活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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数学的コミュニケーション入門

満足度★★★★
付箋数:25

ビジネスパーソンにとって、最も大切な能力の
1つは「コミュニケーション能力」です。

では、コミュニケーション能力はどのように
鍛えることができるのでしょうか?

その1つの方法が「数学的」になることです。

例えば、あなたが営業マンだったとしましょう。

訪問先でお客様が、突然、次のような質問を
してきました。

  「このオプションAとオプションBをつけて、
  さらに弊社向けに若干のカスタマイズをして、
  3ヶ月後に納品いただくとしたら、
  どれくらいの見積もりになりますか?」

あなたのリアクションは次のどちらでしょうか。

  1.「ちょっとわかりかねます。
   社に持ち帰らせていただけますか」

  2.「正確な金額は後日提示するとして、
   ざっくり1000万円くらいでしょうか」

この2つのリアクションのうち、
「数学的」な回答は2番目です。

それは、ざっくりした概算を示すことで
「定量化」しているからです。

「数学的」と聞くと、正確に計算しなくては
ならないとと考えがちですが、ビジネス上の
コミュニケーションでは、目安となる
ざっくり概算が必要なシーンも多いのです。

この見積もりを依頼したお客様の場合も、
そもそも予算から大きく外れているなら、
商談にさえならないと考えているはずです。

概算でも構わないので、まずどれくらいの
規模感なのかを知りたいことが多いのです。

数学的コミュニケーションができない人は、
この定量化が苦手。

  「駅前に新しくできたレストラン。
  大行列ができていたよ!」

日常会話のなかでも、このように聞くと、
「大行列って、一体どれくらい?」と
具体的にイメージできる基準を
知りたくなるものです。

これがビジネスでの会話なら、
なるべく相手には「どのくらい?」と
思わせないようにしたいものです。

定量化がうまい人は、最初に「定義」から
始めます。

この定義をきちんとやっておかないと
コミュニケーションに齟齬が生じます。

そして、定量化して「比べる」ことで、
判断をしていくのです。

本書の著者、深沢真太郎さんは、
数学がコミュニケーションを劇的に変える
切り札になると考えています。

  「まず伝えるための数字をつくり、
  伝わりやすくなるようにグラフを用意し、
  納得してもらえるよう伝え方を考え、
  簡潔にわかりやすく伝える。
  このプロセスを数学的に進めることで、
  コミュニケーションの質を飛躍的に
  高めるのです。」

これからは文系のビジネスパーソンに
とっても数学的スキルが必要なのです。

 第1章 数字の作り方
 ―「なるほど」と言わせる「定量化」の技術

 第2章 グラフの使い方
 ―資料を「一目瞭然」にする技術

 第3章 論理的なシナリオのつくり方
 ―成功するプレゼンの準備術

 第4章 数学的な話し方
 ―わかりやすく説明する技術

ちなみに、本書の電子書籍版(Kindle版)
には限定特典として「伝わる文章の書き方」
が収録されていつのでお得です。

当ブログでは先日、深沢さんの
数学的に考える力をつける本』を
紹介したばかりです。

この本は、本書の第4章の部分を深掘りした
本と言えます。

私は先に『数学的に考える力をつける本
を読みましたが、コミュニケーションの
質を上げる全体像を掴むためには、
本書を先に読んだ方がいいと思います。

コミュニケーションが感覚的になりがちな
方には、いずれの本もオススメできます。

この本から何を活かすか?

大人数にプレゼンテーションする場合は、
全員に同じ程度、「なるほど」と思わせる
ことはできません。

プレゼンの原則は、「特定の1人」を
「なるほど」と納得させること。

つまり相手を明確に「定義」することが
伝える秘訣です。

ですから人気のあるセミナー講師は、
その日のターゲットを1人決めてから、
話を始めるそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| コミュニケーション | 08:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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バッタを倒しにアフリカへ

満足度★★★★
付箋数:24

最近は、滅多に使われることが
なくなりましたが、「末は博士か大臣か」
という言葉がありました。

将来有望な子供や若者に対して、
かつては、こう言ったものでした。

しかし、「大臣」は昔とそれほど
変わりませんが、「博士」を取り巻く環境は
大きく変わりました。

  「苦労の末に手にした博士号は、
  修羅への道の片道切符だった。」

学位としての博士号は、大学を4年で卒業し、
修士過程を2年、博士課程を3年と、
浪人・留年せずにストレートに進むと、
最短27歳で取得できます。

しかし、大変なのはそこから先です。
いわゆる「ポスドク」問題があります。

これは、博士号の取得後、期間の限られた
研究に従事する博士研究員が増えて、
大学の教員にもなれず、企業へも就職
できないという問題です。

最近言われる「高学歴ワーキングプア」が
まさにこの状態です。

しかも、専門が「バッタの研究」だったら、
日本で職を得るのが難しいことは、
誰でも容易に想像がつくことでしょう。

  「博士になったからといって、自動的に
  給料はもらえない。新米博士たちを
  待ち受けるのは命懸けのイス取りゲーム
  だった。イス、すなわち正規のポジション
  を獲得できると定年退職まで安定して
  給料をもらいながら研究を続けられる。
  だが、イスを獲得できるのはほんの
  一握りどころか、わずか一摘みの博士だけ。
  夢の裏側に潜んでいるのは熾烈な競争だった。」

本書は、そんな熾烈な競争に晒されながら、
バッタの研究を続ける様子を綴る
科学冒険「就職」ノンフィクションです。

著者の前野 ウルド 浩太郎さんは、
バッタ博士で、本書を出版した時点での
研究上の立場は、任期付研究員。

5年間で成果が上がらなければ無収入に陥る
まだまだ予断が許されない状況です。

本書は、そんな前野さんがバッタの研究で、
西アフリカの国、モーリタニアで奮闘しながら、
ポスドクの悲哀と就活の様子を綴ります。

これが、抜群に面白い。

前野さんが子供の頃からの夢は
「バッタに食べられたい」でした。

果たして、モーリタニアでその夢は叶うのか。

  「バッタが大発生することで定評のある
  モーリタニアだったが、建国以来最悪の
  大干ばつに見舞われ、バッタが忽然と姿を
  消してしまった。人生を賭けてわざわざ
  アフリカまで来たのに、肝心のバッタが
  いないという地味な不幸が待っていた。
  不幸は続き、さしたる成果をあげることなく
  無収入に陥った。なけなしの貯金を切り崩して
  アフリカに居座り、バッタの大群に相まみえる
  日がくるまで耐え忍ぶ日々。バッタのせいで
  蝕まれていく時間と財産、そして精神。
  貯金はもってあと1年。全てがバッタに
  喰われる前に、望みを次に繋げることが
  できるだろうか。」

ちなみに、前野さんの名前に入っている
「ウルド」は、モーリタニアでの研究活動が
認められて授かったミドルネーム。

「誰それの子孫」という意味で、現地では
最高に尊敬されるミドルネームのようです。

本書は冒険要素をふんだんに含み、
読む者をワクワクさせます。

前野さんの文才と、特殊なフィールドワーク
があれば、本を出すにはネタが尽きない
ように思えました。

仮に前野さんが研究者としての終身雇用が
得られなくても、十分やっていけそうな
バイタリティーとキャラクターの濃さが
あります。

むしろ、安定な立場を得ると今の面白さが
なくなってしまうような気がしますね。

この本から何を活かすか?

モーリタニアでは、モハメッドという名前が
圧倒的に多いようです。

  「日本の苗字トップ3に君臨する佐藤、鈴木、
  高橋の比ではなく、驚愕のモハメッド率の
  高さだった。研究所内だけではない。
  出会う人がことごとくモハメッドだった。」

そんな誰もがモハメッドの状態を、
一体、どのように区別しているのか?

これを現地では、「コックのモハメッド」、
「門番のモハメッド」、「大きなモハメッド」、
「小さなモハメッド」と職業や体格と結びつけ
区別しているようです。

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| 科学・生活 | 06:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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記事投稿回数変更のお知らせ(6/19~7/31)

いつも当グログを訪問いただき、
誠にありがとうございます。

6/19~7/31までの約1ヶ月半の期間、
記事を更新する回数および曜日を
変更させていただきます。

現状、1週間に6冊、月~土まで毎日
1冊の本を紹介しておりますが、
諸事情があって、この期間は、
週に2冊、土日のみの紹介とさせて
いただきます。

また、7/29、7/30は記事の更新を
休ませていただきます。

8月になりましたら、今でのペースで
記事を更新いたしますので、
何卒よろしくお願いいたします。

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| お知らせ | 04:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「伝わらない」がなくなる 数学的に考える力をつける本

満足度★★★★
付箋数:25

「数学」とは、何をする学問でしょうか?

学生の頃に、数学でイヤな思いをした方は、
「数学=計算」というイメージが思い浮かぶ
かもしれません。

しかし、数学の本質は「計算」ではありません。

なぜなら、計算することを学ぶだけなら、
電卓やエクセルの使い方だけ知っていれば、
事足りてしまうからです。

計算は、あくまで数学をするための
「道具」の1つに過ぎません。

  「数学とは、コトバの使い方を学ぶ学問」

これが、本書の著者、深沢真太郎さんの
数学についての定義です。

「コトバを学ぶのは国語じゃないの?」
と思った方も多いでしょう。

それも、正しい見方の1つです。

しかし、数学の本質もコトバにあるのです。

もう少し詳しい言い方をすると、
「数学=論理的なコトバを使う学問」
ということになります。

ですから、大人になってから数学を学び直す
には、数字も計算もいりません。

そのかわり、日常生活で使うコトバを
変えればいいのです。

深沢さんは、本書で論理的な表現をする
コトバのことを「数学コトバ」と
名付けました。

数学コトバとは、次のようなコトバです。

 ・「定義する」(定義)
 ・「言い換えると」「裏を返せば」(変換)
 ・「しかし」「一方で」(対立)
 ・「かつ」「または」「少なくとも」(条件)
 ・「だから」「ゆえに」等(因果)
 ・「仮に」(仮定)
 ・「たとえば」(比喩)
 ・「以上より」「つまり」(結論)
 ※(  )内はそのコトバが持つ「機能」

数学コトバを使うと人生が変わると
深沢さんは言い、それを数学的に証明します。

 「数学コトバを使いましょう」
   ↓ なぜなら
 「ものごとの構造を把握する能力が高まる」
 「1%の矛盾もなく論証する技術が身につく」
 「わかりやすく簡潔な説明ができるようになる」
   ↓ すなわち
 「人生の勝負どころで “うまくいく” 」
   ↓ 言い換えると
 「あなたの人生が “うまくいく” 」
   ↓ つまり
 「数学コトバはあなたの人生を変える」

ただし、数学コトバを使って考えを
整理しますが、実際に人に伝える場合には、
「できるだけ口から発しない」ようにします。

数学コトバは、わかりやすく伝えるために、
きわめて重要な役割を果たしますが、
数学コトバ自体を口に出すかどうかは
別問題です。

あまり、数学コトバが頻繁に口から発せられると
「くどい」とか「理屈っぽい」という印象を
与えてしまいます。

ですから、実際に人に伝える場合には、
「短文」にして、数学コトバの部分を「間」に
置き替えて伝えた方が、聞きやすく、
伝わりやすくなるのです。

できるだけ不必要なコトバは削除して、
「短く話す」ことも数学の重要なルール。

本書は、数学的理論や複雑な計算は、
一切出てこない、従来の数学の本の概念を
覆す本です。

本書自体も、論理的に書かれているので、
読んでいて、非常に腹落ちします。

また、無駄なコトバもないので、
スイスイ読み進めることができます。

数学コトバを使って思考すると、
ものごとの「本質」が見極められると
実感できる本だと思います。

この本から何を活かすか?

数学者はヘンタイであると深沢さんは言います。
それは、次のような考えがあるからです。

  「数学とは、実はエロティックな学問だと。
  問題の構造を把握するとは、問題を丸裸に
  していく作業です。最初は服を着ている相手の
  服を1枚ずつ脱がしていくイメージです。
  丸裸にできたということは、相手を完全に
  征服したことと同義。その快感が病みつきに
  なり、もっと別の問題も丸裸にし、
  征服したい願望にかられる。これが数学を
  好きになる人の思考回路だと思います。」

私も今度から、「数学が好き」と聞いたら、
その人をヘンタイなんだなというイメージで
見てしまいそうです。

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| 数学 | 06:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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データ分析の力 因果関係に迫る思考法

満足度★★★★
付箋数:26

あなたは、アイスクリームを売る企業の
マーケティング部に所属しています。

ある年、今まで使っていなかったWEB広告を
掲載してみると、前年に比べてアイスクリーム
の売上が40%上昇しました。

この結果から、WEB広告を出したことにより、
アイスクリームの売上が増えたと言うことが
できるでしょうか?

このように、ある要素(X)が結果(Y)に
影響を与えることを「因果関係」と言います。

ここで聞いているのは、WEB広告と売上に
因果関係があるかどうかです。

もし、WEB広告を出した年の夏が、前年に比べ
猛暑だったとしたらどうでしょうか。

WEB広告の影響ではなく、単に気温が上がった
ために売上が増えたのかもしれません。

また、前年が世界的な金融危機で消費全体が
冷え込み、WEB広告を打った年がたまたま
経済全体が回復傾向にあったとしたら、
その影響を受けているかもしれません。

本当は猛暑や経済回復の影響を大きく
受けているにも関わらず、WEB広告の効果が
あったと結論づけてしまうと、ビジネス上の
判断誤りを招く可能性があります。

因果関係を立証するのは、意外と難しいものです。

それは、他の要因が影響していたり、
逆の因果関係である可能性があるからです。

では、どうしたら因果関係があるかどうかを
見極めることができるのでしょうか?

その最良の方法は、RCT(ランダム化比較試験)
と呼ばれる方法です。

ビジネスの世界ではABテストと呼ばれています。

RCTでは、介入グループと比較グループの
2つに分けて、結果を比較します。

このとき、RCTを行う上では絶対に欠かせない
3つ条件があります。

 鉄則1. 分析で明らかにしたい因果関係を
    測定できるような適切なグループを作る。
    比較グループを設けることは不可欠。

 鉄則2. グループ分けはランダムに行う。

 鉄則3. 各グループに十分なサンプル数を充てる。

これらの鉄則を守ってRCTを実施すると、
分析や結果に透明性があり、分析者以外にも
因果関係があるかどうかについて説得力のある
説明ができるのです。

しかし、このRCTには大きな弱点があります。

それは実施にあたって費用・労力・各機関の
協力がそれなりに必要になることです。

つまり、予算に制約のある実際のビジネスでは、
RCTが実施できない場合も多いのです。

では、RCTが実施できない場合、
どのようにしたら因果関係の有無を
見極められるのでしょうか?

それは、まるで実験が起こったかのような
状況を上手く利用する、「自然実験」と
呼ばれる方法です。

本書で解説されるのは自然実験を代表する
3つの方法、「RDデザイン」、「集積分析」、
「パネル・データ分析」です。

本書では、因果関係を調べるこれらの
データ分析方法について、数式を使わず、
具体例とビジュアルな描写を用いて解説します。

著者はシカゴ大学公共政策大学院ハリススクール
助教授の伊藤公一朗さんです。

新書ながらデータ分析の入門書としては
非常に分かりやすく書かれているので
自信を持ってオススメでできる一冊です。

 第1章 なぜデータから因果関係を導くのは
    難しいのか
 第2章 現実の世界で「実際に実験をしてしまう」
    ―ランダム化比較試験(RCT)
 第3章 「境界線」を賢く使うRDデザイン
 第4章 「階段状の変化」を賢く使う集積分析
 第5章 「複数期間のデータ」を生かす
    パネル・データ分析
 第6章 実践編:データ分析をビジネスや
    政策形成に生かすためには?
 第7章 上級編:データ分析の不完全性や
    限界を知る
 第8章 さらに学びたい方のために
    :参考図書の紹介

この本から何を活かすか?

第8章で日本語の入門書として本書の次の
学習書として紹介されていたのがこの4冊です。

 ・『「原因と結果」の経済学
 ・『実証分析のための計量経済学
 ・『計量経済学の第一歩
 ・『実証分析入門

この中でも本書に一番近いレベルの本は、
「原因と結果」の経済学』のようです。

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| 数学 | 06:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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