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忘却の整理学

忘却の整理学
忘却の整理学
(2009/12/12)
外山滋比古 商品詳細を見る

満足度★★★★

外山滋比古さんが、あの「思考の整理学」の続編を
20年以上の歳月を経て書き上げました。

前著の中でも、忘れることの大切さは述べられていましたが、
本書は一冊まるごと「忘却」がテーマのエッセイ集です。

「忘却」に対するアポロギア(弁明)。

外山さんは、今まで悪者扱いされてきた「忘却」が、
記憶や思考する上で重要な役割を果たしていると述べています。

  「忘れてもよい。忘れっぽくても、よい頭はよい頭である。
  それどころか、新しいことを考えるには忘却の助けが必要である。」

外山さんは、記憶と忘却は呼吸とよく似ていると表現しています。

呼と吸が反対の作用でありながら、
互いに助け合っている点に通じていると。

記憶と忘却はセットと考えると、記憶が先にあって忘却が後という
感じがしますし、鶏が先か卵が先かの議論のように、
個人的には順番はどちらが先でもいいような気もします。

しかし、外山さんの中では、「忘却先行」という結論が
出ている点が、なかなか興味深いところです。

世間では良くないことして扱われてきた忘却の
濡れ衣を晴らし、完全に忘却の肩を持つ外山さん。

私は、「忘れられない脳」を持つ女性、
ジル・プライスさんのようになりたいとは思いませんが、
日々、記憶力の衰えを痛切に感じる身としては、
自分を肯定する意味で、ありがたい言葉が並んでいました。

ところで本書には、ちょっと気になる点があります。

それは、内容の重複。
さっきも同じことを書いていたのにな〜と
思う部分が数ヶ所あります。

これは、ひょっとすると、外山さんの忘却力のなせる業なのか、
あるいは読者の忘却力を試すものなのかもしれません。

また欲をいえば、「思考の整理学」が文庫本形態がの中に
知的エッセンスを詰め込むことで、より価値を高めていた
感がありますので、本書も続編という位置づけならば
文庫本で出して欲しかったところですね。

この本から何を活かすか?

  「教え、教えられるというのはもっとも親密なコミュニケーションである。
  親はそれを他人に譲ってはいけない。」

これは、子どもが自転車の乗り方を覚えていく際、
失敗した方法を忘れるという意味で、忘却が役に立っていると
説明されていたパートの言葉。

あまり忘却に関係ないところで、私に刺さったフレーズです。

子どもが学校や習い事などで、他人から教わる機会は、
それはそれで効用があり貴重な体験です。

しかし、私は外山さんが言うように、
できる限り、子どもと教え、教えられる関係を
多く築きたいと思っています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 06:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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繁栄し続ける会社のルール

繁栄し続ける会社のルール
繁栄し続ける会社のルール
(2010/01/30)
小宮 一慶 商品詳細を見る

満足度★★★

ユナイテッド・ブックスの古森さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

「良い会社」と「偉大な会社」の違いは何か?

その大きな違いは、商品やサービスが売れ「続ける」こと。

メジャーリーガーのイチロー選手の例を引くまでもなく、
偉大な会社(選手)は単発のホームランで終わらず、
コンスタントにヒットを打つことができます。

それでは、なぜ、その違いが生まれるのか?

実は、「見えないところ」にその理由があります。
売れている商品そのものよりも、その背景にあるもの。

本書で小宮一慶さんが説明するのは、
商品を見ただけでは分からない次の3点です。

  1. 会社のビジョンや理念が浸透していること
  2. 働きがいのある環境がつくられていること
  3. 売上や利益に対するこだわりがあること

好景気の時は目新しさだけで、商品はどんどん売れますが、
景気が悪くなり、厳しい環境に置かれた時に
「見えないところ」で積み重ねてきた差が歴然と現れます。

本書では、経営コンサルタントである小宮さんが
もてる叡智を詰め込み、繁栄し続ける会社になるためには
何が必要であるかを説いています。

偉大な会社について書かれた本といえば、
私はジェームズ・C. コリンズさんの名著
ビジョナリー・カンパニー 2」を思い出します。

この本の原題は「Good to Great」で、本書の中でも
「適切な人をバスに乗せる」の部分が引用されていますね。

本書は小宮さん版の「ビジョナリー・カンパニー 2」を目指したもの。
もしくは、本書は日中韓台同時出版なので、
アジア版「Good to Great」というところでしょうか。

本書は経営全般に関わる内容が、広く書かれていますから、
小宮さんが過去に書いた、1冊1テーマの本を読んでいる方にとっては、
各本の大切な部分を総復習してる感じがすると思います。

この本から何を活かすか?

本書を出版したユナイテッド・ブックスは2009年11月に
できたばかりの新しい会社のようです。

いったい、どのような出版社なのか?
小宮さんの言うような、理念やビジョンはあるのか?

せっかく献本いただきましたので、同社のサイトを覗いてみました。

パッと目にと見込んできたのは、
次のコーポレートスローガンです。

  ― 世界を面白くする出版社 ―
  UNITED BOOKSは未来の可能性に挑戦する出版社。
  舞台は「世界」です。

そして、「設立宣言」には、同社が東アジアの出版人が手を組み、
日本、中国、韓国、台湾から出資を受けて、
作られた会社であるとの説明がありました。

だから、日中韓台同時出版なんですね。納得です。

現在は、インターネットのおかげで、
米国のビジネス情報は、比較的簡単に手に入るようになりました。

しかし、世界がこれだけ近くなっているにも関わらず、
アジアのビジネス書情報は、意外なほど日本に入ってきません。

個人的には、同社から、今もっとも勢いのある中国や台湾の
良質なコンテンツが日本に入ってくることに期待したいところです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

| 経営・戦略 | 06:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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自由をつくる自在に生きる

自由をつくる自在に生きる (集英社新書 520C)
自由をつくる自在に生きる (集英社新書 520C)
(2009/11/17)
森 博嗣 商品詳細を見る

満足度★★★

小説家・森博嗣さんによる「自由論」。

過去に森さんが話してきたこと、書いてきたことを
「自由」というキーワードで再構築したようですが、
本書自体が、かなり自由な文体のエッセイになっていて、
森さんの思考の「飛び」や「広がり」が楽しめます。

森さんが考える「自由」は、世間一般でイメージされる
「自由」とは、少し異なるようです。

例えば、朝から深夜まで精神的にも肉体的にも
ハードな仕事が続く毎日。
仕事から解放されて、自由になりたい。

こう考える場合は、自由よりも「解放」がメインとなっています。

森さんが本書で語る自由は、単なる制限からの解放ではなく、
やりたいことがあって、それが思い通りできることを指します。

まず、「思う」ことがあって、次に「行動」。

つまり自由気ままに生きているように見える動物は、
本当の意味での自由ではなく、思考できる人間こそが
唯一自由を求めることができる存在だと。

そして、森さんは「人生の目的は自由だ」と考えます。

普段、「幸せ」であることを実感することはあっても、
自由を意識することのなかった私にとっては、
忘れていたものを思い出させてくれた感じがしました。

また本書の中で、私が興味深かったのは
次の「抽象力」の大切さについて書かれたくだり。

  「抽象的すぎてわからない?それがもう勘違いである。
  抽象的だから理解できるのだし、
  具体的すぎてわからないものが多すぎるのだ。」

本を読んでいても、確かにマニュアルのような具体例は
ピンポイントで効果を発揮しますが、
その中に隠された本質を抽象的に捉えなくては、
他の分野に応用できません。

生きていくために、すべての分野をマニュアルを
揃えることはできませんから、応用可能な「抽象力」を
身につけるべきということですね。

この本から何を活かすか?

森さんは本書の中で「ブログの罠」についても言及しています。

  「本当は誰も読んでいないかもしれないのに、
  仮想の大勢の読者を想定してブログを書く人は多いだろう。
  (中略)
  しかし、ブログを書くことが日常になると、
  ついブログに書けることを生活の中に探してしまう。
  (中略)
  知らず知らず、ブログに書きやすい毎日を過ごすことになる。」

これは、私も気をつけている点です。

日曜日はブログを更新しかったり、
年に何度か更新を休む。
あるいは、ランキングへの参加にあまり積極的でないのは、
私がブログに支配されないための防御策でもあります。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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脳に悪い7つの習慣

脳に悪い7つの習慣 (幻冬舎新書 は 5-1)
脳に悪い7つの習慣 (幻冬舎新書 は 5-1)
(2009/09/30)
林 成之 商品詳細を見る

満足度★★★★

どうりで、最近、脳の働きが悪い訳だ。

私は本書を読んで、自分の脳が働きが鈍くなっている理由を
思わず納得してしまいました。

著者の林成之さんは、競泳の北島康介選手などを指導し、
勝負脳」で注目された脳神経外科医。

本書では、勝負の時に限らず、もっと一般的な
日常生活の中で知っておきたい
脳にとって「良い習慣」と「悪い習慣」が明確に説明されています。

  「みなさんが脳に悪い習慣から逃れられない
  原因の一つは、そもそもそれが脳にとってよくないことだと
  知らないからだと思います。」

大切なのは、脳に悪い7つの習慣を知り、それを避けること。

実際のところ、脳の機能として解明されている事実より、
林さんの脳神経外科医としての経験論が多いのかもしれません。

しかし、数多く出版される脳本の中でも、
本書は非常に納得感の高い内容でした。

以下、ちょっと長くなりますが、本書の巻末に掲載されている
脳に悪い習慣を克服するためのチェックシートです。

  1. 貢献心をもっている
  2. 物事に対して幅広い興味を持っている
  3. 物事をおもしろいと思い、好きになっている
  4. 先生や上司を好きになっている
  5. グチを言っていない
  6. 物事に対して感動している
  7. 表情を豊かにし、笑顔をつくっている
  8. ゴールや完成を意識せず、物事に取り組んでいる
  9. 後ろ向きな考えを持っていない
  10. 物事は達成目指して、一気にやりきる
  11. 目的と目標を分けている
  12. 主体性を持って、物事に取り組んでいる
  13. ここぞというとき、緊張感のバランスをとることができる
  14. 効率にこだわらず、くり返し考えている
  15. 考えたことは随時、文章や図に整理している
  16. よい本はくり返し何度も読んでいる
  17. 自分の考えを疑うことができている
  18. 立場を捨てて、他人の意見に耳を傾けている
  19. 大事なことは、4日おいて考え直している
  20. 環境にこだわり、楽しんで勉強している
  21. 物事を覚える際は情報を重ね、関連性を考えている
  22. 暗記は他人に説明できるほど完璧にしている
  23. 正しい姿勢を保っている
  24. 空間認知能を意識し、スポーツや絵に取り組んでいる
  25. 字を丁寧に書いている
  26. リズムを意識して生活している
  27. 人とおしゃべりする機会をもっている
  28. 感情を込めて話をしている
  29. 相手の立場に立って考えることを心がけている
  30. 目的を明確にし、相手に伝えている
  31. 人をうれしそうにほめている

あなたは、何項目できていますか?

ちなみに私ができていたのは9項目だけ。
少し、これらの項目を意識して生活してみようと思います。

この本から何を活かすか?

なぜ、悪い姿勢はダメなのか?

私は、子どもの姿勢の悪さを躾として
注意することがありますが、
それには明確な理由を説明していませんでした。

子どもの側としても、ただ躾だからと言われるだけでは、
何のメリットも感じず、自ら姿勢を正そうとは
思っていなかったのかも知れません。

林さんは、姿勢が悪いと身体のバランスが崩れ、
空間認識能力が働きにくくなると説明しています。

つまり、姿勢の悪さは脳の働きに影響すると。

次に子どもの姿勢を注意する時は、
この理由を説明したいと思います。

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“35歳”を救え

“35歳”を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか
“35歳”を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか
(2009/11/28)
NHK「あすの日本」プロジェクト 三菱総合研究所 商品詳細を見る

満足度★★★

2009年5月に放送されたNHKスペシャル
「“35歳”を救え あすの日本 未来からの提言」の書籍版。

NHK取材班と三菱総合研究所の共同プロジェクトです。

人口は1割減少、経済は落ち込み、
消費税は18%に引き上げられた超コスト負担社会。
誰もが将来への不安を抱え疲弊しきっている。

これが、本書がシミュレーションする20年後の日本の姿です。

このワーストケースシナリオを避けるために
一番の鍵となるのが、2009年時点で35歳前後の世代。

団塊ジュニアの中でも最も人口ボリュームがあり、
現在、そして今後の日本の原動力となる世代です。

このプロジェクトでは、35歳世代の1万人にアンケート調査を実施し、
200人への徹底取材を行ないました。

本書では、その調査の結果から現在の35歳世代の現状を
浮き彫りにし、更に日本の未来のために政策提言をおこなっています。

提言の柱は2つ。

  ・日本版積極的雇用政策
  ・安心して子を育てるための生活支援策

タイトルだけ聞くと、非常にありきたりな感じがしますが、
それは、実現しないまま叫ばれ続けてきたからなのかもしれません。

今まで35歳世代を支援する政策は、あまり採られていませんから、
日本の将来のために、そろそろ本気で取り組む必要がありますね。

ところで、本書のサブタイトルに、
「なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか」とあります。

35歳といっても人それぞれなので、分かりやすいとことで、
私自身が新卒で就職した某会社の20年前の初任給と
現在のその会社の初任給を比較してみました。

・20年前:217,000円(諸手当含む)
・2010年:227,000円(諸手当含む)

さすがに20年も経つと、下がってはいないようですが、
これだけしか上がっていないのかというのが、正直な感想です。
この時代、まだ潰れていないだけ良いのかもしれませんが・・・

この本から何を活かすか?

本書の巻末には100ページを超えるアンケート結果が掲載さています。

私が注目したのは、この35歳世代の貯蓄額。

  ・貯蓄なし:13.0%
  ・100万円以下:19.0%
  ・100〜300万円:24.8%
  ・300〜500万円:15.5%
  ・500〜1000万円:15.6%
  ・1000〜3000万円:10.2%
  ・3000万円超:1.9%

22歳で就職してから毎月3万円ずつ貯蓄すると、
たとえ運用利回りが0%でも、
35歳時点では500万円くらいになるはずです。

現実的には、それさえも厳しいようですね。

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| 社会・国家・国際情勢 | 08:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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