活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

2017年09月05日
経営・戦略 0
満足度★★★★
付箋数:26

  「なぜ、世界のエリートは “美意識” を
  鍛えるのか?
  この、本書で立てた “大きな問い” について、
  忙しい読者のために、ここでまとめて回答を
  述べておきたいと思います。この回答以降の
  本書の内容は、すべてこの短い回答の
  脚注に過ぎないということになります。」

本書では、冒頭の14~21ページにかけて、
タイトルにもなっている「問い」の回答が、
書かれています。

つまり257ページ全部を読まなくても、
わずか7ページ程に目を通すことで、
すぐに答えを知ることができるわけです。

合理性に考えると、この7ページを10分程度で
読んで、残り250ページを読まないのが、
最も生産性の高い読み方でしょう。

しかし、美意識を鍛えることの本当の意味を
理解したなら、「短い回答の脚注に過ぎない」
と表現されている「本文」を読むことの
大切さがわかるはずです。

なぜなら、合理的で生産性の高さだけを求める
アプローチでは、誰もが同じ答えにたどり着き、
今日のような高度に複雑化した世界では、
その方法論は限界を迎えているからです。

さて、本書の残り250ページは、
そんな理屈抜きで、非常に面白いので、
正直、読まないと損だと思います。

そうは言っても、このブログは部分的な
サマリーに過ぎませんので、冒頭7ページの
「回答」について紹介しておきます。

世界のエリートが「美意識」を鍛える理由は、
次に挙げる3点に集約されます。

 1. 論理的・理性的な情報処理スキルの限界が
  露呈しつつある
 
  多くの人が分析的、論理的なスキルがあると、
  正解がコモディティ化し、方法論としての
  限界を迎えます。
 
  限界を超えるには、「直感」による感性が
  求められます。

 2. 世界中の市場が「自己実現的消費」へと
  向かいつつある

  経済成長によって生活水準が向上したことで、
  現代は巨大な自己実現的消費の市場に
  なりつつあります。

  その市場で戦うためには、人の承認欲求や
  自己実現欲求を刺激する感性や美意識が
  重要になってきます。

 3. システムの変化にルールの制定が
  追いつかない状況が発生している
 
  現在のように変化の早い世界においては、
  ルールの整備が後追いになることがあります。
 
  そんな世界でクオリティの高い意思決定を
  するためには、内在的に「真・善・美」を
  判断するための「美意識」が求められます。

本書の著者、山口周さんは、電通、ボスコンを
経て、コーン・フェリー・ヘイグループの
パートナーになった方です。

これだけ見ると「ロジック偏重」を地で行く
経歴のように見えますが、実は山口さんは、
大学院で「美術史」を専攻したバックボーンを
持っています。

そんな山口さんだからこそ、サイエンス重視の
意思決定では足りない、「アート」の部分に
ついて語ることができるのです。

経営の意思決定だけでなく、私たちの日常的な
意思決定においても、「論理」だけでなく、
「直感」が必要であることを、あらためて
実感させてくれます。

ただし、「アート」や「直感」は限界を超える
ために重要であっても、「非論理的」では
ダメなのです。

あくまで、論理や理性だけでは決着がつかない
領域において、アートや直感が生きてくる
ということです。

この本から何を活かすか?

どのように「美意識」を鍛えるのか?

その方法の1つとして、本書で紹介されて
いる方法が、「VTS」です。

VTSとは、Visual Thinking Strategyの略で、
ビジュアルアートを用いた、鑑賞力を鍛える
ためのワークショップです。

選ばれた作品を見て、次のような問が
投げかけられるようです。

  1. 何が描かれていますか?

  2. 絵の中で何が起きていて、これから何が
   起こるのでしょうか?

  3. どのような感情や感覚が、自分の中に
   生まれていますか?

これらの問いは、ビジネスの世界で経営者が
議論しなければならない論点と共通している
ようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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