2010.02.10 Wed
忘却の整理学

忘却の整理学
(2009/12/12)
外山滋比古 商品詳細を見る
満足度★★★★
外山滋比古さんが、あの「思考の整理学」の続編を
20年以上の歳月を経て書き上げました。
前著の中でも、忘れることの大切さは述べられていましたが、
本書は一冊まるごと「忘却」がテーマのエッセイ集です。
「忘却」に対するアポロギア(弁明)。
外山さんは、今まで悪者扱いされてきた「忘却」が、
記憶や思考する上で重要な役割を果たしていると述べています。
「忘れてもよい。忘れっぽくても、よい頭はよい頭である。
それどころか、新しいことを考えるには忘却の助けが必要である。」
外山さんは、記憶と忘却は呼吸とよく似ていると表現しています。
呼と吸が反対の作用でありながら、
互いに助け合っている点に通じていると。
記憶と忘却はセットと考えると、記憶が先にあって忘却が後という
感じがしますし、鶏が先か卵が先かの議論のように、
個人的には順番はどちらが先でもいいような気もします。
しかし、外山さんの中では、「忘却先行」という結論が
出ている点が、なかなか興味深いところです。
世間では良くないことして扱われてきた忘却の
濡れ衣を晴らし、完全に忘却の肩を持つ外山さん。
私は、「忘れられない脳」を持つ女性、
ジル・プライスさんのようになりたいとは思いませんが、
日々、記憶力の衰えを痛切に感じる身としては、
自分を肯定する意味で、ありがたい言葉が並んでいました。
ところで本書には、ちょっと気になる点があります。
それは、内容の重複。
さっきも同じことを書いていたのにな〜と
思う部分が数ヶ所あります。
これは、ひょっとすると、外山さんの忘却力のなせる業なのか、
あるいは読者の忘却力を試すものなのかもしれません。
また欲をいえば、「思考の整理学」が文庫本形態がの中に
知的エッセンスを詰め込むことで、より価値を高めていた
感がありますので、本書も続編という位置づけならば
文庫本で出して欲しかったところですね。
この本から何を活かすか? 「教え、教えられるというのはもっとも親密なコミュニケーションである。
親はそれを他人に譲ってはいけない。」
これは、子どもが自転車の乗り方を覚えていく際、
失敗した方法を忘れるという意味で、忘却が役に立っていると
説明されていたパートの言葉。
あまり忘却に関係ないところで、私に刺さったフレーズです。
子どもが学校や習い事などで、他人から教わる機会は、
それはそれで効用があり貴重な体験です。
しかし、私は外山さんが言うように、
できる限り、子どもと教え、教えられる関係を
多く築きたいと思っています。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 06:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑















