイトカラーと呼ばれる労働階級が
生まれました。

しかし、工場で労働していたブルーワーカーは、
ホワイトカラーとしての教育を受けておらず、
新しく生まれた仕事に就くことはできなかった。

AIによってもたらされる未来も、これと同じ
構図になると、新井さんは考えているのです。

巷には、多くのAI関連書籍が刊行され、
バラ色とまでは言わないまでも、
シンギュラリティが到来することが、
当たり前のように語られています。

本書で新井さんは、世間で喧伝されている
AIの現状や未来図が、現実とかけ離れている
ことを指摘し、AIの限界を示します。

それと同時に、現在の人間側の教育にも
大きな問題があることを指摘しています。

この本から何を活かすか?

基礎的読解力を測る「係り受け」の問題

次の問題をやってみてください。

  アミラーゼという酵素はグルコースが
  つながってできたデンプンを分解するが、
  同じグルコースからできていても、
  形が違うセルロースは分解できない。

  この文脈において、以下の文中の空欄に
  あてはまる最も適当なものを選択肢の
  うちから1つ選びなさい。

  セルロースは(   )と形が違う

  1.デンプン 2.アミラーゼ
  3.グルコース 4.酵素

あなたの、基礎的読解力は大丈夫でしたか?

間違える人の多くは「3」を選ぶようですが、
正解は「1」のデンプンです。

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| IT・ネット | 06:27 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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教養としてのテクノロジー

満足度★★★
付箋数:24

  「本書は、メディアラボ所長として世界を
  飛び回り、日々いろいろな人々と触れ合うなかで
  思った僕の “実感” をなるべく言葉にしています。
  前著『9プリンシプルズ』は本をつくのに
  数年を費やしましたが、本書は日本の方々に
  向けて書いています。僕が日頃で思っている
  ことをまとめた本になっていると信じています。」

著者の伊藤穰一さんは、マサチューセッツ工科大学
(MIT)メディアラボの所長を務める方。

MITは88人のノーベル賞受賞者を輩出している、
世界でも屈指の研究大学です。

そこに所属するメディアラボは、1985年に創設され、
以来「人間とコンピュータの協調」を大きな
テーマとして世界最先端の研究を行っている機関です。

本書は、そのメディアアボで所長を務める
伊藤さんが、テクノロジーの可能性と未来について
語った本。

話しているテーマは多岐にわたり、「実感」を
語ったと言う通り、深く探求するのではなく、
思いつくままに語った「未来エッセイ」です。

それぞれのテーマは非常に興味深いのですが、
若干、散漫な印象ありました。

本書の中で、私の関心を引いたテーマは
2つあります。

1つ目は、新たな資金調達の方法「ICO」。

ICOとは、IPOに似た言葉ですが、イニシャル・
「コイン」・オファリングの略です。

これはテクノロジー系のスタートアップ企業が、
仮想通貨を介して資金を集める新たな手法。

起業家や開発者が、自分たちの提供する
新しいサービスで使える「トークン(コイン)」
を投資家に買ってもらい、その購入代金で
資金調達する手法です。

購入したトークンが取引所に上場されて、
売買が可能になると、一気に値上がりする
可能性があるため投資家の人気を集めました。

その一方、新しい手法であるために
基本的なルールが未整備であったり、
インチキなICOがたくさんあるなど、
さまざまな問題もあるようです。

もう1つ私の関心を引いたのは「身体拡張」です。

  「科学技術の進歩により、人間が持つ足よりも
  能力が高い “義足” が登場しました。
  高い推進力を持つカーボン製の義足を付けた
  選手は、すでに人間の足で走るスピードを
  上回ることができるようになりました。
  僕は “パラリンピックがいつの日か、
  オリンピックを超える競技会になる” ことを
  いつも想像しています。」

この背景にあるのは、トランスヒューマニズム
の思想です。

これは科学技術を使って人間の身体や
認知能力を進化させ、人間を前例のない
状態まで向上させようという思想です。

伊藤さんはトランスヒューマニストではない
ようですが、拡張身体が一般的になる未来を
想像しています。

個人的には『あしたのジョー』を下敷きにした
ボクシングアニメ『メガロボクス』をちょうど
見始めたところだったので、身体拡張は
タイムリーな話題でした。

この身体拡張は、日本とアメリカで向かっている
方向が違うそうです。

日本人は『サイボーグ009』などの影響もあって、
そもそも身体を拡張するのが好きで、
テクノロジーを楽しむ傾向があります。

一方、アメリカでは身体を拡張というより、
不滅の肉体を持ちたいという方向に関心が
集まっています。

日本はファンタジー寄りで、アメリカはシリアス
寄りといった「空気と場」の違いがあるようです。

テクノロジーの未来を考えると、いろいろな
「そもそも論」を考える必要が出てきます。

そういった意味で、本書を読むと、
もう少し突っ込んで議論をしたいという
不完全燃焼の感じが残る本でした。

この本から何を活かすか?

伊藤さんは「ワールド・オブ・ウォークラフト
(WoW)」という、オンライン・ゲームに
ハマったそうです。

WoWは、登録ユーザーが1000万人を超える
オンライン・ロールプレイング・ゲームです。

メディアラボの所長がハマってしまうゲームが
どんなものか興味がありますね。

日本版がない、チャットは英語のようなので、
英語学習の一環として参加するのもいいかも
しれません。

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| IT・ネット | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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