活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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宇宙の覇者 ベゾスvsマスク


宇宙の覇者 ベゾスvsマスク

満足度★★★★
付箋数:25

  「30年前、パーソナルコンピュータ革命が
  起こって、何百万もの人々がコンピュータの
  力を手に入れると、人類が潜在的に
  持っていた能力が無限に引き出され始めた。
  20年前、ウェブ時代の到来とそれに続く
  スマートフォンの普及では、何十億もの
  人々が地理的にも商売でも、制約から
  解放された。
  そして今、地球低軌道へのアクセスの
  拡大で、同じような革命的な変化が
  生まれようとしている。」

このように語るのは、マイクロソフトの
共同創業者であるポール・アレンさんです。

インターネットの次の革命は、「宇宙」で
起ころうとしています。

宇宙と言えば、個人的に一番ドラマチック
だと思うのは、アポロの月面着陸ですね。

船長ニール・アームストロングさんと
操縦士エドウィン・オルドリンさんは、
アポロ11号で月面に21時間30分滞在しました。

人類史上初の月面着陸に成功したのは、
1969年のこと。

米大統領ジョン・F・ケネディさんは、
1960年代中に人間を月に到達させると宣言し、
10年足らずでその公約を果たしました。

このアポロ計画の偉業を知っている世代は、
子供の頃に思ったはずです。

当時の科学技術で月面着陸ができたなら、
すぐに月面に基地ができ、次は火星旅行も
実現するのではないかと。

しかし、1972年にアポロ計画終了後、
有人の宇宙進出に関して人類は、
それ以上の大きな進歩はありません。

  「アポロが最高到達点だったなんてことには
  したくなかった。将来、子どもたちに
  これが精一杯だったなんていいたくない。
  わたしは子どもの頃、月に基地ができる日や
  火星旅行が始まる日を心待ちにしていた。
  それがそうならず、進歩が止まってしまってる。
  こんなに残念なことはない。」

こんな想いから、本気で火星への移住計画を
実現しようとしているのは、スペースX社の
共同設立者のイーロン・マスクさんです。

マスクさんは、猪突猛進する実行力で
宇宙革命を牽引しています。

そして、人類が大きな進歩を遂げる時には、
強力なライバル関係が必要です。

マスクさんの宇宙開発のライバルとなるのは、
アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾスさんです。

ベゾスさんは、有人宇宙飛行事業を目的とする
民間企業ブルーオリジンを立ち上げ、
垂直離着陸機などの開発を行っています。

今、人類の宇宙革命競争を牽引するのが、
マスクさんとベゾスさんのライバル心です。

  「この物語(宇宙探査)を活気あるものに
  しているのは、新しい宇宙開発を引っ張る
  マスクとベゾスのあいだに芽生えた競争心だ。
  ふたりの対抗意識は訴訟やツイッターの発言、
  それぞれのロケットの着陸の意義や推力を
  めぐる論争、さらには発射台の争奪戦と
  なって表れる。猛烈に突っ走る “兎” 
  イーロン・マスクと、秘密主義でゆっくり
  進む “亀” ジェフ・ベゾス。
  先行するのはマスクだ。ただしレースは
  始まったばかりで、ベゾスに慌てるようすは
  ない。一歩一歩、着実に前進を続けている。」

本書は、2人の億万長者、マスクさんと
ベゾスさんを中心とした、現在進行中の
宇宙開発の物語。

他に、冒頭に言葉を紹介したマイクロソフトの
ポール・アレンさんと、ヴァージングループの
リチャード・ブランソンさんが登場します。

4人の億万長者が繰り広げる、宇宙開発競争の
過程を描いたノンフィクション。

入念に取材をして本書を執筆したのは、
ワシントンポスト紙の記者で宇宙・防衛産業を
担当するクリスチャン・ダベンポートさんです。

宇宙開発のエピソードが十分詰まっていて、
新時代の幕開けの興奮が感じられる力作です。

この本から何を活かすか?

  「ベゾスは5歳のとき、アームストロングが
  月面を歩くのを見た。マスクはそのとき、
  まだ生まれていなかった。しかしふたりは
  並外れた資産と野心によって、冷戦時代の
  宇宙競争を再演していた。かつての米ソの
  役割を演じるこのふたりの宇宙の覇者には、
  数十年前のアポロ計画の後継者たらんとする
  意気込みがあった。ふたりを競争に駆り立てて
  いるのは、戦争や政治ではなく、金とエゴと
  冒険心、それに人類の宇宙進出の先陣をなす
  という千載一遇のチャンスだった。」

確かに、いまのところ先行しているのは
マスクさんです。

しかし、アマゾンの支配力を持ってすれば、
ベゾスさんが宇宙開発の歴史に、
名を残す可能性は十分にあるように思えます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 科学・生活 | 05:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ウイルスは悪者か―お侍先生のウイルス学講義


ウイルスは悪者か―お侍先生のウイルス学講義

満足度★★★
付箋数:24

「ウィルス」とは、一体、何か?

私たちに、最も馴染みのあるウィルスは、
インフルエンザではないでしょうか。

毎年、冬になると決まって流行します。

インフルエンザが冬に流行るのは、
空気が乾燥するからとか、人の免疫力が
低下するからと言われています。

ところで、ウィルスがどんな存在なのか、
正しく答えられる人は、少ないないでしょう。

なぜなら、私たちは高校までの教育課程で
ウィルスについて学ぶ機会が限定的だから。

ちなみに、大辞林でウィルスの定義を
見てみると、次のように説明されています。

  「最も簡単な微生物の一種。核酸として
  DNAかRNA のいずれかをもち、タンパク質の
  外殻で包まれている。動物・植物・細菌を
  宿主とし、その生合成経路を利用して
  増殖するものが多い。濾過性病原体。」

そして、ウィルスには、生物なのか、
それとも無生物なのかという問題があります。

この問題に関して有名なのが、福岡伸一さんの
名著『生物と無生物のあいだ』です。

この本のタイトルは示すとおり、
ウィルスは、生物と無生物のあいだに
位置する、非常に曖昧な存在です。

あと、ウィルスと混同されやすいものとして、
細菌がありますが、細菌はれっきとした
生物です。

細菌は、非常に小さい単細胞生物群。

細菌は細胞の外で増えますが、ウィルスは
細胞の中で中で増えるとう違いがあります。

さて、前置きが長くなりましたが、
本書は「お侍先生」こと、髙田礼人さんの
ウィルスの研究を紹介した本です。

髙田さんは、人獣共通感染症を引き起こす
ウイルスの研究が専門です。

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター
の教授で、エボラウイルスや
インフルエンザウィルスの研究をする方です。

髙田さんの研究フィールは世界中に渡り、
ザンビア、コンゴ、モンゴル、インドネシア
などにも遠征しています。

本書は、髙田さんがエボラウイルスや
インフルエンザウィルスの研究について
語り、それをライターの萱原正嗣さんが
まとめました。

  「2006年12月、私はアフリカ南部の国・
  ザンビアのとある森へ向かっていた。
  目的地は、ザンビアの首都ルサカから
  520キロメートルほど、車で約8時間の
   “カサンカ国立公園” だ。」

本書は、ザンビアの森にエボラウイルスを
探しにやって来たところから始まります。

  プロローグ エボラウイルスを探す旅
  第1部 ウイルスとは何者なのか
  第2部 人類はいかにしてエボラウイルス
     の脅威と向き合うか
  第3部 厄介なる流行りもの、
     インフルエンザウイルス
  エピローグ ウイルスに馳せる思い――
        ウイルスはなぜ存在するのか

個人的に興味があったのは、やはり身近な
インフルエンザについてです。

かつて、インフルエンザは「宿主の壁」が
あるため、動物から人へは感染しないと
言われていました。

しかし、鳥インフルエンザが突然変異で、
宿主の壁を超え、人にも感染するように
なりました。

これが認められたのも、そんな昔のこと
ではなく、約30年ほど前の出来事です。

1997年に香港の養鶏場で7000羽近い
ニワトリが高病原性鳥インフルエンザで
死んだというニュースが流れました。

それから数ヶ月して、それが3歳児に
感染して、死亡する事態に至りました。

このときに、髙田さんは500本の注射器を
持って、香港へ向かったエピソードが
紹介されています。

エボラのときもそうですが、髙田さんは、
かなり危険な場所に身を投じて研究を
重ねています。

本書は髙田さんの貴重な体験も交えながら、
ウィルスについて学べる本です。

この本から何を活かすか?

高病原性鳥インフルエンザで見つかったのは、
「H5N1亜型」というA型のウィルスです。

参考までに、インフルエンザは全部で
4つの型に分類されます。

A型は人獣共通感染症のウィルス。

B型とC型は、一部の例外を除いて動物には
伝染らず、ヒトを中心に感染するウィルス。

D型は、ヒトへの感染は確認さていない、
牛や豚などに伝染るウィルスです。

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独楽の科学 回転する物体はなぜ倒れないのか?

満足度★★★★
付箋数:24

  「♪もういくつ寝るとお正月、
  お正月には凧あげて、
  コマを回して遊びましょう・・・」

童謡「お正月」はこんな歌詞でしたが、
果たして今の日本で、お正月に凧やコマで
遊ぶ子どもは、どれくらいいるのか?

私はそんなことを考えながら、
本書を読みました。

本書は独楽(コマ)をテーマにした
ちょっとマニアックな本ですが、
知的好奇心をいい感じで刺激します。

著者は東京工業大学理学院物理学系助教の
山崎詩郎さん。

走査プローブ顕微鏡を用いた量子力学を
専門とする方です。

山崎さんは、コマの回し手としては
素人でしたが、物理の専門家として、
「全日本製造業世界コマ大戦 2015」の
地区予選にゲスト解説者として呼ばれました。

その席で、せっかくだったら理論的に
強いハズのコマで、選手として出場しないか
と打診され、冗談半分で出場しました。

その結果、解説者という立場なのに、
空気を読まずに優勝してしまったそうです。

それ以来、コマの魅力に取り憑かれて、
本格的にコマを収集し始め、今では
「コマ博士」と呼ばれるようになりました。

さて、やはりコマの魅力は、倒れそうでも、
なかなか倒れないこと。

なぜ、コマは倒れないのか?

その理由はいくつかあります。

1つ目の理由は、「角運動量保存の法則」
があるから。

一定の重さがある車は、急に止まることも、
曲がることもできません。

それと同じように、一度垂直なって
回り出したコマは、急に止まることも、
傾くこともできません。

そして、もう1つの理由は「ジャイロ効果
による歳差運動」があるから。

コマの回転軸の向きが傾いて変わると、
重力による力のモーメントの回転軸も
一緒に変わることを繰り返します。

そのためコマの回転軸は円を描くように
変わり続けます。

かなり、端折って書きましたので、
正確なところは、本書をお読みください。

また、本書では山崎さんの経験と物理的な
考察により、「最強のコマ」の形を
導き出しています。

最強のコマを考える要素は8つあります。

  本体の直径:2センチメートル
  本体の密度:高密度のタングステン合金
  本体の高さ:1センチメートル
  底面角度:適度な30度ぐらい
  先端半径:2ミリメートルぐらい
  軸の太さ:6ミリメートルぐらい
  軸の長さ:1.5センチメートルぐらい
  軸の密度:軽くて硬いアクリル製

上記の仕様の「王道コマ」が理論的には
強いはずです。

しかし、人の英知は驚くべきもので、
実際のコマ大戦では、千姿万態のコマが
登場し、更に進化を遂げているようです。

 ・合気道のように勝つ軽量型コマ
 ・遠心力で開く開き系変形型コマ
 ・倒れても立ち上がる高重心型コマ
 ・相手を吹き飛ばすイボ型コマ
 ・無敵の防御を誇るベアリング型コマ
 ・戦わずして勝つ一点静止型コマ

また本書では、コマの仲間として回転系の
おもちゃや遊びについても解説してます。

かなりディープな世界が広がっていますが、
それを科学的に本気でやっているのが
面白いところです。

  「おもちゃのコマから始まって、
  大きな世界の銀河系から、小さな世界の
  スピンまで。世の中には回転している
  ものや回転に関するもので満ちています。
  まさに、世界はコマからできている
  と言っても過言ではないのです。」

この本から何を活かすか?

全日本製造業世界コマ大戦」とは?

全国の中小製造業が自社の誇りを賭けて
作成したコマを持ち寄り、所定の土俵上で
一対一で対決さる大会です。

トーナメント方式で勝ち上がり、
勝った側は負けた側のコマを奪います。

つまり、優勝者は他の参加者のコマを
「総取り」することになります。

日本の製造業を元気にする目的で、
2012年から開催されている大会です。

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10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち――世界初のパーソナルゲノム医療はこうして実現した

満足度★★★★
付箋数:25

  「病気の息子を助けようと、母親が
  死に物狂いで闘う。医師はその子の命を
  つなごうと、医療の限界に挑む。
  科学者は治療法を求めて、おぼつかない
  足取りながらも新たな時代へと一歩を
  踏み出す。彼らをそこまで駆りたてる
  ものは何か。」

本書は、世界初のパーソナルゲノム医療が
実現するまでを追ったドキュメンタリー。

著者は米ミルウォーキー・ジャーナル・
センティネル紙のジャーナリストとして
活躍する、マーク・ジョンソンさんと、
キャスリーン・ギャラガーさんのお2人。

パーソナルゲノム医療とは、 個々人の
DNA配列を解析し、自分の遺伝子の特徴を知り、
オーダーメイドで治療や予防を行う医療。

標準化された画一的な医療とは異なる、
遺伝子レベルで個人のち外に合わせた、
最先端のゲノム医療です。

2004年、ウィスコンシン州のある平凡な
夫婦の間に、息子が生まれました。

名前はニック・ヴォルカーくん。

彼は2歳の頃から、謎の病気かかりました。

それは、食事をするたびに腸に複数の
小さな穴が開き、その穴が腹部の皮膚を
貫通して便が漏れるという奇病です。

「10億人にひとり」と言われるほどの
特殊な病気で、このままでは命が危ないと
思われました。

医師たちは、可能な限りの検査を行い、
あらゆる可能性を検討し、全力で治療に
当たりました。

しかし、原因はまったくわからず、
この奇妙な病気を治すことは
できませんでした。

そして万策尽きて、最後に踏み切ったのが、
ニックくんの血液を採取して行う、
全ゲノム解析による治療でした。

ニックくんが奇病を患っていた当時、
パーソナルゲノム医療は、人類にとって
未知の領域でした。

臨床の場では、世界に例のない方法。

このゲノム治療がどうして難しいかと言うと、
原因不明の病気では、調べるべき遺伝子も
特定できないからです。

そのため膨大な全遺伝子情報を解析して、
病気の原因となる遺伝子変異を絞り込む
ことから始めなくてはならないのです。

ゲノム解析には、特定の遺伝子を調べる
パネルシークエンスという方法と、
全遺伝子情報を調べる全ゲノムシーケンス
という2つの方法があります。

ニックくんの治療に必要なのは後者でした。

2009年のウィスコンシン小児病院医療で
行われた採血は、パーソナルゲノム医療の
大きな一歩となりました。

しかし、この新しい治療には倫理問題の壁
も立ちはだかることになります。

科学者たちは、あらゆる障害を乗り越え、
約32億個の塩基対のうち、たった1つに
エラーが起こっていることを突き止めました。

それはブリタニカ百科事典に、1文字だけ
ある誤植を発見することよりも小さな
エラーでした。

本書は、ニックくんとその家族、医師と
科学者たちが、歴史的偉業を成し遂げる
過程を詳細に綴ります。

著者のお2人は丹念に取材を重ねて、
この「奇跡」が起こる瞬間までの過程を
圧倒的な臨場感でレポートしています。

さすがにピューリッツァー賞解説報道部門の
受賞記事を書籍化しただけのことはあります。

間違いなく読んで損のない、非常に優れた
ノンフィクションでした。

年末年始など時間に余裕のある時に、
読んで欲しい一冊としてオススメします。

この本から何を活かすか?

ニックくんの奇病は、パーソナルゲノム医療
によって治りました。

しかし、それだけでは安心できない事情も
あるようです。

  「遺伝子の文字から学べることには
  限界がある。それに、ニックについては
  何年もたたないと答えの出ない疑問もある。
  骨髄移植や臍帯血移植を受け、それに付随
  して化学療法薬を大量に投与された子供は、
  ホルモンや生殖機能に支障をきたしやすい。
  また、もっと成長してからガンになる
  リスクも普通より大きい。ニックにはその
  どれが訪れてもおかしくはないのだ。」

読後は、ニックくんとその家族にも
情が移っているので、今後の彼の健康を
祈るばかりです。

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宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来

満足度★★★★
付箋数:26

イーロン・マスクさんが、本気で掲げている
ことで知られている「火星移住計画」。

果たして、この計画は実現可能なのでしょうか?

移住するよりも前に、考えなくてはいけないのは、
まず有人で火星にいけるかどうかでしょう。

そういえばマット・デイモンさん主演で
映画化された『オデッセイ』は、
火星から帰還する宇宙飛行士の話でした。

原作はアンディ・ウィアーさんのSF小説
火星の人』です。

やはり、火星に行ったきりというのも
寂しいので、往復することを前提に
シュミレーションしてみましょう。

そうすると火星探査のためには次の
10のステップを踏むことになります。

 1.打上 → 2.地球軌道脱出 → 3.惑星間飛行
 → 4.火星軌道投入 → 5.着陸 → 6.打上
 → 7.火星軌道脱出 → 8.惑星間飛行
 → 9.地球軌道投入 → 10.着陸

このステップに必要な日数は、ただ往復する
だけを考えてはいけません。

火星と地球の公転のタイミングを見計らって、
火星での待ち時間が生じるからです。

地球から火星に行くのに約260日、
火星で待つこと約450日、帰りも約260日
かかるので、合計約970日、2年8ヶ月もの
日数を要するのです。

次に、この計画に必要な物資を見てみましょう。

まずは、人、食料、酸素、水が必要です。

機材は、宇宙機として基本性能を備えた母船、
火星着陸船、そして宇宙航行用のエンジンが
必要です。

無人探査機とは違い、かなり膨大な量の
物資を運ばなければなりません。

2年8ヶ月の長旅なので、宇宙船の乗員は6名は
考えておきたいところです。

本書では、この有人火星探査を「R計画」
と名付けて、本格的にかかる費用などを
本格的に試算しています。

そして、「イオンエンジン」で火星に向かう
秘策と、「宇宙基地とスペースマイニング」
の秘策によって大幅なコストダウンを考えます。

イオンエンジンは、マイクロ波を使って
生成したプラズマ状イオンを静電場で
加速・噴射することで推力を得るエンジン。

小惑星探査機「はやぶさ」に使われたことで
知られる電気推進のエンジンです。

また、もう1つのスペースマイニングとは、
宇宙で資源掘削する方法。

具体的には月や小惑星から資源を調達して、
どうしても得られない物資だけを地球から
持っていくようにします。

本書を読んでいると、火星の有人探査までは、
本当に実現できそうな印象を持ちます。

さて、本書の著者は「はやぶさ」プロジェクト
に携わり、世界初の小型イオンエンジンの
実用化に貢献した小泉宏之さんです。

2015年より東京大学大学院新領域創成科学
研究科で准教授をされている研究者の方。

現実的なロケットエンジンの実力を踏まえ、
有人と無人の両方で、本当に宇宙のどこまで
行けるかを考えます。

本書は、ギャラリーキッチンKIWIが主催する
「大人の科学バー」というイベントで
小泉さんが2015年7月から全10回に渡って
実施した講演会「ロケット編」の内容を
まとめたものです。

さすがにイオンエンジンなど推進系の
世界最小クラス開発のトップランナーだけ
あって、話がリアルです。

そして、何より素人でも簡単に理解できる
話のわかりやすさは特筆ものです。

  「華々しいロケット打上の瞬間や、
  はるか彼方の探査機から送られる神秘的な
  画像を好きなだけ観られる時代になった
  今だからこそ、地球を飛び出し宇宙を駆ける
  ことの何が難しくて、どんな工夫をしている
  のかを知ると、面白さが倍増するはずだ。
  ぜひ、本書を読んで、宇宙開発変革の時代、
  そして未開地へ進出する醍醐味を味わって
  ほしい。」

本当に、小泉さんの言うような醍醐味が
味わえるので、読んで損のない本でした。

この本から何を活かすか?

機動戦士ガンダムでは、ラグランジュ・ポイント
(ラグランジュ点)という言葉が出てきました。

ラグランジュ点とは、天体力学で円制限三体問題
の5つの平衡解のこと。

簡単に言うと、地球と月の合成重力によって、
位置関係がズレない特別な場所のことです。

本書では、このラグランジュ点に宇宙工場を
作ることを提案しています。

本当にSFの世界だったものが、現実のものに
なる可能性を感じます。

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